俳句日記


■俳句カレンダー/2000■

1月

日  月  火  水  木  金  土
                   01
02 03 04 05 06 07 08
09 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31AAAAAAAAAAAAAAAA
            
1999年 101112
2000年 101112

1日(土)

せせらぎの砂に日差してお元日  高橋正子



一日を、一年を、意識させてくれるのは、何と言っても、お日様ですね。一

年の始まりは、「初日の出」。感動があります。手を合わせたくなります。

(高橋信之)



初日受け花の日時計ゆるやかに 阪本登美子



自句自解

元朝、のぼる太陽。その光の中で変わることなく時計の針がまわっていた。


2日(日)

書初の墨の香一と日部屋に満つ 渡邉道朗



自句自解

ドアを開けると墨の香りが満ちていた。子供の姿はなく、何枚かの書初めが

並べてあった。墨の香りに、知らないところで成長していく子供の一端をの

ぞき見たような気がした。


3日(月)

誕生日正月三日の眉月に 高橋正子



自句自解

誕生日と言っても、正月三日なので特に感慨はない。眉月が印象に残っただ

けの、ただそれだけの誕生日だった。


4日(火)

ことさらに一日長き初仕事  渡邉道朗



「ことさらに」がいいですね。こういう事をいうには、俳句に限りますね。

では、今年も良い年でありますように。(高橋正子)


5日(水)

白く移る太陽まもなく寒に入る  相原弘子



6日が寒の入りですね。「白く移る」には、詩があります。これは、わたし

の好きな句。(高橋信之)


6日(木)

眼帯の眼大切寒に入る 野上哲斉



自句自解

生まれて初めて両眼に眼帯をする羽目になったときのことです。妻に手を取

って貰いながら、つくずく眼の大切さを痛感した数日間でした。


7日(金)

旅装解き七草粥を温く食す 西垣 脩



正月早々からか、あるいは年の暮れからか、旅を終え、家庭の暖かさのなか

でほっと一息ついている。下五の「温く」で作者の思いはすべて語られてい

る。(高橋信之)


8日(土)

もちを焼くふくらみがある部屋の中  森 隆博



自句自解

ストーブに火をつけその上にアルミ箔と人数分のお餅、焼ける間の会話が弾

んでいた。いつの間にか怒っているお餅、海苔と醤油の匂いがいっぺんに充

満する部屋、たわいもないが落ち着く一時です。


9日(日)

生き生きと声が動いて初句会 藤田洋子



自句自解

砥部の高橋先生のお宅での句会に参加させていただいた時、新年早々の初句

会は、普段よりまして明るく楽しく充実したひとときでした。


10日(月)

山里の霜降る朝の音のなし 吉田 晃



自句自解

あまりの寒さに目を覚まし、白々と明ける窓を見る。露がついていて外は見

えないが,こんな朝は霜がすごいことを体験的に知っている。


11日(火)

風すこし焚き火の周りゆらぐ顔  森 隆博



自句自解

3Kmと短いながら部落のマラソン日、走り終え焚き火を囲んでのにこやかな会

話の中に笑顔が暖かみに膨らんでいる。


12日(水)

本棚の本に確かな寒の冷え 渡邉道朗



自句自解

部屋は暖まっても本棚の奥は冷え冷えとしている。本を取り出すと、本と一

緒に冷気が飛び出してくる。


13日(木)

湯豆腐の湯気の中なる一人の餉 阪本登美子



一人の食事も、湯豆腐のあたたかい湯気で、気持ちがゆたかになります。(

高橋正子)


14日(金)

散髪の帽子ゆるくて寒の雨 森 隆博



自句自解

三ヶ月に一度の不精者の散髪、だからボリュームがあり帽子もそれに合った

調節をしている。何故か散髪の時は殆ど居眠りをしおり、抵抗感の無い主人

に刈ってもらうのが楽しみでもあり行きつけにしている。「終わったよ」の

声に目覚め、帽子を取り外に出て被ると「あれっ」、雨が降っていた。


15日(土)

われを包む冬の大気のどこまでも 脇坂公司



冬のひろびろとした風景の中の一点景としての「われ」は、作者であり、「

われ」と「大気」以外のすべてを切り捨てたところに、この句の良さがある

。(高橋信之)


16日(日)

帰りし子の手の冷たさを手で包み 藤田洋子



母親の無造作な愛情表現が、自然に出ていて、素敵だと思います。(野上哲

斉)


17日(月)

眠る山登れば山の息聞こゆ 鳩崎良一



眠るかと思う山も一歩踏み入れれば、確かに生きている気配を感じます。(

高橋正子)


18日(火)

鉛筆の机をころぶ寒夜かな 堀佐夜子



自句自解

空気の乾燥する冬の夜は小さな音でも大きく響くように思われます。


19日(水)

冬木立つその確かなる影を踏む 藤田洋子



自句自解

冬の大気の中、力強い生命力を内に秘め立つ冬木。その影もまた輪郭のはっ

きりした確かさを持ち、心惹かれるものがあります。


20日(木)

明日には咲く膨らみを寒紅梅 古田けいじ



自句自解

散歩の途中見た梅。近づいてみると内側から少しだけ紅色が覗いている。も

う少しすれば咲くだろうなと、春の近さを嬉しく思った。


21日(金)

商談終る息吹颪の中へ出る 古田けいじ



自句自解

名古屋の冬の名物伊吹颪。お客様との話を終えて、外へ出たら風。張り詰め

ていたのか、いつもの伊吹颪もそんなに冷たくなかった。


22日(土)

今朝は先ず車掘り出す雪仕事 霧野萬地郎



自句自解

ニューヨーク郊外の豪雪。露天に駐車した車は完全に雪に覆われました。ス

コップを使って、雪と汗まみれになって、車を掘り出し、また道路までの導

入路、と歩行者用の道作り。車道の除雪は都市、そこに至るまでの私道の除

雪は個人の責任。滑って怪我すれば、訴訟にもなる。この日は除雪アルバイ

トが来ませんでした。


23日(日)

雪面の月青くして風痛し 霧野萬地郎



自句自解

ニューヨーク郊外。夏はピクニックなどで賑わう公園広場も、一面の雪面が

風化して鏡面化。風が強く、空が澄み渡り、月光が青白く反射していました。


24日(月)

寒中の堀の水底濃き深き 藤田洋子



自句自解

一月の吟行で、堀之内を散策したことがありました。季節変わる度さまざま

な色を見せてくれるお堀ですが、この日の深い色はとても印象的でした。


25日(火)

寒夕焼鴎の群は海目指す 伊嶋高男



冬の夕焼けの静けさに群れ飛ぶ鴎の動き、美しい映像を見ているようです。

「海目指す」力強さは、さらなる飛躍を目指されるお気持ちの表れでしょう

か。(藤田洋子)


26日(水)

パン皿を白く弾いて冬灯し 相原弘子



身辺の日常を詠んで力強い。この強さを俳句の原点とみてよいであろう。(

高橋信之)


27日(木)

枯れ葦の池澄み登校の子ら映す 古田けいじ



自句自解

学校のすぐ側の池。半分近くは葦が茂っており、子供たちの赤いランドセル

が映って、好対照。


28日(金)

陽を浴びて寝転ぶ空へ冬木立 古田けいじ



自句自解

近くに残った里山へ散歩。日の当たる落ち葉の上で寝転んだ。こんな高い木

のてっぺんまで水を吸い上げる冬木立の生命力に改めて敬服。


29日(土)

冬耕の畝立てられている日暮れ 吉田 晃



自句自解

山の冬は寂しい。しかし、至る所に人間の強さが見える。立てられた畝は、

春には芽吹く地となる。寂しいと感じるのは土に生きていない者の感傷かも

しれない。


30日(日)

冬木立簡素がゆえの強さかな 吉田 晃



自句自解

木が枝をいっぱいに張って立っている。ほかには何もない。余計なものがな

いから、1本1本の木の強さがよくわかる。


31日(月)

ばりばりと氷を踏んで新聞屋 守屋光雅



北国の冬は、早く、厳しいが、生活が滞ることはない。「ばりばり」は、新

鮮である。(高橋信之)