◆オンライン句会11月入選句◆
【最優秀】
明けの空見つめ直して流れ星 森 隆博
「明けの流れ星」が新鮮だ。日常の生活を「見つめ直して」、感動がある。
(高橋信之)
【優秀10句】
底抜けの空を賜り球根植う/堀佐夜子
良い芽がでるようにと願う作者の気持ちが伝わってきます。(阪本登美子)
故郷に海在らざりし小豆干す/渡邉道朗
「故郷に海在らざりし」は、述懐。心深い思いが「小豆干す」で日向の明る
さに浮かび上がった句。海がなくして、海を印象付けている。(高橋正子)
大豆撰るころころさせて又させて/相原弘子
大豆を撰るということは、思いのほかデリケートな作業です。大豆の愛らし
い一粒を丁寧に撰ろうとすればするほど、あっちへころころこっちへころこ
ろと逆に上手くいかなくなってしまうのです。この「ころころさせて又させ
て」という表現の仕方が、愛らしい大豆の姿を思い浮かばせる心楽しい一句
です。(有吉孝史)
秋山を背にして憩う午後のティー/中山稔子
錦秋の色をカップに映して。なぜか、ミルクティーではもったいないような
気がします。(伊嶋高男)
台風過船は静かに水吐けり/野上哲斉
昨夜のうちに通り過ぎて行った台風。今日は静かな秋の風景。秋の静かな光
の中で、船の胴から流れ落ちる水音だけを聞いている。(脇坂公司)
球根を抱き小春の土匂ふ/山口紹子
来春、咲く花を思い、楽しむ心が伝わって来ます。小春日と土の匂いがすば
らしいこの句の舞台だと思います。(霧野萬地郎)
どんぐりを二個ずつ持てり姉妹/金井ひろみ
歳月を踏んできた姉妹が思われる。何を言わなくとも、お互いの全てがわか
っている。(相原弘子)
朝毎に菊と飲む水分かち合ふ/椎木英輔
秋なすの紺の重さに雨の降る/高橋信之
葱刻み今朝のかおりの一番目/高橋正子
【入選26句】
初めての銃撃ち硝煙のうそ寒し/霧野萬地郎
熟れ柿や夕焼けこやけバス乗り場/北村勇治
オカリナや木の実降る森のコンサート/E.M.
秋潮に円を描きて小魚群れ/山内宏子
冬木立笛吹く子等の風の道/阪本登美子
さまざまな音が暮れゆく冬の川/伊嶋高男
蝗飛ぶ足もとの草深く揺れる/前野一夫
銀杏落ち葉水車へ続く溝へ投げ/古田けいじ
音たてて曲がる電車に銀杏散る/野上哲斉
立冬の海にとけゆく入り日の色/野上哲斉
秋の夜のコーヒーに描くミルクの輪/江田 晋
朝の星鮮明に見え冬に入る/脇坂公司
城壁のパッチワークや蔦かづら/野田ゆたか
今日の日の秋を探しに歩き行く/有吉孝史
新蕎麦を啜りて老ひの喉澄めり/雛すもも
あかね雲空にほどけて芙蓉の実/篠崎智恵子
四肢伸ばす露天の風呂に落ち葉かな/守屋光雅
白鷺の群れて大山雲の秋/建川 茂
野を行けばすすきの揺れに招かれて/藤田洋子
落ち葉掃く吾のその肩にまた一葉/安西さゆり
出会う日も別れも萩の風の中/臼井芳子
べべ着ると楚々と優しい七五三/目見田郁代
無為自然老荘を読む夜長かな/安丸てつじ
諸子百家の超越した世界への憧れが読み込まれている。懸命に漢文を読まれ
ている姿が浮かびます。(守屋光雅)
湯豆腐の身震ひするをすくひけり/山口紹子
日の落ちるのも、めっきり早くなりました。冬の寒い一日の湯豆腐と言えば
、そのぬくもりだけで、素晴らしいご馳走になります。当り前の日常を、当
り前に句に表現することは、実は、とても難しいものです。湯豆腐をすくうそ
の姿を、「身震ひする」と詠まれたところに、親近感を持ちました。
(有吉孝史)
立冬の日脚のたりと六畳間/椎木英輔
今頃は丁度六畳間がピッタリですね。狭くなく広すぎず何をするにも日差し
一杯受けて良いですね。(堀佐夜子)
しらしらと桜落ち葉を踏んで経/相原弘子
静かですね。しらしらと夜の白む頃、ひとり歩む野道。かすかに朝霧ももや
っていたかも知れません。朝露に濡れた落ち葉を踏みしめる音が聞こえてき
そうです。身も心も新鮮に目覚めさせてくれるひんやりとした朝の空気が伝
って来そうに感じられました。(福田由平)
【最高点】
大豆撰るころころさせて又させて 相原弘子
【次点】
朝毎に菊と飲む水分かち合ふ 椎木英輔
[全作品]
神谷和子
渓紅葉川ゆるやかに激つ瀬に
大いなる碑一つ片紅葉
一と時雨ありたる朝の山の色
高橋正子
かりん熟れとつぜんのようにE-メール
葱刻み今朝のかおりの一番目
海灯る冬霧海を隠したれば
高橋信之
冬ばら匂いくる雨の日の遠くから
真っ先に落葉している桜の樹
秋なすの紺の重さに雨の降る
北村勇治
熟れ柿や夕焼けこやけバス乗り場
山霧の中を地蔵と行き違う
嬉しそにおかめが肩に酉の市
安西さゆり
落ち葉掃く吾のその肩にまた一葉
湯豆腐の湯気に口数増えて来し
蒼天にシュールに遊ぶ秋の雲
阪本登美子
団欒の窓辺に紅き濃紅葉
冬木立笛吹く子等の風の道
野紺菊壷に一輪朝の風
建川 茂
曼珠沙華露の瓔珞纏けり
白鷺の群れて大山雲の秋
秋雨の頬骨冷ゆる日暮れ時
藤田洋子
野を行けばすすきの揺れに招かれて
書を読みて午後ひそやかに菊匂う
散り敷きる落ち葉の音を踏みしめる
渡邉道朗
故郷に海在らざりし小豆干す
カーブミラー中に小さく秋夕日
銀杏降る小さな木より小さな葉
相原弘子
しらしらと桜落ち葉を踏んで径
神の留守小さな橋にも名がありぬ
大豆撰るころころさせて又させて
山口紹子
球根を抱き小春の土匂ふ
湯豆腐の身震ひするをすくひけり
立冬やこの道つづく埠頭まで
城本三舟
朝寒や小学小雀賑やかに
立冬や小雀朝から喧しく
立冬や電線の小雀着ぶくれて
野田ゆたか
供養にと持たされし傘夕時雨
城壁のパッチワークや蔦かづら
釣人は意固地なものよ時雨川
霧野萬次郎
風下へ呆けたように冬の蝶
寒月の光と影なす獄の塀
初めての銃撃ち硝煙のうそ寒し
堀佐夜子
底抜けの空を賜り球根植う
小春人道を隔てて呼び合いぬ
夜咄や夫の青春懺悔聞いてをり
伊嶋高男
午後の駅ショールの女の抜衣紋
さまざまな音が暮れゆく冬の川
鴛鴦の雌の眦(まなじり)うかうかと
篠崎智恵子
あかね雲空にほどけて芙蓉の実
梅擬しぐれては彩鮮やかに
茶の花や西に富士聳つ里に棲み
守屋光雅
四肢伸ばす露天の風呂に落ち葉かな
梵鐘にかすかに寝覚め肩寒し
鶏鳴に起きて餌切る悴む手
森 隆博
後に来る人にも優し帰り花
是からは日暮れを待てる猟の山
明けの空見つめ直して流れ星
有吉孝史
息切れの間の一風や落葉散る
今日の日の秋を探しに歩き行く
行く人の楽しき顔や秋祭り
目見田郁代
べべ着ると楚々と優しい七五三
街路樹の銀杏眩しい昼さがり
落葉舟流れの速さに歩を合わす
中山稔子
秋山を背にして憩う午後のティー
霧深き神入りの宮秋祭り
遠めがね主人と仰ぐ十三夜
山内宏子
秋潮に円を描きて小魚群れ
大川に風船飛ばし文化の日
秋空や椅子にゆられて仏見る
三好喜久子
吹く風に香り爽やか金木犀
お縁側障子に映る紅葉かげ
立冬の木立の銀杏黄金色
福田由平
秋や秋オランジュリー展の人いきれ
小春日や汗ばむ陽気の紅葉狩り
弁当売り時雨に傘のオフィス街
古田けいじ
銀杏落ち葉水車へ続く溝へ投げ
格子戸の花筒山茶花今日も活け
天窓へ囲炉裏が煙る妻籠宿(つまごじゅく)
安丸てつじ
少年の蛇見る眼竜の玉
無為自然老荘を読む夜長かな
襟元のスカーフさやか秋桜
山岸忠信
秋空のグランドゴルフ玉走る
木犀のほのかな匂い靴の先
椎木英輔
朝毎に菊と飲む水分かち合ふ
立冬の日脚のたりと六畳間
ここ都会死語となりたる虎落笛(もがりぶえ)
西野研一
少年のくんち草履の紅鼻緒
断崖のブーケとなりし野菊かな
野の錦羽織りて山の温泉に浸る
片平奈美
マロニエの木の下で待つ秋日和
さよならも言わず別れの夜寒かな
夢の中冬霧深しめぐり逢い
前野一夫
蝗飛ぶ足もとの草深く揺れる
紅葉風山ひとつ人ひとりあり
紅葉色辺りに消えて夜試験
臼井芳子
出会う日も別れも萩の風の中
選外の菊の花名は美女の舞
一の巻終り二の巻読む夜長
雛すもも
今年酒満ちて臍まで焼かれけり
新蕎麦を啜りて老ひの喉澄めり
急ぐ秋急がぬものに旅の路
E.M.
街燈の切れ掛かってゐる暮の秋
女子大の門よりブーツの波生まれ
オカリナや木の実降る森のコンサート
井上痴庵
恋をする天使と悪魔虎落笛
湿原の西日をためて草紅葉
夜は闇ばかり濃さ増す紅葉谷
金井ひろみ
陽だまりに道祖神と秋惜しむ
どんぐりを二個づつ持てり姉妹
四五軒の家寄り添えり秋の暮
江田 晋
秋桜や夫婦たわいもない会話
秋の夜のコーヒーに描くミルクの輪
観覧車ゆるゆるのぼる雲の秋
野上哲斉
音たてて曲がる電車に銀杏散る
立冬の海にとけゆく入り日の色
台風過船は静かに水吐けり
脇坂公司
マンションに鳴いてすでに冬の虫
朝の星鮮明に見え冬に入る
11月句会は、11月14日(日)でしたが、
次回は、12月12日(日)です。またのご投句をお待ちしています。
作者不明の方は、お名前をお知らせ下さい。