【最優秀】 信じたき明日といふ日よ沈丁花/武 清子 沈丁花の季語がよく効いた。早春から咲き始める沈丁花 の香りは、時の経過のうちに、消えてしまうものである が、その強い香りは、確かに明日が来るのを信じさせて くれる香りである。(評:高橋正子) 【優秀10句】 春分に芽は葉となりて鉢のバラ/作者不明 折りしも春分の日、鉢植えのバラさえも、赤い芽をほぐ して葉となっていく嬉しさが、静かに歌いこまれた。 (評:高橋正子) 踏青や歩幅あわせる妻がいる/北村ゆうじ どちらかが遅いのでしょうか。歩幅をあわせることによ って,相手に対する愛情を表わそうとする。 (評:古田けいじ) 奥様が大股で早春の野原をご主人の歩幅に合わせてスキ ップしている。奥様のほうが足が長くてゆっくりと歩調 を合わせているとも考えられますが。俵万智さんの「は つなつの公園を行くあんだんてあなたの二歩と私の三歩」 を思い出しましたが、<踏青>の季語の方がイメージの ふくらみがあると思います。(評:伊嶋高男) 二人での散策の愉しさがうかがえます。婦唱夫随と捉え たら愉しくなりました。(評:殿村義朗) 幸福感あふれ、読む人にも幸せを感じさせる。来し方を 顧みながら。(評:江田晋) あたらしき乳母車あり芝萌ゆる/堀佐夜子 新しい生命(いのち)と平和をこれ以上感じさせるもの はありません。(評:岩本康子) 母植えしゆすら若芽に夕陽来る/古田けいじ この時期のやさしい緑に夕陽が射す美しさとお母様のこ としばし想う作者の気持が伝わってきます。 (評:目見田郁代) 囀りの方へ方へと森の奥/岩本康子 森を散策する楽しみがリズミカルに表現されています。 (評:西野研一) はこべらの花咲く路や乳母車/八木孝子 温かい、のどかな春の様子。赤ちゃんも母親の姿も想像 でき、読者の眼の中に、描かれている。 (評:霧野萬地郎) 車いすに積める苗選る植木市/矢野文彦 芽吹く樹の匂いを交ぜて風渡る/藤田洋子 声あげて竿ふる子らに水温む/田中美代子 麦畑みどり密にし春陽照り/目見田郁代 【入選22句】 ネーブルを剥きて彼岸の香となせり/高橋正子 私の田舎では、お墓参りの際にお供えしたものをその場 で皆で分け合って食べる習慣があります。ネーブルの芳 香は、眠る人ともども楽しめたのではと思いました。 (評:右田俊郎) 初蝶のふいに屋根からこぼれけり/葉鳥 洵 初蝶がよわよわしく飛ぶ様が活写されている。下五〈こ ぼれけり〉には春の喜びがあり,情感が伝わってくる。 いつか見た風景でもある。(評:守屋光雅) 春浅し自分の知らない自分知る/江田 晋 何か謎めいたところに惹かれました。「春浅し」が、あ まり深刻でない自分を見つけたと言っているようです。 (評:岩本康子) 縄で漕ぐ納屋のブランコ雨しとしとと/柳原美知子 幼き昔を思い出されて、、、。私は軒下に作って貰い朝 から晩まで遊んだ記憶があます。雨の降る日は必ずとい って良い位でしたね。(評:堀佐夜子) 水つつく稚児のゆびさき春汀/八木孝子 幼き指の作る水の波紋が明るくやわらかな春の水面を感 じさせてくれます。ほのかなあたたかさと安らぎのある 情景です。(評:藤田洋子) 連翹の黄のほろほろ吹かれ空の蒼/堀佐夜子 連翹のどちらへも曲がろうとしない細い幹。それをこぼれ るかの花の黄色が咲き揃う頃は、全く春の蒼空です。連翹 のかすかな揺れのどこかに、新しいことが見出せそうです。 (評:相原弘子) 目をあはせ始まる介護蕗の薹/作者不明 目と目で相対するお二人の心がつながり、下五の蕗の薹か ら作者のやさしさ、つよさが読者に伝わってきます好きな 句です。私にも経験があります。頑張って下さい。 (評:北村ゆうじ) 岩窟に座す石仏や春の雨/霧野萬地郎 私の田舎にも、こんな崖にというところに仏様が彫られた り座したりとあります。今まさにこの通りなんだろうなと 、郷愁を覚えます。(評:祝恵子) 白木蓮空は太古へつづくのみ/高橋正子 白木蓮が青空に無垢な花を咲かせている。この空を遡れば 太古の空へとつながっていくだろう。白木蓮の姿に、時の 流れの悠久を思うスケールの大きさに惹かれます。 (評:八木孝子) 春風と子供の群れのカノンかな/戸原 琴 そよ風は一日そよそよと吹き、暖かさに誘われた子供たち はいつ果てるともなく遊びに興じている。懐かしい原風景 です。(評:福田由平) 子供たちが春風に乗って遊ぶ様子をうまく表現していて、 心温まる句ですね。(評:柳原美知子) 春疾風ベランダの桶転がりぬ/守屋光雅 ついでに干した手桶か思いもしない頃に転がって鳴り出し た。微笑ましいベランダの一齣、題材が新鮮。 (評:藤井謙昌) 春の宵別れを惜しむ砂時計/片平奈美 どんな別れなのか、イマジネ−ションを膨らまさせる句です。 (評:矢野文彦) 蓬の香夜明けの中を踏み歩み/相原弘子 沈丁花道を曲がれば又坂に/相原弘子 初蝶を目からこぼしてしまいけり/葉鳥 洵 水辺より鳴きて声澄む春の鳥/祝けいこ 吸う息の異新しき初桜/藤井謙昌 春休み花壇と校舎夕焼けて/戸原 琴 お菓子屋に彼岸だんごと墨書濃く/守屋光雅 鶯の声雲押しのけて青き空/日野正人 加速する車窓の残影花蘇枋/伊嶋高男 春野菜道までなだるる八百屋かな/柳原美知子 【最高点/9点】 踏青や歩幅あわせる妻がいる/北村ゆうじ 【次点/7点】 囀りの方へ方へと森の奥/岩本康子
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今回は、3月21日でしたが、次回の5月句会は、5月13日(母の日)です。
ご参加をお待ちしています。