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■オンライン新年句会入選句■


【最優秀】



冬木立寄れば入り日の温度あり/古田けいじ

かすかに感じられる木肌のぬくみは、一日の終わりの温度。わが身をもたせ

掛ける冬木の心休まる温度なのである。(高橋正子)



【優秀8句】



冬空をしっかり支えオリオン座/霧野萬地郎

季語の「冬空」の落ち着き。下5の座りの良さ。句の作りがしっかりして、

無理をしていないのが嬉しい。(高橋信之)



寒林をゆけばしんしん胸が充つ/高橋正子

「寒林(かんりん)」、「しんしん」といった言葉の響きがいい。「胸が充つ

」は、詩的な表現。俳句が詩であることを教えてくれる。(高橋信之)



西に入る日は赤々とお正月/藤田洋子

正月のめでたさを明快に、やさしい言葉で詠んでいる。あたりまえのことを

、あたりまえにとらえることの難しさを克服しているよさがある。(高橋正子)



新年を祝う汽笛のほこらしさ/小島 仁

新年を祝う汽笛の声は、作者の心そのもの。新年の晴れやかさ、伸びやかさ

がうたわれた。(高橋正子)



脱ぎ捨てし長手袋の獣の香/伊嶋高男 

長手袋をとった後におのが手に残った獣の香に気がついてしまった。手袋を

していたときとの獣のような自分と、手袋を取った後の自分とは、明らかに

異なっている。その自分に驚いているのである。俳句というよりは短歌的な

句。(椎木英輔)



一月の遠い記憶の中にいる/高橋信之

一月は不思議です。年の始めなのに全て了えたようにも感じます。自分の置

き所をさがしたりです。(相原弘子)



笹鳴きもしている歩いてゆくほうに/相原弘子



塾の子や枇杷の蕾の房多し/前野一夫



【入選22句】



初凪の水平線まで竿を投げ/霧野萬地郎

穏やかに広がる海に投じた一本の竿の動きに心放たれるような快さがありま

す。句の風景の大きさと拡がりに惹かれます。(藤田洋子)



うさぎ五羽生まれて山の冬休み/吉田 晃

飼育係は登校しない。担任の先生が面倒をみているのでしょう。休み明けの

先生と生徒達との会話が聞こえます。(守屋光雅)



初燈先づ起きだせる父の役/渡邉道朗

若い人たちはまだ寝ている。早々と起きて新年の灯をともす父の姿。私の亡

き父の思い出と重なって。(山口紹子)



冬木立名を呼びくれしはあかき日か/高橋正子

二人して枯葉の散り尽くした林を歩いた。冬の太陽はもうすぐ西の空へ沈む

。それまで黙っていた人がとうとう私の名を口にした。今思い出しても、胸

の熱くなる、二人だけの大切な風景。(古田けいじ)

名前を呼んだのはあかき日では無く貴方の胸中の誰かさんでしょう。

(堀佐夜子) 



出勤の車窓に拝す初日かな/作者不明

元旦から仕事をしている人達の新年を迎える清々しい気持ちがこの句を通じ

て理解できます。いつもと異なる乗客の違い、混み具合、駅の風情など想像

が広がりました。(霧野萬地郎)



読みかけのペ−ジふせられ冬林檎/山口紹子

冬林檎が気に入りました。蜜柑ではぴったりしません。真っ赤な林檎が鮮明

に浮かんできます。読書に疲れた作者がその林檎を食べようと手にします。

いろいろな想像ができる作品です。(武田稲子)



晴れ着混む回転鮨屋の四日かな/霧野萬地郎

仕事始めの日のビジネス街の午後の景がよく描かれていると思いました。(伊嶋高男)  



ひょうひょうとキリンの首や初御空/金井ひろみ

静かな動物園のキリンの長い首にのどかな正月を思います。(石井信雄)



好物のなまこ歯ごたえありすぎて/山岸忠信

なにせ私もなまこが大好きなもので。実感が出てますね。(安丸てつじ)  



日向ぽこ拘りひとつ溶けてゆく/田中栄子

ゆったりとした刻の流れに身を沈め、そこから心が熟成されて来る。慌しい

ばかりの生活では、忘れ去られたゆとりの時間。心せねばと思います。(福田由平)

 

七草の湯気立ち込めて土匂う/江間万里子



白息をガラスにかけて我も磨く/永野美恵子



晴々と揚がってゆくは奴凧/相原弘子



地を青く透くほどに冬満月/安西さゆり



霜解けの藪に明るき雫かな/渡邉道朗



母の歳聞いて寒空淡い青/吉田 晃



農に生く貌のたしかや鍬始め/堀佐夜子



蛇口ひねれば寒水のその勢いに/高橋信之



七草に無病祈りて椀に盛る/江間万里子



炊き上げし七草粥の火の匂/阪本登美子



幼な子の頬やや荒れて寒の入り/守屋光雅



葉牡丹の渦に日矢射し千年紀/篠崎智恵子



【最高点】



冬木立寄れば入り日の温度あり/古田けいじ



【次点同点3句】



ひょうひょうとキリンの首や初御空/金井ひろみ



うさぎ五羽生まれて山の冬休み/吉田 晃



農に生く貌のたしかや鍬始め/堀佐夜子


[全作品]
石井信雄

01.2000年何事もなく年迎ふ

02.参道に焼きそばにおふ初詣

03.初護摩の参殿の列の長かりし



古田けいじ

04.残照に啄木鳥叩く冬木立

05.冬木立寄れば入り日の温度あり

06.なずな打つ京にいる子を想いつつ



江間万里子

07.七草に無病祈りて椀に盛る

08.野辺に無い七草揃いてパック入り

09.七草の湯気立ち込めて土匂う



江間幸雄 

10.七草を食べて故郷の野に帰る

11.七草を並べて故郷とつながりぬ

12.七草を食みて世情の煩忘れ



武田稲子

13.ものがたり始まる2000年のお正月

14.北の町灯りの潤む寒の雨

15.子ら去りて夫と私の福笑い



野田ゆたか

16.願ぎ事は福と徳なり初恵美須

17.スキー場すぐに孫ども見失ふ

18.花丸の続く採点春隣



永野美恵子

19.白息をガラスにかけて我も磨く

20.書き初めやま白き筆に思い込め

21.石階段天まで続く初金毘羅



野上哲斉

22.山茶花の赤い花びら雪しずく

23.ひれ酒の燗熱うせよ親子して

24.孫五人の顔描き散らし賀状来る



渡邊和俊

25.隠れても香の届けよと枇杷の春

26.杜の樹に包みこまれて正息す

27.篠先に大吉結び夢なぞる



相原弘子

28.晴々と揚がってゆくは奴凧

29.笹鳴きもしている歩いてゆくほうに

30.香るのは水仙鳥の声過ぎる



阪本登美子

31.鮪船大漁旗の初船出

32.炊き上げし七草粥の火の匂

33.冬滝や蒼を秘めたる山静か



山岸忠信

34.湯冷めしてパソコン動き出しにけり

35.気がつけば飛び石歩き薄氷

36.好物のなまこ歯ごたえありすぎて



小島 仁

37.初春の雨音聞ゆ闇の床

38.新春の子の歓声に犬ほえる

39.新年を祝う汽笛のほこらしさ



守屋光雅

40.冬座敷飛機音低く通りけり

41.幼な子の頬やや荒れて寒の入り

42.寒月や水栽培のガラス鉢



藤田洋子

43.元朝の先ず神棚に光入れ

44.西に入る日は赤々とお正月

45.軽やかに稽古始めの音が鳴る



安丸てつじ

46.朱塗り橋瀬音聞きつつ初詣

47.南天が彩り添える京町屋

48.龍のごと水沖天す出初船



目見田郁代

49.初詣でヤングに囲まれカウントダウン

50.初風呂の白木の桶は手にかるく

51.木枯らしが庭すみ寄せる黄葉の盛



安西さゆり

52.カルタとり今日は異国の子らとする

53.夜間灯工夫の白き息荒く

54.地を青く透くほどに冬満月



金井ひろみ

55.凛として浅間嶺ありや初景色

56.生くること共にあること福寿草

57.ひょうひょうとキリンの首や初御空



渡邉道朗

58.山眠る鳥も獣も懐に

59.霜解けの藪に明るき雫かな

60.初燈先づ起きだせる父の役



片平奈美

61.新年や琴六段の舞舞台

62.初雪や残る足跡二人づれ

63.初鏡隠せぬ心裏表



伊嶋高男 

64.初茜ほっぺの爪あと消ゆるごと

65.脱ぎ捨てし長手袋の獣の香

66.コーヒー淹れ思いたゆたう初句会



篠崎智恵子

67.括られて畑の白菜首級めく

68.天網の鋼の空へ冬欅

69.葉牡丹の渦に日矢射し千年紀



前野一夫

70.塾の子や枇杷の蕾の房多し

71.新千の春になりけり松の肌

72.それではと唇上ぐる顎マスク



田中栄子

73.去年今年ポインセチアの鉢ひとつ

74.春小袖ショーウインドウに身繕ふ

75.日向ぽこ拘りひとつ溶けてゆく



高橋満里子

76.正月に体ほしがる七草がゆ

77.生け花の赤い実目立つ正月花

78.冬の雨雪解けさみしスキー場



吉田 晃

79.母の歳聞いて寒空淡い青

80.うさぎ五羽生まれて山の冬休み

81.初春の空ほどよい日のあるように



堀佐夜子

82.釣り人の早影見える初明かり

83.農に生く貌のたしかや鍬始め

84.初夢の母も先祖もきれぎれに



霧野萬地郎

85.初凪の水平線まで竿を投げ			

86.晴れ着混む回転鮨屋の四日かな		

87.冬空をしっかり支えオリオン座	



北村勇治	

88.子の携帯鳴って二人の除夜となる

89.権現の鐘鳴りやまず初御空

90.初日さす川に安堵の浮寝鳥



山口紹子

91.冬凪のかがやきの中貨物船

92.読みかけのページふせられ冬林檎

93.柚子匂う厨しずかに初明り



城本竜馬

94.寒鰤を一本おろし手酌やる

95.冬至過ぎ犬の目ほどの日の長さ

96.社頭には青き注連縄紅き巫女



椎木英輔

97.二〇〇〇年二日目の朝静かなり

98.咲き乱る嘘ほどの赤に山茶花が

99.驟雨来て山茶花濡らし驟雨去る



作者不明

100.初漁の静暁破る汽笛かな

101.出勤の車窓に拝す初日かな

102しんがりに布施集まりし寒念仏



高橋正子

103.冬山の鳥らちりちり松葉降る

104.寒林をゆけばしんしん胸が充つ

105.冬木立名を呼びくれしはあかき日か



高橋信之

106.一月の遠い記憶の中にいる

107.正月の四角な顔で風呂場のタイル

108.蛇口ひねれば寒水のその勢いに



森 隆博

109.伝統の鍛冶の炎なり初商

110.しばらくはこの身古里祝月

111.廃棄物ふた山ありて冬田道



福田由平

112.訪ね来て恋も語るや受験生

113.片寄せて参考書覗く受験生

114.闇凍てる不夜城となり塾の窓

作者不明の方は、お名前をお知らせ下さい。
今回は1月9日(日)でしたが、
次回は2月13日(日)です。またのご投句をお待ちしています。

俳句雑誌水煙

入選句
1998年  8月/ 9月 / 10月 / 11月 / 12月
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