デイリー句会


■俳句カレンダー/2000■

【9月】

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1日(金)

星の数増えて今年も秋来る/霧野萬地郎



自句自解

駅から自宅まで15分程、歩く。街灯かりが急に少なくなって、自宅に近づく

と空を見上げて、やれやれ致します。秋ともなれば、夜空の星のまたたきが

増えてきます。


2日(土)

平仮名で記して優しいすすきです/相原弘子



自句自解

平仮名はむつかしい。一字一字声にして読んで意味がわかってくる。「すす

き」と書いた。やさしくみえてくるばかり。


3日(日)

濃龍胆美空ひばりの碑の蔭に/野田ゆたか



自句自解

杉の大杉を訪ねた際、美空ひばりさんの歌碑に寄った。ひばりさんが好んだ

龍胆が周辺に咲いていました。


4日(月)

キュッキュッと洗う新米夕厨/堀佐夜子



自句自解

新米を炊ぐとき気持良い音を立てて呉れます。感謝を込めて頂きます!


5日(火)

天に近き古城ホテルの流れ星/古田けいじ



自句自解

オーストリアの古城のあったところに建てられたホテル。夜、旅行仲間が集

まって、星座に詳しいと自称する友人の説明で星座鑑賞会。天の川もくっき

り見える暗さで、流れ星がいくつも見えた。


6日(水)

蜻蛉群れはこぶ風あり光あり/阪本登美子



自句自解

透明な光の中を、風にさそわれる様に青空にすいこまれていった。


7日(木)

さやかなる大気病む子の体内へ/藤田洋子



自句自解

季節の変わり目によく喘息を起こしていた子供。心身に感じる秋涼の大気に

子の体内が充たされれば、快復の兆しが見える気がした。


8日(金)

秋の蝉古く大きな木の響き/相原弘子



自句自解

秋蝉の思わぬ程の強い声。終焉への声だろうか。古く大きな木がついそう思

わせる。


9日(土)

丘を越え気球の運ぶ秋の色/霧野萬地郎



自句自解

英国の丘陵を気球が浮いて動いていました。その丘陵は既に秋の色が始まっ

ています。まるで、気球が秋を運んできた様でした。


10日(日)

帰り遅き子を案ずれば虫の声/古田けいじ



自句自解

今夜もアルバイトへ行った息子。12時を過ぎてもまだ帰らず心配。こおろぎ

の声に慰められて眠りにつこう。


11日(月)

東山日暮れは早く酔芙蓉/古田けいじ



自句自解

銀閣寺近く。東山に向かって歩いていると、ある旧家の塀越しに酔芙蓉の

花。早くなった日暮れの中で


12日(火)/十五夜/満月

ただいまの声の後ろに月まるく/安西さゆり



自句自解 

日の落ちるのが日に日に早くなり、子供の帰宅するころ外はもう真っ暗.玄

関チャイムの音とともに開けたとき、子供がお月様を連れ帰ってきたのかと

思うような大きくまん丸の十五夜でした。


13日(水)

落日やまわる風あり芒原/阪本登美子



自句自解

落日で風の吹き方に微妙な変化をみた。芒が夕日に丸く染まりとても

美しかった。


14日(木)

花博や花壇に勝る虫の声/野田ゆたか



自句自解

花は、変わり映えしなかった。しかし昼の虫でしたが、虫に興味をおぼえ

た。


15日(金)

月上る大海原の真ん中に/藤田洋子



自句自解

昨年、旅の船上で素晴らしい月夜に出会う。地上とはまた違ったそのさやけ

き月の趣は、今でも忘れられない。


16日(土)

秋刀魚食う苦味もともに呑み込めり/安西さゆり



自句自解

 秋刀魚の苦味がなぜおいしいのかまったく分かりませんでした.

でも今年の初秋刀魚のとき、あの苦味がうそのように旨みに感じられたのです。 


17日(日)

忌を終えし今朝の白菊よく匂い/藤田洋子



自句自解

その翌朝の白菊の香にとても心癒やされました。今年もまた大切な人を忍ぶ

かのように、菊の蕾が開きだしました。


18日(月)

学童の見上げる空の鰯雲/阪本登美子



自句自解

小学生たちがマンションの公園でサッカーボールで遊んでいた。急に

静かになった。7,8人の子供が腕組みをし植え込みのブロックに一

列になって空を見上げていた。私も思わず空を見た、本当にきれいな

雲がゆっくり流れていた。


19日(火)

わが背の低ければ木犀の匂い濃き/吉田 晃



自句自解

今日も箒を持って、学校の玄関を掃除する。いつものところに来ると,一層

濃い匂いが私の頭上に降りかかってきて、私の肺は大きく動いてしまう。


20日(水)

池に水動いて二十三夜月/相原弘子



自句自解

暗い。本当に暗い。縁側から池を見た。どこかが動いた。/font>


21日(木)

みずひき草の朱が試験期の図書館に/高橋正子



自句自解

30年も前の学生時代の句なのですが、大学で一番自由な気分でいられるの

は、中でも図書館でした。広い机とだれにも邪魔されない自由さが気に入っ

ていました。図書館に活けられる花は、清楚であったり、つつましくあった

り、野の雰囲気があって、心がすっとするものでした。そんな印象のみずひ

き草でした。


22日(金)

そこに光り集めて木犀落下する/古田けいじ



自句自解

塀を越えて木犀の枝があり、道路へその橙色の、小さな花を散らしている。

道路に丸く落ち敷かれた花。今も小さく散っている花。そこに日が当たりそ

の色をさらに鮮やかにしている。


23日(土)

仲間等の顔引き締まる九月かな/野田ゆたか



自句自解

涼しさを感じると、緩んでいた心身もしゃっきりし、学業の顔、仕事の顔、

また遊びの顔を取り戻してくる。


24日(日)

乾杯の信濃の新酒溢れけり/古田けいじ



自句自解

友人の計らいで蓼科高原の洒落たホテルに泊まった。夕食の時、今年の信濃

のぶどう酒で乾杯した。グラスを合わせ、学生時代の話など、尽きぬ団欒と

なった。


25日(月)

頬杖の少女の視線の天高し/吉田 晃



自句自解

教室での授業。講義をしながら目をやると、頬杖をついた少女に気づく。注

意をしようとしたが、彼女の目の涼しさに注意をするのがもったいなくて、

彼女の視線を追ってしまった。<


26日(火)

鶏頭の何れも紅く暮れ残る/渡邉道朗



自句自解

たまたま少し早めに社を出たその日もほとんど暮れかかっていた。通りかか

った民家の、いつも見る庭の、ほとんどのものがすでに闇に溶けた中で、鶏

頭の深紅だけがあちこちに残っていた。暗いのを良い事にじっくりと見せて

もらった。


27日(水)

武蔵野の風の中なる秋桜/阪本登美子



自句自解

吉祥寺に久しぶりにでかけた。駅をでるとコスモス畑が一面に広がり、心地

よい風が頬をなでた。気がつくとコスモスの中を歩いていた。


28日(木)

早稲の香に動き始める村の朝/森 隆博



自句自解

5時の早朝、早稲の四隅に機械を入れるための手苅りをしている。朝の空気

に躍動の村が包まれている。


29日(金)

秋あかね無言で征きし画学生/古田けいじ



自句自解

長野県にある戦没画学生の残した絵を中心とする美術館「無言館」を訪れた

。質素な構えの美術館の方から、秋あかねの群れが飛んできた。何だか、画

学生の生まれ変わりのように思ってしまった。


30日(土)

大いなる薄一叢空海展/野上哲斉



自句自解

先日空海展を見学した。1220余年も以前に実在の人物である。遣唐使時代の

空海修業先であった、西安の青龍寺も拝観の機会に恵まれた。ますます空海

が身近な人物と思えてきた。堀之内の薄も、心なしか風に揺れて見えた。