俳句カレンダー/2000
俳句日記


■俳句カレンダー/200年■

月】

日  月  火  水  木  金  土
   01 02 03 04 05 06
07 08 09 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30  31313131313
                  

1日(月)

せせらぎの砂に日差してお元日  高橋正子





自句自解


松山の護国神社へ家族で初詣をしたときのこと。神社のすぐ前のせせらぎの


砂が、元日の日差しを受けてあまりに清らかだったので、思わずできた句。





我ら立つ星が自転す初日の出 古田けいじ





自句自解


近くの公園は高台になっており初日の出を見にくる人でにぎわう。東の三河


の山のほうから初日がゆっくり出てくるのが見えた。太陽が昇るのでなく、


われらのすむ星、地球が自転をして太陽が見える位置にくる、などと、ちょ


っと理屈っぽく思いながら、初日を拝んだ。





初鏡眉に一本長白毛 野田ゆたか





自句自解


初かみそり、髭を剃るとき白髪に気付きました。私も眉に白髪が出る年にな


りました。妻に見せると福白髪だから抜かずに置いておく方がよいとのこと


でした。


2日(火)

富士を背に箱根駅伝息白し 阪本登美子





自句自解


1月2日往路。富士山を背に、国道134号線を走る若者達の姿に視線を注


いでいた。


3日(水)

西に入る日は赤々とお正月 藤田洋子





自句自解


一年の始まりは、あたりの風景も目に入る全てのものに新鮮さを感じる。朝


からの晴天に恵まれたお正月の日の入り。見事な入り日の美しさにしばし見


とれ感動を覚えた。


4日(木)

初春を言祝ぐ音色笙の笛 右田俊郎





自句自解


笙の音色は地上から天空へ立ち昇るが如くで、初春を言祝ぐのに相応しい。


宮田まゆみさんという、笙の国際普及に努力されている若い演奏家がいる。


5日(金)

寒の入り伽藍に座せる僧素足 右田俊郎





自句自解


鶴見の総持寺でのこと。初詣の喧騒が去り深い静けさの中、寺は信仰と修行


の場に戻っていた。僧侶の列がお勤めのために伽藍を進む。皆、素足のまま


整然と進んで座についた。


6日(土)

生き生きと声が動いて初句会 藤田洋子





自句自解


高橋先生のご自宅での初句会。新しい年の緊張感と共に明るく生き生きとし


た声の飛び交う楽しい句会となる。


7日(日)

炊き上げし七草粥の火の匂い 阪本登美子





自句自解


七草を俎板の上できざむ。炊き上がった鍋のなかへ七草をちらす。1月7日


は私しの誕生日である。来年も健康でこの日を迎える事が出来ることを願い


、味わった。


8日(月)

カーディガン月光に冷えあす成人 高橋正子





自句自解


学生時代、生家に帰省していて出来た句。そとの用事をいろいろしていて、


黒いカーディガンが、毛羽立つように、白く霜を帯びたような感じで冷え


ていた。あす成人となることをふと思った。祖母の葬儀のための用事をし


ていた日のこと。





風花の舞って青空広くあり 堀佐夜子





自句自解


雪が止んだ後の空は良く晴れて青空が広く感じられます。微風に舞う雪片は


美しい冬の風物詩です。


9日(火)

潮新年染めてくるのは雲割る陽 相原弘子





自句自解


新年早々の潮が海を満たしている。ちょっと曇りがちかなかなと思って、浜


辺にいると太陽が雲を割った。明るい。ああとだけ思った。


10日(水)

山里の霜降る朝の音のなし 吉田 晃





自句自解


あまりの寒さに目を覚まし、白々と明ける窓を見る。露がついていて外は見


えないが,こんな朝は霜がすごいことを体験的に知っている。


11日(木)

雪山の幾重の峪の村一つ 堀佐夜子





自句自解


摂津市内では見る事の出来ない雪深い山村でした。テレビで見ましたけれど


、山又山にも人々の生活が有る事を教えられ、其処にも幸せが有るのですね


。幸せは感じ取るものですね。


12日(金)

誰かに呼ばれているらしい一月の晴れ 相原弘子





自句自解


晴れ渡ってあらゆるものがその中へ吸われる。寒だからこそであろう。名を


呼ぶ声が貫けてくるようだ。誰も呼んでないだろうに。


13日(土)

冬木立寄れば入日の温度あり 古田けいじ





自句自解


思うように俳句が作れなくて近くの緑地へ。ブッシュをかき分けて畑に出た


ところにクヌギの太い木があった。触ってみると暖かかった。折りから沈む


太陽の昼間の温度を蓄積していたのだろう。なんだかほっとした気分になっ


た。


14日(日)

冬すみれ嬉しき言葉秘めきれず 野田ゆたか





自句自解


誉め言葉などは、受けた当事者が口にすべきではないのですが、嬉しさのあ


まり口にすることがあります。その後で、冬の菫のように慎ましくありたい


ものだと思ったりします。



15日(月)

ポッケトにまるめておりぬ冬帽子 相原弘子





自句自解


帽子を被ると自分の頭がわかるようでおかしくなってくる。ポケットにまる


めている時はどうなんだろうと、又、おかしい。


16日(火)

香のこぼる水仙を抱き風の坂 藤田洋子





自句自解


庭の水仙は、清楚に咲く姿もその芳しい香りも毎年楽しませてくれる。水仙


を手にその香りを運ぶときもまた、幸せなひとときである。


17日(水)

枯れ葉舞う美術館への石畳 阪本登美子





自句自解


星野富広絵画展をみた。花の絵の中に囲まれてゆったりした刻であった。絵


の中の花びらのような真っ赤な葉っぱが一枚、石畳の上でくるくるとまわっ


ていた。


18日(木)

鉛筆の机をころぶ寒夜かな 堀佐夜子





自句自解


空気の乾燥する冬の夜は小さな音でも大きく響くように思われます。


19日(金)

冬木立つその確かなる影を踏む 藤田洋子





自句自解


冬の大気の中、力強い生命力を内に秘め立つ冬木。その影もまた輪郭のはっ


きりした確かさを持ち、心惹かれるものがあります。


20日(土)

冬木立リヤカー曳いてチマチョゴリ 古田けいじ





自句自解


ソウルへ旅した。滞在中ずっと天候が悪く寒かった。郊外の、古い時代の民


家などを集めた民族村へいった時、原色のチマチョゴリをきた女性がリヤカ


ーを曳いて、向こうの木立の中を通っていった。その時また雪が降り出した。


21日(日)

コーヒーの匙上向きてすぐ冷ゆる 高橋正子





自句自解


学生の時代の句。下宿の八畳間は、良く冷え込んで、コーヒーを混ぜたスプ


ーンは、寒寒とすぐに冷えてしまった。「上向きて」は、そのときの感懐な


のだが、それがこの句を、「天狼」同人で、英詩の授業をしてくださった、


谷野予志先生がお褒めくださる結果となった。この以後、谷野先生は英文科


の先生方に、この句を何度となくおっしゃって、感覚の鋭さを指摘されたと


聞いた。自分の個性の一つを知った思い出の一句。一草庵での句会の句。


22日(月)

今朝は先ず車掘り出す雪仕事 霧野萬地郎





自句自解


ニューヨーク郊外の豪雪。露天に駐車した車は完全に雪に覆われました。ス


コップを使って、雪と汗まみれになって、車を掘り出し、また道路までの導


入路、と歩行者用の道作り。車道の除雪は都市、そこに至るまでの私道の除


雪は個人の責任。滑って怪我すれば、訴訟にもなる。この日は除雪アルバイ


トが来ませんでした。


23日(火)

雪面の月青くして風痛し 霧野萬地郎





自句自解


ニューヨーク郊外。夏はピクニックなどで賑わう公園広場も、一面の雪面が


風化して鏡面化。風が強く、空が澄み渡り、月光が青白く反射していました。


24日(水)

寒中の堀の水底濃き深き 藤田洋子





自句自解


一月の吟行で、堀之内を散策したことがありました。季節変わる度さまざま


な色を見せてくれるお堀ですが、この日の深い色はとても印象的でした。


25日(木)

早暁に赤富士を見る寒の内 右田俊郎





自句自解


山中湖の一月の朝です。朝焼けの富士山の荘厳さにうたれました。


26日(金)

風花の中モノレール曲がり来し 堀佐夜子


風花の舞う空の高さが目に浮びます。その空からモノレールがカーブしてや


って来ます。そこに心惹かれるのは、未来都市を夢見る少年少女のような心


ではないでしょうか。(高橋正子) 


27日(土)

夜鳴き蕎麦りるりらりると来て止まる 堀佐夜子





自句自解


この頃のチャルメラは少し昔と違う感じがしますが録音の為でしょうか。美


味しそうだなと思うのですがお腹も身のうちと諦めます。


28日(日)

陽を浴びて寝転ぶ空へ冬木立 古田けいじ





自句自解


近くに残った里山へ散歩。日の当たる落ち葉の上で寝転んだ。こんな高い木


のてっぺんまで水を吸い上げる冬木立の生命力に改めて敬服。


29日(月)

冬耕の畝立てられている日暮れ 吉田 晃





自句自解


山の冬は寂しい。しかし、至る所に人間の強さが見える。立てられた畝は、


春には芽吹く地となる。寂しいと感じるのは土に生きていない者の感傷かも


しれない。


30日(火)

冬木立簡素がゆえの強さかな 吉田 晃





自句自解


木が枝をいっぱいに張って立っている。ほかには何もない。余計なものがな


いから、1本1本の木の強さがよくわかる。


31日(水)

冬えんどう藁のたらされ少し巻く 祝 恵子





作り手の優しさが伝わってくる。生命へのいたわりでもある。(高橋信之)