俳句掲示板


■俳句カレンダー/2002■

【12月】

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20002年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

1日(日)

腕まくりして迎えたる十二月/岩本康子



何事にも前向きな作者。一年の締めくくりの月を迎えた

心意気が伺えます。(野田ゆたか)


2日(月)

冬木立あちこち巣箱現るる/相沢野風村



すっかり葉を落とした木立に、高々と現れたのは巣箱。

葉が茂っていたときは隠れていたものが現れて、意外に

も楽しい光景となった。冬の明るさがよい。(高橋正子)


3日(火)

レモン一つ冷たき丸さ渡される/碇 英一



「レモン」である前に「冷たき丸さ」。感覚的で好きな

句です。(宮地ゆうこ)


4日(水)

蓮枯れて枯れゆく山の映るのみ/金子孝道



枯れてゆく蓮の水に、枯れてゆく山が映って蕭条とした

景色だが、景色がよく澄んで緊張感がある。一旦は枯れ

るものに再生の力がしっかりと準備されていることが伺

える。(高橋正子)


5日(木)

冬の虹隠岐の海より立ちあがる/加納淑子



「立ちあがる」虹は、片虹であろう。その虹によって隠

岐の海が寒々と、見えぬ水蒸気が上がっているように感

じられる。深い余情がある。(高橋正子)


6日(金)

落ち口の注連縄けぶる冬の那智/石井信雄



冬の那智の滝の、清浄な感じがよく表されていますね。

寒さの中にも、滝の水が、命あるもののように生き生き

として感じられます。(高橋正子)


7日(土)

カレンダー一枚となり冬座敷/冬山蕗風



作者の思いが静かに伝わってくる。過ぎ去った一年の思

いが「カレンダー一枚」に残された。(高橋信之)


8日(日)

髪洗う耳に木枯し届きけり/多田有花



髪を洗うときに耳の辺りが一番ひんやりするが、そこに

木枯らしが吹く音が届いた。「耳に届く」は、リアル。

季語は「木枯らし」。(高橋正子)


9日(月)

しなやかに立つマヌカンの赤マフラー/平野あや子



「マヌカン」はマネキンのことで、フランス語。よく見

かける街の風景であるが、うまく言葉に乗せた。(高橋信之)


10日(火)

顔ほどの冬日と歩き暮れてゆく/宮地ゆうこ



上五の「顔ほどの」は、従来の俳句にあまり見られない

表現だが、「冬日」を身近に引き付けたので、現代風で

リアルな俳句。(高橋信之)


11日(水)

障子開け日本海を近づける/大給圭泉



旅の宿であろう。障子を開けたときに見えて、自分に迫

る冬の日本海への新鮮な驚き。その驚きが読む者をそこ

へ連れて行ってくれる。(高橋正子)


12日(木)

山を出づ冬月大きく真正面/池田多津子



山を出たばかりの月が煌々と輝いて、真正面にあるとい

う感動が大きい。秋の月よりも厳しく澄んでくる冬月が

、心の内まで照らしているようである。(高橋正子)


13日(金)

森騒ぐ音の近けり北風吹く夜/おおにしひろし



耳を良く澄ませ、気持ちを一つの方向に向けた詩情のあ

る句。北風の吹く音に、生きている森を感じた。(高橋正子)


14日(土)

白息を集めて手配師点呼取る/野田ゆたか



生きていくことのギリギリの営みが寒さの中の白息に表

れています。(碇 英一)


15日(日)

ゆらぎつつ澄みつつ冬の泉湧く/吉田 晃



冬の泉が、澄んでいながらも動きあるものとして、律動

的に詠まれている。(高橋正子)


16日(月)

白菜の内なる白を光らせる/古田けいじ



白菜の清冽さを、うまく表現した。冬の輝きである。内

に秘められたものを見たのである。(高橋信之)


17日(火)

混ぜ合いの暮らしの音や十二月/霧野萬地郎



忙しさの中にも楽しさがあるのがいい。(高橋信之)


18日(水)

冬の夜のオリオンを背に風見鶏/安増惠子



「風見鶏」に絞られている焦点がいい。「冬の夜」のひ

ろびろとした世界に心を遊ばせた。(高橋信之)


19日(木)

冬遍路笠に朝日をもらいつつ/日野正人



早立ちの遍路は、上から差す朝の日を先ずもらう。遍路

笠は、その形から日を滑らせるように受ける。「もらう

」は、遍路の身であれば、なおさらの感慨。(高橋正子)


20日(金)

南天の実を密にして日を弾く/藤田洋子



南天の実の輝きが、確実に詠み込まれている。「密」「

弾く」が、写生の確実さ、観察の確かさを伝えている。

(高橋正子) 


21日(土)

大根に水切る如く刃を入れる/戸原琴



みずみずしい大根を切る感触を、このように「水切る如

く」と言った。大根の太さ、みずみずしさは、やはり冬

の季節のもの。


22日(日)/冬至

柚子風呂を沸かしなさいと一抱え/碇 英一



やや押し付けがましい行為だが、思いやりのある行為。

こういわれると、柚子風呂をたてなければならない気に

なる。それが、無病息災につながるのだから、いいでは

ないですか。口語が面白い効果を出している。(高橋正子)


23日(月)

日々冬菜茹でてみどりを滴らす/柳原美知子



毎日の台所仕事の中での楽しみですね。(脇 美代子)


24日(火)

聖イヴの大き絵本を子に広げ/高橋正子



クリスマスにふさわしい絵本は、いくつもあると思うが

、ここに広げた絵本は、「てぶくろ」というロシア民話

の話だと記憶している。幼い子が、脚など伸ばして、大

きな絵本を読んでいる姿は、かわいらしい。


25日(水)

クレソンは霜に焼けつつ色をなし/守屋光雅



クレソンは、ステーキや、サラダなどに添えられ、西洋

三つ葉とも言われて、独特の香気とピリッとした辛い味

が魅力の野菜。濃い緑色は、霜に当たって、一層濃くな

る。霜の朝のきりっとした清々しさがよいと思います。

(高橋正子)


26日(木)

澄み渡る冬の日の一面の大空/福田由平



自然の大きさは、何のこだわりもなく、曇りなく広がっ

ている。そこを捉えた作者の心も、大きく、透明になっ

ているのである。(高橋信之)


27日(金)

大屋根を木枯し越えて雲に入る/大石和堂



大きく吹く木枯しが、空間の大きさ、高さ、広さを十分

感じさせてくれている。木枯しの行方を雲としたのは、

一見平凡なようだが個性的。(高橋正子)


28日(土)

大根を包む新聞濡らしけり/堀佐夜子



「新聞濡らしけり」は、大根のみずみずしさを言い換え

てほかならない。水対する感覚といえるかもしれない。

いきいきして、フレッシュである。(高橋正子)


29日(日)

音全て寝静まりてより霜たてり/小峠静水



霜が立つとは。寝静まった大地が冷えて、霜がむっくり

起き上がる。冬の夜の静けさと冷たさを感じました。

(古田けいじ)


30日(月)

冬晴れや大利根太く河口まで/小原亜子

 

利根川に沿って行ったのであろう。空もよく晴れて、利

根川も坂東太郎というだけに、堂々と流れていて力強い

。句が巧まず、堂々としているのがよい。(高橋正子)


31日(火)

ここでも子ら笑う大晦日の湯舟/高橋信之



自句自解

昭和45年の作。この頃の借家には浴室がなく、誰もが

銭湯に出かけた。この句に出会うと、その日の情景があ

りありと浮かんで、子ども達の笑い声が聞こえてくる。

懐かしい思い出の句。