▼月別季語集/野田ゆたか作成
▼水煙ネット月間賞
▼俳句日記1月
|
26 27 28 29 30 31 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 AAAAAAAAAAAAAAAAAA |
葉を打てる音の高鳴り霰降る 藤田荘二 霰が降り始め、瞬く間に音高く葉を打って降り出した。霰の降る 勢いの高まりに、その音が耳に押し寄せて聞こえる。句にあるグ レーのイメージがいい。(高橋正子)
群青の四温の海に水脈長し 石井信雄 四温の静かな海の青さを、彫るように長く引かれてゆく水脈が、 伸びやかである。四温は天の賜物。(高橋正子)
紙の鬼重ねて売らる今日節分 岩崎楽典 紙の鬼とは、いみじくも言ったものである。日常生活の今日事情 を鋭く捉え、それを平明な気持ちとして述べたところがよい。「 重ねて売らる」に現代社会の空虚さが感じられる。(高橋正子)
冷たくも膨らむ空気春立つ日 岩本康子 春立つ日も、皮膚に感じる空気は、まだ冷たい。しかし、日の光 や、心のありようで、空気は膨らんで感じられる。これが偽らぬ 実感というものだろう。(高橋正子)
春水を流し硯を濯ぎけり 吉田 晃 「春水」の流れる音が静かで、硯の墨も匂ってくる。余分なもの を切り捨て、状景が鮮明である。「硯洗」という秋の季語がある が、それは気にしなくてよい。(高橋信之)
春浅し広場に淡き空一枚 岩本康子 広場にある空すべてが淡く、浅春のものを、仄かに包んで広がる 感じがよい。(高橋正子)
垂直にすこやかに伸び竹二月 霧野萬地郎 二月の竹の姿が、すっきりと詠まれていて清々しい。(高橋正子)
オルガンの春の空気を吸って鳴る 吉田 晃 春がきた嬉しさに、オルガンが精一杯に空気を吸って鳴る。オル ガンにあわせて歌う子どもたちの元気な声がきこえる。(高橋正 子)
桜木の枝の丸みや二月晴れ 右田俊郎 すっかり塵をはらったように晴れる二月の晴の日には、万物が、 はっきりと見える。桜の枝も花芽の成長で、はっきりと丸みを感 じさせてくれる。花の季節が約束されている。(高橋正子)
挿されたる穂に触れてみる猫柳 岩崎楽典 活けられている猫柳に、思わず触って見たくなる。手に触れてみ る春の確かさでもあるのだろう。(高橋正子)
店先に鶯餅の緑映え 青海俊伯 和菓子屋のなかで、ひときわ目に鮮やかに映るのは、やはり鶯餅 であろう。店先に並べて売られている鶯餅のあかるい緑色に、春 が来たことを教えられる。(高橋正子)
戸を繰りて軽い空気の春に触れ 脇美代子 朝一番に起きてやることは雨戸を開けること。今朝は一段と暖か くなり、春を思わせる。「軽い空気の」がいいと思いました。 (古田けいじ)
蕗の薹野に在るままに揚げ物に 山野きみ子 よい生活である。「野に在る」ことに生活の工夫があり、下五の 「揚げ物に」で句が生きた。(高橋信之)
堤防の土筆一号と名づけよう 祝恵子 大好きです、この句。土筆を見つけて思わず「土筆一号」と呼び かけている作者の声が聞こえるようです。(宮地ゆうこ)
公園のふらここ揺れて陽の匂い 堀佐夜子 「陽の匂い」に陽春の兆しが感じられる。「ふらここ」は、ぶら んこのこと。ぶらんこの揺れに、のびやかな開放感を感じ、陽春 の光と一体になった心がよい。(高橋正子)
犇めきて陽を喜べり梅蕾 古田けいじ 早春の日の光りを浴びて、びっしりと枝についた梅の蕾が、晴れ 晴れしく、梅の香気さえも思い起こさせてくれる。(高橋正子)
竹鳴りの風の高さや春浅し 碇 英一 早春の風の持つ情感を、見事に言い表している。「風の高さ」に 読み手の緊張感が出ている。(高橋正子)
雪解光集めて湖の碧さかな 野田ゆたか 湖の碧さが、雪解水のようにきらめいている。そのしずかで、美 しい光景が、そのまま内面世界の光景となっているところによさ がある。(高橋正子)
対岸の菜の花日々に黄を増せり 藤田洋子 「対岸」という空間と「日々」という時間とを、無理なく纏め上 げましたね。いい俳句です。ベテランの俳句です。ますますの精 進によって、俳句の質をさらに高めてください。(高橋信之)
春泥のつきし長靴父帰る 堀佐夜子 一家の柱としての父の姿が見えてくる。働き者の父である。信頼 されている父である。(高橋信之)
目刺し焼く匂いが届きご飯です 守屋光雅 口語表現の「ご飯です」がこの句を生かした。家庭生活のあたた かさが伝わってくる。「目刺し」は春の季語である。(高橋信之)
さざめくもきらめきゆくも春の川 藤田洋子 さざめいて音を立て、きらめいて光を返すのも春の川である。 (高橋正子)
心地よしバッハのソナタ春そこに 福田由平 在り来たりの俳句ではないところに、この句のよさがありますね 。自由なので、作者の思いが伝わってきます。(高橋信之)
草の芽を押し上げて来る地の湿り 脇美代子 雨などを蓄えて、土は湿り、草の芽を押し出してくる。草の芽に も芽吹く力はあるが、それに力を貸して、押し上げているのであ る。大地の逞しい力である。(高橋正子)
蛤の殻の中には潮模様 青海俊伯 蛤の殻にある筋目の模様が、潮が打ち寄せるような模様になって いるというのである。蛤が潮という親に育てられた証といえよう 。遠く春の潮鳴りが聞こえるようである。(高橋正子)
雛菓子の五色広げて紙の上 藤田洋子 「広げて」の主語は、「雛菓子」となっているから、雛菓子がみ ずからその色を紙の上に広げているのである。五色の色が生きい きと春めいて、雅やかである。(高橋正子)
青空に梅かっきりと枝揺らし 山野きみ子 梅の花の咲くときには、枝に葉がないので、梅の枝と花が、青空 の中に咲いている印象は、まさに「かっきりと」なのである。「 かっきりと」でありながら枝が揺れるという「定まらなさ」が、 梅が生きいきと咲いている証拠である。(高橋正子)
春灯へ丸い口開けている湯呑 高橋信之 自句自解 この句には、私の代表句としての愛着がある。私独自のユーモア がある句だ。