俳句日記


■俳句カレンダー/2000■

2月

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1日(火)

うしろから人の来ており日脚伸ぶ 相原弘子



自句自解

名前は知らないが、あああの人だな。耳にとめようとすれば聞こえる足音。

きょうはそれだけを背にしておこう。ようやく伸びてきた日脚。


2日(水)

雪晴れのすべて眩しい朝となる 渡邉道朗



この句を生かしているのは、「すべて」という言葉です。この一言で決まり

ました。(高橋信之)


3日(木)/節分・寒明け

そば豆の一口硬き寒の明け 吉田 晃



自句自解

我が人生を左右する大仕事が終わった。そば豆を手にすくい口に放り込む。

かりっと硬い音がして、自然の甘さが口中に広がった。そうか!今日寒も

明けたのだ。


4日(金)/立春

晴れ渡る大空よ今日立春 藤田洋子



自句自解

立春を迎える今日、昨日とは違うこの広がる青空にまぎれもなく春の兆しを

感じた喜びです。


5日(土)

立つ春や只其れだけに歌のでる 堀佐夜子



自句自解

立春と聞いただけで暖かくなって思わず鼻歌が出ます。


6日(日)

明るさに窓を大開き春はここ  森 隆博



自句自解

何事も心を開けば清々しいものである、自分自身もこうありたいものです。


7日(月)

太幹のぐるりと青みだして春 相原弘子



自句自解

目に留めてつかつかと歩み寄りたくなる。春がきたと心に声を響かせる。


8日(火)

二月はや雛の鼓笛をもたさるる 高橋正子



自句自解

デパートには、早くも、ひな壇がしつらえられていますが、鼓笛を持つ雛が

楽を奏でるには、少し寒く感じられます。


9日(水)

路地先の薔薇の芽太しはさみ音 伊嶋高男



日常身辺を詠んで力強い句だが、この力は、作者の心の内から出てきたもの

であろう。「太し」が効いた。(高橋信之)


10日(木)

心地よしバッハのソナタ春そこに 福田由平



在り来たりの俳句ではないところに、この句のよさがありますね。自由なの

で、作者の思いが伝わってきます。(高橋信之)


11日(金)/建国記念の日

春灯へ丸い口開けている湯呑 高橋信之



自句自解

この句には、私の代表句としての愛着がある。私独自のユーモアがある句だ。


12日(土)

春光に包まれし身のときめきよ 藤田洋子



とらわれのない内部から生まれた初々しい輝きは快い。(高橋信之) 


13日(日)

江の電をつつむ潮風春日影 阪本登美子



自句自解

江の電は藤沢−鎌倉間を結ぶ短い車両の電車。春光と潮の香りが

車内いっぱいひろがり、くつろいだ気分にさせてくれる。


14日(月)

囀りや空の余白にたかまりぬ 阪本登美子



自句自解

テリトリイの宣言とも聞こえる囀り、その声が空のどこかで響き渡った。


15日(火)

思うことあって彼方の春の雲 吉田 晃



自句自解

仕事が一段落した。多分四月からは別の地で仕事をすることになるだろう。

そんな予感がする。彼方は、どっちの方向なのだろう。


16日(水)

梅林の香りの中へバス止まる 野上哲斉



嬉しい用事のためにバスで来たのでしょうね。ほんのり匂う梅の木が見えま

す。(古田けいじ)


17日(木)

目刺し焼く匂いが届きご飯です 守屋光雅



口語表現の「ご飯です」がこの句を生かした。家庭生活のあたたかさが伝わ

ってくる。「目刺し」は春の季語である。(高橋信之)


18日(金)

ひとふしの初音海より風まろび 阪本登美子



茅ヶ崎の海辺に住む作者の身辺を詠んだ句。山からの初音と海からの風が程

よく調和を保って、快い早春の風景を作っている。(高橋信之)


19日(土)

火をつけて中州の葦の遅速あり 堀佐夜子



自句自解

淀川の葦焼はテレビにも放映される程です。


20日(日)

梅香るでんでん太鼓を孫に買う 古田けいじ



自句自解

京都の息子へ陣中見舞い。北の天満宮へ神頼み。雪がちらつく気候だったが

、境内の梅が咲き初め、確実に春は近づいているのを感ずる。


21日(月)

トーストへ蜂蜜固し浅き春 古田けいじ



自句自解

朝のトーストへ塗る蜂蜜はまだ固い。春は名のみで、寒さはまだ蜂蜜の中に

居座って御座るようだ。


22日(火)

春の雪庭にはやんで遠く降る 相原弘子



自句自解

見渡せる北。かって伊予の武蔵野であった。春の雪がいたずらっぽく降りや

まない。伊予の武蔵野がその包まれように又、よみがえる。


23日(水)

農作業終りし篭に蕗の薹 相原弘子



自句自解

行き交わす人と一言。畑帰りの篭に出てきたばかりかの蕗の薹。その

みどりが夕暮れに溶ける。


24日(木)

雪残る雑木林に赤い鳥 霧野萬地郎



自句自解

ニューヨーク郊外。パークウェイ(荷物車乗り入れ禁止の道路)のパーキン

グエリアは自然が保護されている。カージナルスなどの動きが雪の中に見え

ます。


25日(金)

今二月そして鴨の尾別れどき  森 隆博



自句自解

自然の営みは自然であるから美しい、当然北に帰るのでしょうが、楽しませ

てくれてありがとう。


26日(土)

白梅の近づくほどに香の立てり 藤田洋子



自句自解

そこはかとなく匂う梅の香に引き寄せられる如く近づけば、その小さき花び

らも清楚な香りもよりいっそう、愛おしく感じます。


27日(日)

深川や春まだ浅き裏長屋  伊嶋高男



かつての名監督・小津安二郎の映画のシーンのように。(野上哲斉)


28日(月)

春泥のつきし長靴父帰る 堀佐夜子



一家の柱としての父の姿が見えてくる。働き者の父である。信頼されている

父である。(高橋信之)


29日(火)

極楽鳥の色添えられて春の雪 森竹智則



春の雪がテーマとなったこの景色は極楽鳥を配することで、まことに美しい

句となった。(高橋正子)