新年を祝う汽笛に星揺らぐ
ひと部屋の灯に集まりて晦日蕎麦
普通の生活である。大晦日の一般的な家庭生活である。それがいい。「無事是大事」なのである。(高橋信之)
ご家族おそろいで晦日蕎麦。話も弾み、温かいすてきな情景です。(池田多津子)掃納め夕べ明るき空を見て
一人一人顔を浮かべて初句会掃納め夕べ明るき空を見て
句が明るくて優しいのは、洋子さんらしい良さである。(高橋信之)
谷底に日当たりをり冬菜畑
窓開けて黙祷したり除夜の鐘
冬菜畑一段と柔らかき笑み初句会
雪激し関東平野真白け
ゆく年や故郷の酒ゆるり飲む
新年や故郷に向き一礼す
デイケアの出会いと別れ年暮るる
私達夫婦もヘルパーさんに来て貰う様にしました。デイケアとはどんなものか判りませんが生活していれば出会いと別れはつきものと思います。が年の暮れは特別な感慨がありますね。(堀佐夜子)身のほとり清めるだけの大晦日
紅白と裏番見せし年惜しむ
ありがたし妻と新年見合わせて
除夜の鐘携帯からのメールあり
大年の厨整えて灯をおとす
「灯をおとす」に、御節料理を整え、台所もきちんとして、大晦日の夜を迎える粛然とした気持ちがうかがえます。(高橋正子)
迎春準備を終わっての台所。安堵感と共に新年を待つ気持ちが伝わってきます。(野田ゆたか)新年の風切り子らは社へと
子どもたちが、よろこび勇んで、初詣にでかけるところを「風切り」でうまく表現されています。(高橋正子)
子供たちからエネルギーを貰うといいますが、まさにこれはそんな句ですね。(岩本康子)
子どもたちの溌剌とした姿に明るい一年の始まりが感じられます。(藤田洋子)ゆく年を留める手帳の手に重し
お仕事ご苦労様でした。手帳の重さは多忙な一年間の充実の重さですね。(藤田洋子)
お仕事のこと、その他とてもたくさんの事が記されている手帳でしょう。この1年の重みを感じる句です。(岩本康子)
手帳には、一年の思い出がいっぱい詰まっています。それがこの句の重さから伝わって来ました。(野仁志水音)
初雪を眺め幼子窓を拭き
「初雪」と「幼子」の取り合わせがいい。美しい風景である。「窓を拭き」が可愛い。(高橋信之)
窓を拭きながら初雪を喜ぶ幼子の表情が浮かぶようです。雪の降る寒さにも、あたたかな家庭の情景ですね。(藤田洋子)子の寝顔夫婦語らう除夜の鐘
水仙の束詰められて南から
箱詰めにされて、正月用の花として届いたのでしょう。「南から」に、「よく雪国まで来てくれた」というやさしい思いが伝わってきます。(高橋正子)新年や母の晴れ着を肩にかけ
母から娘へ受け継ぐ日本の伝統の美しさ、新年の晴れ着の華やかさがいいですね。(藤田洋子)黒豆にひと塩入れる大晦日
おでん煮て匂い流れる海の町
「海の町」に詩がある。「おでん」にリアルな詩がある。(高橋信之)大晦日雲の流れの速きこと
少し荒れ模様の大晦日になりました。雲の流れの速さに、年を惜しむ気持ちと新年を待つ気持ちが感じられます。(池田多津子)
雲の流れの速さに時間の流れの速さが重なります。どんどんと流れ去っていく時間の中にいる自分という存在をあらためて意識するのも大晦日という日ならではですね。(多田有花)
背を丸め手はポケットかな息白し
ロビーにて首長くする大晦日
元日と娘の注ぎしビールかな
メール打つ母のどてらの赤子笑み
釣糸のもつれ解けぬまま除夜の鐘
新年の声やや硬き庭の鶏
雪だるまボンネットにある大晦日
本当に今日はびっくりしました。天気予報ではお正月は寒くなると言っていたようですが、予想より早く、雪の大晦日になりました。今年最後の驚きになったようです。(岩本康子)歩み去るもものの下なる年の夜
廃品の引き取り約す除日かな
休むなき大地の鼓動年明くる
年は新しくなっても大地の鼓動は変わりなく続いているのですね。わたしたちの根底にあるものを考えさせられます。(池田多津子)妻はまだ厨に残り年守る
厨で御節料理や台所の片付けをしている妻へのいたわりと、正月の御節のたのしみが一つになって、「年守る」が力強く句を引き締めています。(高橋正子)年越しの雪も轍の幾何模様
初雪を大きく受けて芭蕉佇つ
いい句だ。捉われのない、大きな句で、読み手の胸を打つ。「芭蕉」は、秋の季語だが、「初雪の芭蕉」に、季節の問題はない。(高橋信之)
雪を冠った芭蕉がおおらかで、墨絵のような世界が魅力です。(高橋正子)
今日の初雪に私もびっくりしました。 庭の木々や植木鉢の花の上の美しい雪をしばらく眺めていました。(岩本康子)
雪はあっても、北国にはない芭蕉に雪の景を想像して見ました。(志賀たいじ)黒雲に一日鎖され年逝けり
鶏鳴や白清浄と年明くる
元日の座敷座敷に時計鳴る
元日の時計が時を刻みはじめる。少しずつ時が違うのだろうか、つぎつぎとなって、新年を祝うようです。(高橋正子)
元日になって一斉に鳴る時計。座敷によって音が違っているのでしょう。年が変わったことを改めて感じる時です。(池田多津子)災いの年と記して日記閉ず
大晦日ゆっくりつかる仕舞風呂
良き年の挨拶交わす息白し
新年を迎える挨拶をすれば、言葉は、白い息となってこぼれる。いい年であることが願われる。(高橋正子)新年の扉を開けて吾子帰る
渡り来る闇を新たに除夜の鐘
除夜の鐘受験生らし撞く列に
受験生に向けるやさしい眼差しが感じ取れます。坊守さんなので、お参りに来る人たちみんなの幸を祈る気持ちがよく表されています。(高橋正子)初雪の朝何かを待つ思い
待つ思いを読者として勝手に解釈します。初雪への思いが詩情として広がってきました。(野田ゆたか)
今日はどうしても初雪の句に目が留まります。初雪の朝は何か童心に返った嬉しさがあります。何かいいことありましたか? (岩本康子)新年や大地は真白く浄められ
友来たりなば玄関に雪落し
雪の日に訪ねてきてくれた人が、雪を玄関に落とした。雪の日のできごととして心惹かれます。(高橋正子)
親しい友であろう。雪の中を来てくれたのである。嬉しさがある。(高橋信之)新玉の雪の音聞くしんしんと
新年に聞く雪の音、静けさの中に年改まる清らかな空気が流れているようです。(藤田洋子)除夜の鐘今生の今大切に
大晦日町湯の露天混み合おうて
大晦日の町湯には、早めに御節を作った主婦や、子供たちでにぎわっているのでしょう。露天湯で大晦日の空を見上げたりゆっくりと年を送る気持ちがさわやかです。(高橋正子)えび餅のまだ温かき肌に触る
夫婦して息災にと話すお元日
新年の街の灯りに雪燦々
新年の雪は、まっさらで、きよらかです。街の明かりに浮かびあがって、幻想的です。(高橋正子)行く年や老いの坂道踏みしめる
闇夜裂き行く年来る年告げる音
こぬか雨神棚飾る大晦日
そぼ降る雨に、手を冷たくして神棚を飾り、新年を待ちます。正月を迎えるゆきとどいた準備に主婦の細やかな気配りがあります。(高橋正子)
主婦ならではの俳句です。外は雨大晦日の主婦は忙しいのです。神棚を飾り元朝を待つ心持ち。家族揃って神棚を拝む慣わし日本の原風景ですね。(堀佐夜子)月澄みし師走の町の眠りゆく
良きことの多からんこと初句会
餅花を吊るせり糟糠の妻なりし
苦労を共にされてきた奥様へのいたわりと共に正月を迎える事ができる喜びが伝わってきます。(野田ゆたか)行く年のポラリスを見る橋のうえ
「冬のソナタ」ではありませんが、ポラリスという言葉は何か新しく響きますね。(岩本康子)
夜空を見上げて、行く年を惜しみつつ、ポラリスに新年への願いをこめている作者の静かな姿が浮かんできます。「橋のうえ」がその情景を一層鮮明にしてくれます。まっさらの空染めゆきて初茜
注連張らる今はむかしの大鳥居
ただ今を息災におり除夜の鐘
撞く鐘の鼓膜も冷えて年明くる
残雪を掃く音軽く除夜送る
大晦日に積もった雪を掃き寄せて新年の道を作る。新年を迎えようとする気持ちが伝わってくる。(高橋正子)舞う雪にえさ隠されて都鳥
久方に囲む団欒年迎え
煩悩を少しは残し除夜の鐘
煩悩をすべて払い去ってしまうのではなく、少しは残しておくのが、庶民らしいともいえます。ユーモアのある句で、除夜が楽しくなります。(高橋正子)
煩悩を「少しは残し」がいいと思います。 作者のユーモアと人柄が感じられる句だと思います。(岩本康子)
百八つもありますから、私達凡人にはとてもとても・・・。考えさせられます。(おおにしひろし)
年送る除夜の鐘に心洗われますが、煩悩を断つことの出来ぬ生身なればと、この句を読んで祈りの思いを新たにします。(志賀たいじ)
行く年の煩悩を少しは受け継いで、来る年を迎えたい、わたしもそう思います。(池田多津子)大年の瀬に流れくる刻の淵
掲出の題もめでたし初句会
雪明り窓辺にありたる目覚めかな
雪が降ることか少ない地方の作者ならではの驚きでしょうか。びっくりされた様子がよく伝わってきます。(野田ゆたか)
寒いけど雪明りは爽やかです。しんとした朝の景ですね。素敵です。(河ひろこ)蕎麦を食べ静かに待ちたる除夜の鐘
新しき年の外気に深呼吸
極月の内に満ちくるものを待つ
気持ちの充実を感じる句です。すべきことをして何かを待つ心。極月だから一層強く感じられるのでしょうか?(岩本康子)
春を待つ心がひしひしと伝わってきます。(野田ゆたか)ゆく年のもの皆とどまること知らず
世の中の潮流もそうですが、時間も、どうと流れて、全くとどまることを知らないものばかりです。(高橋正子)新年の闇の包めることごとく
新しい年に向かって、闇の未知があたたかく、勇気をもらいます。(宮地ゆうこ)
鴨の水脈開きてついにさざなみす
「鴨」の動きが読み手にも見えて、明らかである。観察の眼がいい。(高橋信之)
鴨が静かに遠ざかっていく景、静かな景が目に浮びました。(野田ゆたか)
鴨の立ち去った余韻が詠まれていて伝わるものがありました。(河ひろこ)新年の田道の草を踏み通る
新しい年となって、いつもの道も違って感じます。一日一歩踏みしめて通っていく様子がうかがえます。(池田多津子)門松の弊の極立つ大晦日
海の色波の色した鰤捌く
新鮮な「鰤」である。「海の色」、「波の色」をまだ留めている。(高橋信之)
鰤のいろから大海原に心を馳せる作者。日本海を想像しました。(野田ゆたか)
それこそ自然の大きな恵みを自分の手で捌かれている姿がかっこいいと思います。(岩本康子)オリオンへくっきり晴れて除夜となる
オリオン座がくっきりと見え、除夜の空のが大きく動くのが意識されます。(高橋正子)新しき年へ時計のねじを巻く
年改まる緊張と、ねじを巻く日常がとてもよいバランスです。(宮地ゆうこ)
年の湯の湯気の向こうに新たな日
ゆっくりと入る大晦日のお湯。さまざまな思いに、湯気の向こうに新しい日あると感じた感覚が新鮮です。(高橋正子)
ぼんやりとした湯気の向こうに新しい年への期待があります。勇気がわいてくるようです。(池田多津子)一泊で戻る子供ら冬の雨
去年の雪みな融けさりて年明ける
ゆく年の青菜に畑に陽のさんさん
体力の要る農作業で、労もあろうと思うが、太陽の下での明るくていい生活である。冬ともなれば、「陽のさんさん」は、ありがたく、「青菜」の青がなお新鮮である。(高橋信之)新年の連山闇にゆるぎなく
空のあお雲のましろや蜜柑照る
注連飾る工事現場のブルドーザー
来る年を数えて花火遊園地
半月を焦がす火の粉や除夜篝
雪積もり師走はゆっくり移動すて
熱燗の旨さ加減を手話に聞く
ほのぼのとしたところがあるが、甘さに流れてはいない。「手話」にもたれていないのである。詠み手の姿勢がいい。(高橋信之)連結の貨車の響きや除夜の鐘
ほろ酔へばみな秀句かな初句会
元日の聞こえるものを一人聞く
元日の静かな独り居の気持ちですね。(高橋正子)サクサクと冬噛むやうに林檎食む
第九聴き思い出送る大晦日
曼荼羅華椿一面地に敷いて
侘助の光こぼれる大晦日
苗族の笙の音とおく新年<はる>つげる
身につかぬ惻隠の情年暮るる
雪の上歩いて残す人こころ
ときめきの音まで入れて賀状書く
除夜の鐘無垢の浄土を白くせり
新年や誓子の読みし伊勢の浜
真っさらの新年の明け銀世界
真っさらな新年が、汚れのない雪の世界で始まったことに、いい年になりそうな予感がします。(高橋正子)宿包む自然に囲まれ年収め
いやなこと雪に溶かして年暮るる
日が沈み日が昇りきて年新た
大晦日の日がしっかりと沈み、また新しく新年の日となって昇ったことに潔いけじめの気持ちがありますね。(高橋正子)献体の届けも済みて年暮るる
除夜の鐘灯りの下でくつろぎて
行く年の後姿の美しき
行く年をふりかえると、それは「美しい年」といいたいほど、いい年であったというのでしょうね。来る年も、このようでありたいですね。(高橋正子)絶縁の兄も熱燗酌みし頃
一年を身を粉にしてお正月
綿雪で枯木蘇える深雪晴
行く年の思いの数の盃重ね
新雪をみあかし照らし年迎え
◆2004年(平成16年)も残り少なくなり、2005年を迎えます。同じ時を共に生きた私たちのささやかな証しとして、今年も「カウントダウン句会」を企画しました。ご参加をお待ちしています。
■投句:掲示板「カウントダウン句会」/3句
■とき:大晦日午後10時〜元日午前1時
★第1句目の投句:当季雑詠1句を午後11時まで。
★第2句目の投句:「大晦日・除夜・ゆく年」の題で1句を午前0時まで。
★第3句目の投句:「新年・元日・初句会」の題で1句を午前0時30分まで。
★コメントは、時間の制限がありませんので、適宜、お書き込みください。なお、最近、俳句についてのコメント以外の雑文がありますが、その場合は、削除することがありますので、お気をつけください。
◆入賞発表◆
★2005年1月1日午前2時
★最優秀1句、優秀3句、
★カウントダウン金賞、カウントダウン銀賞、カウントダウン銅賞、
(カウントダウン各賞は、投句時刻が、1日午前0時に最も近い句
とします。)
●主宰・選者/高橋信之
●副主宰・選者/高橋正子
●司会・管理/野田ゆたか
※句会開催時間にご投句できない方は、早めのご投句が許されますので、よろしくお願いします。 水煙ネット(俳誌水煙)事務局
※昨年のカウントダウン句会は、下記のアドレスをクリックしてご覧ください。