更新:1998年12月14日

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インターネット 句会

●12月入賞句●


★最高点★



冬の日の優しさ背中より受ける/渡邉道朗





[評]

やさしい方なのでしょうね。冬の日も背中でやさしく受け止め

ているのです。(高橋正子)

「俳句は人なり」とか。だれもがこのような優しさを望んでい

るということでしょう。(なべさん、やりましたね。ほんとう

におめでとうございます。)(八木泰子)

「背中からの優しさ」は「策略のない純粋な優しさ」です。人

の目を気にしてかける、優しさは「偽物」です。人の目を気に

しながら生きている人間の多い世の中、純粋なものを大切にし

たいですね。(吉田 晃)

小春日の日常生活での気持ちよさを身近に、しかも柔らかさを

感じます。最高点おめでとうございます。(森 隆博)



★次点★



北風が制服の中通り抜け/八木美苑



[評] 作者は、松山東高校の1年生で、そこの制服である。高校

生らしい実感のある句。(高橋信之) 



★第3位(同点2句)★



ハンカチを干す冬晴れの空に透く/八木泰子



[評] 透明な明るさがよい。深くて明るいところのある俳句を求

めているが、それは、透明なものであろう。(高橋信之)

 

とまりゆく各駅ごとに冬深む/菅野智子



[評] 静かな句だが、作者の内面に深さがある。鍛錬がある。

(高橋信之)


★最優秀句★



日に風に冬芽太らせ今日の無事/八木泰子





[評] 日々の精進の結果が出た。落ち着きのある句。線の太い句。

読み手をいらいらさせない良さがある。(高橋信之)


★優秀15句★



昨晩の星皓々と初氷/大西和章



[評] ゆうべの星が宿ったように初氷が光っています。美しい句

です。私の一番好きな句でした。(八木泰子)



旅の空へ太く伸びおり冬の虹/古田けいじ



[評] 冬の虹が太く伸ぶという印象的な句です。旅情や解放感が

ありながら、なお安定した感じがあるのは作者の精神力のせい

でしょうか。(八木泰子)



その中に再会約す日記果つ/堀 佐夜子



[評] 「日記果つ」は、季語にはないが、季感がある。「年の果」

の感慨であり、きっぱりとしたところがよい。(高橋信之)



ハンカチを干す冬晴れの空に透く/八木泰子



 

朝寒を一面に添え新聞紙/森竹智則



[評] 寒い朝の新聞はそれ自体冷たい。新聞のインクの匂いもし

ているだろうし、凛とした冬の感じがよい。私が最優秀句に選

びました。(高橋正子)



冬ぬくし積み木は箱に丸四角/相原弘子



[評] ガラス戸越しに冬の日差しを受けた縁側に無造作に置かれ

た積み木の箱を想像しました。暖かい日差しと積み木の木のぬ

くもりがいいですね。(渡邉道朗)



カレンダーあと一枚の冬景色/坂本登美子



[評] 月ごとのカレンダーが、ついにひらりとあと一枚になって

しまいました。その軽さの上の雪景色。(八木泰子)

 

がばと伏す蒲団の中に陽の匂い/鳩崎良一



[評] この句のやんちゃな雰囲気が好きです。(中川樗枝)



北風が制服の中通り抜け/八木美苑



 

冬の日の優しさ背中より受ける/渡邉道朗

 



冬薔薇時計の告げる朝の時/高橋正子



[評] 早朝のひとときでしょうか。静かで優美です。読んでこころが落ち着

く句です。薔薇と時計、詩を感じる取り合わせですね。(八木泰子)



師走晴れて楽しいことがあるようで/高橋信之



[評] 冬には何かに覚悟して暮す日々となります。それは寒さ、

冷え込みなのでしようか。冬晴、これはその覚悟のようなもの

から解放されるものがあります。自然界の尊い出来事です。

(相原弘子) 



柚子湯の香芯からの緊張を解く/森 隆博



[評] 説明のいらない句です。作者の芯の強さを感じます。これ

からも楽しみにしています。(八木泰子)

 

とまりゆく各駅ごとに冬深む/菅野智子



 

冬帽子目深にかぶり市街へと/菅野智子 



[評] さりげない日常を、ちょうど電車から降りるようなテンポ

で詠んでいて気持ちがいい。(八木泰子)







★佳作6句★



母に贈るショールにそっとふれてみる/吉田 晃



[評] 優しさとあたたかさのあふれる句です。さぞかしお母様は

喜ばれたことでしょうね。(藤田洋子)



冬霞吸い込んで皆同じ朝/森 隆博



[評] 霞んだ街を背中を丸め、同じような服装、姿で出勤してい

るのでしょう。しかし、よく見ると一人一人の表情は全部違い

ます。一人一人に違う朝の営みがあり、違う人生を背負ってい

るからです。現象としての朝は同じかもしれませんが、奥には

深いそれぞれの生き様が隠されているのです。(吉田 晃)



冬岬ぐるっとバスの大廻り/吉田 晃



早朝の君の笑顔に冬溶ける/八木美苑



一輌の電車小春の川を越す/渡邉道朗



回覧板北風背負い急ぎ足/森 陽子




■12月句会全作品■
林 緑丘

尖塔にかかる朝日や霜光る(洋子選)

木枯らしや落ち葉と競い道急ぐ


小繭

小春日やダッフルコートのかぎを開け

停留所息の白さで寒さ知る

りんごむく人の手元に話しかける(佐夜子選)


楓落ち葉寄りて自転車蛇行する(樗枝・小繭選)

新旧の手帳ゆく年蜜柑むく(哲斉選)

コートおろすひととき去年の冬を匂ぐ(百壷庵・小繭選)


藤田洋子

魂の召さる冬麗の空ありてむく(哲斉・亜紀子選)

木と別る無常の風に木の葉散る

散りし身のいよいよ濃かり冬紅葉(亜紀子・緋乃子選)


b

爪を立て蜜柑の香の優しけり(佐夜子選)


菅野智子

とまりゆく各駅ごとに冬深む(信之・正子・哲斉・緑丘選)

ひとりごと息の白さも増しにけり(樗枝選)

冬帽子目深にかぶり市街へと


鉢植えに小さく咲いたシクラメン


吉田 晃

ポインセチアモダンジャズ聴くティータイム(佐夜子・亜紀子選)

母に贈るショールにそっとふれてみる(洋子選)

冬岬ぐるっとバスの大廻り(弘子・百壷庵・緋乃子選)


中川樗枝

うたた寝のあいだに始まり消えた雪

小春日やひなたの窓に並ぶ背中(小繭選)

散る銀杏のせてつつじの狂い咲き


落ち葉焼き食べる焼きいも黄金色

クリスマス枯れ木に光の花が咲く

街路樹のイルミネーション冬模様


森 隆博

冬霞吸い込んで皆同じ朝(泰子・晃選)

銀杏黄葉散るにまかせる冬の丘

柚子湯の香芯からの緊張を解く(信之選)


森 陽子

回覧板北風背負い急ぎ足(樗枝・佐夜子・緋乃子選)

見ま違う程の朝霜光る屋根

人け無き庭先繁み寒椿(樗枝選)


高橋信之

天井に張りつき冬灯平らな灯(弘子選)

暖房を少しゆるくし日記書く(小繭選)

師走晴れて楽しいことがあるようで(弘子選)


高橋正子

風が来て欅はどうと落ち葉する(亜紀子選)

冬薔薇時計の告げる朝の時(泰子選)

ぬいぐるみ子に似て見つむ冬天井


渡邉道朗

冬の日の優しさ背中より受ける(正子・哲斉・弘子・泰子・晃・緑丘・亜紀子・緋乃子選)

一輌の電車小春の川を越す(晃・緑丘・百壷庵選)

イヴの夜の窓にシンクロする聖樹


建川 茂

堂守の声を掛け来る冬木立(晃選)

ほろほろと憂いを払う木の葉かな

赤坂や鮟鱇吊す店ありき(弘子選)


八木美苑

吐く息の白さはかなさ恋終わる

北風が制服の中通り抜け(信之・哲斉・緑丘・樗枝・佐夜子選)

早朝の君の笑顔に冬溶ける(弘子・晃・洋子選)


八木清歌

冬空の海の青にもまさる色(亜紀子選)

太陽のひかり奪いて冬の海(小繭選)

電車から見る瀬戸内海の冬の色


鳩崎良一

がばと伏す蒲団の中に陽の匂い(泰子・樗枝選)

凍蝶の日輪の中へ消えてゆく(緋乃子選)

白息とポインセチアの映える朝


銀杏散る児童リレーのボランティア

短日のいま盛んなる披露宴

着ぶくれて定年癒す写生会


坂本登美子

ぐつぐつと凩一番煮豆かな(緋乃子選)

カレンダーあと一枚の冬景色(信之・哲斉・佐夜子選)

山眠る大鉄塔聳え立つ


相原弘子

冬ぬくし積み木は箱に丸四角(信之・百壷庵選)

綿虫のたった一匹浮いてゆき(樗枝選)

熟れ色になれず数珠玉枯れ色に(洋子選)


野上哲斉

銀杏黄葉意志ある如く降り落す

ミュンヘンの学友が呼ぶ冬休み

夢開くように音して月下美人


森竹智則
底冷えの靴の音堅く朝の澄む(洋子・小繭選)

朝寒を一面に添え新聞紙(正子・泰子選)

ことことと鍋沸騰して冬兆す


八木泰子
ハンカチを干す冬晴れの空に透く(信之・哲斉・晃・緑丘選)

日に風に冬芽太らせ今日の無事(信之・正子・洋子選)

日を背負い麦蒔く媼の前かがみ(小繭選)


水守郁夫

むずかる児背ナにあやして大根干す

沖待ちの船の点せる夜長の灯(洋子選)

新婚の居間に点せし聖樹かな(百壷庵選)


雪恋ふる南国人の十二月

ポインセチア手作りケーキ珈琲屋

ときめきてイヴ過ごしたることもあり(佐夜子選)


脇本柾木

オーナメントひかり煌く聖誕樹

本年もやるだけやろふ忘年会

幸せのために餅搗くうさぎ年(緋乃子選)


古田けいじ

終バス待つ肩に降り初む冬の雨(正子・晃選)

旅の空へ太く伸びおり冬の虹(弘子・泰子選)

演奏会終わる朝の菊さやか


日野正人

冬木立ふんわか白い衣着て(緑丘選)

湯船の中父さんあのねふうんそうなん(緑丘選)

冬の朝目覚ましリリリン飛び起きる


大西和章

着膨れの小鳥も庭の日を求め

霜の朝吐く息白く宅配人

昨晩の星皓々と初氷(正子・泰子選)


堀 佐夜子

四五人の華道教室冬座敷(亜紀子選)

ラガー等の雄叫び昂らせノーサイド

その中に再会約す日記果つ(正子選)


武田稲子(投句の遅れのため、互選がありません。)

モジリアニ首短くし冬ごもり

社会鍋人間味ってどんな味

ささくれし小指にきらりクリスマス


次回は、1月10日(日)です。またのご投句をお待ちしています。

俳句雑誌水煙

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