むかしの俳句カレンダー
俳句日記
BBS/さら句会


■俳句カレンダー/2003■

【7月】

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2003年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

1日(火)

降り足りし空の紺青桃熟るる/堀佐夜子

降り足りた地に対し、空はすっかり晴れて紺青の色を広げ、地も
空もそして桃が熟れて、恵みに潤っています。そんな時があるこ
とが素晴らしい。(高橋正子)


2日(水)

沸き立ちて梅雨雲山を上りけり/磯部勇吉

写生句だが、作者の感動が伝わってきて充分である。(高橋信之)


3日(木)

青柿の密なる風を纏いけり/脇美代子

技巧のある句だが、実感を伴っているので、成功した。いい句であ
る。(高橋信之)


4日(金)

竹涼し青き日差しの幾筋も/堀佐夜子

「すずしさ」というのは、こういうことを言うのであろう。精神的
な涼しさへとつながっているところが、凄い句である。(高橋正子)


5日(金)

緑陰の一つの影を連れて出づ/小峠静水

緑陰に同化した自分の影を引き出すように連れて出る。巧みな句。
自分の影が失われなかったことに、涼しさと実在が意識される。
(高橋正子)


6日(土)

静岡県・寸又峡
視野高く置きて寸又の星涼し/野田ゆたか

「視野高く」で、星の涼しさが、十分に感じられます。「寸又」の
固有名詞が状況を明確にし、「星の涼しさ」を作者独自の感興とし
ているのが、いいと思います。(高橋正子)


7日(日)

馬の背のむこうに続く夏の峰/安増惠子

馬のつやつやした栗毛の背中の向こうに、青い夏の峰が見えて、気
持ちが広く開けます。馬を降り、馬との憩いのひとときがいいです
ね。(高橋正子)


8日(火)

花茣蓙に替えて仏間を清やかに/山野きみ子

沈みがちな仏間も花茣蓙を敷いて、夏向きに変え、すがすがしくな
った。夏の一間のすがすがしい清潔感がよい。(高橋正子)


9日(水)

青紫蘇のからりと揚がり夕べ来る/藤田洋子

夏のまだ明るい夕べに、さわやかな香りの青紫蘇が、てんぷらにさ
れて、明るい生活が詠まれている。。こんな夏の夕べは、楽しい。
(高橋正子)


10日(木)

夕風の通る駅舎の七夕竹/柳原美知子

駅に立てられた七夕竹に、乗り降りする人は、みんな七夕祭りを思
ってみることだろうが、七夕に寄せる思いが一つなのはゆかしいこ
とである。夕風にさらさら笹の鳴る音が聞こえる。(高橋正子)


11日(金)

次々と雲来て青嶺ゆるぎなき/吉田 晃

「青嶺」の夏は、ゆるぎなき活動の季節であり、「ゆるぎなき」も
のは、作者の願いでもあろう。(高橋信之)


12日(金)

イタリアで泳ぎし話し風通る/古田けいじ

日常を語ってリアルである。「風通る」が生きた言葉で、「イタリ
ア」がリアルなものとなった。(高橋信之)


13日(土)

玉葱の白盛り上げて平皿に/藤田洋子

日常の生活を詠んで、さりげない句であるが、レベルが高い。「玉
葱」は、夏の季語で、季節感豊かな句。(高橋信之)


14日(日)

水一滴すべる涼しさ朝のナイフに/宮地ゆうこ

朝、果物を切るために使うナイフだろうか。一滴の水がよく冷えた
刃をつっと滑り落ちる様子が、本当に涼しそうである。(高橋正子)


15日(火)

夏潮の沖へ沖へと藍重ね/柳原美知子

夏潮が、沖にゆくに従い藍を深めている様子を、ひろびとした心境
で詠んでいる。「藍重ね」は、深い心境で、オーソドックスな句の
よさがある。(高橋正子)


16日(水)

ひまわりの天にまっすぐまっ正直/大石和堂

ひまわりは、どことなく朴訥で正直な感じがする。天にまっ直ぐと
は、正真正銘、曲がらず、明るく正しい。胸がすく、爽快な句。
(高橋正子)


17日(木)

青田風乱れし先に海が見え/岩本康子

青田を靡かせ吹く風の様子が、いきいきと描かれている。青田のみ
どりと海の青が、目に涼しさを運んで来る。(高橋正子)


18日(木)

鉛筆で雲のスケッチ梅雨晴れ間/多田有花

梅雨の晴れ間のいろんな雲。鉛筆がさらさらと書く雲のスケッチが
、いい。また、雲をスケッチしたいと思う心が、世を離れていて楽
しい。(高橋正子)


19日(金)

虹立ちて海辺の学校チャイム鳴る/平野あや子

「チャイム鳴る」は、あや子さんが住む淡路島の「学校」であろう。
紀州の見える「海辺の学校」は、「虹立ちて」明るい。(高橋信之)


20日(土)

掌を握れば昼の炎天下/小峠静水

「掌を握れば」と「昼の炎天下」との取り合わせに、言葉の比喩を
読み取れば、そこに詩がある。「俳」とは違った「詩」がある。
(高橋信之)


21日(日)

片蔭に己の影を引き入れぬ/野田ゆたか

片蔭に入るとき、自分の影を引き入れる。片蔭の奥のいっそう涼し
いところに入る。真夏の影は濃く、太陽の下にいる限り、自分の影
から放れることはない。(高橋正子)


22日(水)

朝焼けて日輪低きより昇る/山野きみ子

東の空が紅黄色に染まって、そこへ「日輪」が昇る。「日輪低き」
は、いい写生で、「朝焼」をうまく捉え、詩情が出た。(高橋信之)


23日(火)

噴水の頂点はみな落ちるのみ/金子孝道

詩である。物を見つめたものだが、作者の心が詠まれている。「こ
んなにも広き朝空蝉が鳴く/孝道」とともに秀句。(高橋信之)


24日(木)

玉葱の白盛り上げて平皿に/藤田洋子

日常の生活を詠んで、さりげない句であるが、レベルが高い。「玉
葱」は、夏の季語で、季節感豊かな句。(高橋信之)


25日(木)

美容室出づればわっと蝉時雨/堀佐夜子

窓を締め切って、エアコンを効かせた「美容室」を出れば、外は、
「わっと蝉時雨」である。「わっと」がいい。実感のある平明な言
葉がいい。(高橋信之)


26日(金)

茄子三つとまと一つ収穫す/林 緑丘

句が軽くて、いいですね。平明で、はっきりしています。(高橋信之) 


27日(土)

精米を待つ間見る大夕焼け/河ひろこ

「待つ」という行為はいい。思わぬ出会いがあるからだ。「精米」
と「大夕焼け」との、生活の中での美しい出会いである。(高橋信之)


28日(日)

水音の鉢に吸われて水涼し/日野正人

「水音の鉢」の「鉢」は、明らかでないが、それが何であれ、「水
涼し」である。「鉢に吸われて水涼し」であり、「吸われて」に発
見がある。(高橋信之)


29日(火)

緑陰に身なりをくずし又正す/金子孝道

「身なりをくずし又正す」のは、日常の何気ない動作で、「緑陰」の
寛ぎをうまく言葉に乗せた。(高橋信之)


30日(水)

蝉の樹となりて梢の揺れやまず/柳原美知子

暑いとも思い、涼しいとも思う「蝉の樹」である。下五の「揺れやま
ず」がしっかりしている。(高橋信之)


31日(木)

布洗う十指に水の涼しさよ/河ひろこ

手で大切に布を洗っているのだろう。水に入れた十本の指が、水の心
地よさ、涼しさを感じている。女性ならではの、やさしい繊細な感覚
である。(高橋正子)