▼月間賞と今週の秀句
▼俳句日記12月
▼俳句カレンダー/2000
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石蕗咲くや朝に大きく生き生きと/碇 英一 石蕗の花は、冬の季語で、初冬の庭に「大きく生き生き と」である。秋の花々が途切れた頃の庭を楽しませてく れる。(高橋信之)
美術館一つの窓より冬の海/岩本康子 この「冬の海」をわたしも見たいと思った。「美術館」 の「一つの窓」から見たいと思った。この思いを抱かせ てくれたこと、これで、この句の良さは充分だと思った 。(高橋信之)
芦枯れて流るる時の澄むばかり/野田ゆたか 「芦枯れて」が写生で、「流るる時の澄むばかり」は、 主情だが、心の姿がよい。「枯れ」と「澄む」との取り 合わせがよく、作者の心境が読み取れる。(高橋信之)
ゆらぎつつ澄みつつ冬の泉湧く/吉田 晃 冬の泉が、澄んでいながらも動きあるものとして、律動 的に詠まれている。(高橋正子)
薪ストーブ静けき熱をわれらに放ち/高橋正子 北欧料理のレストランでの歓談を伝える句。フィンラン ド人、アメリカ人を交えての歓談。現在のオーナーの実 兄は、私のかっての教え子で、その妻君がフィンランド 人。私が育った中国大連は、帝政ロシアの作った街なの で、「ストーブ」は、懐かしい風景。(高橋信之)
落ち口の注連縄けぶる冬の那智/石井信雄 冬の那智の滝の、清浄な感じがよく表されていますね。 寒さの中にも、滝の水が、命あるもののように生き生き として感じられます。 (評:高橋正子)
カレンダー一枚となり冬座敷/冬山蕗風 作者の思いが静かに伝わってくる。過ぎ去った一年の思 いが「カレンダー一枚」に残された。(評:高橋信之)
鯔とんで夕べ平らな冬の海/多田有花 口語のいいリズムである。軽やかなのである。俳句のい い写生である。「平らな」が効いた。(評:高橋信之)
しなやかに立つマヌカンの赤マフラー/平野あや子 「マヌカン」はマネキンのことで、フランス語。よく見 かける街の風景であるが、うまく言葉に乗せた。(評:高橋信之)
大根干し眩しきまでの長き列/右田俊郎 「大根」は、冬の季語で、「冬眩しき」なのである。自 然界の活動の停滞する季節にも、生き生きとした生活を 発見した。(高橋信之)
北下し一歩の先の我の影/伊嶋高男 「北下し」の季節となって、作者の思いが、深くなった 。対象の「我の影」を見つめることによって、我の心の 内を見つめている。(高橋信之)
枯草を踏みおり人に離れおり/高橋正子 グランドの枯草の辺りにいて、人の話を聞いていると、 枯草の中に咲き残る花や、枯草を踏む面白さに気が向い て、知らず人の輪から離れていたときのこと。<入学せ し還らざる日よ冬の門/正子>の気持ちがふつと湧いて来 ました。(自句自解)
疎水澄み鴨の水掻き休まずに/目見田郁代 「疎水」を泳ぐ「鴨」の情景が生き生きと伝わってきて 、楽しい。楽しく一生懸命なのである。それが良い。(高橋信之)
桜冬芽ひそひそ天日受けており/堀佐夜子 表現にやや稚拙さがあるが、それが句に真実を与えた。 嘘のない優しさである。(高橋信之)
日を溜めて海へ傾く水仙花/阪本登美子 いつもの登美子さんらしい句。身近な湘南の海が生きて いる。写生が美しいのである。(高橋信之)
白菜の内なる白を光らせる/古田けいじ 白菜の清冽さを、うまく表現した。冬の輝きである。内 に秘められたものを見たのである。(高橋信之)
混ぜ合いの暮らしの音や十二月/霧野萬地郎 忙しさの中にも楽しさがあるのがいい。(高橋信之)
ロデオ囃すカウボーイ達息白し/霧野萬地郎 自句自解 ダラス郊外にて。地元の友人と一緒に迫力満点のロデオ を見ました。観る人、する人、皆カウボーイです。
白菜を割いて聞こえる水の音/日野正人 ユニークな句。白菜の清冽さをうまく捉えた。(高橋信之)
南天の実を密にして日を弾く/藤田洋子 南天の実の輝きが、確実に詠み込まれている。「密」「弾 く」が、写生の確実さ、観察の確かさを伝えている。(高橋正子)
五重塔在りし中空銀杏散る/伊嶋高男 寺苑や墓地は広々としているので、「中空」の存在感が いい。そこへ銀杏黄葉が散って、「中空」の存在を鮮明 にする。深みを持たせた、いい写生句である。(高橋信之)
大根を包む新聞濡らしけり/堀佐夜子 「新聞濡らしけり」は、大根のみずみずしさを言い換え てほかならない。水対する感覚といえるかもしれない。 いきいきして、フレッシュである。(高橋正子)
冬晴れや雉鳩影を地に揺らす/八木孝子 「冬晴れ」のいい抒情です。「地に揺らす」が詩的な表 現なのです。(高橋信之)
聖イヴの大き絵本を子に広げ/高橋正子 クリスマスにふさわしい絵本は、いくつもあると思うが 、ここに広げた絵本は、「てぶくろ」というロシア民話 の話だと記憶している。幼い子が、脚など伸ばして、大 きな絵本を読んでいる姿は、かわいらしい。
クレソンは霜に焼けつつ色をなし/守屋光雅 クレソンは、ステーキや、サラダなどに添えられ、西洋 三つ葉とも言われて、独特の香気とピリッとした辛い味 が魅力の野菜。濃い緑色は、霜に当たって、一層濃くな る。霜の朝のきりっとした清々しさがよいと思います。 (高橋正子)
澄み渡る冬の日の一面の大空/福田由平 自然の大きさは、何のこだわりもなく、曇りなく広がっ ている。そこを捉えた作者の心も、大きく、透明になっ ているのである。(高橋信之)
しんしんと冷ゆる音なき音の中/野上哲斉 自句自解 宵のうちの暖房も消えて、深夜の空気は冷え切ってきて いる。物音一つない暗黒の中で、冷えはつづいてゆく。 不気味な感じすらしてくる一夜でした。
一年を一表にして事務納/野田ゆたか 自句自解 仕事の成果を月別に箇条書きにしてこの1年を締め括り ました。来年は、この表を基にプラス15%位で行こう かと思ったりします。
大甍ゆっくり動く冬の雲/伊嶋高男 限られた空間をゆったり使い、限られた時間をゆったり 使えば、自己の存在を確実にするであろう。作者が得た 日常での充実した時間。(高橋信之)
揚げ風の鳶の冬山越えにけり/吉田 晃 上昇気流に乗って、冬空高く舞い上がり、ついには大き な山も飛び越えて行ってしまう。雄大な景色が広がって きます。(福田由平)
ここでも子ら笑う大晦日の湯舟/高橋信之 自句自解 昭和45年の作。この頃の借家には浴室がなく、誰もが 銭湯に出かけた。この句に出会うと、その日の情景があ りありと浮かんで、子ども達の笑い声が聞こえてくる。 懐かしい思い出の句。