月間賞と今週の秀句
俳句日記12
俳句カレンダー/2000


■俳句カレンダー/2001■

【12月】

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2001年 101112

1日(土)

石蕗咲くや朝に大きく生き生きと/碇 英一



石蕗の花は、冬の季語で、初冬の庭に「大きく生き生き

と」である。秋の花々が途切れた頃の庭を楽しませてく

れる。(高橋信之)


2日(日)

美術館一つの窓より冬の海/岩本康子



この「冬の海」をわたしも見たいと思った。「美術館」

の「一つの窓」から見たいと思った。この思いを抱かせ

てくれたこと、これで、この句の良さは充分だと思った

。(高橋信之)


3日(月)

芦枯れて流るる時の澄むばかり/野田ゆたか



「芦枯れて」が写生で、「流るる時の澄むばかり」は、

主情だが、心の姿がよい。「枯れ」と「澄む」との取り

合わせがよく、作者の心境が読み取れる。(高橋信之)


4日(火)

ゆらぎつつ澄みつつ冬の泉湧く/吉田 晃



冬の泉が、澄んでいながらも動きあるものとして、律動

的に詠まれている。(高橋正子)


5日(水)

薪ストーブ静けき熱をわれらに放ち/高橋正子



北欧料理のレストランでの歓談を伝える句。フィンラン

ド人、アメリカ人を交えての歓談。現在のオーナーの実

兄は、私のかっての教え子で、その妻君がフィンランド

人。私が育った中国大連は、帝政ロシアの作った街なの

で、「ストーブ」は、懐かしい風景。(高橋信之)


6日(木)

落ち口の注連縄けぶる冬の那智/石井信雄



冬の那智の滝の、清浄な感じがよく表されていますね。

寒さの中にも、滝の水が、命あるもののように生き生き

として感じられます。 (評:高橋正子)


7日(金)

カレンダー一枚となり冬座敷/冬山蕗風



作者の思いが静かに伝わってくる。過ぎ去った一年の思

いが「カレンダー一枚」に残された。(評:高橋信之)


8日(土)

鯔とんで夕べ平らな冬の海/多田有花



口語のいいリズムである。軽やかなのである。俳句のい

い写生である。「平らな」が効いた。(評:高橋信之)


9日(日)

しなやかに立つマヌカンの赤マフラー/平野あや子



「マヌカン」はマネキンのことで、フランス語。よく見

かける街の風景であるが、うまく言葉に乗せた。(評:高橋信之)


10日(月)

大根干し眩しきまでの長き列/右田俊郎



「大根」は、冬の季語で、「冬眩しき」なのである。自

然界の活動の停滞する季節にも、生き生きとした生活を

発見した。(高橋信之)


11日(火)

北下し一歩の先の我の影/伊嶋高男



「北下し」の季節となって、作者の思いが、深くなった

。対象の「我の影」を見つめることによって、我の心の

内を見つめている。(高橋信之)


12日(水)

枯草を踏みおり人に離れおり/高橋正子



グランドの枯草の辺りにいて、人の話を聞いていると、

枯草の中に咲き残る花や、枯草を踏む面白さに気が向い

て、知らず人の輪から離れていたときのこと。<入学せ

し還らざる日よ冬の門/正子>の気持ちがふつと湧いて来

ました。(自句自解)


13日(木)

疎水澄み鴨の水掻き休まずに/目見田郁代



「疎水」を泳ぐ「鴨」の情景が生き生きと伝わってきて

、楽しい。楽しく一生懸命なのである。それが良い。(高橋信之)


14日(金)

桜冬芽ひそひそ天日受けており/堀佐夜子



表現にやや稚拙さがあるが、それが句に真実を与えた。

嘘のない優しさである。(高橋信之)


15日(土)

日を溜めて海へ傾く水仙花/阪本登美子



いつもの登美子さんらしい句。身近な湘南の海が生きて

いる。写生が美しいのである。(高橋信之)


16日(日)

白菜の内なる白を光らせる/古田けいじ



白菜の清冽さを、うまく表現した。冬の輝きである。内

に秘められたものを見たのである。(高橋信之)


17日(月)

混ぜ合いの暮らしの音や十二月/霧野萬地郎



忙しさの中にも楽しさがあるのがいい。(高橋信之)


18日(火)

ロデオ囃すカウボーイ達息白し/霧野萬地郎



自句自解

ダラス郊外にて。地元の友人と一緒に迫力満点のロデオ

を見ました。観る人、する人、皆カウボーイです。


19日(水)

白菜を割いて聞こえる水の音/日野正人



ユニークな句。白菜の清冽さをうまく捉えた。(高橋信之)


20日(木)

南天の実を密にして日を弾く/藤田洋子



南天の実の輝きが、確実に詠み込まれている。「密」「弾

く」が、写生の確実さ、観察の確かさを伝えている。(高橋正子) 


21日(金)

五重塔在りし中空銀杏散る/伊嶋高男



寺苑や墓地は広々としているので、「中空」の存在感が

いい。そこへ銀杏黄葉が散って、「中空」の存在を鮮明

にする。深みを持たせた、いい写生句である。(高橋信之)


22日(土)

大根を包む新聞濡らしけり/堀佐夜子



「新聞濡らしけり」は、大根のみずみずしさを言い換え

てほかならない。水対する感覚といえるかもしれない。

いきいきして、フレッシュである。(高橋正子)


23日(日)

冬晴れや雉鳩影を地に揺らす/八木孝子



「冬晴れ」のいい抒情です。「地に揺らす」が詩的な表

現なのです。(高橋信之)


24日(月)

聖イヴの大き絵本を子に広げ/高橋正子



クリスマスにふさわしい絵本は、いくつもあると思うが

、ここに広げた絵本は、「てぶくろ」というロシア民話

の話だと記憶している。幼い子が、脚など伸ばして、大

きな絵本を読んでいる姿は、かわいらしい。


25日(火)

クレソンは霜に焼けつつ色をなし/守屋光雅



クレソンは、ステーキや、サラダなどに添えられ、西洋

三つ葉とも言われて、独特の香気とピリッとした辛い味

が魅力の野菜。濃い緑色は、霜に当たって、一層濃くな

る。霜の朝のきりっとした清々しさがよいと思います。

(高橋正子)


26日(水)

澄み渡る冬の日の一面の大空/福田由平



自然の大きさは、何のこだわりもなく、曇りなく広がっ

ている。そこを捉えた作者の心も、大きく、透明になっ

ているのである。(高橋信之)


27日(木)

しんしんと冷ゆる音なき音の中/野上哲斉



自句自解

宵のうちの暖房も消えて、深夜の空気は冷え切ってきて

いる。物音一つない暗黒の中で、冷えはつづいてゆく。

不気味な感じすらしてくる一夜でした。


28日(金)

一年を一表にして事務納/野田ゆたか



自句自解

仕事の成果を月別に箇条書きにしてこの1年を締め括り

ました。来年は、この表を基にプラス15%位で行こう

かと思ったりします。


29日(土)

大甍ゆっくり動く冬の雲/伊嶋高男



限られた空間をゆったり使い、限られた時間をゆったり

使えば、自己の存在を確実にするであろう。作者が得た

日常での充実した時間。(高橋信之)


30日(日)

揚げ風の鳶の冬山越えにけり/吉田 晃



上昇気流に乗って、冬空高く舞い上がり、ついには大き

な山も飛び越えて行ってしまう。雄大な景色が広がって

きます。(福田由平)


31日(月)

ここでも子ら笑う大晦日の湯舟/高橋信之



自句自解

昭和45年の作。この頃の借家には浴室がなく、誰もが

銭湯に出かけた。この句に出会うと、その日の情景があ

りありと浮かんで、子ども達の笑い声が聞こえてくる。

懐かしい思い出の句。