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囀りの大きくなって街動く 森竹智則 暖かくなるにつれて、小鳥の囀りも大きくなる。人の動きも活発に なって、街を行き交う車も忙しげである。それを街動くといったと ころに、春らしさが感じられる。(高橋正子)
降って見せ晴れて見せして春の雪 碇 英一 単なる写生で無く、作り手の心が表現されていますね。「春の雪」 も季語としての良い働きをしています。(高橋信之)
ゆうぐれの空はみずいろ雛まつり 高橋正子 童話の世界にいるようだ。瑞々しい感性どこまでも純粋な気持ちに させてくれる。私の好きな句である。(阪本登美子)
初蝶を空の青さに見失う 藤田洋子 初蝶の初々しさがいい。まだ、それほど強くない空の光にまぎれて しまう。真実を見ぬいた詩心がいい。洋子さんの句このごろ、ステ ップアップしたように思います。(評:高橋正子)
初蝶のふいに飛び出す厨口 阪本登美子 蝶がこんなところにいたとは。ひらひらと飛び出す蝶は、わが家か ら生まれたような気さえする。かるがると厨口から飛び出していっ た。(評:高橋正子)
袋から黒土芽吹く木の下へ 古田けいじ 育てるということは、楽しみです。わが子も草木も同じで、明日へ の夢があります。(高橋信之)
セロファンの桃の花束手に軽し 霧野萬地郎 「手に軽し」に、気持ちのすべて表れている。雛様に飾る桃の花枝 は、手に持って軽い本数で、セロファンにも透け、ほのぼのした明 るさがある。桃の節句の意味合いでもあろう。(高橋正子)
日は永し明るく揺れる花もらい 相原弘子 何の花だか、読み手にはわからないが、もらった花は、明るく、楽 しげに揺れている。揺れる花を喜ぶ心は、日が永くなってきたこと への嬉しさでもある。(評:高橋正子)
おしばなの紅梅円形にて匂う 高橋正子 自句自解 梅の花を見ると、その香りもなんとか手許に残しておきたい衝動に かられます。それで本などに挟んで押し花にするのですが、出来あ がった形がなんともいえず、かわいらしく思え、匂いもそこはかと なくするのです。
林間を春の瀬音の高まりぬ 伊嶋高男 林を歩いているのでしょうか。木々の間から、瀬音が聞こえてきま す。水量もいくぶん増えた感じの瀬音に、いよいよ春になったとい う明るい想いが重ねられています。(高橋正子)
影濃くて春の動きの鬼ごっこ 吉田 晃 春の日差しが次第に強くなって、影が濃くなる。鬼ごっこの影も楽 しそうに動いている子どもの世界が詠まれている。(高橋正子)
紙飛行機ふいに横ぎる土手の春 堀佐夜子 感動の喜びは「ふいに」やってくるものである。巧まないのがよい 。(高橋信之)
天満宮土産・うぐいす笛窓の光に吹いてみる 古田けいじ けいじさんの句は、ユニークで明るいのがよい。「光に吹いてみる 」という言葉は、私をわくわくさせる。(高橋信之)
囀りや空の余白に高まりぬ 阪本登美子 「空の余白に」は、うまい表現で、見えないところを見ている。句 がしっかりしているのは、作者の日常から得たものであろうと思う 。(高橋信之)
紙飛行機横切る風の光りけり 堀佐夜子 芭蕉の言葉に「俳諧は三尺の童にさせよ」とあるが、作者の童心が 多くの人の心を打ったに違いない。作者の技術の高さは、「横切る 」という言葉、「けり」という季語の使い方を見ても、充分窺い知 ることが出来るであろう。(高橋信之)
冬帽の赤青黄色鬼ごっこ 堀佐夜子 歌いたくなるようなリズムがありますね。子どもの心に戻った喜び に読者もともに喜ぶことができ、嬉しくなります。芭蕉の「俳諧は 三尺の童にさせよ」といった言葉を思いだしました。(高橋信之)
芽ぐむもの全てに愛の光りけり 藤田洋子 喜びの俳句である。短い言葉ゆえに生命讃歌が力強く詠まれた。 (高橋信之)
囀りに子の片言の鳥を呼び 高橋正子 自句自解 子どもが小さいうちは、外を散歩しながら、よく遊ばせたものです 。外が好きな子どもに付いて行くと、あちこちから、小鳥の囀りが 聞こえてきます。どきどきは、子どもが小鳥をたどたどしく呼んだ りして、親の私も楽しみました。
手を振りて春夕焼けの子の家路 吉田 晃 児童生徒に向けられている教師の視線がいい。心温まる風景。(高橋信之)
シャボン玉追いかける子も七色に 鳩崎良一 文句なく明るい句。家庭でも、学校でも、子供たちが明るく振る舞 うことが出来ないならば、それは、大人たちの責任であろう。(高 橋信之)
春灯へ丸い口開けている湯呑 高橋信之 ありふれた日常の風景であるが、現実を厳しく見つめている眼を感 じる。(脇坂公司)
初雲雀空かたよりてわが頭上 高橋正子 初雲雀の囀りが明るく生き生きと聞こえます。天を目指して舞い上 がり鳴く雲雀をわが頭上で聞かれた精神の高さを感じる句です。 (藤田洋子)
沈丁の香に包まれてチャイム押す 北村勇治 訪問した先の玄関辺りに、沈丁花がある。チャイムを押す間も沈丁 花の香りにすっぽりとつつまれている、いい時間である。この季節 の楽しみでもある。(高橋正子)
満ちてくる運河の橋へ春の雪 古田けいじ 運河は、人工の河。運河の橋を渡るとき、河深く潮が満ちてきて、 春の雪が橋にも、河にも舞い落ちる。春の雪のみずみずしい美しさ が表された句。(高橋正子)
配線す桜の開く空の中 相原弘子 単純な写生句ですが、これで充分です。「中」という言葉の使い方 は、なかなかのものです。現代的なユニークな俳句です。(高橋信之)
春光の溢るる窓や草田男読む 八木孝子 草田男の句は、力があって明るい。そして勇気を与えてくれる句だ と、私は思っている。春光の溢れる窓辺が、草田男を読むのに相応 しい場所ではあるように思える。「勇気こそ地の塩なれや梅真白/ 草田男」を思い出す。(高橋正子)
風光る風のあとより風のきて 吉田 晃 春の日差しがするどくなると、風が光る。あとから、あとから風が 光る。だから、「風のあとより風のきて」と、風が目に見えてくる のである。見えないものを見せてくれた俳句。(高橋正子)
大工さん梯子ひょいひょいと村の春 堀佐夜子 「ひょいひょい」に大工さんの身軽さと、村の春ののどかな様子が よく表されている。たのしい俳句。(高橋正子)
春光に包まれし身のときめきよ 藤田洋子 とらわれのない内部から生まれた初々しい輝きは快い。(高橋信之)
磯採りの緑の若布今朝の膳 守屋光雅 さりげない表現が、朝のすがすがしさを伝えている好句。若布の季 語は、もちろん春。心の趣くところがいいと思います。(高橋正子)
定年や闘志再び木の芽晴 野田ゆたか まだまだ元気な定年。第二の人生の始まりに、また再び闘志がわい てくる。よく晴れた青空に向かえばこそである。(高橋正子)