■第34回オンライン句会入賞発表/2002年5月12日■
『5月句会入賞発表@』
司会/高橋正子 2002年5月12日(日) 13:11:10 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■オンライン5月句会入賞発表/高橋信之選■

【金賞】
★先へ行く白靴先に森に消ゆ/都 久俊
前を歩いている人の「白靴」が際立って印象に残る。先を歩く人が、先に森へと入って行くのは当然であるが、その人の後を来て、その人が森に入るとたん、白靴を見失っているところに不思議さがある。夏の森が茂って暗いせいであろう。(評:高橋正子)

【銀賞】
★天草の干された軽さを腕が抱く/高橋正子
戴きものの「天草」で、「腕が抱く軽さ」が嬉しさを表して充分であろう。(評:高橋信之)
ところてんの材料にするのであろう天草がすっかり乾燥している。なお磯の香を残している〈軽さを腕が抱く〉に満足感も見えるのである。(評:守屋光雅)
手間暇を掛けた天草に対する愛着。「軽さを腕が抱く」という表現がそれを読者に伝えて余りある。(評:椎木英輔)
乾燥するまでの時間と労力、そしてそれが溶かされると美味しい心太となるのである。天草も人も我を戻す。知っている人の句と思いました。(評:河ひろこ)

【銅賞】
★平らかに田水張られて雲が浮き/安増恵子
田水が、ぴっしりと張られて、泥なども見えず、平らなのである。空がそのまま映って田に空が生まれ、雲が浮くようになった。「雲が浮き」によって、この句が生きた。(評:高橋正子)
田一面に平らにゆきわたる水、穏やかな白い雲、初夏の清々しい田園風景がいいですね。(評:藤田洋子)

『5月句会入賞発表A』
司会 高橋正子 2002年5月12日(日) 15:54:47 削除・編集 スレッドの一覧・返信
【優秀10句】

★夏帽子芝生広場の真ん中に/田岡 弘
「夏帽子」に焦点が絞られ鮮明である。夏帽子を被っているか、どうか、は問わない。(評:高橋信之)
みんな帰ってしまった芝生広場の真ん中に、一つぽつんと置き忘れられた夏帽子が独りぽっちで泣き出しそうです。(評:磯部勇吉)

★山襞に雪を残して夏立ちぬ/林 暁兵
山襞に雪が残っているものの、山の色は、緑があざやかになっている。雪の白と、山の緑が際立って、立夏の山は、輝かしく目に映る。はつらつとしたいい季節を迎える喜びがある。(評:高橋正子)

★揚羽蝶そらの青さを連れて飛ぶ/宮地ゆうこ
揚羽蝶は、大きい。空を飛ぶときも、光りや雲にまぎれて見失うこともあまりない。青い空を飛ぶ揚羽蝶は、見ているかぎり、青い空を連れて飛んでいるようである。ひろひらと高く飛ぶ揚羽蝶が、青空の中で印象的で明快な句。(評:高橋正子)

★一枚の畠に行き交ひつばくらめ/碇 英一
「一枚の畠」は、結構広いのであろう。その畠の範囲を行き返している燕が何羽かいる。行き交う燕の飛ぶ軌跡が、流れるように自由に交差して爽快。(評:高橋正子)

★雀楽し麦の穂先を捉えては/相原弘子
麦の穂先につかまっている雀が、かわいい。雀は麦穂にとまり、風に揺れて楽しげに見える。雀も麦の穂先も軽く、初夏の軽やかさをうまく捉えている。(評:高橋正子)
田畑の雀達が麦の穂をチュンチュンと楽しく飛び遊んでいます。それを見ている作者の眼差しが本当に優しくて好きです。(評:堀佐夜子)
初夏の嬉々とした弾む心持を雀に託し、その動きが躍動感をよく表していると思います。(評:碇 英一)

★どこまでもまっすぐにゆく五月の道/徳毛 淑
「どこまでもまっすぐに」の一直線の捉え方に、さわやかさがある。五月のさわやかさを端的に捉えた句といえる。(評:高橋正子)

★初なつの空へダム湖のひかり湧く/宮地ゆうこ
いつも広い空とダム湖が、初なつへより開放されました。ダム湖の平らは、その空へ、ひかり、又、ひかりが湧くのを惜しみません。(評:相原弘子) 

★どの辻も坂につながる街薄暑/西野研一
どの辻に立っても、そこからは坂へとつながっていく坂の多い街である。坂を下りても上っても、街が見えて、うっすらと汗ばむころの季節が、旅心めく気持ちで、よく捉えられている。(評:高橋正子)

★新樹光少年いつも揺れやすく/佐藤とみ子
新樹の放つ光りは、緑色がまだやわらかく、どことなく不安定な光りがある。そんな光りは、思春期の少年の揺らぎやすい心をよく映している。(評:高橋正子)
いかにも新鮮で好きな句です。(評:福田由平)

★畳み来て旅の途中の衣替え/葉鳥 洵
季節がかわってゆく時の旅行は、着る物の用意に迷うことがある。用意した薄手の洋服に、旅の途中ながら、「衣更」をする。旅の心もさらに改まって、心も前進である。(評:高橋正子)

『5月句会入賞発表B』
司会/高橋正子 2002年5月12日(日) 13:6:38 削除・編集 スレッドの一覧・返信
【入選T/15句】

★ミント摘む香りの中にいて十代/徳毛あさ子
料理のためにベランダの鉢から一枚積んだミント、その青い香りに残り少ない十代をいとおしむ気持ちが重ねられているようです。ミントの香りにさわやかな若さを感じて、その若さがまぶしいです。(評:八木 孝子)
ミントの香りと眩しいばかりの若さがとても爽やかです。(評:安田明子)
初夏の空にミントと若さが広がっていきます。(評:大石和堂)

★ビワの実の固き青さや雨あがる/安増恵子
我が家のビワの木もようやく昨年から実を付けるようになりました。雨上がりのビワの実の「固き青さ」がみずみずしく爽やかです。(評:江田晋)

★水音をすくい上げつつ田植する/日野正人
手植えかな、田植機だろうなと思いますが。見ている側からは引きつけられる光景ですが、植えてる方々は大変な時期ですね。(評:祝恵子)

★分水の一つを受けて谷若葉/野田ゆたか
その底に渓谷を包んで谷の緑は一層ふくらみ映えているのが浮かびます。(評:葉鳥 洵)

★代掻の大き水面に雲の影/安丸てつじ

★迫り来る新樹の山に手を伸ばす/日野正人

★おはようの声登り来る若葉の坂/徳毛あさ子

★胡瓜棚の青竹切って夏立てり/磯部勇吉

★丸く浮くテニスボールへ風薫る/作者不明

★山歩く若葉の揺れる影を踏み/霧野萬地郎

★街路樹のどれもふくらみ風五月/藤田洋子

★八十八夜東京の灯が押し寄せリ/能作靖雄

★花椎のそぼ降る雨に明るかり/岩本康子

★二重虹片方森にささりたる/大石和堂

★入浴の音夏めけり我が家にも/柳原美知子

『5月句会入賞発表C』
司会 高橋正子 2002年5月12日(日) 15:20:21 削除・編集 スレッドの一覧・返信
【入選U/25句】

★新緑をステンドグラスにする光/椎木英輔
林の中で降り注ぐ五月晴れの陽光を浴びている爽やかさ。(評:石原利朗)
しゃれた、センスのよい一句だと思います。(評:根本秋湘)

★母の日や厳父に慈母の時代あり/安丸てつじ
叱る父、庇う母諭しながら、母の日の母に感謝。(評:金子孝道)

★大鳥居丹塗りの向こうの山若葉/福田由平
朱塗りの大鳥居が新緑に映えて燃えるごとき光景。どこだろうかとあれこれ想像を膨らませています。(評:右田俊郎)

★いしぶみの文字追う顔も新樹光/福田由平
新樹の下に建ついしぶみ。それを見る顔も新樹に光るという光景は新鮮で爽やかです。(評:西野 研一)

★牡丹花の崩れてたしかな実を持てり/佐藤とみ子
濃艶な牡丹は花を落としても、たしかな次の営みがある。その変化が劇的に描かれていると思います。(評:霧野萬地郎)

★飛んで鳴き鳴いては飛んで雀の子/越前唯人
生まれて間もない小雀が巣立つとき胸をドキドキさせて初飛行、「ワーィ飛べたぞー、今度はもっと遠くまで飛ぶんだ」と囀っている声が聞こえるような生き生きとした明るい句である。(評:能作靖雄)
巣立ちしたての子雀が元気良く飛び回る情景をうまく表現していると思います。 (評:岩崎楽典)

★香水を選んだ訳はララララ/岩本喜代子
てっきり若い人の句と想像しますが??ララララが実に新鮮。(評:安丸てつじ)

★細き枝しなう梅の実が丸い/古田けいじ
破調であるが、たたわわな青梅の写生が見事に決まっていて好きな句です。(評:野田ゆたか)

★パソコンに上がり来し蟻を見失う/馬場江都
何気ない情景ですが、パソコンに這いあがって来た蟻が良いと思います。また、この句を見て、21世紀(パソコン)に辿りついた人間(蟻)が戸惑っている様子、また何処かへさ迷っている様子の現代世相が詠まれているようにも思います。(評:都 久俊)

★応援に片手のラムネ沸騰す/河ひろこ
サッカーの応援でしょうか。ラムネから想像する限り、あまりお若い方ではなさそうですが、興奮ぶりが伝わってきます。一途に取り組めるものがあるのはすばらしい。(評:柳原美知子)

★東京を一日ぶらりと鯉のぼり/田中栄子
五月晴の一日、喧騒を避けた東京の行楽。街歩きの楽しさが感じられます。(評:伊嶋高男)
 
★藁葺き家一輪で足る白牡丹/加納淑子
「一輪で足る」の心持ちが清清しい。(評:林 暁兵)

★若草を食む山羊のいて農学部/守屋光雅
農学部の広い敷地で、大切に飼われている山羊。「農」を学びながら世話をする若者達。若草の緑のように希望が湧いてくる句です。(評:宮地ゆうこ)

★すらりと伸びし少年の足風薫る/八木たかこ

★花みかん香の鎮もりし夜の厚み/平野あや子

★パラソルの影もさみどり浜の風/下地 鉄

★初めての文庫結びや宵祭/石原利朗

★皿洗う水弾き飛び南天の花/堀佐夜子

★群青の海を跳ね行くつばめ魚/青海俊伯

★公園のせせらぎ狭し水遊び/岩崎楽典

★若葉風ブランコの子らにチャイム鳴る/安田明子

★鶯の声谷あさく谷深く/金子孝道

★畦塗られ早苗の色のさみどりに/祝 恵子

★同姓の表札かかる薔薇の家/矢野文彦

★波描き翔ぶひよどりの曉けの森/太田淳子


▼最高点句/9点
若草を食む山羊のいて農学部/守屋光雅

▼次点句/8点
雀楽し麦の穂先を捉えては/相原弘子

『5月句会選者詠』
司会 高橋正子 2002年5月12日(日) 16:3:34 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■選者詠/高橋信之

野田ゆたか選
★うぐいすの池の広さで啼いている

藤田洋子・宮地ゆうこ選
★葉桜の大きな影の中を歩く

河ひろこ・霧野萬地郎・碇 英一・守屋光雅・堀佐夜子・相原弘子選
★どこも若葉して山野のふくらみに

『5月句会全作品と伝言集』
司会 高橋正子 2002年5月12日(日) 7:29:52 削除・編集 スレッドの一覧・返信
■全作品
は、下記のアドレスをクリックしてご覧ください。
http://user.shikoku.ne.jp/hiroko47/haiku/k0205z.htm

■伝言集
は、下記のアドレスをクリックしてご覧ください。
http://user.shikoku.ne.jp/hiroko47/haiku/dengon0205.htm