更新:1999年2月11日
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●1月入賞句●
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★最優秀句★
冬木立つその確かなる影を踏む/藤田洋子
[評]
「立つ」、「確か」、「踏む」という言葉がしっかりしているのは、
作者自身の生活の確かさにある。冬木とその影と作者自身とが地に
ついているので、読み手を安心させてくれる。(高橋信之)
★最高点★
白と黒すっきり分けて寒灯し/高橋信之
[評]
俳句の新しい世界の入り口が見つかった気分です。(八木泰子)
★次点★
初空やこのまちみんなぼくのもの/尾田茜
[評]
新年の空を仰ぎ見ると、広々としています。その下に広がる街は自
分の住む街です。全部自分の心にしまっておきたい、なつかしい街
なのですね。(高橋正子)
★優秀★
駄菓子屋の店先子らの独楽はじけ
七草の夜のしんしん辞書を引く
七草の日はすでに寒に入っていますから、寒さも静けさも、しんしん
と伝わってきます。また、心も集中しています。七草が若やいだ雰囲
気を伝えていて、明るさが感じられる良い句と思います。(高橋正子)
ストーブの向こうに町が揺れている
寒卵はっと黄色の現れし
卵を割ったときの瞬間がよく出ていると思います。「はっと」がい
いですね。(牛庵)
46.寒の入り捨てて捨てれぬ寒さあり/高橋正子
捨てたくても捨てられない寒さ,きっと人とのしがらみではないか
と思います。(武田稲子)
鳥かごに兎も売られ年の暮/不動光子
干支を意識しての事柄ではないと思いますが、ほほえみを覚えるも
のがある反面、人間の意のままにされてしまっているものへの、哀
れみを覚えます。(相原弘子)
蝋梅や暮れ初む街の風にのる
蝋梅の馥郁としたかおりは、暮れかけた空や、寒さの中にあっても、
気品のある豊かさを感じさせてくれます。(高橋正子)
騒がしき街木枯らしが掻き混ぜる
喧噪の「街」と、「木枯らし」の関係を、「掻き混ぜる」という言葉
の意味で結び付けたところを面白く感じました。「騒」と「掻」とい
う2字の字面も楽しいですね。(中川樗枝)
元旦の無言に遠く子らの声
銀河鉄道しんがりを行く雪おんな
ドラマチックで夢があると思います(江田 晋)
賀状来る午前0時の日付打ち
とてもクリスタルな感じの句です。明確な表現が瑣末に陥らず、透明
感を表すことに成功しています。(高橋正子)
子の真似る大人のしぐさ落ち葉焚き
少し前の私のガキの頃を懐かしく思い笑ってしまいました。不謹慎で
すがごめんなさい。(森 隆博)
★入選★
もくれんの芽のふくらみ幹のふくらみ
赤ん坊を抱く腕ふっくら日向ぼこ
かっぽう着四角にたたみ去年今年
草朽ちて空地の柵の抜け口知る
風邪の子の部屋に挿しおく寒椿
冬うらら紅茶に浮かすレモン片
迎春とドアに大きな美容室
川幅を寒の緑へ飛び越える
妻の手の椀を溢れる根深汁
初疾風自転車の子等前傾す
寒卵はっと黄色の現れし
りんとして水仙そよぐ気配なし
買い初めの文庫数冊いいにおい
純白の画布にひとすじ初茜
狭い部屋白いスチームただ無音
■1月句会全作品■
武田稲子
純白の画布にひとすじ初茜銀河鉄道しんがりを行く雪おんな新春や座敷わらしも酔い心地
松井好延
賀状来る午前0時の日付打ち子の真似る大人のしぐさ落ち葉焚きすき間風経済通の講演会
森 隆博
北風の山向こう浮くはぐれ雲
老木のそぉっと包みし雪衣冠
木枯らしのなぐる竹の音側なれば
森 陽子
元旦の無言に遠く子らの声
怠け癖止めしひび入る鏡餅
七草粥残り野菜で無病へと
不動光子
鳥かごに兎もも売られ年の暮
買い初めの文庫数冊いいにおい
亡き友の手編みの膝掛け真っ白く
SH
黒雲を裂きてあかねす大初日
りんとして水仙そよぐ気配なし
病む妻にとどけり孫の初電話
江田晋
やわらかき初風終日(ひねもす)喪にこもる
騒がしき街木枯らしが掻き混ぜる
蝋梅や暮れ初む街の風にのる
高橋正子
初雪の書店明るくさびしくて
初雪を瞳に入れようと見つめいる
寒の入り捨てて捨てれぬ寒さあり
渡邉道朗
初疾風自転車の子等前傾す
書初の墨の香ひと日部屋に満つ
オリオンの少し傾いで野の広し
野上哲斉
初窯や祈る師弟に初明かり
冬の月薄雲やがて引き離す
孫にわが物真似されて初笑い
八木泰子
寒卵はっと黄色の現れし
川幅を寒の緑へ飛び越える
尾びれよき金魚を飼って寒の水
R
ふんわりと女の香残す炬燵かな
日向ぼこ門出る気力失いし
甲高く痩せ犬鳴くや初茜
堀佐夜子
駄菓子屋の店先子らの独楽はじけ
ホーホーと托鉢始む寒の入り
迎春とドアに大きな美容室
建川 茂
大山の霞みて刈田広がれり
桜草花芽伸びゆく冬麗ら
風邪の子の部屋に挿しおく寒椿
寒雀達磨並びて売られ居り
古田けいじ
枕辺へ七草刻む音軽く
妻の手の椀を溢れる根深汁
初雪や街灯斜めに光る中
鳩ア良一
山里の冬の一日白ではじまる
赤ん坊を抱く腕ふっくら日向ぼこ
雷鳴に身を震わせる年の暮
尾田茜
初茜物言わぬ祖母の暖かさ
初空やこのまちみんなぼくのもの
雑煮より逃れて旅路の老夫婦
中川樗枝
白すみれ斜めの陽射しに顔向けて
蜜柑箱に残り六つの寒の入り
草朽ちて空地の柵の抜け口知る
高橋信之
ぜいたくに湯を溢れさす寒き日は
今日が始まる寒灯のわが書斎
白と黒すっきり分けて寒灯し
阪本登美子
装いて帯び上げ高く初鏡
連山の変わることなし初景色
冬うらら紅茶に浮かすレモン片
相原弘子
もくれんの芽のふくらみ幹のふくらみ
かっぽう着四角にたたみ去年今年
七草の夜のしんしん辞書を引く
原 小繭
雪はらいつつ年始の客の訪れし
新雪に足跡かさね鳥居をくぐる
ストーブの向こうに町が揺れている
林 緑丘
子は帰り妻と二人で布団干す豪雪の 地方のニュースや 冬日差し初釜へ 向かう娘に 番茶立て
久保維希子
冬の蜂我が家でそっと羽休め
狭い部屋白いスチームただ無音
初詣去年と願いは同じなり
林 芳福
子は去りて夫と二人でなずな粥
初雪の重みに耐えて老松や
冬の朝顔に触りて 寒さ知る
藤田洋子
しろじろと障子明かりや今朝の春
水仙の香のこぼるるや人を待つ
YH
初句会故郷の母をまねてみて
見上げるとふわり初雪風に舞い
何願う猫に連れられ初詣