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天を指す裸木そのまま影となる 八木泰子 自句自解 裸木のあの潔さは何としたことだろう。無言の行者のようで見ていると勇気 が湧いてくる。
繊細な白が身上蕪を切る 八木泰子 自句自解 蕪の白は絹の白。艶やかに薄々と俎板の上に切られてゆく。その美しさにし ばしば手が止まってしまう。
しなやかに水仙立てりバスを待つ 八木泰子 自句自解 バスを待つ足元に水仙が控えめに揺れている。水仙の茎や葉のしなやかな様 に春はいよいよ待たれる。今日は節分である。
太幹のぐるりと青みだして春 相原弘子 自句自解 春は嬉しい。何を言わなくても嬉しい。
春の雪きょうは本屋へ行くつもり 相原弘子 自句自解 好きな本屋さんがある。出かけると一歩でもいい行ってみる。
東風強し倒れば起こす高きもの 相原弘子 自句自解 石鎚山の聳えて見える松山郊外の見奈良近辺は、冬から春は颪が強い。自然 のありようを受け入れて暮す。倒された物は、又、起こしておく。
受験子は旅立つ荷物を身辺りに 高橋正子 自句自解 受験に子を送り出す親の私は、ともかく元気で、受験を済ましてきて欲しい と願い、旅の支度を整えるのを、手伝ったものです。
二月はや雛の鼓笛をもたさるる 高橋正子 自句自解 デパートには、早くも、ひな壇がしつらえられていますが、鼓笛を持つ雛が 楽を奏でるには、少し寒く感じられます。
ふきのとうの紅ほのぼのと土に生れ 高橋正子 自句自解 土から生え出た、ふきのとうの黄みどり色に臙脂がかった紅色が刷かれてい るのはなんとも、ゆかしいものです。
春立つ朝の軽い音で汽車が通る 久保田弘子 春を迎えるという快い弾みが言葉のリズムで表現されている。口語俳句で成 功した数少ない例である。 (高橋信之)
春灯へ丸い口開けている湯呑 高橋信之 自句自解 この句には、私の代表句としての愛着がある。私独自のユーモアがある句だ。
春光に包まれし身のときめきよ 藤田洋子 とらわれのない内部から生まれた初々しい輝きは快い。(高橋信之)
芽ぐむもの全てに愛の光りけり 藤田洋子 喜びの俳句である。短い言葉ゆえに生命讃歌が力強く詠まれた。(高橋信之)
芽吹く樹へつぎつぎ心遊ばせる 高橋信之 自句自解 四国遍路に出たときの句。俗世間から開放された心の自由があった。
春一番死者の話をしておりぬ 高橋信之 自句自解 定例句会最中に、誌友松本功さんが亡くなられたとの知らせを受けた。 遺作は <昏る新樹考えこめば天地あり 功> で、高い精神のレベルに達していた。
春灯の明るさ水の上にあり 脇坂公司 公司君らしい句。軽くて無理をしていないのがよい。(高橋信之)
畦焼きの少年の目は輝いて 渡邉道朗 自然の中で生きてこそ、命の何かを知ることが出来ます。季節の中で生きて こそ、生き生きとした生命を知ることが出来ます。(高橋信之)
田おこしの土の黒ぐろ風に吹かれ 吉田 晃 四季の自然の営みに、農林水産を疎かにしてはならないとつくづく思う。 悠久であってほしい。(相原弘子)
菜の花を摘むひらひらと黄がこぼれ 八木泰子 この句が読み手に快い思いを与えてくれるのは、作り手の心が新鮮で、俳句 を楽しんでいるからです。句が生き生きとしています。(高橋信之)
極楽鳥の色添えられて春の雪 森竹智則 春の雪がテーマとなったこの景色は極楽鳥を配することで、まことに美しい 句となった。(高橋正子)
囀りのあふれる山が楽しそう 鳩崎良一 山登りが好きな人らしい。山に入るといろんな鳥が囀っている。鳥の話語が 聞こえそうです。(高橋正子)
土筆摘む一人の夕餉飾るほど 上出真佐子 一人の食卓も土筆の一鉢で楽しく、季節感あふれるものになった。その嬉し さは、春の来た喜びでもあるのです。(高橋正子)
山笑う大突堤の青空に 阪本登美子 春の喜び。又生きていけると、どこからともなく励まされる。(相原弘子)
しばらくは梅の匂いの台所 藤田洋子 台所に梅の花を置いていたのが、よく匂って清潔な雰囲気が漂っています。 春先の日本の香りは、何といっても梅の香です。(高橋正子)
春の朝新聞とりて深呼吸 林 緑丘 気持ちのよい朝です。我知らず深呼吸して、春を実感します。日常を詠んで 明るくしかも味わい深い句です。(八木泰子)
菜花畑揺らして孫と歩きけり 古田けいじ 揺らして歩くという言葉に、うららかな日の語らいが笑顔とともにあふれん ばかりです。菜の花も微笑んでいます。(八木泰子)
うきうきと春コート手に持って歩く 吉田 晃 不思議なユーモアがあります。人間的で、つられていっしょに歩きだしそう な、温かみのある句です。(八木泰子)
ハンカチに野の色移し土筆つむ 渡邉道朗 森羅万象への愛しみ、畏敬の念が伝わってくる。終生大事にしたい想念であ る。(相原弘子)