次回は11月14日(日)です。
◆オンライン句会10月入選句◆
【最優秀】
稲の穂の光の中に吾子生まる 金井ひろみ
生れた子の清らかさがよく伝えられている。稲の穂の豊か
さの中にしずかにわく喜びが感じられる。 (高橋正子)
【優秀10句】
無人駅過ぎて花野となりにけり/安西さゆり
風景と一つになった作者の姿が見えてくる。無理がない。
季語、切れ字がしっかりしているので、俳句としての力
を得た。(高橋信之)
音楽会コスモスだけの花束を/阪本登美子
盛会であること、そして盛会であったことへの心のこもった祝福
が伝わってきます。(相原弘子)
父の忌の月光屋根を濡らしけり/山口紹子
「屋根を濡らす」がいい。月光はありきたりではな
く父からの便りのように届いて、残る者たちの屋根
を濡らしているのである。(高橋正子)
入浴剤ふわぁと溶けて菊月夜/堀佐夜子
「菊月夜」とは美しい。入浴剤の香りが心身を伸び
やかにしてくれる。(高橋正子)
新米のほのかに故郷の香をはなつ/有吉孝史
故郷からの届けられた新米であろうか。よい香りが
する。それを技巧なく自然体で詠んでいるのがいい。
(高橋正子)
薄にもその在りようの風が吹く/高橋信之
目に見えない風を、薄が素直に表現してくれる。秋の爽快
な情景が目に浮かびます。(霧野萬地郎)
その在りよう−面白い表現で妙に説得力がある。なるほど
こんな言い方があるのかと感心しました。(武田稲子)
丘を越え気球の運ぶ秋の色/霧野萬地郎
秋のさわやかさと、楽しさが明快に詠まれている。(高橋正子)
振り上げし双手の先は秋の空/山岸忠信
新米の湯気の香りもいただけり/藤田洋子
赤とんぼ湖の半分暮れている/山口紹子
【入選20句】
秋の日のせり上がり来る水平線/神谷和子
穏やかだが、内に力秘めた句。秋らしい。(高橋信之)
秋風の髪を吹き上ぐことうれし/高橋正子
長い髪を秋風にゆらし、さっそうと歩く人の姿が
目に浮かびます。とてもすがすがしい光景です。(阪本登美子)
風吹いてますます今日の天高く/高橋信之
風が天の蒼を研いで、いよいよ秋が深く澄んでいく
感じがいい。(高橋正子)
キャミソールに薄くはおりて街は秋/安丸てつじ
夏から秋へ。肌をうすく覆うものがほしいころの季
節のうつろいをよく伝えている。その時のうつろい
を感じる心がいい。(高橋正子)
四つ手網掬い揚げたる鰯雲/西野研一
大きな獲物ですね・・柴又の「寅さん」でも出て来そうな、
爽やかな景色が目にうかびます。(北村勇治)
秋蝶の睦みて天に消えにけり/西野研一
先ほどから、つがいの蝶が視野の中で動いている。
ふと気が付くと、蝶は消えて、青空に白い雲が浮かんでいる。
秋日和の午後のひととき。(伊嶋高男)
今日のこと妻話しつつ梨剥けり/前野一夫
我が家の夕食後の光景と同じ。
ありふれた日常ではあるけれども
貴重な、くつろぎのひとときですね。(福田由平)
秋風や衣一枚酒一杯/城本三舟
淡々と無欲に、しかし毎日の暮らしに幸せを感じて生きて
おられるそんな作者の心に共感を覚えて。(山口紹子)
吾亦紅遠く近くに山があり/金井ひろみ
風景写真か水墨画を見ている様です。(堀佐夜子)
木守柿この道むかしバス通り/堀佐夜子
柿を一つだけ木に残しておく風習は何となく懐かしいですね。
むかしバス通りというのも懐かしさを際立たせます。(安丸てつじ)
嬉しくて菊を抱へて職場まで/野田ゆたか
「嬉しくて」と、素直に言えるのがいい。明るい職場、
明るい家庭が何よりである。(高橋信之)
秋蝶の天より散りしごと降りる/渡邉道郎
恋に落ち夜間飛行で秋の旅/片平奈美
アメリカのホテルのバーの破れ芭蕉/川畑 保
初卵のその小さきを今年米/伊嶋高男
スポーツカー横付けにされ月の宿/じん
鈴虫に話しかけたり児と居れば/佐藤霜魚
遊覧船水尾ひろげて水の秋/北村勇治
万人の触れたる手すり寺紅葉/松井好延
水に入れて切るコスモスの青い匂い/高橋句美子
【最高点】
無人駅過ぎて花野となりにけり/安西さゆり
【次点】
新米のほのかに故郷の香をはなつ/有吉孝史
[全作品]
神谷和子
時折は礁を越えし秋の潮
秋の波音なき時のありにけり
秋の日のせり上がり来る水平線
高橋正子
さわやかや牛乳粉に混ぜるとき
少女らの胸が御輿に行き逢えり
秋風の髪を吹き上ぐことうれし
高橋信之
秋日沈みゆくところ坂急になる
薄にもその在りようの風が吹く
風吹いてますます今日の天高く
北村勇治
遊覧船水尾ひろげて水の秋
人恋ふる一句に出会う秋思かな
秋鯖をパールに装う指が買う
武田稲子
裏木戸を開けて待ちおり十三夜
反戦を説く友といて鰯雲
鰯雲落としたうろこが見つからぬ
安西さゆり
無人駅過ぎて花野となりにけり
網棚の葡萄の箱より房こぼれ
足下の栗の実一つ蹴る朝
井上痴庵
謳歌とは君の生き方葉鶏頭
天守閣琵琶湖に秋が遊んでる
眼の端に無口な男濁り酒
阪本登美子
虫時雨一筆箋に一行詩
音楽会コスモスだけの花束を
今朝の空掃き清めたる鰯雲
西野研一
四つ手網掬い揚げたる鰯雲
秋蝶の睦みて天に消えにけり
遠き日の手旗訓練秋の浜
前野一夫
輪の中に懐かしき顔秋祭り
初校終へ風を入れたり碇星
今日のこと妻話しつつ梨剥けり
建川 茂
吹き落とす空蝉一つ秋の風
居待月暗き家並みを照らし居り
曼珠沙華なぜか悲しき母のこと
藤田洋子
鐘が鳴る秋の空気の学びやに
新米の湯気の香りもいただけり
炊き立ての色ころころと栗ご飯
渡邉道朗
秋蝶の天より散りしごと降りる
長椅子に寝て秋天のやや高し
猫車ぽつんと刈田広がれる
相原弘子
心地よい気流枝豆もいでゆき
とろろ汁夕日ひとつを見て帰り
玻璃戸から秋冷灯りへ流れ寄り
田中栄子
湯上りの子が逃げ回る桃は実に
「宇治十帖」紐解く夜の長ければ
旅土産猫にも摘んで猫じゃらし
山口紹子
赤とんぼ湖の半分暮れている
つっかけでポストまで行く良夜かな
父の忌の月光屋根を濡らしけり
片平奈美
秋風に揺らぐ心を見透かされ
水鏡忘れ去る日のめぐる秋
恋に落ち夜間飛行で秋の旅
城本三舟
秋風や衣一枚酒一杯
栗ひろい腰まがりたる老母かな
天草や悲しみの色曼珠沙華
野田ゆたか
柴犬のぬつと現る蘆の中
嬉しくて菊を抱へて職場まで
一つもぎ爪で皮剥く熟柿かな
金井ひろみ
稲の穂の光の中に吾子生まる
おさな子の寝息正しや秋の夜
吾亦紅遠く近くに山があり
霧野萬次郎
丘を越え気球の運ぶ秋の色
あと少し風と過ごそう葡萄棚
散髪をして襟元に秋を触れ
堀佐夜子
入浴剤ふわぁと溶けて菊月夜
木守柿この道むかしバス通り
自転車のブレーキの鳴る穴まどい
さな
天高く肥えた猫のおおいびき
始皇帝月見て何を考える
友達と月見しながらばか話
川畑 保
アメリカのホテルのバーの破れ芭蕉
無意識の独白ならず秋の空
秋の空赤ワイン注ぐあなたの手
伊嶋高男
聖橋後れて時雨れる神田川
金木犀漂うあたりの水の音
初卵のその小さきを今年米
森本君子
倒伏の稲田をたたく雨つぶて
二階家の隅まで鳴いて昼の虫
大台風老母は雨戸を開けたがり
福田由平
山路ゆき朽ち葉の上に紅葉舞い
山や川見飽きぬ渓は紅く燃え
なにやらん秋の夜風に気もそぞろ
じん
指さして海のあたりを月の宿
スポーツカー横付けにされ月の宿
石垣にへのへのもへじ萩の花
PK
栗ご飯白き中にも月一つ
秋の夜に鳴り止まぬかな腹の虫
柿の色紅葉の色より気にかかり
佐藤霜魚
懺悔懺悔(さいぎさいぎ)山に木霊す秋好日
鈴虫に話しかけたり児と居れば
秋桜や歩けば止まる屈癖
堰堤
空の魚篭背負って二人の秋日和
コスモスの咲いて週末予定無し
西の日に尾花の光る釣帰り
森竹智則
夕焼けの薄き日の雲軽く浮く
稲稔る段々畑の色揃う
黄熟を促す側に水の秋
江田 晋
なにか今日いいことありそう秋桜
口笛の「月の砂漠」で良夜なる
億年を刻む潮騒星月夜
古田けいじ
遠回りコスモス畑に会いに行く
コスモスに埋もれて風と蝶と居る
やわらかし旅の仲間ときぬかつぎ
安丸てつじ
ふるさとはそばどころなり百舌の鳴く
嵐来る前の静けさ曼珠沙華
キャミソールに薄くはおりて街は秋
森 隆博
また起きて見上げる雲に月の雨
秋祭りついでの良さに大きい空
鳥もいて稲架のかたずけ終える頃
山岸忠信
銀杏や空にふさふさ色づきて
振り上げし双手の先は秋の空
苦瓜や笹に届けり蔓のひげ
松井好延
運動会新人先生突っ走る
無人駅大混雑の曼珠沙華
万人の触れたる手すり寺紅葉
高橋句美子
木漏れ日が眼鏡に当たって線となる
水に入れて切るコスモスの青い匂い
大森裕子
二百十日を遠き便りに見て知れり
戯れに素足で歩く苅田道
秋刀魚焼く煙り見上げる帰り道
有吉孝史
栗の実の甘きを煮つめ黄金となる
秋刀魚焼く凛としていて煙りたる
新米のほのかに故郷の香をはなつ
新保凡舎
そこの猫われを見知るや宵の月
落ち武者を風が急がすすすきかな
結び目を風に解かれて曼殊沙華
10月句会は、10月10日(日)でしたが、
次回は、11月14日(日)です。またのご投句をお待ちしています。
作者不明の方は、お名前をお知らせ下さい。