月別季語集/野田ゆたか作成
水煙ネット月間賞
俳句日記3月


■俳句カレンダー/2003■

【3月】

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30 31 AAAAAAAAAAAAAAA
            
2003年 101112

1日(土)

第1番札所霊山寺
遍路杖檜の香りの旅はじめ 守屋光雅

遍路を始めるのに、遍路杖をまず求めると、杖は真新しい檜の
香りがしている。遍路に出立する新鮮な決意が窺がわれて、一
番札所に相応しい句となった。旅のご無事をお祈りする。(高
橋正子)


2日(日)

蕗のとう真白き和紙に揚げらるる 今井伊佐夫

「真白き和紙」が、てんぷらの蕗のとうとよく似合って、早春
のやわらかさ、淡さが感じ取れる。季節の新しさが、日常生活
を潤いのあるものにしてくれてうれしい。(高橋正子)


3日(月)/雛まつり

石鹸の丸さ春へと一歩ずつ 宮地ゆうこ

「石鹸の丸さ」は、平凡のようだが、そこに主婦のいい生活を
読む。作者独自の世界である。(高橋信之)


4日(火)

男坂一気に磴る梅まつり 石井信雄

男坂の険しい坂を一気に磴る気迫が、梅の花の潔さに通じてい
る。男性らしい一句で華やかさもある。(高橋正子)


5日(水)

松割り木脂(やに)出尽くして春の陽に 河勝比呂詩

冬の間に松の割り木が、すっかり脂を出して充分に乾き、いい
薪になった。乾いた割り木に春の陽が差して軽い感じであるの
がよい。(高橋正子)


6日(木)/啓蟄/下弦

石鎚のおぼろに現れて麦を踏む おおにしひろし

遠くに石鎚を眺めて、麦踏みをする昔から変わらぬ光景がある
ことは嬉しいし、麦踏みには、遠い山が似合う。(高橋正子)


7日(金)

切り出しの木の積まれ春日の駅 祝 恵子

駅に積まれた山出しの原木が、春日の中に香を放っている。駅
に集められて、これから原木の旅が生きいきと始まると思うと
楽しい。(高橋正子)


8日(土)

春の雪止みて入日の赤い空 河野 齊

春の雪が止むと、入日の空が赤々と焼けている。もう雪は終わ
りなのかもしれない。ほっとしたあかるい心が読者にまで沁み
てくる。(高橋正子)


9日(日)

耕せば仙台平野青と黒 相沢野風村

「青と黒」は、草木の緑であり、大地の黒である。そう解釈し
なければ、この句は、死んでしまう。「耕」は、春の季語。
(高橋信之)


10日(月)

雪解水集めて清し岩魚見ゆ 能作靖雄
 
清冽である。「清冽」という言葉の似合う句である。(高橋信之) 


11日(火)

梅ほつほつ人ほつほつの日差し来し 小峠静水
早春の「日差し」がいい。作者の心境がいい。(高橋信之)


12日(水)

晴れ渡る春一色の空円き 馬場江都

空の円さを印象付けてくれるのは、やはり、春のやわらかな青
い空であろう。すっきりと晴れ渡った空にも、そのほかの季節
とは違う春の色がある。(高橋正子)


13日(木)

玄関に菊菜一束置いて来し 池田和枝

寒の間は傷んでいた春菊も、日脚が伸びるにつれて緑も濃く、
香りも強くなる。親しい人の玄関に、畑から採ったばかりの春
菊を一束置いて来れるほどの春になった嬉しさがある。(高橋
正子)


14日(金)/新月

海遠く菜の花明りの中に立ち 山野きみ子
 
上五の「海」と中七の「菜の花」と下五の「作者」の三つのイ
メージがそれぞれ独立していながら、一つの風景の中にうまく
おさまっていて、美しい。(高橋正子)


15日(土)

青い荷のコンテナ船や涅槃西風 霧野萬地郎
 
<涅槃西風>と<コンテナ船>がうまく結びついて、詩があり
ます。古い言葉の<涅槃西風>が新しい言葉の<コンテナ船>
を受け入れています。(高橋正子)


16日(日)

若草に我が両足を立たしめる 堀佐夜子
 
「立たしめる」に、芯の通った意志の強さを感じます。若草に
立つ自分の姿が、若々しくフレッシュです。春はこうありたい
ものと思います。(高橋正子)


17日(月)

コーヒーミル廻して春の香を満たす 加納淑子

コーヒーミルを廻してコーヒー豆を挽き、その香を楽しんで、
春のきた嬉しさを身に感じている。春めくと、コーヒーの香り
は本当に嬉しく、心を満たしてくれるものである。(高橋正子)


18日(火)/彼岸入り

切れの良き囀り野面伝い来る 碇 英一

囀りにも切れ味の良さが生まれて、野面に春の活気が満ちてき
た。来る年、来る年、春が来ることは嬉しい。(高橋正子)


19日(水)

ものの芽の出でて記憶を呼び戻す 磯部勇吉

ものの芽がでるころは、気温や天気、急な人の死、人事の様々
、これから始まる農作業のことなど、様々な変化や思いを経験
することが多い。そういったことから、ふいに何かの記憶があ
りありと呼び戻されることがある。(高橋正子)


20日(木)

軽やかに光返して初燕 多田有花

初燕が軽やかに飛ぶ様を、余計な言い回しをしないで、素直に
表現している。それが、また、「軽さ」に通じているのがよい。
(高橋正子)


21日(金)/春分、春分の日

峡の春子らの駆けゆく靴が鳴る 河 ひろこ

雪国の山峡に春が来た喜びが、子どものかけてゆく靴音からも
感じられる。長い冬から解放された子どもたちが明るい。春の
訪れがこれほど嬉しいものかと、改めて思わせてくれる。(高
橋正子)


22日(土)/上弦

今朝咲いた桜映して潮満ちる 古田けいじ
 
「今朝咲いた桜」がういういしい。満ちてくる潮の色に、開い
たばかりの桜の色が重ねられ、いい情景となっている。(高橋
正子)


23日(日)

握りしむ幼子の手に土筆んぼ 右田俊郎

幼子も土筆の何たるかを知っているのでしょう。汗ばむほどし
っかり握られた土筆に、萌え出るもののかがやきと強さがあり
ます。(高橋正子)


24日(月)/彼岸あけ

春の田に挟まれ自転車強く漕ぐ 野仁志水音

田に草が萌え始め、早い田は青んでいるかもしれない。そんな
春の田の間の道を、風も吹いているのだろうが、自転車をぐい
ぐいと漕いでいる姿に若さと人間的よさがある。(高橋正子)


25日(火)

ママゴトのハンバーグらし春の泥 都 久俊
 
「春の泥」が明るい。子ども達が明るいからである。(高橋信
之) 


26日(水)

そのままに流るる雲や花菜咲く 安丸てつじ

菜花の黄が、醒めた色となり作者を惹くものとなっているが、
さらに作者を惹くのは、はるか高くを「そのままに流るる雲」
で、雲の美しさを形容して回想の抒情が引き起こされている。
(高橋正子)


27日(木)

我が身より影出て動く春燈に 柳原美知子

「犬がその影より足を出してはゆく/篠原梵」という句がある
が、これは、その類句ではない。発想が違う。俳句は短い詩な
ので、似た句が多いが、類句を恐れてはならない。むしろ、大
いに良い句の良いところを取り入れたらいい。(高橋信之)


28日(金)

紫木蓮揺れて光をこぼしおり 青海俊伯
 
白木蓮ではなく、紫木蓮が光りをこぼすというのは、よほど静
かな光景です。静かによく見られた対象が、自らの命を輝かせ
ているようです。(高橋正子)


29日(土)/満月

霧晴れて花の向こうの水平線 岩本康子
 
花と水平線の景色に「あこがれ」と題と付けたいと思いました
。「霧晴れて」というから、海峡のようなところを思います。
「霧」は、秋の季語ですが、「花」という主題がはっきりして
いますので、問題はありませんね。「花」は、春の季語で、桜
のことです。(高橋正子)


30日(日)

青麦の風の別れ目光りけり 脇美代子

青い麦畑に大きな風が吹いて、別れ目ができていますが、そこ
もきらきらと日に輝いています。風と青い麦と、懐かしさの湧
いてくる光景です。(高橋正子)


31日(月)

日展を出てから花の咲く道を 福田由平

日展の画の世界の余韻に、現実の桜の咲く道を歩く心豊かな時
が、静かでいいですね。(高橋正子)