■オンライン11月句会入賞発表/高橋信之選■
【金賞】 ★唐辛子広げし紙も乾きゆく/脇美代子 赤く熟れた唐辛子を乾かすのに、軒に吊るしたりするのではなく、紙を広げてその上で乾かしていると、広げた紙も乾いて、日焼けて引きつったような状態になる。紙までも乾くという驚きと、いい色に乾いてゆく唐辛子と、乾いて音の出そうな紙が、カントリー風な生活に楽しさを演出してくれている。(高橋正子)
【銀賞/2句】 ★冬水をこぼして軋む大水車/吉田晃 冷たく硬い冬の水に押され、ぎしぎしと大水車が動く。冬水の力が美しい。(宮地ゆうこ) 冬の澄んだ空気の中の水音や穏やかな冬の陽に反射する水しぶきが感じられます。(やまなか みゆき)
★牡蠣飯の海の匂いの家じゅうに/池田加代子 牡蠣飯を炊くと吹き上がる湯気からは、牡蠣の匂い、つまり牡蠣の育った海の匂いがしてくる。温かい海の匂いに、冬の夕餉が楽しみになる。(高橋正子)
【銅賞/3句】 ★刈田道荷台の刈り機とすれ違ふ/小島花英 刈田道ですれ違う小型トラックの荷台には、稲刈り機が乗せてあって、今稲刈りの真っ最中であることが知れる。現実感の強い句で、あたりから稲の匂いもしてきそうな感じである。(高橋正子)
★大根の葉ののびのびと空広ろぐ/碇英一 あおあおと育った大根の葉が、土に広がるときは、「のびのびと」育っている印象が強まる。広がった葉が空を見上げるようであるので、大根の葉の位置からは空はぐんと広がるのである。のびのびとゆったりとした句。(高橋正子)
★包丁のあとを残して柿干さる/池田多津子 機械剥きにはない包丁の剥き跡。柿の瑞々しさと人の手の温み、穏やかな日常が伝わってきます。(野田ゆたか) 力強い、包丁の跡を残して干された柿。晩秋の里山の静けさが、心に伝わってきます。(山中啓輔)
※選者作品は、金銀銅賞から割愛した。 |