更新:1999年6月17日

◆オンライン句会6月入選句◆


【最優秀】



真新しテーブルクロス今日立夏  椎木英輔

今日よりは夏という日、さわやかなテーブルクロスそれだけでも、すで

に夏が来たという感慨がある。(高橋正子)

立夏の開放感とか新しい季節への期待が真っ白なテーブルクロスによっ

て強調される取合せの妙がある。(津々楽朋子)



【優秀11句】



梅雨晴れ間法被男が棒洗う      西野研一

揺るいでいないのがよい。男の風景である。(高橋信之)



柿若葉川底までもみずみずし     鳩崎良一

柿が若葉するころは、水もゆたかでやわらかい。そんなところに読者は、

日本の風土や作者の心のみずみずしさを感じることが出来る。(高橋正

子)



豆飯の豆よ真ん丸いくつも真ん丸   高橋信之

最も季節を覚えるご飯ものです。青、青、丸、丸と心が弾みます。楽し

い食事です。(相原弘子)



まっすぐに槍飛ぶ六月の太陽     野上哲斉

槍投げの練習でもしているのでしょう。梅雨の晴れ間の眩しい太陽をバ

ックに切っ先鋭くとぶ槍の力強さが、句の力となっていると感じました。

(古田けいじ)



一湾の砂えぐり来る浜神輿      阪本登美子

勇壮な景がうかんでくる。砂えぐり来るがダイナミックな表現だと思う。

(武田稲子)

浜から海へ、海から浜へ、勇壮な御輿が湾全体を練り歩いている。裸足

の足の指にかかる力と躍動が”砂えぐり”ですばらしく表現されている。

(霧野萬地郎)



カヌー漕ぐ琵琶湖の入り日の中へ漕ぐ 古田けいじ

「三高琵琶湖周航の歌」を思わず口ずさんでしまいます。たしか、こが

ねの波にいざこがん 語れ我が友 熱きむね だったしょうか。勿論、

私などラジオかテレビの聞き憶えですが。とても好きですこの俳句。(

堀佐夜子)



田水ゆたか流れるもののかげも運び  高橋正子



古書街の午後は薄暑となりにけり   白石大助



水玉のサマ−ドレスや恋の予感    武田稲子



早苗田も代田も朝の水光る      渡邉道朗



 夏草や一日を風と過ごしけり     安西さゆり



【入選20句】



母と子の白靴並ぶ玄関に/高橋信之

母と子に注がれる作者のとてもあたたかい眼差しを感じます。愛情豊か

な家庭の情景は、読者まで明るくやさしい気持ちにしてくれます。(藤

田洋子)



濃き薄き緑を伝う鳥の声/原 小繭

濃き薄き緑を伝う鳥の声新緑のみずみずしさの中を鳥の鳴き声が駆け巡

る様子が伝わってきます。鳥の鳴き声が「緑を伝う」というのが新鮮で、

心に残ります。(鳩崎良一)



喧嘩して夫は二階に花糸瓜/堀佐夜子

中の良い夫婦ほど良く諍いをするもの。それを受けた「花糸瓜」が効い

ています。まさに俳諧の世界です。(しまやふゆひと)



なめくぢり肉の袴をひきずりぬ/白石大助

じめじめとした梅雨の雰囲気を持つなめくじの動きをとらえ、肉の袴を

引きずると言い放つた表現力がすばらしい。(野上哲斉)



ともしびのような枇杷を剥く土曜/高橋正子



山青き夏の匂いの中にいる/藤田洋子



緑陰やほんとは恐い童話読む/武田稲子



石段があとすこしある薄暑かな/北村勇治



麦秋の中から高層ビルが立つ/古田けいじ



言いかけたまま飲み込んで心太/田中栄子



木洩れ日のさざ波裸の背に揺れる/山口紹子



梅雨走り空気にはかに重さ増し/安西さゆり



夏の夕杜全身で鐘を聞く/原 小繭



見あぐ空花アカシヤの房白く/上出真佐子



万緑の中列車南へとひた走る/しまやふゆひと



夏椿うしろに何か声があり/相原弘子



カミキリのブンと飛び立つ空青し/野田義治



夏富士の裾とどまらず海に入る/霧野萬地郎



夏暖簾掬へる風の廊下かな/神谷和子



薫風と同じ速さでカヌー行く/鳩崎良一





【最高点】



真新しテーブルクロス今日立夏      椎木英輔



【次点2句】



夏暖簾掬へる風の廊下かな        神谷和子



薫風と同じ速さでカヌー行く       鳩崎良一




[全作品]
鳩崎良一

柿若葉川底までもみずみずし雨雲に栴檀の花明明と薫風と同じ速さでカヌー行く


山口紹子

音もなくけふも灯す薔薇の窓木洩れ日のさざ波裸の背に揺れる雨の窓紫陽花の青モザイクに


安西さゆり

梅雨走り空気にはかに重さ増し夏草や一日を風と過ごしけり雲の峰1400キロを運転す


原 小繭

夏の夕杜全身で鐘を聞く南天の花包み込む雨滴濃き薄き緑を伝う鳥の声


山岸照子

かたつむり紫陽花の葉が揺らすなり暑き午後淡路名物びわアイス淡い線蛍飛び交う夜空かな


森 隆博

紫陽花を道の辺の石に腰掛けて草の葉も彩りをもち梅雨の入り夕立の急がぬところ濡れて何


吉田 晃

どの子にも輝く芽ある夏の風

夏大根肩の丸みの夕暮れる

青梅雨の白鷺の木を濡らしけり


上出真佐子

見あぐ空花アカシヤの房白く

さくらんぼぽつりぽつりと梅雨ごもり

ケロケロと呆け蛙の散歩径


高橋信之

網戸抜けて街灯の明かりと風母と子の白靴並ぶ玄関に豆飯の豆よ真ん丸いくつも真ん丸


菊地茂邦

びわの味これはおいしい雨まみれすすきのほまくらのようにあったかい


高橋正子

早苗田にはやもさざなみ寄せている田水ゆたか流れるもののかげも運びともしびのような枇杷を剥く土曜


小栗顕二

ほととぎすけなげに一夜啼き通し水はりて日毎に蛙鳴き競う水田の蛙鳴き止み闇寂か


藤田洋子

差し伸べる籠の重さや枇杷の実よ梅雨夜空またたく星を見つけたり山青き夏の匂いの中にいる


神谷和子

蟻二匹大樹どこまで登かな睡蓮の水暗くして今盛り夏暖簾掬へる風の廊下かな


武田稲子

水玉のサマ−ドレスや恋の予感水てっぽう夫の背中をねらい撃つ緑陰やほんとは恐い童話読む


野上哲斉

まっすぐに槍飛ぶ六月の太陽若人ら秒差を競い風薫る半世紀ぶりの再会若葉雨


山岸忠信

ひと夜明け山並み遙か梅雨の入り水芭蕉水玉まとい肩寄せてひと色の狭き菜園茄子の花


阪本登美子

紫陽花の雨にふくらむ藍ふかし一湾の砂えぐり来る浜神輿青梅雨やピカソの藍の絵とおのきて


野田義治

長雨にしばし仮眠の蝸牛梅雨空に妙なる匂い栗の花カミキリのブンと飛び立つ空青し廃屋の軒にも来ぬるつばくらめひし草のかすかに揺れてみじすまし


渡邉道朗

早苗田も代田も朝の水光る夏帽の腰に手をあて田水見る休耕の田にも等しく梅雨の雨


しまやふゆひと

我が上空梅雨前線停滞す雨音に囲まれ不眠五月闇万緑の中列車南へとひた走る


北村勇治

石段があとすこしある薄暑かな通販の小包届く衣更え朝暗き六月の川賑わえり


古田けいじ

カヌー漕ぐ琵琶湖の入り日の中へ漕ぐ青春の熱気を解く曝書かな麦秋の中から高層ビルが立つ


相原弘子

夏椿うしろに何か声があり梅雨さ中ふとした時に雲は湧きコスモスの苗の細さが水もらい


前野一夫

紫陽花や地に着きそうに返り泥休耕田僅かに浸す余り水生け垣は生け垣兼ねて新茶摘み


野田ゆたか

口車乗せられ茅の輪くゞりけり五月闇父の聞く耳見あたらず水攻の城を浮かべて夕植田


西野研一

雲の影這う高原の夏薊梅雨晴れ間法被男が棒洗うオアシスの花嫁の舞う青葉中


白石大助

母の日の近況報告やや偽る古書街の午後は薄暑となりにけりなめくぢり肉の袴をひきずりぬ


霧野萬地郎

夏富士の裾とどまらず海に入る累々と水子地蔵や濃紫陽花青芝の盛り上がりたるもぐら道


椎木英輔

真新しテーブルクロス今日立夏アンバーの中には羽虫五月闇蛇莓一眼レフが音立てる


堀佐夜子

同じ道同じ時間の日除け帽次の世も一緒に居たし遠花火喧嘩して夫は二階に花糸瓜


田中栄子

言いかけたまま飲み込んで心太雷の光る同時に音のして紫陽花を生けて着替えて書道展


城本三舟

一雨の来るらし蛙合唱す一雨の来るらし風鈴鳴りやまず降るらしや物干しの先雨蛙


6月句会は、6月13日(日)でしたが、
次回は、7月11日(日)です。またのご投句をお待ちしています。
作者不明の方は、お名前をお知らせ下さい。

俳句雑誌水煙

入選句
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