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伝言板

高橋信之選
第62回オンライン月例句会入賞作品
2005年3月13日

■オンライン3月句会入賞発表/高橋信之選■

【金賞】
★高々と巣箱揺らして楢芽吹く/古田けいじ
楢の枝には、巣箱が掛けられている。夏には茂りに隠れていた巣箱
は、楢の葉が落ちる冬の間は、巣箱は丸見え。春にはその巣箱も、
風に揺れながら楢の芽吹きと時をともにする。巣箱を揺らすのが楢
であるのが面白い。(高橋正子)

【銀賞/2句】
★山茱萸のあたりがまぶし山の朝/宮地ゆうこ
山の朝の春寒さに咲く山茱萸は、その小さな弾けるような黄色が強
く目に残る。深く静かな山の朝に、山茱萸の花はまぶしく明るい。
(高橋正子)

★降り立てば青麦畑のまっ平/甲斐ひさこ

【銅賞/3句】
★春入日真ん丸西に佇めり/能作靖雄
真ん丸の春の入日が潤んだ赤いをして沈み兼ねて、まだ西にある。
それを擬人化して「佇めり」として入日の美しさを惜しむ気持ちを
表している。(高橋正子)

★一面の菜の花畑を駆けぬける/中西麗美子
一面の菜の花を喜び「駆けぬける」少女がさわやかでいい。一面の
菜の花という現実にも少女らしい夢を感じている。(高橋正子)

★卵立てに一段高く春たまご/臼井虹玉
朝食のテーブルだろう、ハムや、コーヒー、パンの皿よりも一段と
高く卵立てに白い卵が立ててある。立てた卵もういういしく春らし
い白である。着眼がユニーク。(高橋正子)

※選者作品は、金銀銅賞から割愛した。 


【高橋信之特選7句】
★子が持って草餅海を渡るなり/高橋正子
「海」は、どこであってもよい。旅に出る子に「草餅」を持たした
のである。「草餅」には、ふるさとの匂いがあり、母の匂いがあっ
て、快い。(高橋信之)

★下萌えを離れ機影の影の濃き/吉田晃
「影の濃き」は、「くっきりとして濃き」ということで、「機影」
が明らかであり、「下萌え」が明らかであり、大空へ昇らんとする
機体も明らかである。「下萌え」の春を捉えた。(高橋信之)

★辛夷の芽割れてきりりと純白に/池田加代子
「辛夷」は、派手な花ではないが、きっぱりと言い切って、その良
さを引き出した。「きりりと純白に」である。(高橋信之)

★一面の菜の花畑を駆けぬける/中西麗美子
け抜ける少女。そして大人になってもその心を失わない。そのまん
まで何の飾りもないところが好きです。(竹内よよぎ)

★高々と巣箱揺らして楢芽吹く/古田けいじ
★卵立てに一段高く春たまご/臼井虹玉
★降り立てば青麦畑のまっ平/甲斐ひさこ

【高橋正子特選7句】

★朧夜の木々も小鳥も静かなり/藤田裕子
朧夜の静かなものに、木々と小鳥をあげて、すっぽりと読者を包み
込んでくれる、子もり歌のようなやさしさがある。(高橋正子)

★観覧車春の港の風が吹く/高橋句美子
観覧車に乗り、春の港から吹く風を感じた。「春の港の風」に若々
しいイメージがあり、把握にわずらわしさがない。(高橋正子)
ゆっくりと回る観覧車に春の風が吹いてくる。いろいろな船も見え
ているのでしょう。港の春景色が一望出来る大きな景。(河ひろこ
)

★たんぽぽに船来て響くエンジン音/池田加代子
どかさが詠まれている。たんぽぽと、船の出会いの意外性に、探検
心をくすぐる楽しさがある。(高橋正子)
心地よいエンジン音とたんぽぽとの交歓がよく伝わります。(町田
智司)

★春愁や時計は置かぬジャズ喫茶/大石和堂
春愁も、時計も、ジャズ喫茶もひと時代前の印象だが、今なお堅固
に変わらないものの安定感がある。「時計は置かぬ」に作者の春愁
がある。(高橋正子)
ジャズ喫茶にながれる時間と空気。春のけだるさも心地よいひとと
き。(宮地ゆうこ)

★春入日真ん丸西に佇めり/能作靖雄
★山茱萸のあたりがまぶし山の朝/宮地ゆうこ
★降り立てば青麦畑のまっ平/甲斐ひさこ  

【藤田洋子特選7句】

★芽木の山そのふくらみの玻璃越しに/高橋信之
芽木の山の明るくやさしいふくらみの遠望に、心も解かれていくよ
うです。(藤田洋子)

★時計台の学舎春風にさざめけり/おおにしひろし
★いくひらか羽根は水辺に鴨帰る/山中啓輔
★降り立てば青麦畑のまっ平/甲斐ひさこ
★生徒らの手書きポスター駅は春/霧野萬地郎
★観覧車春の港の風が吹く/高橋句美子 
★たんぽぽに船来て響くエンジン音/池田加代子

【野田ゆたか特選7句】
★春風も入れて作りし花の土/今村七栄
花作りは先ず土から。作者は、種まき、植替えとまでは言っていな
いが、鑑賞して、その先の夏草、秋草の花まで連想させられ、御句
を楽しませていただきました。(野田ゆたか)

★草萌えやボールを高くキックオフ/碇えいいち
春の始まりを高らかに詠いあげており、心から晴れやかになる。(
齊藤まこと)

★生徒らの手書きポスター駅は春/霧野萬地郎
★ぜんまいの彩り丸く膳の上/祝恵子 
★山門に入るを許さず花見酒/古賀一弘  
★観覧車春の港の風が吹く/高橋句美子
★道沿いの囲いを外し春を入れ/長岡芳樹

【堀佐夜子特選7句】
★春うらら母を追い越す三輪車/佐藤 博一
幼子が乗れる様になった三輪車でママを追い越す、うららかな一日
の親子の光景を上手く俳句にされたと思いました。(堀佐夜子)
陽春の道を行く母子の姿は明るく元気な子供は三輪車で母に纏わり
付いている。まさに 春うららである。(河野一志)
うららかな春の日、三輪車を一生懸命こいでお母さんを追い越して
得意になっている様子を想像 しました。ほほえましい光景です。
(黒谷光子)

★朧夜の木々も小鳥も静かなり/藤田裕子
★春雨のやさしさへ出す植木鉢/古田けいじ
★春風も入れて作りし花の土/今村七栄
★石投げて滑らす遊び春の川/野田ゆたか
★春コート裾かろやかに大路ゆく/臼井虹玉
★降り立てば青麦畑のまっ平/甲斐ひさこ

※今月の特別選者(藤田洋子・野田ゆたか・堀佐夜子)は、第1回
(平成16年度)インターネット大学の卒業生です。 


【入選T/10句】

★荒東風を捕えて十機の風車群/岩本康子
風の道に据え付けられる風車、強風で高速回転しているのだろう。
力を感じ、大きな景がすばらしい。(霧野萬地郎)
ハルニバンをいうのだろうか、大自然のエネルギーを巧に取り込み
、明るく希望に満ちた春を迎え自然との共生を目指す作者の力強い
生活観を感じさせる。(能作靖雄)
広大な土地に立ち並ぶ十機の風車が、春の強風を捉えて、勢いよく
回っている。雄大な光景が、読者に力強く伝わってきます。(山中
啓輔)

★日々風にきらめく柳青みけり/藤田洋子
日に日に柳の青さがめきめき目立つ、暖かくなってきた風に揺れて
る様子が目に見えるようです。(大給圭泉)

★春の風サンバのリズムを透明に/松本豊香 
春のうきうきした気分とサンバのリズムの取り合わせの良い句で好
きな句です。(篠木睦)

★若草を吾が行く影もみずみずし/宮地ゆうこ
みずみずしい若草を歩いていく。その影もまたみずみずしい。作者
の心も春を迎えた喜びで足取りも軽やかです。(池田多津子)
萌えてきた草のみずみずしさが、影によって引き立てられています
。(脇美代子)

★幼子の土に絵を描く春半ば/伊藤笑留人
「土に絵を描く」というストレートな表現が好きです。誰もが子ど
ものころ味わった創造の喜びの原点。幼子を育む、春の土の優しさ
、陽のあたたかさも思われます。(池田加代子)

★ふらここの空に触れては漕ぎ返す/脇美代子
春の空に触れるほど勢いよくぶらんこを漕ぐ様が手にとるように見
えて清々しいです。(今村七栄)

★春灯に継ぎ足す紐の白きこと/堀佐夜子
★鮮やかな青を刻みて菜めし炊く/大山涼
★春暁の月や記憶の透き通る/佐藤貴白草
★耕せし日のありにけり空眞青/田村征三  

【入選U/10句】

★抱きし児の足裏強く木の芽時/河ひろこ
「強く」は、ふんばる足か、蹴る足でしょう。それを「足裏強く」
はやや無理な言い方とは思いますが、実感が籠っています。(瀧口
文夫)

★山笑う微笑返す湖面かな/伊藤華将
山笑うの季語と穏やかな湖面の対比が、春を迎える歓びを絶妙に表
現。(渋谷洋介)
濃淡の緑に染まり始めた春の山が、湖に映って、よりほのかに。水
面でうっすらと笑う山を、湖面が微笑み返している、と捉えること
で、「山笑う」という季語の明るさ、芽吹きや水の温もる喜びが、
ひときわ高まるように感じました。(かわなますみ)

★迎え出に梅咲く角を折れしかな/長瀬正之
何気ない日常を捕らえて、大変風流な句だと思います。(岩本康子
)

★草の朱を隠しきれずに春の雪/作者不明
春と冬がせめぎあいつつ芽吹きが勢いを増していく、まさに今の時
季の様子を表現し、 草の朱と雪の白のコントラストとも鮮やかで
、私の好きな一句です。(藤村)

★娘の家の客となりおり雛の宵/黒谷光子
娘さんご夫婦に招かれての嬉しくも、ちょっとぎこちない宴でしょ
うか。あるいはお孫さんの初めてのひな祭りだったのかもしれませ
んね。ほほえましい春のひと時がほのかなペーソスとユーモアをも
ってうまく表現されていると思います。(小西 宏)

★白梅の清しき朝を早出する/安丸てつじ
★残業を終えし人から朧月/木村修
★春祭り太鼓打ちつつ町を引く/大給圭泉
★春光に動き始める潮だまり/池田多津子 


【佳作/18句】

★チェンバロの余韻揺られて朧汽車/野本俊枝
宮澤賢治の童話のようなイメ-ジがあって好きな句です。(石井秀
子)
チェンバロの余韻と夜汽車の響き何かゆったりとひと時。(伊藤華
将)

★ズボン丈直し直して卒業す/石井秀子
息子さんの卒業を嬉しく頼もしく思う親の深い愛情が「直し直して
」から伝わり素敵な句です。(伊藤笑留人)
この頃の成長の早さが簡潔に表現された佳句です。(澤井  渥)

★縁側で和む梅花の色香り/南出孝次
小さいとき戻ったような、縁側にはお年寄りが、庭には梅の香りが
。今ではそのおばあさんになった自分がいます。(祝恵子)

★しみじみと芽立ち促し小雨降る/河野一志
★桜咲く日を待たずして義母逝きぬ/渋谷洋介
★春光に木屑の袋ふくらんで/町田智司
★如月やヘルメットにあるうす埃/多田有花
★どの枝も力溢れて山笑う/篠木睦
★風光る正午を告げる鐘の音/齊藤まこと
★雛の日や博多人形ひとつ置き/小西宏
★スミレ咲く都市計画の端っこに/希往来
★まなぶちに春日の来たり戻りたり/かわなますみ
★流氷の果て見えぬとも見えるとも/志賀たいじ
★山笑う遺跡調査のひもすがら/井上明
★菜の花を挿頭し坂行く園児たち/瀧口文夫
★ベランダで待つ子の帰り日脚伸ぶ/高橋秀之
★故郷の荒地の隅に菜花咲く/やまなかみゆき
★宵闇に土より香る沈丁花/竹内よよぎ  

 
■選者詠/高橋信之
★芽木の山そのふくらみの玻璃越しに
芽木の山の明るくやさしいふくらみの遠望に、心も解かれていくよ
うです。(藤田洋子)

★池の空北へ拡がる引鴨に
★潔きことの一つに茎立てる

■選者詠/高橋正子
★子が持って草餅海を渡るなり
草餅が船に乗り旅をする。童話の世界の様で旅の続きが連想されま
す。絵本の一ページを見ているようで楽しい句だと思います。(甲
斐ひさこ)

★田をひとり歩く雲雀となっていし
★ふみきりに花えんどうのよく育ち  


■互選句/野田ゆたか集計

【互選高点句】
13点 耕せばもの言う距離に春の禽 /今村七栄
10点 春うらら母を追い越す三輪車 /佐藤博一
 8点 嵩増して堀の春水空映す /藤田洋子
 8点 春コート裾かろやかに大路ゆく /臼井虹玉

【互選高点者】
21点 今村七栄
15点 甲斐ひさこ
13点 佐藤博一
13点 藤田洋子
13点 脇 美代子


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