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◆オンライン句会12月入選句◆


【最優秀】



大根を洗えば白しみずみずし  山内宏子

「白し」、「みずみずし」と、畳みかけたところがよい。「し」の音の快い

リズムは、冬の清冽な風物にふさわしく、日常の生活に張りがある。

(高橋信之)



【優秀11句】



地雷なき落ち葉の原や孫と行く/古田けいじ

一面の落葉の下には、何か不思議なものがありそうな感触。平和な世であれ

ば、落葉の下の下までの自然を信頼してよい。孫の世の平和を願う、静かで

温かな心情が伝わってくる。(高橋正子)

東南アジアのある国では、未だに脚を飛ばされる子供が多いときく。平和な

国、日本の自然はありがたい。(野上哲斉)



ばりばりと図面を広ぐ寒灯下/野田ゆたか

もう少し仕事を片づけてから帰るとしよう。一服の後に図面を広げる。「ば

りばり」が図面を広げる時の音と仕事ぶりの「バリバリ」に重なって仕事を

する男の強さを連想しました。(古田けいじ)



師走からっと風と光の中にいる/高橋信之

師走こそ、このような明るく爽やかな句に出会うと嬉しくなります。さりげ

ない言葉の中にも内面の充実さが感じられます。(藤田洋子)



腕を組む影も腕組み冬うらら/伊嶋高男



冬厨蜜入り林檎転がれり/前野一夫



レモネードきよらかなりしを手に包み/高橋正子



ガラス拭く師走の空が透きとおり/藤田洋子



夜が明けて初冬の海が先ず光る/霧野萬次郎



木橋わが靴音ひびき冬晴るる/野上哲斉



 黄昏れて潮騒ばかり石蕗の花/篠崎智恵子



青空に直立していて落葉する/脇坂公司



【入選23句】



雲の浮く師走の空の高くある/高橋信之

この様な空しっかりと受けとめたいのです。物事の真実がどこかにあるよう

な気がして。(相原弘子)



枯野道その果て知らず人をらず/神谷和子

落ち葉だけを詠んでおられますが、心にゆとり有る生活が覗われます。(堀佐

夜子)



冬障子箒の音の遠ざかる/渡邉道朗

冬の静寂を音だけで表現して余すところがありません。目を閉じても開いて

も見えるのは薄墨色の世界です。(伊嶋高男)



黄に光る今朝の落葉を踏みあぐむ/江田 晋 

おそらく昨夕はきれいに掃除されていたアスファルトの道でしょうか。そこ

に一晩で黄色の銀杏落葉が敷き詰められていた。アスファルトの黒と落葉の

黄色の対比があまりにも美しく作者はその落葉を踏んでいくのをためらって

しまったのでしょう。(渡邉牛庵)



野良猫に名前を付けし漱石忌/雛すもも

最近当インターネットの「芭蕉の虚と実」を読んだ。文中漱石の「草枕」の

ことが述べられていた。恥ずかしながら冒頭の文だけを知っていて読んだ気

になっていた。「草枕」を読んだ。漱石はすごいと改めて思った。(守屋光雅)



冬満月ピンと張りつむ高圧線/江田 晋

円と直線の構図の中に、冬の寒さと緊張感が伝わってきます。(霧野萬地郎)



日当たりて親鴨子鴨一列に/藤田洋子 

一読して、なごやかな気持ちにさせられた。親鴨子鴨がゆったり行進する様

子が目に浮かんでくる。(阪本登美子)



冬夕焼け観覧車のひと回り/北村勇治



星ひとつこぼれて香る花柊/阪本登美子



行乞の僧凛として霜の朝/城本三舟



山茶花の蕾あまたに白一輪/福田由平



柚ひとつ部屋いっぱいの黄色かな/江間幸雄



ガードレールに掛けて誰かの冬帽子/E.M.



赤ん坊のまろきほっぺや冬日向/金井ひろみ



落ち葉踏むただそれだけの遠回り/安西さゆり



聖夜へとうすむらさきに暮るる街/江田 晋



寒夕焼おしゃべり好きのちぎれ雲/武田稲子



風さらりさらりと枯れ葉落としゆく/原 小繭



ふるさとに野仏多し小六月/金井ひろみ



 冬耕の一休みする鳶の笛/渡邉道朗



パソコンと話し込んでる冬灯/堀佐夜子



うたたねの夫の背中の冬の蠅/武田稲子



寄ってくる綿虫白がふと弾み/相原弘子



【最高点】



落ち葉踏むただそれだけの遠回り   安西さゆり



【次点】



黄昏れて潮騒ばかり石蕗の花     篠崎智恵子


[全作品]
高橋信之

冬ばらの風に流れてくるを吸う

雲の浮く師走の空の高くある

師走からっと風と光の中にいる

北村勇治

人工の渚見にけり冬かもめ (お台場)

冬夕焼け観覧車のひと回り

冬花火見ている様だ台場の灯

阪本登美子

真冬日の深まる空に日を返す

ぼろ市のランプシェードのセピア色

星ひとつこぼれて香る花柊

渡邉道朗

冬障子箒の音の遠ざかる

冬耕の一休みする鳶の笛

玄関の日暮れて寒きみかん箱

相原弘子

日は短か山が立派に見える道

寄ってくる綿虫白がふと弾み

葉脈から毀われる枯れ葉掌(て)にあまり


城本三舟

ゴミを出す朝霜ありて目礼す

残業のハンマー持つ手に冬の風

行乞の僧凛として霜の朝

野田ゆたか

針供養釣針も又ねんごろに

ばりばりと図面を広ぐ寒灯下

何にでも便利な男煤払ふ

堀佐夜子

紅白のポインセチアを置く窓辺

パソコンと話し込んでる冬灯

小一時間アリバイの無き褞袍かな

篠崎智恵子

つづら屋につづらの乾く小六月

銀杏落葉雌雄をひらふ風の杜

黄昏れて潮騒ばかり石蕗の花

伊嶋高男

腕を組む影も腕組み冬うらら

冬晴の欠伸親から乳母車

爪長き悲母観音や竜の玉

山内宏子

大根を洗えば白しみずみずし

じゅずだ玉を無心に採りし幼き日

冬曉の座禅帰りや鳥の声

福田由平

山茶花の蕾あまたに白一輪

いく鉢も咲く花無くてマリーゴールド

一面の苔に咲きいる石蕗の花

古田けいじ

地雷なき落ち葉の原や孫と行く

土になる前に輝く落ち葉踏む

退院の便りが届く枇杷の花

江間万里子

柚の実の匂いて映える黄色かな

庭弄り葉牡丹万両寄せて植え

くもり空山茶花の花庭照らし

江間幸雄

柚ひとつ部屋いっぱいの黄色かな

山茶花の敷き詰められて師走入り

熊笹をなでて木枯らし吹き抜ける

椎木英輔

九九そして九つ除夜の鐘

除夜の鐘あと一分で2000年

撞く人も聞く人もゐて除夜の鐘

片平奈美

海深く隠し通した冬の恋

記念日を重ねて過ごすクリスマス

先見えぬ冬霧深い恋を知り

前野一夫

さらさらと落ち葉の駆ける石畳

冬厨蜜入り林檎転がれり

セーターの丈詰まる友や迎え酒

雛すもも

ひとことを言いそびれたる寒さかな

湯冷めして妻の水洟うつくしき

野良猫に名前を付けし漱石忌

E.M.

待ち人やシクラメンの蕾数えつつ

ガードレールに掛けて誰かの冬帽子

師走なる音楽室よりショパンかな

金井ひろみ

赤ん坊のまろきほっぺや冬日向

ふるさとに野仏多し小六月

冬茜しばし歩みをとどめたり

人見忠雄

英虞湾は墨絵の如く時雨けり

年の瀬や喪中ハガキが来るばかり

広沢の池や鯉揚げ師走かな

高橋正子

レモネード冬灯映りて飲みいたり

レモネードきよらかなりしを手に包み

冬雲の白く薄きにポプラ立つ

神谷和子

輝ける湖懐に山眠る

足跡のけものらしきや時雨道

枯野道その果て知らず人をらず

安西さゆり

落ち葉踏むただそれだけの遠回り

遠山に雪降り積もる夕べかな

我影に見とれておりし冬の月

藤田洋子

日当たりて親鴨子鴨一列に

駆けてくる息白き子の頬包む

ガラス拭く師走の空が透きとおり

霧野萬次郎

揺れしなる小枝鈴なり寒雀	

コート着る人急に増え今朝の駅

夜が明けて初冬の海が先ず光る

守屋光雅

紺屋町染め屋一軒師走かな

龍の字をぐっと睨んで賀状彫る

笠目深若き僧らの寒修行

森 隆博

霜晴れの澄ます世間の薄化粧

熱燗と二人ぼっちの土瓶蒸し

焼芋やぱくつく朝の掃除終え

山岸忠信

枯れすすき雲間に躍りいでにけり

帰り咲く柔花びらのすみれかな

原 小繭

風さらりさらりと枯れ葉落としゆく

窓に手と手を合わせるや日向ぼこ

小春日や窓にもたれる数分間

武田稲子

寒夕焼おしゃべり好きのちぎれ雲

極月や憧れている山頭火

うたたねの夫の背中の冬の蠅

江田 晋

黄に光る今朝の落葉を踏みあぐむ

聖夜へとうすむらさきに暮るる街

冬満月ピンと張りつむ高圧線

野上哲斉

木橋わが靴音ひびき冬晴るる

三机のゼロ戦哀話石蕗の花

手を挙げしごと高々と木守柿

脇坂公司

青空に直立していて落葉する

作者不明の方は、お名前をお知らせ下さい。
次回は、1月9日(日)です。またのご投句をお待ちしています。

俳句雑誌水煙

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