高橋正子 01.スケートのエッジ滴る足組めば 02.スケート場に風さやさやと滑り終ゆ 03.氷くずたまる氷上暮れ一瞬 高橋信之 04.ばらの刺いくつも北風に尖らせる 05.夜の卓に置かれ手袋寡黙なる 06.桜冬芽の空を広げてあちこちに 守屋光雅 07.白鳥の飛ぶ家族あり今朝の晴れ 08.雪原に鉄路一本のローカル線 09.かまくらに幼なと犬と出入りし 古田けいじ 10.命あるものすべて静まる冬木立 11.冬木立もたれて聞くは風の音 12.落ち葉道踏めば地球は柔らかく 藤田洋子 13.窓開けば小鳥が揺らす実南天 14.水中に形ゆるがぬ寒の餅 15.入り日濃くしばし冬木を包みたる 作者不明(myema@bea.hi-ho.ne.jp) 16.寒気さす老いたる犬と行く道に 17.坂の上目線に届く冬の月 18.冬の月黒一色の街を絵に 作者不明(myema@bea.hi-ho.ne.jp) 19.遠吠えの声はねかえし冬の月 20.寒月の赤く染まりて犬の叫く 21.ただ青く愛でる人なし冬の月 相原弘子 22.寒の芽のほぐれたちまちあおであり 23.穏やかな山が近くに日脚伸ぶ 24.灯り消す時雪の降っている夜空 阪本登美子 25.星光る凩一番吹く夕べ 26.しづしづと海原丸く初日の出 27.笹鳴きや一日を浴びて幹ぬくし 殿村義朗 28.初御空火の見をのこす地蔵堂 29.珈琲を挽く香二人の三日かな 30.大根の葉っぱ愛しき里みやげ 野田ゆたか 31.福を呼ぶ黒子ほっこり初鏡 32.彼の日にもありし寒月この時刻 33.寒げいこ竹刀交わり触発す 北村ゆうじ 34.待春や日々おだやかな風として 35.おだやかな声に安堵の寒夜の電話 36.初凪の面に広がる鳶の笛 鈴木照子 37.赤き実のこぼれし庭の初箒 38.家計簿を閉ざせば遠く除夜の鐘 39.松過ぎの塾はやばやと灯りけり 日野正人 40.初夢をカバンに詰めて登校児 41.風花の真横に飛んでティータイム 42.北風に警笛乗せ行く路面電車 武 清子 43.寒の月冴えて絃楽梢(うれ)に湧く 44.生かされて命尊し初ひかり 45.健康に感謝し初湯の豊さへ 岩本康子 46.初日の出待つ子の眼差し混じりなし 47.子規の郷二千一年旅始め 48.去年今年雲悠々と変わりなく 椎木英輔 49.切餅を襲ふ伏兵青き黴 50.年寄りと雪の朝とデジカメと 51.寒風を避けむと馬油つけて出る 目見田郁代 52.太虚に年頭の思い見上げつつ 53.枯山のそこだけ丸く竹が揺れ 54.寒雀竹しなるほど来て遊ぶ 八木孝子 55.ぬくぬくと虫眠らせて雪野かな 56.ひとときを詩人になりぬ冬苺 57.父祖からの卓どっしりと冬座敷 西野研一 58.日溜まりの風やはらかし寒牡丹 59.月食のあと冬満月の輝やけり 60.小石投げても寒鯉のみじろがず 右田俊郎 61.待春の想いを込めてプレリュード 62.燈篭の灯されてなほ雪の降る 63.山の端に冬満月の薄れゆく 伊嶋高男 64.オリオンは西に傾く去年今年 65.突き出した鼻先寒き朝寝かな 66.片雲は寒満月の裏抜ける 吉田 晃 67.風呂吹きの煮えを聞きつつ柚味噌練る 68.白々とわが身を抜けし冬の月 69.冬霧に深く射し来る明けの月 霧野萬地郎 70.荒海や駅伝二日の景色あり 71.初茜七里ヶ浜の砂までも 72.北からの列車雪乗せ終着駅 片平奈美 73.初凪や夕日に一人輝けリ 74.刻まるる苦労隠して去年今年 75.偽りも倖と思へる冬桜 小林基悦 76.木枯らしに欅の葉散り烏鳴く 77.苔に落つ赤く色なす寒椿 78.熟れ柿の枝越えにひく飛行雲 作者不明(micos@lycos.ne.jp) 79.軋し軋しと雪踏み歩く過去までも 80.初句会飛び交ふ声の弾みをり 81.一番に光る寒星西の空 堀佐夜子 82.寒雨降る午前零時の雨戸打ち 83.キーボード打つ窓の外虎落笛 84.庭下駄が二つ並んで冬うらら 祝 恵子 85.冬日うけ玄関猫のお留守番 86.桜若木御籤の白さ結ばれて 87.松の木の濡れて青濃く霙やむ 碇 英一 88.冬の雨マクドナルドの黄色濃し 89.一月の落暉眩しき塊として 90.昇り詰め赤き実零すピラカンサ 小田島恵子 91.元朝やベッドの母に眉を引く 92.除夜零時母の点滴終了す 93.ゆっくりと寒月もまた歩みをり 江田 晋 94.穏やかに浮かぶ手鞠麩今日の椀 95.つきたての餅を供えて独り言 96.子離れのできぬ二人のおでん鍋 葉鳥 洵 97.福の字の肩肘とれし年賀状 98.大枯野乾ききったる草穂の香 99.幼子の悴む指の抜ける息 堀 幹夫 100.雪だるま天気予報に並び居り 101.しばしの間淡雪化粧寒椿 102.氷片をまき散らす如冬銀河 金井ひろみ 103.元日の父と娘や麗しき 104.ふるさとの初空青し憂いなし 105.初日の出君の行く道光あり