次回は10月10日(日)です。
◆オンライン句会9月入選句◆
【最優秀】
山積みの新米売り場訛りあり 前野一夫
米どころから運ばれてきた山積みの新米を売る店の中で話され
る訛りは、日本の決して失われることのない原風景。日本人で
あれば、誰もが懐かしい思いを抱くであろう。(高橋正子)
【優秀10句】
スケボーのくるりと宙に終戦日/北村勇治
終戦日の対極に,アメリカ西海岸の若者文化の典型である
スケボーを置く作者の感慨は,意外と,からりと乾いて
明るいのではないか。共感を覚えます。(伊嶋高男)
戦後半世紀、くるりとまわったスケボーの奥に昭和が続い
ているそんな感じの俳句です。くるりとまわったそらはあ
の時同じ色。そして、その暑さも同じです。一瞬時間が止
まったその感じがよく表現できていると感じました。現代
的な俳句です。このような句を小生も詠んでみたいもので
す。(栗山豊明)
スケボーを心から楽しめる平和。スケボーの描いた弧の先
の空には戦争にまつわる(空襲などの)記憶。肩に力の入
らない表現が好きです。(井上痴庵)
月上る大海原の真ん中に/藤田洋子
風景を真正面からとらえた率直な句ですね。輝く月と青く
暗い海との対比が印象的です。(高橋正子)
十六夜の誰にも言えぬ恋をして/片平奈美
素直さがいい。この素直さを季語の「十六夜」が引き立た
せた。(高橋信之)
"誰にも言えぬ恋”とは気になりますね。 十六夜の月を見
ながら、はて、どの様なストーリーをめぐらしますかな。悲
劇にならんことを祈ります。(松井好延)
青空の青深まりて桔梗咲く/金井ひろみ
桔梗の花の色は、初秋を象徴していますね。空の色も、い
よいよ青く深くなって、時の移る様が見てとれるようです
。 (高橋正子)
大き葉を地上に拡げ芋太る/高橋信之
力強く、確かな生命力が感じられるリアルな句です。(高橋正子)
爽やかや昇る日に向く窓を開け/神谷和子
星の数増えて今年も秋来たり/霧野萬次郎
酒蔵の黒塀高しうろこ雲/西野研一
収穫のぶどう小さき手に包まれ/吉田 晃
文月の電子メールは空より来る/高橋正子
【入選14句】
新米の匂いも回る精米所/霧野萬次郎
大変大事なものが、身辺に増えた思いです。(相原弘子)
新涼や土人形のつぶらな瞳/西野研一
つぶらな瞳の土人形は、不思議に見る人々に安らぎを、そ
して涼しさを与えたのでしょう。(野上哲斉)
秋高し人みな小さく忙しく/神谷和子
私もよく、山に登り、このような心境で町や村を、見下ろ
す事があります。私も、この句の中の1人です、出来るも
のならのんびりと、くらしたいですね。(北村勇治)
敬老の日を待ち侘びて薄化粧/城本三舟
薄化粧が待ち侘びる気持ちをさらに強めています。(武田稲子)
何時迄も青春の気持ちを持ち続けておられ、毎日を明るく
楽しく健康で過ごしてをられる様子が目に浮かびます、お
元気で。(人見忠雄)
流人島見ゆる峠の花むくげ/西野研一
「槿花の一日の栄」が、高いところ(峠)から人社会を比喩
しているようでおもしろい。(野田ゆたか)
桃をむく白い指先ピアニスト/田中栄子
白い指先というからには女性ピアニストだろうか。
桃のピンクと指先の白がマッチし、優しい句になった。ピ
アニスト、指先の桃、とそれを見詰める人。絵を想像しま
す。(古田けいじ)
携帯の届かぬ宿のきのこ飯/北村勇治
旅先で自分の時間を取りもどし、心安らいだことだろう。(阪本登美子)
防人の地に湧き生れる秋茜/井上痴庵
丈見せて揺れては軽いものら秋/相原弘子
新涼やがらくた市にオルゴール/山口紹子
もろこしの焼くる匂いよ遠い日よ/金井ひろみ
昼の顔知るよしもなしビルの月/野田ゆたか
防人の地に湧き生れる秋茜/井上痴庵
コスモスの海を渡りし風の旅/武田稲子
【最高点/同点2句】
山積みの新米売り場訛りあり/前野一夫
秋高し人みな小さく忙しく/神谷和子
[全作品]
栗山豊明
採点の筆音続く夜長かな
唇を噛み締めてをり鰯雲
勘当を解かざるままの星月夜
安西さゆり
秋簾こちらを覗く人のあり
天高し窯焚く煙つくづくと
朝の風どんぐり落とす青きまま
野上哲斉
鈴虫の声佛心のひびきあり
長い髪細い指そして風の秋
棒倒す砂塵観客テントまで
高橋正子
青ポプラまたふたたびの秋の朝
文月の電子メールは空より来る
夏海のくもりて宗谷の花は黄に
作者不明
銀色を讃え秋刀魚の光濃く
地へ地へと夏草の根っこ乱れ生き
張り戻し鳴く声響き今朝の秋
大本晶子
街路樹のさえずり籠る秋の夕
稲光しおに本置く夜半かな
墓参り燈し火遠く消えやらず
古田けいじ
公園の闇の高みごと虫の声
定年へ100日を切る秋初め
我もまたバラ科の花ぞ吾亦紅
山岸忠信
山道や額にふれし蛍草
秋蝉や波紋流るる布の滝
風見鶏つま立ちし子ら秋桜
高橋信之
芙蓉咲く蕾のなかの一つが咲く
大き葉を地上に拡げ芋太る
えのころの穂のやさしさで風にゆれ
森 隆博
牛小屋の臭さも無くて空高し
原点はすなおな気持ち薄の穂
ここからと竹伐る職人の静かな日
北村勇治
朝霧の外湯巡りやブナ分けて
携帯の届かぬ宿のきのこ飯
スケボーのくるりと宙に終戦日
伊嶋高男
秋霖の上空は夕焼け垣間見る
鳴きやみて逆さに落ちる秋の蝉
薄紅葉さくらの幹の黒々と
武田稲子
秋まつり知らない町を抜けて行く
コスモスの海を渡りし風の旅
病む地球慰めているいわし雲
神谷和子
秋高し人みな小さく忙しく
爽やかや昇る日に向く窓を開け
捕へんとすれば又飛ぶばったかな
井上痴庵
木遁の免許皆伝せみしぐれ
防人の地に湧き生れる秋茜
太古より押し寄せる波秋彼岸
阪本登美子
日を浴びてダムとなる里山の秋
蜩や雨後の静寂ほしいまま
酔芙蓉一ト日の幸のたしかさよ
西野研一
新涼や土人形のつぶらな瞳
酒蔵の黒塀高しうろこ雲
流人島見ゆる峠の花むくげ
人見忠雄
赤とんぼ露風偲びて歌碑めぐる
出番待つ案山子の一家衣装持ち
秋簾茶席招かれ侘の庭
蓮井浩哉
街の田や案山子もネクタイ締めて立ち
梨園や赤き幟の新しき
迎え火や過疎の村道童影
前野一夫
訓練に声の明るさ防災日
山積みの新米売り場訛りあり
じゃんけんで鋏に勝てり桃大小
岩本喜代子
オホーツク飛機で超え行く夏の旅(旅初日)
風死すやナチの爪痕見て佇てば(マウトハウゼンにて)
楽流るるシェーンブルンの夏うつつ(ウイーン)
建川 茂
せいれいの群れ飛ぶ朝となりにけり
蜩の憂いを叩く心地して
秋祭り鬼子の顔も楽しげに
松井好延
草の名を訊ねたりして墓参り
ハイキング気分の足どり墓参り
ユーモアの通らぬ妻の藪からし
藤田洋子
海道を初秋の風が吹き渡り
月上る大海原の真ん中に
金色のさざ波が立つ月の海
渡邉道朗
かまつかの紅を支える茎の紅
弁当のレシピ広げる夜長かな
珈琲の香り新たに秋の風
相原弘子
丈見せて揺れては軽いものら秋
香がしまる林檎二つに割った時
白粉花スクールバスに下校生
田中栄子
秋の灯や玄関のベル待つてをり
「満月」と優柔不断な男が云ふ
桃を剥く白き指先ピアニスト
脇本柾木
羽脈打つ黒き命の盆とんぼ
山水の閼伽井溢るる竹の春
お母さんほらほら見てよ吾亦紅
山口紹子
新涼やがらくた市にオルゴール
白粉花気ままに生きし人のこと
ひとやすみして高まりぬ虫の声
片平奈美
十六夜の誰にも言えぬ恋をして
夢咲きし煌びやかなる蘭の花
秋の音彩り深き山の峰
城本三舟
夕焼けや赤に染まりて赤トンボ
沈む陽や真っ赤に燃えて曼珠沙華
敬老の日を待ち侘びて薄化粧
野田ゆたか
仲間らの顔引締まる九月かな
昼の顔知るよしもなしビルの月
長き夜や煙草切らしてより欲しく
金田勝利
疑うを知らず寄りくる秋あかね
拡張の道に最後の柿実る
ひぐらしや母の呼ぶ声忘れ得ず
柳沢公明
竿先にとんぼ止まりて小半日
金井ひろみ
青空の青深まりて桔梗咲く
もろこしの焼くる匂いよ遠い日よ
夢語る友の肩越し昇る月
霧野萬次郎
秋に入る湘南の海島一つ
星の数増えて今年も秋来たり
新米の匂いも回る精米所
堀佐夜子
稲光りして部屋の闇あばかるる
天空に架橋有るかや鳥渡る
今頃は安曇野あたり虫の宿
吉田 晃
収穫のぶどう小さき手に包まれ
口いっぱい大きなぶどう甘い顔
「まって〜」「わ〜い」大きな秋の運動場
作者不明
赤とんぼ追われて戻る指の先
かなかなや語り尽くせぬ時の花
しらぬまに小石見えてる秋の川
9月句会は、9月12日(日)でしたが、
次回は、10月10日(日)です。またのご投句をお待ちしています。
作者不明の方は、お名前をお知らせ下さい。