■オンライン5月句会入賞発表/高橋信之選■
【金賞】 ★さし潮の卯波へ漁夫の潜り入る/平野あや子 「卯波」は卯月の波、つまり陰暦四月のころの波。さして来る勢いのある潮の、晴れやかに豊かな波に、時をみて漁夫が潜っていく。さし潮、卯波、潜ってゆく海に詩がある。卯波の伝統的な意義が読み取れる句。(高橋正子)
【銀賞/2句】 ★一天に鳴き声を置き揚雲雀/金子孝道 <揚雲雀>を詠んで、その本質的なところ捉えた。<置き>に作者の思いが込められている。(高橋信之)
★ワイシャツの真白き初夏の郵便夫/池田和枝 ワイシャツの真白が効いて、初夏の清潔感が溢れた句。郵便夫が初夏を運んで来たようだ。(高橋正子) 郵政公社と変わって新しく採用された郵便夫なのかもしれぬ。一軒一軒誤配達のなきよう確かめて配達している清々しい青年が想像できる。〈ごくろうさん〉と声を掛けてやりたい。(守屋光雅) すがすがしい初夏のイメージが伝わってきます。(橋本ひとみ)
【銅賞/3句】 ★青葦の切っ先空へ葉を立てる/藤田洋子 葦は角から葉え、空に向かって成長を続けている若葦の勢いが感じられます。(野田ゆたか)
★風の音を軽く弾いて柿若葉/日野正人 風に音を軽く弾くような柿の若葉といえば、もう、青が強くなりかけた柿の若葉であろう。さわやかで、力のある風を感じさせてくれる。(高橋正子) 風音を弾く楽しさと柿若葉の明るさに、軽やかな明るい初夏の季節感が溢れます。(藤田洋子)
★咲く前の蜜柑の花の固かりし/碇英一 作者の視線が一点に集中され、そこに<咲く前の>時の流れを見た。<固かりし>がいい。(高橋信之) |