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■オンライン2月句会入選句■


【最優秀】



寒明けやテニスボールのうすみどり/北村勇治

寒明けの声を聞くと、寒中の緊張がほっと解けて、一気に春への思いが湧い

てくる。芝生に転がるテニスボールのうすみどり色は、春への期待をにじま

せた色に思える。(高橋正子)

雪解けのテニスコート。春の明るさ,希望,躍動感がある。ラケットにあた

るリズミカルなボールの音が聞こえます。(守屋光雅)



【優秀12句】



春の雪傘に重たさ持ち帰る/田中栄子

しっかりした構成の句。こうした構成の句は、パターン化しやすいが、それ

を防ぐのは、実感できるものがあること。春の雪といえども、水分を含んで

、傘に重かった。女性らしい実感である。 (高橋正子)

春の雪は水分を含んで重たくなります。春間近の雪国の生活が見えてきます

。(澤 雅人)



一枚の菜畑明るく陽を集む/野上哲斉

一面に広がる菜の花は春の明るさそのものです。眩しいほどに春の色が溢れ

ます。(藤田洋子)

黄色一色に広がる菜の花畑。そこにだけ日の光を集めてるように輝いている

。春の温かさがそこから広がってくるようだ。(古田けいじ)

春の息吹きが目に見えるようで、体も心も満ち足りた気持ちにさせてくれた。

(阪本登美子)



動くから春の破片と見えて鳥/椎木英輔

緊張と弛緩。早春のはりつめた空気が心地よく感じられます。しかし、硝煙

の消えてひさしい平和な日本です。「春の破片」朔太郎にありそうですね。

(伊嶋高男)

きらりと光って過ぎっていった鳥を、春の破片ととらえた感覚の新鮮さがす

てきだと思いました。(篠崎知恵子)



冴返る全てを胸に吸い込んで/吉田 晃

冴返る空気や、あたりの冷たさを全部を肺腑に吸い込んだら、どうであろう

か。自分の肉体も冴返る思いではないだろうか。(高橋正子)



立春の水吸い上げて木々は立つ/古田けいじ

「木々が水を吸う」力は、大変なもの。それは、草花が水を吸い上げるのと

はけた違い。木々の丈の先まで水を行き渡らせる細胞の作用には、驚嘆させ

られる。「木々は」の「は」は、一考されたほうがよいと思う。

(高橋正子)



深々と雪降る夜の置時計/渡邉牛二

自分だけになって、聞こえてくるのは、置時計の音だけ。雪が深々と降って

いることを、自分の身が感じてしまうのだろう。(高橋正子)

静寂と夜の深さが伝わってきてそこに自分がいるようです。(大谷悦子)



冴え返る夜は三日月を尖らせり/藤田洋子

冴え返る、三日月、尖らせり、と同じ感覚の語彙が、並んでいるのが、難点

かもしれないが、シャープな感覚を評価したい。これが、実感であろうと思

う。新しさ、個性を出すのなら、もっと深い追求がされるべきだと思う。

(高橋正子)



ふところに梅の小枝を匂わせ帰る/高橋信之

梅の香りには、華やかさはないが、高雅な香りがどの花にもましてよい。そ

れがふところにある自然体がよい。(高橋正子)



観音の絵馬からからと春を待つ/篠崎知恵子

観音様に願いをかけて、奉納された絵馬。正月の時からであろうか、このご

ろは、風にからからと鳴ることもあるのだろう。絵馬が触れ合って、からか

ら乾いた木の音がする。春も近い。(高橋正子)



図書館の椅子音一つ西行忌/澤 雅人

西行忌は、陰暦二月十五日。今日を基準にいえば、もっと先のことである。

西行のもとめた歌の道とこの句は、直接関係ないように思う。図書館で西行

のことを調べたりしていたのかも知れない。静かな図書館に椅子を引く音が

、なにかしら印象的だったということであろう。(高橋正子)



母と子の手の温もりや蕗のとう/金井ひろみ

暖かくなった日、子供の手をひいて散歩にでかけた。ふと気づけば浅緑の蕗

のとう。今年も春がきたことを実感する。母と子の手にある温もりも春のあ

たたかさである。  (高橋正子)



鴨泛かぶ池の青さのまっ平ら/高橋正子

レベルの高い句。イメージが鮮明で、詩がある。(高橋信之)



【入選18句】



壁にある筆太の檄受験校/霧野萬地郎

時はまさに受験シーズン、目標の学校名、それに予備校や、諸先輩からの檄

文、それは筆太に!(野上哲斉)



木立の寝息と落ち葉のささやき送りたき/大谷悦子

相当な字余りで、俳句の領分を外しているのではないかと随分迷いましたが

、じっと春を待つ情景が、木立のなかでのたき火を通じて、とても印象的で

した。(霧野萬地郎)



雪土をめくり取りたり大達磨/前野一夫

冬でも殆んど雪のない地方にも、大寒波がもたらした久しぶりの積雪に心を

弾ませた人は少なくないでしょう。ここぞとばかり、子供達(?)が大勢で

丸めた雪だるま。少々の泥が混じっていても、その手放しの嬉しさが句全体

から伝わってきます。(福田由平)



見ておれば犬が嗅ぐなり春の草/森 隆博

雄犬であろう、春の草のにおいを嗅いだのではない、雌犬が、たぶん、お小

水をこぼしていったからであろう。人は勝手なもので、犬が春の草のにおい

を嗅いだのであろうと、錯覚する。そこが面白い。(椎木英輔)



自立する子供見送り部屋寒し/高橋満里子

気取らない日常的な言葉で、素直な気持ちが述べられて、好感がもてる。部

屋寒しで、母親の気持ちが十分でたと思う。(高橋正子)



朝から晴れて二月の青い風が吹く/高橋信之

二月は肩の張らない始まりがある感がします。春というものに思いを委ねる

からでしょうか。(相原弘子)



しとしとと又降る今日は春の雨/福田由平

2月は冬と春の同居の季節と言われますように寒暖の日々が伺われます。

(井上節子)



便箋は拝啓のまま春の雪/田中栄子

「拝啓」と書き、時候の挨拶はと、ふと窓の外を見ると、春の雪。花びらの

ようなひとひらをしばし見とれている。そんな情景が目に見えるようで、共

感を覚えます。(八木ほたる)



残雪や陰置く木々は揺れてをり/守屋光雅



浅春の単線電車汽笛吹く/渡邉牛二



海光と風が奏でる早春賦/阪本登美子



ひとり住み初めし窓や春の雪/阪本登美子



春光を梳きては落つる堰の水/神谷和子



ぜんざいの湯気立ちこめてどんど焼き/山岸忠信



紅梅の満なる先を風の抜け/神谷和子



風光る小走りに行くスニーカー/伊嶋高男



囀りと竹する響き朝の歩み/森 隆博



立春や遠き友より初メール/八木ほたる





【最高点】



一枚の菜畑明るく陽を集む/野上哲斉



【次点】



立春の水吸い上げて木々は立つ/古田けいじ



【第3位】



春の雪傘に重たさ持ち帰る/田中栄子



【第4位/同点2句】



冴え返る夜は三日月を尖らせり/藤田洋子



寒明けやテニスボールのうすみどり/北村勇治






[全作品]
野上哲斉

01.一枚の菜畑明るく陽を集む

02.樋流る雪解け水は鈴の音

03.クレーンのざぶざぶ渡り冬の川



澤 雅人

04.二ン月やむかしのままの流行唄

05.風花や未来を棄てて過去捨てて

06.図書館の椅子音一つ西行忌



守屋光雅

07.北帰行待つ白鳥は陽を向けり

08.残雪や陰置く木々は揺れてをり

09.雪解水小屋に流れて泥の犬



八木ほたる

10.冬苺ひとつぶ食んで読みすすむ

11.雪しまく勤務なき日のありがたし

12.立春や遠き友より初メール



伊嶋高男

13.半島発早春列車今到着

14.春北風や彫像と化す太極拳

15.風光る小走りに行くスニーカー



森 隆博

16.からき世に浮かぶ儚さ薄氷

17.囀りと竹する響き朝の歩み

18.見ておれば犬が嗅ぐなり春の草



吉田 晃

19.梅咲いて同じ顔した登校児

20.浅くとも春の人の歩軽くして

21.冴返る全てを胸に吸い込んで



霧野萬地郎

22.壁にある筆太の檄受験校

23.麗しの雪富士やがて雲纏う

24.うっすらと水脈残りけり春の湾



古田けいじ

25.立春の水吸い上げて木々は立つ

26.蝋梅の色青空へ溶け込まず

27.新しき歌薄氷を踏みて行く



野田ゆたか

28.ビル街の春直接に間接に

29.春の句のできて浮き浮き逢いたかり

30.梅一輪教諭はこれを見逃さず



作者不明

31.きんさんも命尽きたり寒の朝

32.107才長寿燃えつき寒の雨

33.川守り春遠からじ島の国



作者不明

34.寒晴れや鉄のオブジェの桜かな

35.大寒やただなんとなく寄り添いて



椎木英輔

36.春風はじゆげむじゆげむと吹きて来る

37.春雨に濡れじと買ひぬ男傘

38.動くから春の破片と見えて鳥



田中栄子

39.便箋は拝啓のまま春の雪

40.春の雪傘に重たさ持ち帰る

41.投函を暫し躊躇ふ春時雨



城本竜馬

42.頬かむり昔ながらに田を返す

43.海苔舟のあちこちにいて波しずか

44.日もうらら老犬すでに八十五



篠崎知恵子

45.武蔵野の堀兼の井や笹子鳴く

46.山鳩のうなづきあゆむ春の土

47.観音の絵馬からからと春を待つ



渡邉牛二

48.浅春の単線電車汽笛吹く

49.深々と雪降る夜の置時計

50.飛石やぼたりぼたりと春の雪



三好喜久子

51.付き添つた母の通院霜の朝

52.落ち葉散り梢の音の寂びしかり

53.山茶花の紅き一輪あたたかく



高橋満里子

54.庭のすみ一輪のつばき微笑んで

55.窓の外椿の花に雪帽子

56.自立する子供見送り部屋寒し



永野美恵子

57.窓際に甘さ漂うヒアシンス

58.白息をガラスにかけて我も磨く

59.冬の夜着物ほどきつ母偲ぶ



北村勇治

60.敷き藁に寒の陽溜めて牡丹真っ赤

61.ひと片の鱗俎上に寒の水

62.寒明けやテニスボールのうすみどり



片平奈美

63.彩りの地球の息吹き春の中

64.貫けばさされし指の帰り花

65.プランタン夢をカタチに2000年



堀佐夜子

66.壁紙に菜の花畑生まれけり

67.余寒の夜小さき旅の支度する

68.胴長のルーツは永し春コート



相原弘子

69.あさぼらけ二月の雨は光り持ち

70.呼吸ととのう霞みの方へ向き

71.たんぽぽが早速絮になっており



阪本登美子

72.紅梅の香り豊かに千年紀

73.海光と風が奏でる早春賦

74.ひとり住み初めし窓や春の雪



藤田洋子

75.冴え返る夜は三日月を尖らせり

76.早春の川面に動く魚の影

77.思春期の内緒話やバレンタイン



大谷悦子

78.木立の寝息と落ち葉のささやき送りたき

79.舞う雪の灯りおぼろに誰ぞ待つ

80.薄氷まばゆき光はじけ飛ぶ



高橋正子

81.梅の香の水にうつれり水に挿し

82.梅挿さる水のかがやくガラスびん

83.鴨泛かぶ池の青さのまっ平ら



高橋信之

84.桜冬芽を散りばめ空の明るく晴れ

85.朝から晴れて二月の青い風が吹く

86.ふところに梅の小枝を匂わせ帰る



有吉孝史

87.行くごとに空澄んでいて春匂う

88.雪降りし音の今朝まで止まぬ

89.二月過ぎゆく日々に春訪れぬ



安西さゆり

90.老木の梅咲き初むるいろはにほ

91.坂上の十字架闇に冴え返り

92.深更に人語する時椿落つ



神谷和子

93.紅梅の満なる先を風の抜け

94.春光を梳きては落つる堰の水

95.梅の丘より見晴るかす海の色



福田由平

96.銀閣に雪解の雫人繁く

97.春しずか午後のまどろみ犬の声

98.しとしとと又降る今日は春の雨



井上節子

99.立春の香求めて芽吹き探しぬ

100.ビル工事冬の日断ちてロープ落つ

101.せまき縁冬の陽追いて鉢を持つ



金井ひろみ

102.立春の近く聞こゆる母の声

103.母と子の手の温もりや蕗のとう

104.冴え返りオリオン西に傾けり



前野一夫

105.綾取りの東京タワー伸び縮み

106.シシュハモ(シシャモ)の真直ぐ凍り神の海

107.雪土をめくり取りたり大達磨



山岸忠信

108.しだれ梅つぼみの空を向くもあり

109.ぜんざいの湯気立ちこめてどんど焼き

110.野水仙の香り入れて友を撮る

作者不明の方は、お名前をお知らせ下さい。
今回は2月13日(日)でしたが、
次回は3月12日(日)です。またのご投句をお待ちしています。

俳句雑誌水煙

入選句
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