むかしの俳句カレンダー
俳句日記
BBS/さら句会


■俳句カレンダー/2003■

【8月】

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1日(金)

視野一面烏賊火連なる砂丘沖  太田淳子

鳥取砂丘の沖に、烏賊火が連なり、夏の夜の風物詩を繰り広げ
ている。手前に砂丘、向こうに見渡す限りの烏賊火の沖を配し
、広く大きな景色が詠まれた。(高橋正子)


2日(土)

差し出さるなすの丸みを両の手に  祝 恵子

差し出された茄子は採れたてであろうが、丸みがちょうど良く
手に納まる。いい丸さである。また、手から手へ渡される人の
付き合いがあって、庶民のいい生活がうかがえる。(高橋正子)


3日(日)

窓からの涼しき風を受け学ぶ  野仁志水音

「学ぶ」が自然であり、素直で、実がある。窓から涼しい風を
受けて学ぶ日もあって、落ち着いた態度がよい。(高橋正子)


4日(月)

土用芽の赤きを叩く雨の日々  山野きみ子

土用芽の勢いに、木の生命力を知らされるが、赤い土用芽は、
柔らかで、つやつやとしている。日々の雨のなかでも、赤い芽
のいとおしく、印象に残る。(高橋正子)


5日(火)

蜩や静かに暮るる雲の色  今井伊佐夫
 
静かに暮れてゆく雲に、蜩の声が沁み通るようであり、心を雲
の通わせている作者の姿が読み取れる。「雲の色」に、作者の
たゆたう思いがある。(高橋正子)


6日(水)/広島原爆の日

噴水立って音が生まれる朝の池  山中啓輔

朝早く、噴水が立ち始めるときを捉えた句で、静かな池の平面
から立ち上がって噴く水が、音を生んでいる。水の音であり、
噴水そのものの涼しい音である。夏の朝の静けさがよく捉えら
れている。(高橋正子)


7日(木)

夕焼けの映える海面波高し  高橋秀之

夕焼けの海は、それでもうすでに美しいが、作者の心を高揚さ
せるように波が高く打っている。波打つ夕焼けの海面が生き生
きとした動きをもって詠まれた。(高橋正子)


8日(金)/立秋

子らいまだ眠り立秋の空光る  高橋正子

自句自解
立秋の今日は、まだ夏休み。学校から抜けきって、子どもたち
はぐっすり眠っているが、秋立つ日の朝は、浅黄色の空がうつ
くしい。


9日(土)/長崎原爆の日

終章は祈りの和音原爆忌  古田けいじ

自句自解
平和を願う合唱の終りは上手いハーモニーで終った。歌い手の
平和への祈りが天へ登って行く感じだった。


10日(日)

栗の毬日ごと日ごとのたくましき  堀 幹夫

栗の毬の日ごとに育ちゆく、弾けるような力が、季節の新しさ
をよく伝えている。(高橋正子)


11日(月)

水に触れ水に映りて蜻蛉飛ぶ  高橋正子

姿と動きを表現するのは至難。トンボの軽快さ、リズミックな
動きも表現されています。(守屋光雅)


12日(火)

うまおいが来るパソコンの明るい部屋  吉田 晃

この状況は、本当にあかるくみずみずしいですね。現代の産物
であるパソコンの部屋に飛びこんできたみずみずしいもの、う
まおいがかがやいています。ふと思ったのですが、哲学者や思
想家が、人間のことをいろいろいいますが、人間にとって、一
番大切なことは、「みずみずしい」ことではないかしらと。み
んながみずみずしい心で暮らせたらいいなと思いました。(高
橋正子)


13日(水)

緩やかな水の流れてお盆くる  青海俊伯

お盆が来れば、「緩やか」でゆっくりとした時間になる。昔の
時間が戻って、時代の流れの中で失われかけた自分を取り戻す
。(高橋正子)


14日(木)

秋立ちて車中のきものいろいろに  河野 齊

「秋立つ」、その言葉にも秋を感じさせる作用がある。通勤の
人たちだろうか、気温の感じ方はそれぞれで、、思い思いに秋
めいた服装になっている。それが、「いろいろに」。(高橋正
子)


15日(金)/終戦記念日/月おくれ盆

白桃が三つテーブルにある平和  古田けいじ

自句自解
友人が白桃をおすそ分けで持ってきてくれた。テーブルにそれ
を置いた。今日は丁度、終戦記念日。小さくて余りよく覚えて
いないが田舎で終戦の日のラジオ放送だけは覚えている。50
年以上戦争をしなかった日本も最近はなんだかきな臭い。


16日(土)

わが街の盆の花火へ機を降りる  吉田 晃

 いい句ですね。「わが街」が生きています。(高橋信之)


17日(日)

盆過ぎの静けき居間の畳拭く  藤田洋子

畳を拭きながら充実感に浸っておられるのでしょう。今年もい
いお盆だったのですね。今度みんなの健康な姿を見られるのは
お正月でしょうか。日本の文化を大切にした生活をしておられ
ますね。(吉田 晃)


18日(月)

海よりの風白かりき盆の過ぎ  岩本康子
 
お盆が過ぎると、やっと落ち着いた心持ちになる。吹く風もし
らしらと感じられて、一夏の終わりを思う。新涼の季節がそこ
まで来ている。(高橋正子)


19日(火)

朝市やぶどうの葉に乗せぶどう売る  戸原 琴
 
朝市で売られているぶどうの露けさが、「ぶどうの葉に乗せ」
で十分に詠まれている。ぶどうの葉の切れ込みや、少し枯れか
けた色合いなど、絵心を誘われる。(高橋正子)


20日(水)

蜩や聲明と和す境内に  堀佐夜子

自句自解
幼いころ、祖母に連れられてよくあっちこっちのお寺に参り
ました。子供ですので本堂の縁側で遊んでいますと、読経と
蜩の声が私には子守唄と感じられて何時しか寝てしまい、祖
母に起こされるまで夢うつつでした。


21日(木)

稲田の上を新幹線のすれ違う  相沢野風村

すっきりと広がる稲田の上を走る、新幹線のスピード感が爽快
。(高橋正子)


22日(金)

秋晴れに産着の真白風と揺れ  祝 恵子

なにをおいても、無条件に喜びたい静かな心境。「風と揺れ
」は、上手だと思います。「風に揺れ」でないところに、作
者の喜びが表され、生命の輝きを素直に詠っています。(高
橋正子)


23日(土)

山水のこぼれる葡萄の房置けば 吉田 晃

みずみずしい葡萄の房が見えてくるようだ。思わず手を出し
たくなる。(高橋信之)


24日(日)

呼んでみるかなたの空の雲の秋 高橋正子

こんな風景に出会いながら作句できませんでした。正子先生
有難う御座います。とても好きです、この句。(堀佐夜子)


25日(月)

御岳の雲掃われて秋空へ  古田けいじ

懸かっていた雲が払われて御岳の雄姿が現れた。親しんでいる
山が、季節を新たにして、秋空にすっきりと聳え立つのがいい
。(高橋正子)


26日(火)

つくつくぼうし鳴くたび空色塗り替える  日野正人

心を日々新しく、心に新鮮な感動、なかなか出来ないことです
が、この句に相応しい言葉です。いい句を読ませて頂きました
。(高橋信之)


27日(水)

群れおりてとんぼとんぼの高さなる  碇 英一

とんぼの群れを見れば、それぞれが自分の飛ぶ高さをもって、
かがやきながら水平に飛んでいる。それを「とんぼとんぼの高
さ」と言った。軽やかさがいいと思います。(高橋正子)


28日(木)

ふるさとの土間は凹凸ちちろ鳴く  古田けいじ

しっかりした構成の句。自分の根源的な感情が、飾ることなく
表され、それが多くの人に通じる力強さのあるところがいいと
思います。(高橋正子)


29日(金)

秋天や留めるものの無き高さ  大石和堂

抜けるように青く高い秋天を、「留めるものの無き」と感じた
。留めるものとは、なんだろうと哲学的な問いが湧く。切り込
みが深い。(高橋正子)


30日(土)

小鳥来る清しさに明け子の発つ日  宮地ゆうこ

夏休みに帰省していた子どもが、また勉学のために帰ってゆく
ときの親の気持ちである。親子ともども良い休暇が過ごせたこ
とであろう。すがすがしく明けた朝に、その気持ちがある。(
高橋正子)


31日(日)

レタス出荷トラック霧の坂下る  古田けいじ

自句自解
知人の信州の別荘に泊まってのゴルフに行った。別荘のある一
帯はレタス御殿が建つと言われるほどのレタスの産地。夕方、
霧が深くなった落葉松の坂を、レタスを積んだトラックが下っ
て行くのが別荘のベランダから見えた。