|
29 30 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31○○○○ |
降り足りし空の紺青桃熟るる/堀佐夜子 降り足りた地に対し、空はすっかり晴れて紺青の色を広げ、地も 空もそして桃が熟れて、恵みに潤っています。そんな時があるこ とが素晴らしい。(高橋正子)
沸き立ちて梅雨雲山を上りけり/磯部勇吉 写生句だが、作者の感動が伝わってきて充分である。(高橋信之)
青柿の密なる風を纏いけり/脇美代子 技巧のある句だが、実感を伴っているので、成功した。いい句であ る。(高橋信之)
竹涼し青き日差しの幾筋も/堀佐夜子 「すずしさ」というのは、こういうことを言うのであろう。精神的 な涼しさへとつながっているところが、凄い句である。(高橋正子)
緑陰の一つの影を連れて出づ/小峠静水 緑陰に同化した自分の影を引き出すように連れて出る。巧みな句。 自分の影が失われなかったことに、涼しさと実在が意識される。 (高橋正子)
静岡県・寸又峡 視野高く置きて寸又の星涼し/野田ゆたか 「視野高く」で、星の涼しさが、十分に感じられます。「寸又」の 固有名詞が状況を明確にし、「星の涼しさ」を作者独自の感興とし ているのが、いいと思います。(高橋正子)
馬の背のむこうに続く夏の峰/安増惠子 馬のつやつやした栗毛の背中の向こうに、青い夏の峰が見えて、気 持ちが広く開けます。馬を降り、馬との憩いのひとときがいいです ね。(高橋正子)
花茣蓙に替えて仏間を清やかに/山野きみ子 沈みがちな仏間も花茣蓙を敷いて、夏向きに変え、すがすがしくな った。夏の一間のすがすがしい清潔感がよい。(高橋正子)
青紫蘇のからりと揚がり夕べ来る/藤田洋子 夏のまだ明るい夕べに、さわやかな香りの青紫蘇が、てんぷらにさ れて、明るい生活が詠まれている。。こんな夏の夕べは、楽しい。 (高橋正子)
夕風の通る駅舎の七夕竹/柳原美知子 駅に立てられた七夕竹に、乗り降りする人は、みんな七夕祭りを思 ってみることだろうが、七夕に寄せる思いが一つなのはゆかしいこ とである。夕風にさらさら笹の鳴る音が聞こえる。(高橋正子)
次々と雲来て青嶺ゆるぎなき/吉田 晃 「青嶺」の夏は、ゆるぎなき活動の季節であり、「ゆるぎなき」も のは、作者の願いでもあろう。(高橋信之)
イタリアで泳ぎし話し風通る/古田けいじ 日常を語ってリアルである。「風通る」が生きた言葉で、「イタリ ア」がリアルなものとなった。(高橋信之)
玉葱の白盛り上げて平皿に/藤田洋子 日常の生活を詠んで、さりげない句であるが、レベルが高い。「玉 葱」は、夏の季語で、季節感豊かな句。(高橋信之)
水一滴すべる涼しさ朝のナイフに/宮地ゆうこ 朝、果物を切るために使うナイフだろうか。一滴の水がよく冷えた 刃をつっと滑り落ちる様子が、本当に涼しそうである。(高橋正子)
夏潮の沖へ沖へと藍重ね/柳原美知子 夏潮が、沖にゆくに従い藍を深めている様子を、ひろびとした心境 で詠んでいる。「藍重ね」は、深い心境で、オーソドックスな句の よさがある。(高橋正子)
ひまわりの天にまっすぐまっ正直/大石和堂 ひまわりは、どことなく朴訥で正直な感じがする。天にまっ直ぐと は、正真正銘、曲がらず、明るく正しい。胸がすく、爽快な句。 (高橋正子)
青田風乱れし先に海が見え/岩本康子 青田を靡かせ吹く風の様子が、いきいきと描かれている。青田のみ どりと海の青が、目に涼しさを運んで来る。(高橋正子)
鉛筆で雲のスケッチ梅雨晴れ間/多田有花 梅雨の晴れ間のいろんな雲。鉛筆がさらさらと書く雲のスケッチが 、いい。また、雲をスケッチしたいと思う心が、世を離れていて楽 しい。(高橋正子)
虹立ちて海辺の学校チャイム鳴る/平野あや子 「チャイム鳴る」は、あや子さんが住む淡路島の「学校」であろう。 紀州の見える「海辺の学校」は、「虹立ちて」明るい。(高橋信之)
掌を握れば昼の炎天下/小峠静水 「掌を握れば」と「昼の炎天下」との取り合わせに、言葉の比喩を 読み取れば、そこに詩がある。「俳」とは違った「詩」がある。 (高橋信之)
片蔭に己の影を引き入れぬ/野田ゆたか 片蔭に入るとき、自分の影を引き入れる。片蔭の奥のいっそう涼し いところに入る。真夏の影は濃く、太陽の下にいる限り、自分の影 から放れることはない。(高橋正子)
朝焼けて日輪低きより昇る/山野きみ子 東の空が紅黄色に染まって、そこへ「日輪」が昇る。「日輪低き」 は、いい写生で、「朝焼」をうまく捉え、詩情が出た。(高橋信之)
噴水の頂点はみな落ちるのみ/金子孝道 詩である。物を見つめたものだが、作者の心が詠まれている。「こ んなにも広き朝空蝉が鳴く/孝道」とともに秀句。(高橋信之)
玉葱の白盛り上げて平皿に/藤田洋子 日常の生活を詠んで、さりげない句であるが、レベルが高い。「玉 葱」は、夏の季語で、季節感豊かな句。(高橋信之)
美容室出づればわっと蝉時雨/堀佐夜子 窓を締め切って、エアコンを効かせた「美容室」を出れば、外は、 「わっと蝉時雨」である。「わっと」がいい。実感のある平明な言 葉がいい。(高橋信之)
茄子三つとまと一つ収穫す/林 緑丘 句が軽くて、いいですね。平明で、はっきりしています。(高橋信之)
精米を待つ間見る大夕焼け/河ひろこ 「待つ」という行為はいい。思わぬ出会いがあるからだ。「精米」 と「大夕焼け」との、生活の中での美しい出会いである。(高橋信之)
水音の鉢に吸われて水涼し/日野正人 「水音の鉢」の「鉢」は、明らかでないが、それが何であれ、「水 涼し」である。「鉢に吸われて水涼し」であり、「吸われて」に発 見がある。(高橋信之)
緑陰に身なりをくずし又正す/金子孝道 「身なりをくずし又正す」のは、日常の何気ない動作で、「緑陰」の 寛ぎをうまく言葉に乗せた。(高橋信之)
蝉の樹となりて梢の揺れやまず/柳原美知子 暑いとも思い、涼しいとも思う「蝉の樹」である。下五の「揺れやま ず」がしっかりしている。(高橋信之)
布洗う十指に水の涼しさよ/河ひろこ 手で大切に布を洗っているのだろう。水に入れた十本の指が、水の心 地よさ、涼しさを感じている。女性ならではの、やさしい繊細な感覚 である。(高橋正子)