更新:1999年2月15日
◆オンライン句会2月入選句◆
【最優秀】
馬鈴薯の紫の芽や寒明ける 中川樗枝
評:寒明けのほっとした気持ちがすぐさま「馬鈴薯の紫の芽」に
春を感じる心となっています。この変化を感じる心こそが俳句の
本命。(高橋正子)
【優秀@5句】
春の雪降り止み山の重なりぬ 八木泰子
評:春の雪が降り止んだあとの静かさが、奥深く詠まれています。
山の重なりがそれを表しています。(高橋正子)
眠る山登れば山の息聞こゆ 鳩崎良一
評:眠るかと思う山も一歩踏み入れれば、確かに生きている気配
を感じます。(高橋正子)
月凍てて踏みしめる地があおあおと 鳩崎良一
評:凍て月と作者と大地が一本の軸になり、そこから広がる宇宙
を感じる。また、おおらかな決意や希望があり、明るくて深い句
である。(八木泰子)
冬晴れて父子向かい合う影法師 鳩崎良一
評:ほのぼのと温かく、しかも(冬晴れて)で全体としてはすっ
きりとした印象があり、好感を抱く一句です。(八木泰子)
遠雪嶺恋びとひとり胸にもつ 高橋正子
評:石鎚の夫を恋人と言うのでしょうね。愛情豊かなカップルが
見える様です。(古田けいじ)
【優秀A5句】
白き鳩春立つ空へ放たれり 藤田洋子
評:なんとも解放感と喜びにあふれた句です。白い鳩は作者のこ
ころそのものでしょう。(八木泰子)
大根をおろす春雪降らすごと 渡邉道郎
評:大根おろしを春の雪に見立て、楽しそうな料理準備が見えて
きました。(古田けいじ)
評:みずみずしい大根おろしのような、みぞれまじりの雪を想像
しました。(中川樗枝)
春灯確かに匂う薄化粧 相原弘子
評:早春の冷え冷えとした部屋にかすかに残る化粧の香りを想像
しました。(渡邉道郎)
蒼天に点と線あり枝垂梅 阪本登美子
評:色彩的にも空間的にも空と梅のコントラストがうまく表現さ
れていると思います。(原小繭)
梅つぼみ青空バックが良いと妻 古田けいじ
評:仲の良いご夫婦が、梅のつぼみのふくらみの愛らしさをカメ
ラにおさめようとしているのでしょうか、あるいはスケッチでし
ょうか。楽しそうです。(八木泰子)
【最高点】
馬鈴薯の紫の芽や寒明ける 中川樗枝
評:寒明けのほっとした気持ちがすぐさま「馬鈴薯の紫の芽」に
春を感じる心となっています。この変化を感じる心こそが俳句の
本命。(高橋正子)
【次点同点7句】
春の雪降り止み山の重なりぬ 八木泰子
評:春の雪が降り止んだあとの静かさが、奥深く詠まれています。
山の重なりがそれを表しています。(高橋正子)
遠雪嶺恋びとひとり胸にもつ 高橋正子
評:石鎚の夫を恋人と言うのでしょうね。愛情豊かなカップルが
見える様です。(古田けいじ)
眠る山登れば山の息聞こゆ 鳩崎良一
評:眠るかと思う山も一歩踏み入れれば、確かに生きている気配を
感じます。(高橋正子)
梅林の香りの中へバス止まる 野上哲斉
評:嬉しい用事のためにバスで来たのでしょうね。ほんのり匂う
梅の木が見えます。(古田けいじ)
切符飲む自動改札寒もどる しまやふゆひと
評:切符飲むという表現、ほんとうにそんな感じですね。寒もど
るで全体が引き締まっています。(八木泰子)
鉄びんの音のみ高し春障子 堀佐夜子
評:鉄びんと春障子、清潔な印象の句です。静かでしかも明るい。
(八木泰子)
窓の雪ほっと一息かけてみる 吉田 晃
評:日常の一瞬の行為ですが、作者の様子がはっきり見えて、読
み手も声をかけてみたくなるような親しみを感じます。(八木泰子)
[全作品]
原 小繭
春の雪幾多の塵をぬぐい去り
雪とけてベンチのほんのり暖かく
皮手帳かたくつめたく二月の朝
古田けいじ
春の昼パスタはちょっとアルデンテ
草青む土手から雀放射状
梅つぼみ青空バックが良いと妻
森 隆博
さまざまに鳥の飛び交う春の恋
古き本落書き新鮮春の光
月の舟春のお宿の山の上
森 陽子
何もかもぼんやり黄砂飛び交って
豆まきに福を呼び込む年の数
地団太を踏み日向ぼこせがむ犬
松井好延
中年の手にチョコレート四温かな
義理チョコの入る抽斗二月かな
雲憎むこともありけり日向ぼこ
中川樗枝
馬鈴薯の紫の芽や寒明ける
なぜか唯一枝に咲く梅の花
じんちょうげミニチュアブーケをちりばめて
高橋正子
石鎚の夫には見えぬ遠雪嶺
穂すすきの枯れのはげしさ星二つ
遠雪嶺恋びとひとり胸にもつ
高橋信之
春入日その輝きを見て帰る
輝きの底がくろぐろ春の雲
沈みゆく速度落として春日沈む
藤田洋子
白き鳩春立つ空へ放たれり
あたたかな雨に木肌の濡れそぼる
雨晴れて萌ゆる匂いの上がりくる
渡邉道郎
大根をおろす春雪降らすごと
大玻璃の中の春日を満喫す
文庫本開けばセピア色の春
西野研一
不知火の海蒼茫と鶴帰る
玄室の春の海漕ぐかいの音
草萌えの武夫原に立つヘルン像
相原弘子
春灯確かに匂う薄化粧
春の来てしんと冷たく石置き場
茎立ちす偽るように晴れ渡り
阪本登美子
うるわしき春日まっすぐ受けて立つ
蒼天に点と線あり枝垂梅
伊予柑や子規の詠みたる城の町
野上哲斉
梅林の香りの中へバス止まる
子等駈ける校庭回る冬日中
早春の光斜めに花時計
八木泰子
春寒の街を包みし正午の鐘
春の雪降って止み山の重なりぬ
雪になる雲低き山を離れずに
しまやふゆひと
春めきて自転車男女相乗りす
安全の旗振る茶髪 春動く
切符飲む自動改札 寒もどる
堀佐夜子
鉄びんの音のみ高し春障子
工事場の点滅ランプ冴へ返る
ヒヤシンスうす紫に匂ひけり
吉田 晃
竹林の風花を受けていて静か
窓の雪ほっと一息かけてみる
この雪の山の向こうの春確か
建川 茂
安らぎて冬日周し公孫樹
六地蔵同じ顔して寒夕焼
社殿裏寒梅の香に巡り合い
鳩崎良一
冬晴れて父子向かい合う影法師
月凍てて踏みしめる地があおあおと
眠る山登れば山の息聞こゆ
2月句会は、2月14日(日)でしたが、
次回は、3月14日(日)です。またのご投句をお待ちしています。