むかしの俳句カレンダー
俳句日記
俳句掲示板


■俳句カレンダー/2003■

【11月】

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30 AAAAAAAAAAAAAAAAAA
            
2003年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月


1日(土)/上弦/猟解禁

黄落や日の当りたる一本目  加納淑子

一本目の樹は、もっとも自分に親(ちか)しい樹なのであろう。日を
浴びている姿に人のような暖かさがある。黄落期の美しい風景を新
しい感覚でとらえた。(高橋正子)


2日(日)

どんぐりの袋にいっぱい透けて鳴る  池田多津子

どんぐりをビニール袋に拾い集めて、よく聞けばどんぐりが触れ合
って鳴っている。余計を表現しないで、生き生きとした子どもの様
子を想像させてくれる。(高橋正子)


3日(月)/文化の日

真っ直ぐに秋の朝陽の我に射す  山中啓輔

秋も深くなれば、真っ直ぐに差してくる陽を暖かく、眩しく感じる
。それが自分へと躊躇わず差してくれば、太陽との直のつながりが
素晴らしいことに思える。(高橋正子)


4日(火)

花梨の実いびつのままに育ちきる  霧野萬地郎

花梨の実の形は独特で、そのよさをそっくり表現できた。色も形も
文人好みか。(高橋正子)


5日(水)

いただいて両手に柿を持ち帰る  祝恵子

ささやかな行為にも、輝くようなときがある。つややかな柿の実の
色が両手からこぼれそうである。柿の実の熟れる頃のさわやかさで
ほのかな暖かさが生活の行為を通して詠まれた。(高橋正子)


6日(木)

鴨来る朝の川面の輝きに  多田有花

生き生きとして、心が輝いている句である。「朝の川面の輝き」は
、鴨が来た喜びである。水と光と鴨とが作る明るい動きに透明感が
ある。(高橋正子)


7日(金)

かりんの木の実をはずされて軽き身に  祝恵子

あの重そうなかりんが、木からはずされて木が軽々となった。木の
気持ちは、詠み手の気持ちで、これから冬を迎える心準備ともいえ
る。空も木も人もいよいよ冬となる。(高橋正子)


8日(土)/立冬

立冬の部屋の香となる焼き林檎  戸原琴

焼き林檎は、寒い国や地方の食べ物として思い浮かぶが、寒さの訪
れに林檎を焼いて、部屋にその香を満たし、ゆたかな時間を過ごす
。「立冬」が、冬の始まりだけにその感が強い。(高橋正子)


9日(日)/満月

初鴨の水掻く足の浅黄色  石井信雄

今年初めて鴨に出会った新鮮な気持ちが、とてもいい。初冬の 水
の景色が、透明感を持って描かれた。水を掻く浅黄色の足が 、か
わいくさえ思え、印象的である。(高橋正子)


10日(月)

白菜をばっりと割きて陰干しに  能作靖雄

白菜を割けば、ばりっと音がして新鮮そのもの。清冽な句。白菜
漬けの用意だろう。並べられた白菜も清らか。(高橋正子)


11日(火)/亜浪忌

 網走
夕紅葉亜浪の句碑に刻流る  志賀たいじ

亜浪句碑の前にしばらく佇んでおられたのでしょうか。夕方の紅葉
が句碑に優しさを与えていますね。11月11日は亜浪忌。(高橋正子)


12日(水)

対岸の家並みに今朝の冬日さす  多田有花

冬の朝の清潔な景色が、明るく真っ直ぐに詠まれていて、心の裏に
さえも濁りがない。(高橋正子)


13日(木)

一閃にはじけて榾の白匂う  家入克己

榾が、時に弾けて燃え、白んだ枝から、なんとも言えない火の匂い
がしてきます。「一閃にはじけ」に、瞬時の勢いがあり、句が生き
ていますね。(高橋正子)


14日(金)

干し柿を移す朝陽の来る方へ  古田けいじ

干し柿を雨に当てないように、夜露に当てないように陰に入れてい
たものを、朝日に当たるように移す。その心配りと明暗が、干し柿
を朝日にいっそう輝かしている。(高橋正子)


15日(土)/七五三

ビル壁のただ垂直に冬天へ  宮地ゆうこ

冬天とビルだけがすっきりと詠まれた。「ただ」に詠み手の思いが
あるが、言葉に装飾がなくストレートであるのが「冬」を言うのに
よい。(高橋正子)


16日(日)

髪洗う耳に木枯し届きけり  多田有花

髪を洗うときに耳の辺りが一番ひんやりするが、そこに木枯らしが
吹く音が届いた。「耳に届く」は、リアル。季語は「木枯らし」。
(高橋正子)


17日(月)/下弦

障子開け日本海を近づける  大給圭泉

旅の宿であろう。障子を開けたときに見えて、自分に迫る冬の日本
海への新鮮な驚き。その驚きが読む者をそこへ連れて行ってくれる。
(高橋正子)


18日((火)

虹立てて水遣られおり葱の畝  碇英一

小春日和の水遣りであろう。葱の緑が力強く、その上に生まれる虹
が明るい。(高橋正子)


19日(水)

冬の虹隠岐の海より立ちあがる  加納淑子

「立ちあがる」虹は、片虹であろう。その虹によって隠岐の海が寒
々と、見えぬ水蒸気が上がっているように感じられる。深い余情が
ある。(高橋正子)


20日(木)

すっきりと葉牡丹植えて朝晴れる  藤田洋子

生き生きと植えられた葉牡丹が目に見えるようだ。葉牡丹に水が遣
られて露が光っている。朝の晴れと響きあう葉牡丹の清々しさがよ
い。(高橋正子)


21日(金)

片付けて四隅ありたる冬座敷  戸原琴

和室は、いろんな住まい方ができる。普段の部屋も、来客があると
なとなれば、きちんと物を取り払って、凛とした座敷になる。冬座
敷の凛とした清潔さがいい。(高橋正子)


22日(土)

冬天やポケットの中の両こぶし  大石和堂

高い冬天に対しての己の両こぶしの確実さ。寒さを身に引き寄せて
受け止める確かさがユニーク。表現方法としての切れ字「や」の使
用は、一考を要する。(高橋正子)


23日(日)/小雪/勤労感謝の日

窓際に寄れば冬日の懐かしさ  祝恵子

冬日の懐かしさに、気持ちが大きく膨らむ。懐かしいことさまざま
が入り混じった冬の日差しが柔らかい。(高橋正子)


24日(月)/新月

風呂吹の熱きに柚子のよく匂う   おおにしひろし

熱くて湯気の立っている風呂吹き大根と黄色い柚子が優しい印象で
ある。「よく匂う」とはっきりと言われてしまえば、頷かざるをえ
ない。あつあつの風呂吹きの美味な一品に満足。(高橋正子)


25日(火)

枯芙蓉形崩さず枯れ尽くす  馬場江都

実は実の形のまま、枝は枝の張り具合のままに枯れた芙蓉の姿に、
毅然とした枯れの姿があって、花にも勝る枯淡の美がある。(高橋
正子)


26日(水)

散りてなお欅大樹の空の位置  脇美代子

空に大きく茂り、そして紅葉し、ついには散っても、広がっている
細やかな枝は、依然として空にその位置を占めている。枝を透けて
見える空が大きい。(高橋正子)


27日(木)

冬晴れの光溢れる礼拝堂  岩本康子

眩いばかりの明るさの中、清らかな空気の流れる礼拝堂がいいです
ね。(藤田洋子) 


28日(金)

冬木立あちこち巣箱現るる  相沢野風村

すっかり葉を落とした木立に、高々と現れたのは巣箱。葉が茂って
いたときは隠れていたものが現れて、意外にも楽しい光景となった
。冬の明るさがよい。(高橋正子)


29日(土)

森騒ぐ音の近けり北風吹く夜  おおにしひろし

耳を良く澄ませ、気持ちを一つの方向に向けた詩情のある句。北風
の吹く音に、生きている森を感じた。(高橋正子)


30日(日)

長靴の泥を洗いて冬清水  守屋光雅

冷たく澄んで張り詰めた冬清水が、長靴の泥を洗って、生き生きと
している。(高橋正子)