【優秀13句】
★寒日和くだきし餅の干されける/高橋正子 「寒日和」という季語を生かし、日常生活の一齣をうまく掬い取って手堅い。(評:高橋信之)
★黄水仙いよよ直線極めけり/堀佐夜子 いい句だが、「黄水仙」が春の季語で、当季雑詠でないのを残念に思う。(評:高橋信之)
★白粥に落す寒卵かがやけり/平野あや子 「白粥」と「寒卵」の取り合わせがいい。「落す」のである。日常が鮮明に再現され、詩となった。「かがやけり」はややオーバーだが、これも詩としての真実なのである。(評:高橋信之)
★屋根越しの空に洋凧ぐいぐいと/岩崎楽典 「洋凧」がいい。少しの珍しさが楽しい。(評:高橋信之)
★みんなして冬ど真ん中を生きている/河ひろこ 写生でないが、こんな句もいい。いろいろな句があるのはいい。(評:高橋信之)
★日向ぼこ大きな雲がやって来る/作者不明 いい開放感が伝わってくる。作者の呟きが聞こえてくる。(評:高橋信之)
★闇に打つ柏手しんと若井汲む/金子孝道 「若井」は「若水」ともいい、元旦に汲む水である。日本の習わしだが、欧米の宗教といったものでなく、伝承された文化そのものである。(評:高橋信之)
★南にも山の高さや寒霞/相原弘子 よく晴れた日、南に望む山にも霞みがかかって、うすうすとしているが、そこにも、いつもの山の高さが確かにある。太陽はおそらく高いのであろう。(評:高橋正子)
★美しき年を迎えて羊歯枯るる/吉田
晃 日本では、清浄なものを美としてきた。正月の羊歯も、新年を迎える日には、青々としているのではなく、葉裏の白色を見せて、軽く枯れている。それが、かるがるとして、清らかである。「美しい年」として捉えられた。(評:高橋正子)
★寒紅梅青空しばしふくらみて/阪本登美子 寒中の青空は、張り詰めて真青に澄んでいる。その空にに、ふっくら紅梅が咲くと、青空の緊張がほどけて、ふくらんで感じられる。心が膨らむ日でもある。(評:高橋正子)
★一碗のぬくもりを手に初野点/戸原
琴 野点なので、いっそう、一碗のぬくもりがありがたく、一服のお茶がありがたく思われる。初野点には、華やぎがあって新年のお茶はいいものである。(評:高橋正子) 手に伝わる暖の嬉しさが野点を通して感じられます。(評:大石和堂)
★雪富士を列車の窓に連れて行く/磯部勇吉 雪の富士を、列車の窓に見ながらの旅である。行けど車窓からは、雪の富士山が消えることはない。雪の富士山と読み手との間に、いい風景がある。(評:高橋正子)
★洗い上げ葱は真白に真っ直ぐに/藤田洋子 真っ直ぐな葱の白さが気持ちよく響いてくる。好きな句です。(評:野田ゆたか) 洗い上げた葱の純白さをとても上手に言い当てています。気持ちが洗われる様です。(評:音羽 和俊) 冷たい水で洗い上げた葱の白と緑の澄んだバランスがいい。新鮮で、しっかりした色は新しい年に希望をもたせてくれる気がする。(評:吉田 晃) 水の冷たさを我慢し、洗い続けた葱。洗い上げたあとのその白さと直線に、眺めいって、冷たさを忘れている。(評:古田けいじ) |