伝言板

■オンライン3月句会入選句■
高橋信之選


【最優秀】



信じたき明日といふ日よ沈丁花/武 清子



沈丁花の季語がよく効いた。早春から咲き始める沈丁花

の香りは、時の経過のうちに、消えてしまうものである

が、その強い香りは、確かに明日が来るのを信じさせて

くれる香りである。(評:高橋正子)



【優秀10句】



春分に芽は葉となりて鉢のバラ/作者不明

折りしも春分の日、鉢植えのバラさえも、赤い芽をほぐ

して葉となっていく嬉しさが、静かに歌いこまれた。

(評:高橋正子)



踏青や歩幅あわせる妻がいる/北村ゆうじ

どちらかが遅いのでしょうか。歩幅をあわせることによ

って,相手に対する愛情を表わそうとする。

(評:古田けいじ)

奥様が大股で早春の野原をご主人の歩幅に合わせてスキ

ップしている。奥様のほうが足が長くてゆっくりと歩調

を合わせているとも考えられますが。俵万智さんの「は

つなつの公園を行くあんだんてあなたの二歩と私の三歩」

を思い出しましたが、<踏青>の季語の方がイメージの

ふくらみがあると思います。(評:伊嶋高男)

二人での散策の愉しさがうかがえます。婦唱夫随と捉え

たら愉しくなりました。(評:殿村義朗)

幸福感あふれ、読む人にも幸せを感じさせる。来し方を

顧みながら。(評:江田晋)



あたらしき乳母車あり芝萌ゆる/堀佐夜子

新しい生命(いのち)と平和をこれ以上感じさせるもの

はありません。(評:岩本康子)



母植えしゆすら若芽に夕陽来る/古田けいじ

この時期のやさしい緑に夕陽が射す美しさとお母様のこ

としばし想う作者の気持が伝わってきます。 

(評:目見田郁代)



囀りの方へ方へと森の奥/岩本康子

森を散策する楽しみがリズミカルに表現されています。

(評:西野研一)



はこべらの花咲く路や乳母車/八木孝子

温かい、のどかな春の様子。赤ちゃんも母親の姿も想像

でき、読者の眼の中に、描かれている。

(評:霧野萬地郎)



車いすに積める苗選る植木市/矢野文彦



芽吹く樹の匂いを交ぜて風渡る/藤田洋子



声あげて竿ふる子らに水温む/田中美代子



麦畑みどり密にし春陽照り/目見田郁代



【入選22句】



ネーブルを剥きて彼岸の香となせり/高橋正子

私の田舎では、お墓参りの際にお供えしたものをその場

で皆で分け合って食べる習慣があります。ネーブルの芳

香は、眠る人ともども楽しめたのではと思いました。

(評:右田俊郎)



初蝶のふいに屋根からこぼれけり/葉鳥 洵

初蝶がよわよわしく飛ぶ様が活写されている。下五〈こ

ぼれけり〉には春の喜びがあり,情感が伝わってくる。

いつか見た風景でもある。(評:守屋光雅)



春浅し自分の知らない自分知る/江田 晋

何か謎めいたところに惹かれました。「春浅し」が、あ

まり深刻でない自分を見つけたと言っているようです。

(評:岩本康子)



縄で漕ぐ納屋のブランコ雨しとしとと/柳原美知子

幼き昔を思い出されて、、、。私は軒下に作って貰い朝

から晩まで遊んだ記憶があます。雨の降る日は必ずとい

って良い位でしたね。(評:堀佐夜子)



水つつく稚児のゆびさき春汀/八木孝子

幼き指の作る水の波紋が明るくやわらかな春の水面を感

じさせてくれます。ほのかなあたたかさと安らぎのある

情景です。(評:藤田洋子)



連翹の黄のほろほろ吹かれ空の蒼/堀佐夜子

連翹のどちらへも曲がろうとしない細い幹。それをこぼれ

るかの花の黄色が咲き揃う頃は、全く春の蒼空です。連翹

のかすかな揺れのどこかに、新しいことが見出せそうです。

(評:相原弘子)



目をあはせ始まる介護蕗の薹/作者不明

目と目で相対するお二人の心がつながり、下五の蕗の薹か

ら作者のやさしさ、つよさが読者に伝わってきます好きな

句です。私にも経験があります。頑張って下さい。

(評:北村ゆうじ)



岩窟に座す石仏や春の雨/霧野萬地郎

私の田舎にも、こんな崖にというところに仏様が彫られた

り座したりとあります。今まさにこの通りなんだろうなと

、郷愁を覚えます。(評:祝恵子)



白木蓮空は太古へつづくのみ/高橋正子

白木蓮が青空に無垢な花を咲かせている。この空を遡れば

太古の空へとつながっていくだろう。白木蓮の姿に、時の

流れの悠久を思うスケールの大きさに惹かれます。

(評:八木孝子)



春風と子供の群れのカノンかな/戸原 琴

そよ風は一日そよそよと吹き、暖かさに誘われた子供たち

はいつ果てるともなく遊びに興じている。懐かしい原風景

です。(評:福田由平)

子供たちが春風に乗って遊ぶ様子をうまく表現していて、

心温まる句ですね。(評:柳原美知子)



春疾風ベランダの桶転がりぬ/守屋光雅

ついでに干した手桶か思いもしない頃に転がって鳴り出し

た。微笑ましいベランダの一齣、題材が新鮮。

(評:藤井謙昌)



春の宵別れを惜しむ砂時計/片平奈美

どんな別れなのか、イマジネ−ションを膨らまさせる句です。

(評:矢野文彦)



蓬の香夜明けの中を踏み歩み/相原弘子



沈丁花道を曲がれば又坂に/相原弘子



初蝶を目からこぼしてしまいけり/葉鳥 洵



水辺より鳴きて声澄む春の鳥/祝けいこ



吸う息の異新しき初桜/藤井謙昌



春休み花壇と校舎夕焼けて/戸原 琴



お菓子屋に彼岸だんごと墨書濃く/守屋光雅



鶯の声雲押しのけて青き空/日野正人



加速する車窓の残影花蘇枋/伊嶋高男



春野菜道までなだるる八百屋かな/柳原美知子



【最高点/9点】



踏青や歩幅あわせる妻がいる/北村ゆうじ



【次点/7点】



囀りの方へ方へと森の奥/岩本康子






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今回は、3月21日でしたが、次回の5月句会は、5月13日(母の日)です。
ご参加をお待ちしています。


入選句
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俳句雑誌水煙