◆11月句会◆
平成10年11月8日
入賞句
最高点句
秋晴れの窓ガラス拭く空を拭く/八木泰子
気持ちよく晴れた秋空、作者の心もすっきり拭かれていく。よい句です。(守山満樹)
コメントの必要がない句ですね。心が晴れ晴れとする句です。(吉田晃)
秋の透明感が良く出ていると思います。(渡邉道朗)
登頂す頭上秋天あるばかり/野上哲斉
「秋天あるあばかり」がよい。すっきりと広い天と紅葉の山が見える登山の楽しみか。(高橋正子)
好天であるにせよ、ここが己を置ける処の思いです。広さ、高さ、青さに何もかも許せます。(相原弘子)
秋の山頂の姿と人の姿が目に浮かびます。ほかに何もないのがいいですね。それを求めて山に登る
のですね。(吉田晃)
最優秀句
空を斬る真一文字や秋燕/阪本登美子
潔さがよい。秋の季節である。一年の終わりへと時は流れていくが、その一瞬を捉えたのである。
(高橋信之)
優秀句
我が庭を旅の終わりに落ち葉散る/八木泰子
ひつじ田をスキップして行く黄色帽/八木泰子
刈り取られた田んぼで黄色の帽子をかぶっている子どもが楽しく走り回っている映像が目に浮かん
できます。楽しく明るい感じが伝わってきました。(鳩崎良一)
露が降る温室ドームに声ひびかせ/高橋信之
温室ドームのなかに降る露の音が重なり合って、ハーモニーを奏でている様子が「声ひびかせ」に
よく表現されているのではないでしょうか。(有吉孝史)
であるにせよ、ここが己を置ける処の思いです。
広さ、高さ、青さに何もかも許せます。(相原弘子)
木蓮の冬のつぼみの天へと鋭がり/高橋信之
「天へと鋭がる つぼみ」このズバリの表現に脱帽です。過不足のない、しかも詩がある表現です。
(八木泰子)
冬空に木蓮の枝が伸び、まだまだ固きつぼみをつけている様子は、これから始まる冬に心を引き締
められるようです。(藤田洋子)
ここからは木犀の香がついてくる/藤田洋子
作者の散歩コースでの感想であろうか。ここらあたりから匂うであろう木犀の香りを楽しみにして
の散策であろうか。(野上哲斉)
「ここからは」に作者の感動の中心がある。毎日の散歩の楽しみが「ここから」一段と強くなるの
である。(吉田晃)
秋暮の旅長き電車の会い別る/高橋正子
路地抜けてたちまち泡立草の海/渡邉道朗
視界が急に広がりそれがそのまま感動の広がりになっています。「たちまち」が「海」を生かせて
います。泡立草のあの姿が目の前にパーッと広がりました。(吉田晃)
屋上にもずの声降る風も出て/高橋正子
「もずの漢字が出ず、申し訳ありません」けたたましい「もず」の声が、出てきた風と相まって冬
を感じさせます。「冬」への「好ましさ」や「郷愁」を感じさせます。(吉田晃)
夜のふけて友たずねきし十一月/有吉孝史
大学生活をしていると、ふと人恋しくなるのがこの時季です。「おーい、いるか」という声が聞こ
えてきます。(吉田晃)
秋灯を一つ照らしてペン進む/森竹智則
文筆活動をしている方のように感じました。書斎の風景が浮かんできます。(吉田晃)
林緑丘
首すくめ中洲に立ちたる鴫一羽
柿の種皿に残してお茶を飲む
秋の薔薇花弁一枚残りける
吉田晃
少年の頃のことなり相撲草
落書きは悩む子の夢小春の日
ひつじ田に子等の群れ居るどじょう掘り
高橋正子
屋上に鵙の声降る風も出て
お札あまたの小さき社秋の昼
秋暮の旅長き電車の会い別る
有吉孝史
秋麗の人まばらなる大学祭
初冬のオリオンあおぐ祝谷
夜のふけて友たずねきし十一月
藤田洋子
ここからは木犀の香がついてくる
ひそやかな色ではじまる薄もみじ
小鳥来る朝よろこびの始まりに
鳩崎良一
燕去り軒の巣だけが春を待つ
燕帰る依然と巣あり知らん顔
灯の下に今朝もいだ柿あかあかと
高橋信之
すすきの道登って行けばプラネタリウム
露が降る温室ドームに声ひびかせ
木蓮の冬のつぼみの天へと鋭がり
守山満樹
日溜りに野菊が咲いて小さな世界
水郷の秋の光に鳶の群れ
田は刈られ出水野に鶴の渡る頃
野上哲斉
審査前花びら直す菊師の目
ウイ・ヤーと挨拶爽やかに朝
登頂す頭上秋天あるばかり
森隆博
生き生きと紅葉の山切々と
風呂を焚く煙にむせる秋の夕
大柿剥く黄色の中の種やはり
森陽子
鴨の群水面キャンパスすいすいと
七五三祈りより飴気にかかり
風変わり紅葉深くにおい濃く
渡邉道朗
路地抜けてたちまち泡立草の海
町工場夜業の窓にラジオ鳴る
秋耕を終えトラクターの影長し
足立眞弓
風に誘われ真っ赤な紅葉舞い踊る
落ち葉が後ろを駆けて来る遊歩道
見上げれば赤黄の落ち葉降るように
八木泰子
我が庭を旅の終わりに落ち葉散る
秋晴れの窓ガラス拭く空を拭く
ひつじ田をスキップして行く黄色帽
森竹智則
秋灯を一つ照らしてペン進む
夜の道のどこかにありて金木犀
草紅葉流れる川の音に揺れ
相原弘子
かげろうのどこかを威し飛びたたせ
黄色とは輝くものに石蕗の花
非常なる夜の明るさ月の下
阪本登美子
菊日和一輪車に乗る親子かな
空を斬る真一文字や秋燕
木の葉舞う小さき音に歩を合わせ