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●10月句会入選句/選評● |
夕日大きくなりつつ沈む地にすすき/八木泰子
素材の組み合わせが平凡のようだが新鮮。(高橋正子)
秋の空、真っ赤な夕陽とすすきの揺れ。まるで美しい絵画を見ている
ようです。いつまでも見ていたい情景です。(藤田洋子)
しつかりと露を結んで全て朝/相原弘子
秋の朝の清らかさを十分伝えている。(高橋正子)
露の多い秋の朝のさわやかさが、よく表現されていると思います。とてもすっきりと澄んだ感じが伝わってきます。(鳩崎良一)
ほっとした顔して雲ゆく秋の午後/吉田 晃
いつでも、どこでも、人間らしい生き方をしている作者のやさしさです。(高橋信之)
山越えて空色に染まる秋の蝶/鳩崎良一
小さな蝶が大海を越えることはあまり知られていない。体から想像できない蝶の強さである。小さな蝶の大きな営みが伺える。 (吉田 晃)
稲光り街を抱いて夜を光る/高橋正子
しつかりと露を結んで全て朝/相原弘子
夕日大きくなりつつ沈む地にすすき/八木泰子
さやかなる大気病む子の体内へ/藤田洋子
さわやかな大気に気持ちもすっきりし、病気も快方へむかうでしょう。(高橋正子)
気が欠けると人は病む。自然の気を
母の体内を通して子の体内へ送りこむことにより気は回復する。最も神秘的な営みを我が体で知っている母親の力であると
思う。いつも洋子さんの母親としての奥の深い句には感じさせられるところ大である。(吉田 晃)
ふるさとの昔が一口栗食めば/高橋信之
前を見つめ日々精力的に生きているある時、なんの変哲もないものがきっかけとなって、忘れていた大切なものを思い出すもの
である。でも実際は、変哲のないものではなく大切なものであったのだろう。あまりにも日常的過ぎて意識の外にあったのでは
なかろうか。(吉田 晃)
「栗はあまり食べないから」と言うのに一年たつとまた栗を送ってくる。めんどうと思いながら皮を
むき、一口食べたら故郷の秋を思い出してしまった。故郷もそれを届け てくれる親もありがたいと思う。(渡邉道朗)
この素直さと何とも言えずユーモラスな言葉のリズムが好きです。軽くて明るい句で すね。(八木泰子)
私程度の句の力ではこれを理解するのは難しい。それほど重要な別れであったということか。スパッと切られた檸檬の香りは
登美子さんの胸にどんなに匂ってきたのだろう。(吉田 晃)
別れがいつまでも尾を引くのは案外男のほうで、女性は別れてしまえば潔い人が多いと私は思っています。突然に来た
別れをぶつけるように、すっぱりとレモンを切る。香りと一緒に未練を飛ばす。あるいは、飛ばそうとするだけなのか
も知れませんが、ここに女性の潔さが見えます。潔い女性に乾杯!(渡邉道朗)
別れにも色々ありますが、すこしでもいい別れでありたいもの
です。それなら檸檬も優しく香ってくることでしょう。(相原弘子)
「とどめられる」ほどの光が晩秋を一層明確にしています。(吉田 晃)
秋の澄んだ川の流れに陽が差して、その川の流れに
光が伸びている情景をよくとらえ ている句と思いました。(森竹智則)
非常に鮮明な句。(高橋正子)
しっかりと情景がとらえられた句。(高橋正子)
ロマンチックですね。それほど秋の月には人の心を素直にする力があるのですね。(吉田 晃)
01.金木犀夕陽のなかにかがやけり/林 緑丘(正子選)
02.パソコンに熟れ田の風を通わしむ/高橋正子(良一選)
03.秋日さす窓に祭りの声遠し
04.稲光り街を抱いて夜を光る/高橋正子(泰子・哲斉・信之選)
05.月光りお茶に映して風さやか
06.綿菓子の雲より淡し秋祭り/渡邉道朗 (智則・良一・弘子選)
07.鮎食めば水の匂いのふと立ちぬ/高橋正子(良一・洋子・泰子選)
08.この道を金木犀で思い出し/林 緑丘(隆博選)
09.神燈のそれぞれ灯す秋の色/渡邉道朗(洋子選)
10.秋雨に濡れて乾いて死屍の猫
11.別れ路金木犀の香に遊ぶ
12.日暮れて草むらの虫まっさきに鳴く/高橋信之(智則・正子選)
13.しつかりと露を結んで全て朝/相原弘子(智則・良一・泰子・正子・信之選)
14.一村を包みたるかな夕紅葉/阪本登美子(隆博選)
15.月光のどこをとつても怖くない
16.祭りの音を聞きながらパソコンの画面
17.ふるさとの昔が一口栗食めば/高橋信之(道朗・晃選)
18.突然の別れに檸檬真二たつ/阪本登美子(弘子・晃選)
19.満月をめでに出てくる小犬かな
20.栗を煮ることこと子であり母であり/八木泰子(智則・洋子・道朗選)
21.ほっとした顔して雲ゆく秋の午後/吉田 晃(良一・泰子・弘子・哲斉選)
22.月夜には二十歳の頃に戻る君/林 芳福(弘子選)
23.名月や石鎚山を小さくし/八木泰子(哲斉・晃選)
24.葉がいっぱい黄色くなって陽に遊ぶ
25.街灯を消して楽しむ月夜かな
26.夕日大きくなりつつ沈む地にすすき/八木泰子(洋子・弘子・道朗・哲斉・正子・信之選)
27.一斉に駆け出すマラソン菊の秋
28.秋風の流れにまかせ歩くなり
29.秋の暮れ樹医の柳霊芝居り
30.アンテナの烏におはよう木葉髪/上出真佐子(泰子選)
31.秋水の光をとどめ川となる/有吉孝史(智則・道朗・晃選)
32.妻作の化粧顔にて踊る秋
33.祭日の踊りに歓喜鐘の音/森 隆博
34.虫の音のいくつか聞こえり雨後の庭
35.秋の野に揃いのはっぴ父と子の/森 陽子(洋子選)
36.異郷めくアカシヤ落葉の道なりし/上出真佐子(隆博・道朗・哲斉選)
37.新米の重さに想うありがたみ
38.川の側虫の音代わるさやぐ竹
39.清流に笠つけ木の実沈みおる
40.頂上は四方断崖秋の雲/野上哲斉
41.山越えて空色に染まる秋の蝶/鳩崎良一(隆博・晃・信之選)
42.赤のまま留守を守る児に菓子を買ふ/柴田 淳子
43.さやかなる大気病む子の体内へ/藤田洋子(正子・晃・信之選)
44.天高し生え出た子の歯透き通る
45.秋野辺の目鼻の欠けし石地蔵
46.秋の雨強さしっかり地に降らす
47.霧に浮く天狗岳手の届きそう
48.秋の天あり回復の兆しあり
49.断崖にうす霧かかり秋遍路
50.熊笹の露がこぼれて秋の声/鳩崎良一(隆博選)
51.秋うららパソコン見入る目の丸く
52.秋晴れを背に受け止めて北へ行く/森竹智則
53.仲秋の名月くっきり夜に映える
★★★次回は、11月8日(日)です。★★★