【金賞】 ★手折りきし芒の軽さ壷に挿す/おおにしひろし 折り取った芒は。数本であろう。心慰みに折り取った芒の数本の軽さを、さりげなく壷に挿して秋を楽しむ。そういった行為の心自体が軽い。軽いといのは、軽率という意味ではない。雑念が消え、さらりとした心境を言うのであって、芒の穂のように風に軽がるとそよぐ心の状態なのである。(高橋正子)
【銀賞/2句】 ★雲を雲追いかけている花野かな/長瀬正之 雲が雲を追いかけて、その空の広さと花野の広さが映りあって、自由な広がりがよい。(高橋正子)
★露白し日当たるまでの杉木立/霧野萬地郎 「日当たるまで」は、いい時間の経過で、露の命を的確に表現した。「露白し」が鮮明である。(高橋信之) 澄み通る朝の空気、清爽な秋の気配を感じます。(藤田洋子)
【銅賞/3句】 ★よく廻るひとつ大事に木の実独楽/矢野文彦 いくつも作って廻している内に、ひときわ良く廻る独楽がある。手に馴染んで艶を持った木の実独楽は、大切にしたくなる。(脇美代子) おそらく何個か作った木の実独楽の中の一個でしょう。よく廻り、お気に入りとなっているのですね。素朴な玩具を宝物のように大切にする気持ちを好ましいと思います。(臼井虹玉)
★ゴンドラの視界は徐々に霧の尾根/祝 恵子 霧の中え中えとゴンドラの消えて行く様子を感じます。(大給圭泉)
★新藁の倉庫にあふれ香をこぼす/池田多津子 稲の収穫が終って得た藁。「倉庫にあふれ香をこぼす」は豊作の表れであり農家の人々の微笑む姿までが感じられる。取入れも終り安堵の気持ちまでが伝わって来ます。(今井伊佐夫) まだ少し青味も残っている新しい藁の色とかおりが感じられます。(やまなか みゆき)
※選者作品は、金銀銅賞から割愛した。 |