▼高橋信之選
【金賞】 ★風の音をさせつつ運ぶ七夕竹/池田加代子 「風の音をさせつつ」のことばに、昔も今も変わらない七夕竹の良さを感じました。(藤田裕子) いかにも七夕祭りを思わせる微笑ましさがいいと思います。(おおにしひろし)
【銀賞/2句】 ★梶の葉の一と葉に平和を願いけり/志賀たいじ 七夕の日に、七枚の梶の葉に歌を書いて星にたむける風習があった。むかしの風習が「平和」の願いによって、今の生活に生き生きとした力を得た。「梶の葉」に「平和」である。強い生活感情である。(高橋信之)
★子ら追へど進路かへざる銀やんま/小西宏 「子ら」と「銀やんま」の世界は、自然であって、ほんとうの世界がある。大人の俗な世間とは違う。(高橋信之)
【銅賞/3句】 ★嫁ぎし娘父ここにあり星祭/野田ゆたか 七夕の夜を仰ぎながら、嫁ぎし娘を思う父の深く大きな愛を感じます。(藤田洋子) 最近嫁がれたお嬢さんを思う心、「花嫁の父」を彷彿させる。(安丸てつじ)
★小さき竹伐って子と待つ星祭り/脇美代子 ほのぼのとした情景が浮かびます。(山野きみ子) 無垢な幼子とふれあう心あたたまるような七夕の夜を感じます。(藤田洋子) 子の背丈ほどの七夕竹、家族の願いが叶うように。(河ひろこ)
★七夕竹折鶴風に舞い遊び/河野齊 「七夕」と「折鶴」は、意外な取り合わせだが、誰もが願っている平和な生活に相応しい。そして、いい夢がある。(高橋信之)
▼高橋正子選
【金賞】 ★風の音をさせつつ運ぶ七夕竹/池田加代子 七夕竹を運ぶと、笹の音がさらさらとしますが、それを「笹の音」としないで、「風の音」と捉えたところが、七夕竹らしく、空や風への思いが膨らみます。(高橋正子)
【銀賞/2句】 ★小さき竹伐って子と待つ星祭り/脇美代子 小さな小さな星祭。星祭りの世界がほのぼのと描かれています。(高橋正子)
★今朝秋の雲宝輪に絡みつつ/山野きみ子 宝輪を行き過ぎる雲に、今朝秋となったさわやかさを見つけたすがすがしい気持ちが、確かなリズムで詠まれています。(高橋正子)
【銅賞/3句】 ★朝顔の蕾ふくらむ夜が来し/野田ゆたか 朝顔の蕾が明日開こうとしてふくらむ夜が、露けく詠まれています。朝顔の蕾にみずみずしさがあります。(高橋正子)
★自転車の七夕飾りとすれ違う/池田多津子 今日は七夕。七夕飾りを自転車に乗せて、街に七夕の風情が振りまかれる。七夕飾りに思わぬところで出会った驚きが、気持ちを新鮮にしてくれます。(高橋正子)
★天の川見えざる街に住み慣れて/山中啓輔 星合の日も天の川は見えない。一晩中消えない街の明かり。その明かりで、あるいは、大気の汚染で天の川の見えない街に住む寂しさ。その思いを偽らず述べ、強かな都市市民の生きる様を感じます。 |