晴れ渡る大空よ今日立春
しばらくは梅の匂いの台所
芽ぐむもの全てに愛の光りけり
春光に包まれし身のときめきよ
登校の子がおはようとチューリップに
菜の花の横ゆったりと妊婦行く
【夏】
新緑の光り手のひら透くほどに
初蝉に清しき朝の始まりぬ
手いっぱい陽のぬくもりの茄子をもぐ
初恋のやさしさあふるささゆりよ
時を止めこのばらの香を全身に
【秋】
透きとおる子らの歌声秋立てり
さやかなる大気病む子の体内へ
ここからは木犀の香がついてくる
小鳥来る朝よろこびの始まりに
さやかなる大気病む子の体内へ
爽涼の今朝がうれしくワイン買う
ふれあえし肌のぬくもり知る秋に
湯のはじく乳房の張りよ夕月夜
髪濡れて月の夜風に吹かれおり
忌を終えし今朝の白菊よく匂い
【冬】
生きいきと声が動いて初句会
沈黙の力を秘めし冬木立
初雪の消えゆくまでを見つめいる
ほんの偶然に出会えた俳句でした。思いつくまま感じるまま、言葉に並べてきました。無知なる者の強さというか、初心者運転の私がいつのまにか俳句の道を走り出しています。車窓からの眺めは、今までに味わえない美しさです。大変ぎこちなく下手な運転なのですが、時々誉めてくださる先生のお言葉がとても嬉しくて、このまま走り続けてゆこうと思います。明るく自由な風に吹かれながら、広々とした世界へ続くこの道を前へ前へと進んでみるつもりです。
折々に、先生の句集を開きます。その度に様々な新しい感動が生まれます。日常をさらりさらりと詠まれていく中に、計り知れない程の人生の深さが見えてきます。心から、俳句とは、人生とはすばらしいものだと思えます。先生の俳句への情熱や、何事に対しても日々の努力を続けられている姿勢に、今もう一度敬服し、今後も学ばせて頂きたいと思います。
今回私には思いもかけない受賞ですが、ただこうして、「水煙」の良き先輩方と共に句作をする場を与えて頂けるだけで、十分に幸福であります。皆様の豊かな句に降れながら、心温まり、心励まされ、自分自身を見つめ直し明日への希望を持てることに、喜びを感じます。
また、PTA句会からお世話になりました正子さんに改めて、感謝したいと思います。ご多忙の身でありながら、細やかな心配りでいつもやさしく導いて下さいました。先生、正子さん本当にありがとうございました。
「水煙賞」という大きな宿題を頂いた気持ちで、これから誌友の皆様と歩んでゆきたいと思います。(1998/12 藤田洋子)
濃厚な香は、確かに、浸る様な夜の妖しい雰囲気が致します。<夜>が良い ですね。(霧野萬地郎)
この句も夏を迎える清々しい様子が、涼しい冷酒(ビール?)の乾杯と共に伝 わって来ます。(霧野萬地郎)
喜びの俳句である。短い言葉ゆえに生命讃歌が力強く詠まれた。(高橋信之)
気が欠けると人は病む。自然の気を母の体内を通して子の体内へ送りこむことにより気は回復する。最も神秘的な営みを我が体で知っている母親の力であると思う。いつも洋子さんの母親としての奥の深い句には感じさせられるところ大である。(吉田 晃)
我が家でも何か良いことがあればワインを楽しんでます。うきうきさせてくれる出来事にさらに好きなワインで、お互いに乾杯はさぞ格別の味が花を添えることでしょう。(森 隆博)
音楽会か学芸会の場面であろう。子供達の澄みきった歌声は、心地良いものにしてくれる。その歌声が、澄みきった秋の空をより身近に感じさせてくれている事を、作者に感じさせてくれたのであろう。「秋立てり」が、上手く生きている句である。(森竹智則)