平成11年度水煙大会「オフライン俳句大会」に参加して

 

 俳句をはじめて5か月のど素人が、俳句の聖地松山に乗りこむなんぞは、「坊ちゃん先生」さながらの無鉄砲で、われながら呆れてしまいます。新旧の大勢のマドンナに迎えられて、小春日和のよい一日でした。生来の楽天的な性格で,能天気にべらべらとしゃべくって,恥を掻いたと省みて日々反省の今日この頃です。と今度は寅さんの心境です。

 

 冒頭の挨拶で,信之先生は、インターネット俳句によって,水煙は全国ネットに広がり,今回は県外からも参加者があり盛会であると,歓迎の辞を述べられました。来賓の森 孝明愛媛大学教授は、四国山脈久万町で見つけた,野生の竜胆を例にして、吟行の重要性、生の自然を体験することの重要性を、インターネットの優位性に対峙して強調されました。映像の虚構世界の危険性を説かれたと思います。

 

 水煙大会のハイライトは,吉田 晃先生の記念講演「インターネットと教育」でした。硬骨漢の山嵐を髣髴させる真摯な教育者の一面を知り、襟を正して拝聴しました。

 

 晃さんの子供たちに接する慈父のごとき温かい心は,インターネット俳句でも拝見していますし,信之先生が会長をされて、晃さんが進められている「えひめ子ども俳句会」の活動も私たちは承知しています。

しかし、愛媛県広見町立泉小学校校長、吉田 晃先生の,記念講演というにはあまりに短いスピーチをお聞きして、先生の児童・生徒に対する深い愛情に感動しました。と同時に「俳句を通しての教育理念の実現」に対する情熱と計算:したたかな計画性と企画力にも感服しました。

 

 先生は,学校教育における情報教育と情操教育について,インターネット俳句が、格好の教材であると強調されました。ただし,現行のカリキュラムではパソコンにふれる時間が月一回ないしは週一回であり,少なすぎる。情操教育も当然のことながら,日々の実践が大切です。

 また、初等教育における俳句の有効性について,いくつかの具体例を挙げておられます。子どもたちには,本物を教えること。子ども俳句といえども、俳句の評価には一定のレベルを定めておき,作品としての質の向上を図るべきこと。そのためには,教育者としての教職員が,本物を知り,本物に感動する心を持つことが大切であると強調されました。

 

 初等教育においては,子どもたちの学習の成果に、適切に反応する(評価する)ことが大切です。特に,子どもの俳句を、レベルを下げることなく(つまり,何でも褒めるのではなく)評価することの重要性とその困難性を云われました。

子どもたちには、身近な学校の先生だけでなく,見も知らない大人から褒められることがどんなにうれしく,また,心に残ると強調されました。

 その点からも、今回、インターネットでの活躍に対する貢献賞、としての第一回橘俳句賞を受賞された、古田けいじさんのご尽力は多大なものがあります。

皆さんご存知のとおり,子どもたちの俳句についての、けいじさんのコメントは「目線を子どもの高さに合わせた」友達ことばで,なかなかまねをすることは出来ません。その言葉にこめられた,温かい心は,ご自分のお孫さんへ注がれているまなざしと同じことに気がつきます。

 

 最後に,子ども俳句の例句の中から2句引用します。吉田先生の,俳句を通しての教育が着実に成果を上げているのがよく分かります。

 

    忙しい母の冷たい手に気付く

    朝霧が久万の町を海にする

 

 オフライン俳句句会も無事に終わったのちは、先生ご夫妻とインタネット俳句でおなじみの,弘子さん,洋子さん、晃さんなどにご案内いただき、正岡子規記念会館を見学しました。穏やかな瀬戸内海の海と南国の山々に囲まれた温暖な松山に400年も聳える松山城の天守閣。十分満喫させていただきました。

 夜は,信之先生と晃さんのご案内で、けいじさんと私は「オフ・オフ会」で盛り上がりました。その詳細については,先生から厳重な緘口令が出されており,皆様にご報告できないのが残念です。

 

伊嶋高男