不完全性定理
第一章
おもむろに目を開いた。
記憶はすっかり失せている。
何処にいるのだ。
過去がない。未来もない。
今があるのだ。
手が動いた。
足も動く。
現在は確実にある。
おれは生きている。
いや、これは過去。
記憶の中の過去に生き続けているおれの正体。
現在はあった、が、すべては過去となった。
意識を戻したRの脳は混乱している。
肉体になんの異常もない。
意識の異常。
未来の世界に来たのか。
ここは。
何処だ。
自分を確かめるようにRは拳で壁を軽く叩いた。
ここは宇宙船の中だ。記憶が正常に働き始めた。が、
自分が何者であるかはわからない。
人工頭脳の機械なのか。
人間なのか。
再びRは拳で壁を叩いた。
自分を確かめるように二度叩いた。
応答がない。
拳の音は壁の向こうに消えた。
何者かに吸い込まれてしまったのだ。
誰かがいる。
壁の向こうに。
敵だ。
Rは戦闘の姿で身構えた。
部屋の中はしんと静まり返って音がない。
戦さだ。
遠い記憶を手繰り寄せ、
おぼろに浮かび上がってきたのが戦闘の姿であった。
第二章
(未完)
※メモ1
私=tの友人から聞いた話で、その友人のK教授の話です。
つまり又聞きですので、本当の話かどうか、確かめてはいません。
K教授の専門は基礎数学で、
学内でも並外れた変わり者だとのことですが、
奥さんは、なかなかの美人だそうです。
K教授は、奥さんが美人でも少々頭が弱いので、
あれは馬鹿だと安心していました。
「おまえは馬鹿だから勉強しろ」と、
妻が馬鹿であることに教授は安心しきっていました。
11月も終わろうかという、ある夜のことでした。
秋も深まって、冬が来ることを告げる冷たい風が吹いていました。
大学の研究室から自宅のマンションに戻りますと、
家具いっさいと愛する妻が消えてしまっていたのです。
残されていたのは、教授の書斎の中の物と衣服だけでした。
その他には
教授のお茶碗とお箸が淋しく静かにダイニングキチンにありました。
一枚の便箋があって、
お茶碗とお箸がその重石となっていました。
それは、
まさかそんなことがあるはずのない妻の書き置きでした。
あれは馬鹿だと安心していました妻の書き置きでした。
<あなた様が常日頃「おまえは馬鹿だから勉強しろ」と
仰りますので、一生懸命勉強いたしました。
それはそれは大変でございましたが、
とても有り難いことに、
世の中のことをよく理解できるようになりました。
なかでも、
あなた様とのことですが、
賢くなりました今では、
もうあなた様とご一緒に暮らすわけにはまいりません。
変わり者のあなた様との暮らしは、
馬鹿な女のすることで、
賢い女のすることではないとよく解りました。
お別れいたすのがよろしゅうございます。
わたくしをお探しなさらないようお願いいたします。
<あなたの賢くなりました妻より>
K教授は、
まさかそんなことがあるはずのない妻の書き置きを読み終えますと、
記憶の中から忽然と数学者ゲーデルの証明した
「不完全性定理」の数式が現れてきました。
教授は、
あの定理を今まで理解できていなかったことを悔やみましたが。
それに、
あの馬鹿な女にその真偽を教えてもらうとは。と嘆きました。
<終わり>
(ゲーデルの「不完全性定理」は、
数学基礎論において20世紀最大の成果といわれていますが、
何のことだがさっぱり解りませんので、
どなたかお教えいただけませんか。t
◆不完全性定理?
聞いたこともないです
数学は、これっぽっちもできなかったりするんです(泣)
本当の話だったら、すごいですね。
うちの大学にも、離婚したという噂の教授がいます。
奥さんは、もと、ミスなんとかだったとか・・・
真偽の程はしりませんが・・・(や)
◆【不完全性定理】
自然数論を含む公理系が無矛盾ならば、
その体系の中には真偽が判定できない論理式が存在する、
すなわち不完全であるという定理。
一九三一年、オースト リアの数学者ゲーデルが証明。
「広辞苑」の説明ですが...
<真偽が判定できない論理式>が知りたいんです。
大学の研究室におられるようなので、
数学の教授にお訊き いただければ、で?
ご無理でなければ、ですよ...t
◆すいません、それは、無理です。
日本語の通じる数学の先生がいません(笑)
少なくとも私には彼らの話は、日本語にきこえないのです(笑)(や)
◆うーっむ。真偽が判定できない論理式・・・
たしかに、興味がありますね。
不完全定理とは、まさに、男と女の事(笑)
深いなあ。(n)
◆nさん
理解が深いなあ。
さすがだなあ。t
◆教授はお気の毒ですが、
でも、同情はできませんね(^^)
大学の教授って、なんとなく「変わっている」というイメージが。
たぶん、偏見なんでしょうけど。
お互いに尊敬しあえる人でないと、結婚したくないです、
個人的には。(ポ)
◆ポさん
「大学の教授って、なんとなく「変わっている」というイメージが。」
偏見ではありませんよ。
大学の教授って、ひどいのがいますよ。t
<未完>