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木の葉軽し幾枚拾い上げてみても 相原弘子 自句自解 軽いねーと、独り言になる。からっとしていて胸の奥まで軽くなる。
田の中に大きく建って霜の屋根 相原弘子 自句自解 冷えて大きく息をして見る朝。体育館の屋根の端まで霜。赤いそれが又、大 きい。
落ち葉踏み友が来たれり夕の門 人見忠雄 一日が終わる夕べの門を友が訪ねてくれるのは、うれしい。落ち葉を踏む音 が、来客を告げている。(評:高橋正子)
公園の噴水硬し冬来れば 碇 英一 技巧があるように見えるが、率直な句。心がまっすぐに対象の風景に向かっ ている。(評:高橋信之)
冬帽の赤青黄色鬼ごっこ 堀佐夜子 自句自解 いろんな色の帽子の子が鼻を真っ赤にして遊んでいました。
蕎麦抜き鴨ネット句友と初対面 霧野萬地郎 自句自解 水煙のインターネット俳句を通じて、知り合っていた伊嶋高男さんと初めて オフラインで会った。場所は高男さん選定の江戸下町情緒の残る神田。それ までの高男さんの句の通り、いろいろと、神田界隈に精通されておられた。 <蕎麦抜き鴨>は<鴨南蛮蕎麦>から蕎麦を抜いた酒の肴。インターネット 俳句会を通じて、その後、多くの句友との邂逅を持て、俳句の楽しみが倍加 した。
冬の朝楽しみながらカミソリ音 森 隆博 自句自解 少し濃いめの私は朝の日課です。いいことは分かち合いたく分けて貰いたい 、自然とリズムが生まれ寒さも気になりません。
一幹の大樹となりし冬欅 阪本登美子 自句自解 夏の間は青々と葉を茂らせてどうどうとしている。葉を落としてもなお主の ようにしっかりと聳えたっている。冬の太陽がまばゆかった。
枯木立声広がりて鳶舞う 阪本登美子 自句自解 すっかり葉を落とした冬木、しっかりと地にがんばっている。その枝々の中 を鳶が声高く上へ上へと舞い上がった。風もなくおだやかな昼下がりだった。
黒髪を断ちて入院冬椿 野上哲斉 自句自解 私の青春時代に病床にあった頃、うら若い女性が長い髪を断髪にして、入院 してきた。当時としてはパーマも珍しくオカツパ頭は痛々しくも甘い想いで の美人であった。
ユーモラス青首大根首曲げて 野上哲斉 自句自解 青首大根は、うら若い女性のみ脚のように、にょきにょきと白い肌を土から 出して首を曲げて、とてもユーモラスである。
冬天のてっぺんまでつきぬけて青 有吉孝史 自句自解 いつも曇りがちな冬空が、ある日、目覚めるとすっきりと晴れ渡っていまし た。ほかの季節とは、またひと味ちがう空の高さ。大気の層がより澄んでい て肌が切れてしまいそうな気分になります。今日一日も頑張るぞ、と思いき って詠んだ一句です。
ガラス拭く師走の空が透き通り 藤田洋子 自句自解 一年間のもろもろを払拭するかのようにガラスを拭く。何かと気ぜわしい師 走こそ、窓に映る明るい空の青さが嬉しい。
沈黙の力を秘めし冬木立 藤田洋子 自句自解 冬木の凛として立ち並ぶ逞しく美しい姿に惹かれる。冬の孤独にじっと耐え やがて訪れる季節へ力を蓄えているようだ。
賀状書き済ませて喪中葉書来る 野田ゆたか 自句自解 例年、喪中葉書を何枚か受け取りますが、中には喪中が初耳で賀状を書いて しまっている事があります。
乗鞍の雪嶺青くオリオン座 堀 幹夫 乗鞍岳の雪嶺の青く厳しい様と、オリオン座の揺るぎ無く組まれた星座の形 が、鮮明なイメージを作っている。それが読み手の気持ちをしっかりと掴ん でいる。「乗鞍」の山名も充分生きている。(評:高橋正子)
冬の月絵馬に書かれし願い読む 右田俊郎 冬の月の明かりもかすかである。絵馬に書かれた人間らしい願いも、少し距 離をおいてほほえましく思える。(評:高橋正子)
ロデオ囃すカウボーイ達息白し 霧野萬地郎 自句自解 ダラス郊外にて。地元の友人と一緒に迫力満点のロデオを見ました。観る人 、する人、皆カウボーイです。
片付けて四隅ありたる冬座敷 戸原琴 和室は、いろんな住まい方ができる。普段の部屋も、来客があるとなとなれ ば、きちんと物を取り払って、凛とした座敷になる。冬座敷の凛とした清潔 さがいい。(評:高橋正子)
日溜まりをぎっしりうめて冬木の芽 八木孝子 冬日向に、どの木々もつやつやと芽をつけている。小さな芽の生き生きした 様子に、元気を与えられる。(評:高橋正子)
大霜の白一面に一歩踏む 日野正人 「一歩」が効きましたね。「一面」と「一歩」との「一」の繰り返しが効き ましたね。「霜」を遺憾なく表現して、とてもいい句です。(高橋信之)
大根を包む新聞濡らしけり 堀佐夜子 「新聞濡らしけり」は、大根のみずみずしさを言い換えてほかならない。水 対する感覚といえるかもしれない。いきいきして、フレッシュである。(高 橋正子)
ベランダの花鉢眠れ冬の月 堀佐夜子 自句自解 冬の月は冷え冷えとしていますけれど、この夜はくっきりと満月に近い月で したので明日は良いお天気に成るだろうから花たちも早く休んであした又元 気に咲いて欲しいものだ。
聖イヴの大き絵本を子に広げ 高橋正子 クリスマスにふさわしい絵本は、いくつもあると思うが、ここに広げた絵本 は、「てぶくろ」というロシア民話の話だと記憶している。幼い子が、脚な ど伸ばして、大きな絵本を読んでいる姿は、かわいらしい。
クレソンは霜に焼けつつ色をなし 守屋光雅 クレソンは、ステーキや、サラダなどに添えられ、西洋三つ葉とも言われて 、独特の香気とピリッとした辛い味が魅力の野菜。濃い緑色は、霜に当たっ て、一層濃くなる。霜の朝のきりっとした清々しさがよいと思います。(高 橋正子)
澄み渡る冬の日の一面の大空 福田由平 自然の大きさは、何のこだわりもなく、曇りなく広がっている。そこを捉え た作者の心も、大きく、透明になっているのである。(高橋信之)
しんしんと冷ゆる音なき音の中 野上哲斉 自句自解 宵のうちの暖房も消えて、深夜の空気は冷え切ってきている。物音一つない 暗黒の中で、冷えはつづいてゆく。不気味な感じすらしてくる一夜でした。
一年を一表にして事務納 野田ゆたか 自句自解 仕事の成果を月別に箇条書きにしてこの1年を締め括りました。来年は、こ の表を基にプラス15%位で行こうかと思ったりします。
大甍ゆっくり動く冬の雲 伊嶋高男 限られた空間をゆったり使い、限られた時間をゆったり使えば、自己の存在 を確実にするであろう。作者が得た日常での充実した時間。(高橋信之)
揚げ風の鳶の冬山越えにけり 吉田 晃 上昇気流に乗って、冬空高く舞い上がり、ついには大きな山も飛び越えて行 ってしまう。雄大な景色が広がってきます。(福田由平)
ここでも子ら笑う大晦日の湯舟 高橋信之 自句自解 昭和45年の作。この頃の借家には浴室がなく、誰もが銭湯に出かけた。こ の句に出会うと、その日の情景がありありと浮かんで、子ども達の笑い声が 聞こえてくる。懐かしい思い出の句。