2003年
オンライン新年句会
全作品

水煙ネット


No.51
太田淳子
ちちははの生命愛し初山河
ぽっかりと日の当りたる雪の峰

No.50
柳原美知子
ストーブの土間に燃え継ぐ醸造場
冬天へ楠の葉さざ波おこしけり
松過ぎの街出入りする影長し

No.49
やまなかみゆき
新年やふるさとの山にはげまされ
帰省して寒ねぎの白さ目にしみる
老父母のつくりし寒ねぎ見事なり

No.48
土井卓美
寒禽の声透き通る能褒野陵
銃眼を木枯抜ける角櫓
赤福の大釜の湯気小正月

No.47
右田俊郎
野を駆ける子の背な追って冬の凧
冬晴れに大凧悠々唸り居り
裸木に絡まる凧の捨ておかる

No.46
藤田洋子
大いなるひびを広げて鏡割
初暦めくる月日の文字清き
凧揚がるほど糸ゆるみなく光り


No.45
大石和堂
まだまだの冬蹴り飛ばし三学期
寒林や尖り来たりし湖の風
彩りの中に初春京の菓子

No.44
岩本康子
(松山市宝厳寺にて)
一遍の裸足(はだし)の遊行凍てし土
(内子町、内子座にて)
初春の光に古き回り舞台 
太鼓の音軽く乾けるお正月


No.43
守屋光雅
雪明り一本道の近い道
みちのくの寒さ突き抜け新幹線
冬牡丹どれも十字に藁を敷き

No.42
服部淳子
空港へ無人駅より発電車
ジェット機へ向かふ通路の福寿草
雲上に巻頭の句の読み始

No.41
馬場江都
真新し墓に注ぎし寒の水
沈丁の花芽に色見ゆ冬公園
肩車の子に福笹をかつがせて

No.40
矢野文彦
ウィーンフィルのラデツキーマーチ初日記
我が家にもいやしけ吉事初明り
初風呂や介護の視線全身に

No.39
佐藤とみ子
寒ぬくしひとつ伸びして襁褓干す
白菜をいのち果てなきように漬け
ジグザグの非常階段年の暮

No.38
古田けいじ
蝋梅の香にたどり着く寺の坂
うす緑小さく割りて冬の梅
傾きて光も冷えてオリオン座

No.37
多田有花
朝霜にマウンテンバイク走らせる
落花生ひとり炬燵に食べ散らす
まっすぐに上がる煙や遠焚火

No.36
脇美代子
海風を身に渡らせて初御空
初凪や沖まで光る途眩し
川上向く寒鯉知らせ待つごとし

No.35
野仁志水音
憎き師もこころはいろいろ月凍る
放課後の廊下に冷たく古写真
冬温し空の深くに鷹がある

No.34
作者不明
寒卵割れば落日皿の中
蝋梅の香り一隅に日を集め
しばらくは海を黄金に冬落暉

No.33
霧野萬地郎
初凪の岬に尖る月懸かる
初凪を滑るカヌーが橋くぐる
木漏れ日の杜にけむ濃き焚き火かな

No.32
堀佐夜子
陽だまりに咲き初めし寒の木瓜
土持ち上げて球根の芽春待ちぬ
寒日和分厚き封書手わたしに

No.31
都久俊
ビル覆うガラスに映る初景色
社殿まで一方通行初恵比寿
片言で孫から届く初電話

No.30
安増恵子
冬の芽しっかりここにいるんだな
元旦の光のなかで背伸びする
にんじん固い力を込めて切る

No.29
池田多津子
福笹の鳴りて明けゆく商店街
満天の凍星里を閉ざしゆく
ふるさとの彩り詰めて初荷とす

No.28
宮地ゆうこ
冬菜洗うあかるき庭に水流す
冬蝶のひなたにたたむ軽き羽
早や咲きし梅の影より声かける

No.27
高橋由美子
ちりりんと破魔矢行き交う段蔓
飾り焚く浜の煙を見送りぬ
初神籤夫には見せぬ縁のこと

No.26
相沢野風村
兄が背に凧足運ぶ妹か
大関の箱から出して喧嘩独楽
温もりて命宿して山眠る

No.25
能作靖雄
冬うらら六花散る並木道
水仙を活ける背中も香こぼる
目覚むれば雪解水の音心地よく

No.24
山野きみ子
枯芝に日のおおらかに立ちどまる
初凪に一直線の空と海
夕凪の冬日輪のひと筋に

No.23
戸原琴
潮風に吹かれし水仙香も強き
水仙の群生波を高くしぬ
エサ皿にドッグフードの寒き音

No.22
野田ゆたか
元日の零時の空の真ん丸く
東雲の宙を新たに去年今年
未年ふわりと来たる初夜明け

No.21
高橋信之
正月の客去り座蒲団の四角に
正月の灯の和やかにどの家も
裸木のしらじら枝を張る夜空

No.20
澤井渥
ひと筆に書きおろしたる冬の滝
足もとの雪凍てをリ滝仰ぐ
滝に張る注連の御幣の千切れそう

No.19
作者不明
寒鳩よ逃げるな俺はフレンドだぜ
新雪が融けて蝋梅花雫
チーズフォンデュ飾らぬ恩師と冬薔薇

No.18
高橋秀之
日脚伸び我が影追いて帰り道
冬空にすらりと白き煙伸び
寒風や寄り添う鳩に容赦なく

No.17
河勝比呂詩
木枯しに唆さるや雨戸泣く
木々さやぐ寒林に入る者を問い
睥睨の寒鴉(かんあ)動ぜずゴミ捨つに

No.16
池田和枝
海鳴りの遠く聞こえし初茜
手水の五指を零るる初詣
松明や霊峰白く薄化粧

No.15
高田フミ子
平凡といふ幸せにあり屠蘇受くる
献体を記して看取りの灯の寒し
カーナビが導く一と日冬晴れて

No.14
高田碧
人波に押され道行く初詣
新しき日の気持ちよし初詣
湯気あがる雑煮の椀に舌づつみ

No.13
大給圭泉
餅花の帳場はなやかいろり焼
日差しうけ冬芽の桜待ちかねぬ
山の駅雪ゆえ白のしじまかな

No.12
作者不明
お遍路も丹の橋渡り初詣
初詣氏子構えし甘酒屋
初漁の鯛輝きてはねかえり

No.11
金子孝道
門灯の雪におぼるる飛騨の宿
名山は白一色に今朝の春
トラックに檜の匂い雪しずく

No.10
南出孝次
声と手が鋭くはずむカルタとり
幸願い名もなき社へ初詣

No.9
龍造寺規谷
黒々と入り日に浮かぶ冬の富士
眠りゆく布団静かな風も止む
夢あまた年玉袋に詰め込んで

No.8
岩崎楽典
菰巻の木の名は知らずデンと立つ
凍て草を踏めば靴跡そのままに  
もう既に平素の暮らし松を取る

No.7
磯部勇吉
寒林の枝それぞれに光もつ
白鳥の眠りしままに湖凍る
青頸(あおくび)の向きを変えては光りけり

No.6
祝恵子
石椅子の丸みに座せば冬日くる
年新たお地蔵さまも白き布
川に寄ればむずむず釣りたし寒の鮒

No.5
椎木英輔
知り染めしあの日の如く霜柱
霜柱踏んで硬き日崩るる日
霜柱神駆落ちの仮の宮


No.4
河ひろこ
初売りの幟そよぎて港町
仏眼に浄められをり雪女
長居して傘を所望し牡丹雪

No.3
小島直美
初暦まず句会日を書き留める
足並みのおのずと揃ふ初詣
糶の声ぶっつかり合ふ年の市

No.2
片平奈美
逢はずして帰りこぬ風木の葉髪
また一つ老いて願うや初詣
風花や風と大地に吸はれゆく

No.1
高橋正子
粉雪の降れる無音の野を覆い
粉雪の傘には散り置く露として
木蝋屋閉めたり雪を休日に