俳句日記


■俳句カレンダー/2000■

【4月】

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1日(土)/エイプリルフール

山に来て全身包む風も春 森 隆博



自句自解

ひさびさの山間ドライブ、見回せる小さな展望場所に降り立つと優しい風が

暖かさで迎えてくれた。


2日(日)

蒲公英の発つ時近し飛行音 渡邉道朗



自句自解

麗らかな日、蒲公英の綿毛に見とれていた。一本も抜けたところが無く、完

全な球形のまま、今まさに飛び立とうとしていた。おりしも遙か上空をジェ

ット機が通過していった。


3日(月)

通夜帰り闇より匂ふ沈丁花 堀佐夜子



自句自解

風に乗り何処からとも無しに沈丁の香が漂って来てよけいに悲しさが増して

来ました。


4日(火)

花浮かぶ水門へ春潮上がり来る 古田けいじ



自句自解

三重県の津へ友人を訪ねていった時。海に続く水路の水門に花びらが浮かび

、ちょうど満ち潮の時だった。 本当はゆっくりの満ち潮だったのだろうが、

満ち潮が見えるようだった。


5日(水)

路地裏の白き風あり花こぶし 阪本登美子



自句自解

満開のこぶしの花が、目に白い風となって映った。いつもの路地裏が別世界

のようだった。


6日(木)

入学の子に青空の新たなる 渡邉道郎



自句自解

妻の代わりに娘の入学式へ出席した。駐車場代わりのグランドから、一段高

いところへある校舎へと階段を上って行く。見上げたその先に青空があった

。まさに入学式にふさわしい青空だった。


7日(金)

満開の桜己の枝見せず 野上哲斉



桜が蕾のうちは、枝も咲く時を待って印象的だが、満開になるとその枝もす

っかり隠れてしまう。われわれは、意外にもそれに気づかないのである。(

評:高橋正子)


8日(土)/潅仏会、花祭り

花びらのひらひら散るを見届ける 森 隆博



下五の「見届ける」で完成。作者のやさしさと強い意志が読み取れる。(評

:高橋信之)


9日(日)

花冷えの校舎の屋根の午笛鳴る 渡邉道郎



自句自解

小学校の屋根にあるサイレンは来る日も来る日も村中に時を告げ続けた。そ

の小学校も昨年春に閉校した。たまたまその閉校式の日に帰省していて、昔

通りに昼を告げるサイレンの音を聞いた。この音も聞けなくなるのかと思う

と熱いものがこみ上げてきた。


10日(月)

登校の子がおはようとチューリップに 藤田洋子



自句自解

色とりどりに咲いたチューリップに見送られながら、登校の子供たちが声を

かけていきます。明るい春の朝です。


11日(火)

タラの芽積む美濃の山塊雲晴れる 古田けいじ



自句自解

友人と山菜摘みに出かける。道が途切れた頂上で休む。眼下に広がる雲が晴

れて山並みが見えてきた。名古屋から近い所にこんなに素晴らしい眺めの出

来る所があるのに驚く。


12日(水)

春愁や言葉を閉じて紅を引く 阪本登美子



自句自解

春の物憂い一日、思わず鏡とにらめっこしていた。


13日(木)

嬰を背にねんねんころり朧月 堀佐夜子



自句自解

お向かいの若いおばあさんとお孫さんをそのまま見たままです。


14日(金)

いってきます声も大きく遠足日 藤田洋子



自句自解

夕べ吊したてるてる坊主のおかげで今日は快晴。リュックも声も大きくふく

らんで元気いっぱい「いってきます。」


15日(土)

ほっくりと筍届く山匂う 相原弘子



自句自解

筍が目の前に置かれると、遥かな遥かなところを思う。それは山であり、地

中であり。


16日(日)

青麦を一本折って持ち歩き 相原弘子



自句自解

曲がる事を知らないかの麦。その青い頃の刻を追うかの伸び様は魅せられる。


17日(月)

春の雷湯呑の酒をこぼしけり 吉田 晃



自句自解

親子二代の教員生活。単身赴任をしてみて、父もこうしていたのだろうと思う。


18日(火)

ああ雲雀同時に言いて雲のなし 守屋光雅



いい句ですね。上五の「ああ雲雀」の後の切れがうまく働いています。「雲

のなし」と言い切って、一句を終えているのも、読者に強い感動を伝えてく

れます。中七の「同時に言いて」は、まさに感性の共同体ですね。インター

ネット上で、このようなレベルの高い句が生まれたのを、とても嬉しく思い

ます。(評:高橋信之)


19日(水)

流れても流れても吹くシャボン玉 碇 英一



ずいぶん自由で、のびのびした句ですね。シャボン玉が、つぎつぎ吹かれて

飛んでいく、伸びやかな春の明るさがいいと思います。(評:高橋正子)


20日(木)

駅頭に学生どっと新学期 八木孝子



ことが新しくなると、勢いがつく。「どっと」という言葉がこの勢いを表現

して、素直である。生命の勢いは、真っ直ぐである。この句に季語はないが

、季感は、充分に春である。(評:高橋信之)


21日(金)

不揃いに羽をゆらせて白き蝶 大谷悦子



うまく言葉が出てきましたね。句の頭に置いた「不揃いに」は、なかなかの

力量を覗わせます。自然の営みには、不揃いなものが多いのですが、どれも

がそれなりのリズムや調和をもって活動します。それなりの命があるのです

。「白き」が美しく、句に生命を与えました。(評:高橋信之)


22日(土)

三つ葉浮く汁碗軽き漆塗り 霧野萬地郎



俳句の良さをうまく出しています。押し付けの無い軽さが良く、心を通じ合

うのに不足はありませんね。(評:高橋信之)


23日(日)/イースター

上空に風雨残りて春夕焼 伊嶋高男



まだ、雨が上がりきっていないのに、はや、春の空は夕焼けている。上気し

たように、明日の晴れを約束してくれている。上気したような春の気分がい

いと思います。(評:高橋正子)


24日(月)

春泥をつけてバス待つくりくり坊主 北村勇治



泥が付いていても気にしない、くりくり頭の男の子。頓着なく振舞うのであ

ろう。春の日差しのなかで、男の子らしくてかわいい。(評:高橋正子)


25日(火)

グランドのドリブル軽く春の朝 日野正人



軽さがいい。少し湿った春の朝、ボールの弾む音が聞こえる。誰か一番に来

て、ドリブルの練習をしているのだろう。誰だろうかと、少し気にとめるが

、さほど気にするわけでもない。やはり、この軽さがいいと思う。(評:高

橋正子)


26日(水)

きらきらと潮目光りて帆に春風 城本竜馬



潮目がきらきら光るのは、瀬戸内海の感じですね。沖に出た舟は、帆に春風

を孕んで、潮の流れる海を走る。爽快さがいいと思います。(評:高橋正子)


27日(木)

春光を掬うごとくに鍬振るふ 安西さゆり



天からの光を受けて輝く地の土。その土を掬うように掘り返す。自然の恵み

に感謝しながら、働く喜びを感じている、充実した春の出発。(評:古田けい

じ)


28日(金)

連翹の散りたる路をけんけんぱ 林 緑丘



「連翹」の黄がとても印象的です。「けんけんぱ」が効きましたね。今の季

節によく合いますよ。子供たちに向けている優しい視線。これは、いい風景

です。(評:高橋信之)


29日(土)/緑の日

惜春や妻突然に髪を切る 渡邉道朗



自句自解

何を思ったか長かった髪をバッサリと切った。特に理由もなさそうだったが

、聞くのも恐かった。「短いほうがいいじゃあないか」と、これも言わずに

終わった。


30日(日)

紙飛行機横切る風の光りけり 堀佐夜子



自句自解

淀川堤を散歩中の出来事です。