月別季語集/野田ゆたか作成
水煙ネット月間賞
俳句日記1月


■俳句カレンダー/2003■

【2月】

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30 AAAAAAAAAAAAAAAAAA
            
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1日(土)/新月/旧元日

葉を打てる音の高鳴り霰降る 藤田荘二

霰が降り始め、瞬く間に音高く葉を打って降り出した。霰の降る
勢いの高まりに、その音が耳に押し寄せて聞こえる。句にあるグ
レーのイメージがいい。(高橋正子)


2日(日)

群青の四温の海に水脈長し 石井信雄

四温の静かな海の青さを、彫るように長く引かれてゆく水脈が、
伸びやかである。四温は天の賜物。(高橋正子)


3日(月)/節分

紙の鬼重ねて売らる今日節分 岩崎楽典

紙の鬼とは、いみじくも言ったものである。日常生活の今日事情
を鋭く捉え、それを平明な気持ちとして述べたところがよい。「
重ねて売らる」に現代社会の空虚さが感じられる。(高橋正子)


4日(火)/立春・寒明け

冷たくも膨らむ空気春立つ日 岩本康子

春立つ日も、皮膚に感じる空気は、まだ冷たい。しかし、日の光
や、心のありようで、空気は膨らんで感じられる。これが偽らぬ
実感というものだろう。(高橋正子)


5日(水)

春水を流し硯を濯ぎけり 吉田 晃

「春水」の流れる音が静かで、硯の墨も匂ってくる。余分なもの
を切り捨て、状景が鮮明である。「硯洗」という秋の季語がある
が、それは気にしなくてよい。(高橋信之)


6日(木)

春浅し広場に淡き空一枚 岩本康子

広場にある空すべてが淡く、浅春のものを、仄かに包んで広がる
感じがよい。(高橋正子)


7日(金)

垂直にすこやかに伸び竹二月 霧野萬地郎

二月の竹の姿が、すっきりと詠まれていて清々しい。(高橋正子) 


8日(土)

オルガンの春の空気を吸って鳴る 吉田 晃

春がきた嬉しさに、オルガンが精一杯に空気を吸って鳴る。オル
ガンにあわせて歌う子どもたちの元気な声がきこえる。(高橋正
子)


9日(日)/上弦

桜木の枝の丸みや二月晴れ 右田俊郎

すっかり塵をはらったように晴れる二月の晴の日には、万物が、
はっきりと見える。桜の枝も花芽の成長で、はっきりと丸みを感
じさせてくれる。花の季節が約束されている。(高橋正子)


10日(月)

挿されたる穂に触れてみる猫柳 岩崎楽典

活けられている猫柳に、思わず触って見たくなる。手に触れてみ
る春の確かさでもあるのだろう。(高橋正子)


11日(火)/建国記念の日

店先に鶯餅の緑映え 青海俊伯

和菓子屋のなかで、ひときわ目に鮮やかに映るのは、やはり鶯餅
であろう。店先に並べて売られている鶯餅のあかるい緑色に、春
が来たことを教えられる。(高橋正子)


12日(水)

 戸を繰りて軽い空気の春に触れ 脇美代子

朝一番に起きてやることは雨戸を開けること。今朝は一段と暖か
くなり、春を思わせる。「軽い空気の」がいいと思いました。
(古田けいじ)


13日(木)

蕗の薹野に在るままに揚げ物に 山野きみ子

よい生活である。「野に在る」ことに生活の工夫があり、下五の
「揚げ物に」で句が生きた。(高橋信之)


14日(金)/バレンタインデー

堤防の土筆一号と名づけよう 祝恵子

大好きです、この句。土筆を見つけて思わず「土筆一号」と呼び
かけている作者の声が聞こえるようです。(宮地ゆうこ)


15日(土)

公園のふらここ揺れて陽の匂い 堀佐夜子

「陽の匂い」に陽春の兆しが感じられる。「ふらここ」は、ぶら
んこのこと。ぶらんこの揺れに、のびやかな開放感を感じ、陽春
の光と一体になった心がよい。(高橋正子)


16日(日)

犇めきて陽を喜べり梅蕾 古田けいじ

早春の日の光りを浴びて、びっしりと枝についた梅の蕾が、晴れ
晴れしく、梅の香気さえも思い起こさせてくれる。(高橋正子)


17日(月)/満月

竹鳴りの風の高さや春浅し 碇 英一

早春の風の持つ情感を、見事に言い表している。「風の高さ」に
読み手の緊張感が出ている。(高橋正子)


18日(火)

雪解光集めて湖の碧さかな 野田ゆたか

湖の碧さが、雪解水のようにきらめいている。そのしずかで、美
しい光景が、そのまま内面世界の光景となっているところによさ
がある。(高橋正子)


19日(水)/雨水

対岸の菜の花日々に黄を増せり 藤田洋子 

「対岸」という空間と「日々」という時間とを、無理なく纏め上
げましたね。いい俳句です。ベテランの俳句です。ますますの精
進によって、俳句の質をさらに高めてください。(高橋信之)


20日(木)

春泥のつきし長靴父帰る 堀佐夜子

一家の柱としての父の姿が見えてくる。働き者の父である。信頼
されている父である。(高橋信之)


21日(金)

目刺し焼く匂いが届きご飯です 守屋光雅

口語表現の「ご飯です」がこの句を生かした。家庭生活のあたた
かさが伝わってくる。「目刺し」は春の季語である。(高橋信之)


22日(土)

さざめくもきらめきゆくも春の川 藤田洋子

さざめいて音を立て、きらめいて光を返すのも春の川である。
(高橋正子)


23日(日)

心地よしバッハのソナタ春そこに 福田由平

在り来たりの俳句ではないところに、この句のよさがありますね
。自由なので、作者の思いが伝わってきます。(高橋信之) 


24日(月)/下弦

草の芽を押し上げて来る地の湿り 脇美代子

雨などを蓄えて、土は湿り、草の芽を押し出してくる。草の芽に
も芽吹く力はあるが、それに力を貸して、押し上げているのであ
る。大地の逞しい力である。(高橋正子)


25日(火)

蛤の殻の中には潮模様 青海俊伯

蛤の殻にある筋目の模様が、潮が打ち寄せるような模様になって
いるというのである。蛤が潮という親に育てられた証といえよう
。遠く春の潮鳴りが聞こえるようである。(高橋正子)


26日(水)

雛菓子の五色広げて紙の上 藤田洋子

「広げて」の主語は、「雛菓子」となっているから、雛菓子がみ
ずからその色を紙の上に広げているのである。五色の色が生きい
きと春めいて、雅やかである。(高橋正子) 


27日(木)

青空に梅かっきりと枝揺らし 山野きみ子

梅の花の咲くときには、枝に葉がないので、梅の枝と花が、青空
の中に咲いている印象は、まさに「かっきりと」なのである。「
かっきりと」でありながら枝が揺れるという「定まらなさ」が、
梅が生きいきと咲いている証拠である。(高橋正子)


28日(金)

春灯へ丸い口開けている湯呑 高橋信之

自句自解
この句には、私の代表句としての愛着がある。私独自のユーモア
がある句だ。