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今日の鑑賞 ■落柿舎の前を農夫が冬菜売る/霧野萬地郎 「落柿舎」と「農夫が冬菜売る」との取り合わせがよい 。即かず離れず、である。京都嵯峨の「落柿舎」は、向 井去来の別荘で、芭蕉がここで「嵯峨日記」を書いたの で、今は、観光地となっている。現在のは、明治初年に 建てたもの。(評:高橋信之) ■軽やかに風の誘いの欅散る/碇 英一 「風の誘い」は、写生ではないが、上五の「軽やかに」 をうまく補っている。風の軽やかな誘いで、「欅散る」 様子が伝わってくる。(評:高橋信之) 今日の俳句 セロファンに透け水仙の小さな束 水仙の売られ季節が店に来る 夕日が届き柿の実を光らせる
今日の鑑賞 ■青空や揺れる紅葉のその先に/霧野萬地郎 「青空」の大きな風景を詠んだものだが、焦点の「紅葉 」がしっかりしているので、成功した。紅葉の「揺れる 」動きがあって、「その先に」という広がりがある。( 評:高橋信之) ■美術館一つの窓より冬の海/岩本康子 この「冬の海」をわたしも見たいと思った。「美術館」 の「一つの窓」から見たいと思った。この思いを抱かせ てくれたこと、これで、この句の良さは充分だと思った 。(評:高橋信之) 今日の俳句 師走の闇の玻璃一枚に切り取られ 冬灯とは別の明るさパソコンは 暖房出れば外の空気がうまい
今日の鑑賞 ■芦枯れて流るる時の澄むばかり/野田ゆたか 「芦枯れて」が写生で、「流るる時の澄むばかり」は、 主情だが、心の姿がよい。「枯れ」と「澄む」との取り 合わせがよく、作者の心境が読み取れる。(評:高橋信 之) ■城山の紅葉ふやして日を返し/藤田洋子 松山の城山である。晴れていれば、日はさんさんと城山 に注ぎ、市内の何処に居ても見る。大きな風景を詠んで いるが、優しさのある句。(評:高橋信之) 今日の俳句 歯を磨く冷たき水を口に含む 袖なしの楽な姿勢でペンを持つ 北風にきらきら雲の輝く日
今日の鑑賞 ■「ふるさと」の合唱山茶花光る朝に/吉田 晃 「ふるさと」は、時の政治家に利用されることもあって 、それなりの重さがあるが、「山茶花光る朝に」は、リ アリティーがあって軽く、「ふるさと」の本当の姿が伝 わってくる。これが俳句の良さなのであろう。(評:高 橋信之) ■冬竹の芯のほうから揺れている/目見田郁代 現象の表面だけに留まっていない。「芯のほう」を見て いるのが良い。俳句は、短い形式なので、本質的なとこ ろを見逃してはならないのである。(評:高橋信之) 今日の俳句 真っ二つに割れて師走の半月に 短日の大きな星が西空に 冬の夜のしずけさに書読み居れば
今日の鑑賞 ■薪ストーブ静けき熱をわれらに放ち/高橋正子 北欧料理のレストランでの歓談を伝える句。フィンラン ド人、アメリカ人を交えての歓談。現在のオーナーの実 兄は、私のかっての教え子で、その妻君がフィンランド 人。私が育った中国大連は、帝政ロシアの作った街なの で、「ストーブ」は、懐かしい風景。(評:高橋信之) ■干し柿やふるさとからきてぶら下がる/古田けいじ 「干し柿」の「ぶら下がる」風景は、正に「ふるさと」 であり、少年時代を思い起こして生き生きする。(評: 高橋信之) 今日の俳句 水仙の活けられてつぎつぎ花を 水仙の花こちら向くあちら向く 水煙全巻が師走の机上に
今日の鑑賞 ■疎水澄み鴨の水掻き休まずに/目見田郁代 「疎水」を泳ぐ「鴨」の情景が生き生きと伝わってきて 、楽しい。楽しく一生懸命なのである。それが良い。( 評:高橋信之) ■美しく夕日冬芽は健やかに/相原弘子 「健やか」なのが何よりも嬉しい。そして「美しく」で ある。自然から戴くものは多い。尽きることが無いので ある。(評:高橋信之) 今日の俳句 夕日の中の枯れ全体が揺れている 山茶花の花びら多し花びらこぼし 臥風忌の沖に日輪落としたり
今日の鑑賞 ■真冬日は歩幅の狭くみな歩く/守屋光雅 写生がいい。「真冬日」の風景をうまく捉えた。誰もが 歩幅を「狭く」して歩くのである。(評:高橋信之) ■小春日和の踊る影より子らの声/日野正人 賑やかで楽しく、「小春日和」の開放感がいい。誰もが 子らの幸せを願う。(評:高橋信之) 今日の俳句 (現代俳句精鋭選集に正子の句が収録) ページめくれば冬さわやかな音を立てる 天井の大きく丸く師走の灯 手袋の脱ぎ捨てられて姿が堅い
今日の鑑賞 ■雪吊の松たくましき瘤膨れ/古田けいじ 冬をたくましく生きる木々に明日の希望がある。「雪吊り」 は、雪の重みで枝が折れないように、枝を吊っているのであ る。南国四国では見ることがないが、北の国では、冬の日常 風景。(評:高橋信之) 今日の俳句 桜落葉のしずかに匂ってくる道を 竹林を透かして遠き冬空は 沖寒くそこに日輪沈めたり
今日の鑑賞 ■どの茎も丸く撓みてつわの花/古田けいじ 「つわの花」は、華やかではないが、菊の咲き終わった 庭を楽しませてくれる。この句の表現が「つわの花」を 豊かなものとした。(評:高橋信之) ■夜の厨白き葱立つ真っ直ぐに/戸原琴 「真っ直ぐに」は、作者にとっての偽りの無い表現で、 句をユニークなものとした。(評:高橋信之) ■稜線の夕日に染まり山眠る/堀佐夜子 珍しい風景ではないが、美しい。作り手の内面に生まれ た風景が美しいのである。(評:高橋信之) ■金管の冬日を受けて音丸くなる/日野正人 「冬日」がいい。「冬日」が「丸く」なっているのであ る。(評:高橋信之) 今日の俳句 動かぬがよしとこの句碑黄葉降る 銀杏黄葉広げて空一枚の青 師走晴れて持つものは何もない
今日の鑑賞 ■大根干し眩しきまでの長き列/右田俊郎 「大根」は、冬の季語で、「冬眩しき」なのである。自然 界の活動の停滞する季節にも、生き生きとした生活を発見 した。(評:高橋信之) ■年の暮れぽっかりと月厨から/岩本康子 率直な表現が生きている。「ぽっかりと」が、作者の思いの 中心で、忙しく煩雑な年の暮れの生活を、すっきりとさせた 。(評:高橋信之) 今日の俳句 おだやかな冬の朝日が正面に 銀杏散って枝の広がるその下に 銀杏記念樹の黄葉して幹黒ぐろ
今日の鑑賞 ■北下し一歩の先の我の影/伊嶋高男 「北下し」の季節となって、作者の思いが、深くなった 。対象の「我の影」を見つめることによって、我の心の 内を見つめている。 ■ふんわりと土産のもみじ飾られし/福田由平 「ふんわり」という言葉で、贈り主への気持ちが表現さ れた。贈る人と贈られる人の心が通いあっているのであ る。 今日の俳句 冬雲のその下が夕焼けている シクラメン咲かせ師走の華やかに 枯芝の明るい夕べ子が遊ぶ
今日の鑑賞 ■冬日受けにわかに膨らむ木の校舎/日野正人 「木の校舎」は、子ども達を育んで生きている。木とし ての成長はないが、鉄筋とは違って、確かに生きている。 今日の俳句 冬の季節になったと風の緊張に 手袋の今年またその親しさに 寒き日の鉛筆の一本が長い
今日の鑑賞 ■雪降りの露天の風呂に父と子と/守屋光雅 言葉は少ないのがよい。「父と子」の心は、行為があれ ば通じ合える。裸がよい。露天がよい。冬さわやかな句 である。 ■美術館大窓全部冬の空/目見田郁代 全てを言い切って、隠すものは、何もない。「冬の空」 が全てであって、そこに作者の感動がある。 今日の俳句 ■空青く桜冬芽の明日がある 掛時計の針の三つが動いて師走 臥風忌の俳句仲間と青い空
今日の鑑賞 ■桜冬芽ひそひそ天日受けており/堀佐夜子 表現にやや稚拙さがあるが、それが句に真実を与えた。 嘘のない優しさである。 ■冬の夕日村の谷間を水平に/日野正人 「谷間」と「水平」との取り合わせがいい。「水平」、 「垂直」、それに数字といった数学用語が意外な効果を 発揮する。短い形式だからで、状景をリアルにするので ある。 今日の俳句 玻璃抜けて冬の西日が水平に 海からの冷たい日差し来し高階 冷え冷え光るパソコン画面見ておれば
今日の鑑賞 ■日を溜めて海へ傾く水仙花/阪本登美子 いつもの登美子さんらしい句。身近な湘南の海が生きて いる。写生が美しいのである。 ■短日や髭の守衛が仕切りけり/霧野萬地郎 早稲田大学の守衛であろう。正門にある大隈侯の銅像に 似合っている。「短日」が生きている季語となった。 今日の俳句 鉛筆の芯を削れば木枯し吹く 冬草のみずみずしくて池土手に 蜜柑樹に重心確とぶら下がる
今日の鑑賞 ■白菜の内なる白を光らせる/古田けいじ 白菜の清冽さを、うまく表現した。冬の輝きである。内 に秘められたものを見たのである。 ■新暦領収書に重ね渡さるる/碇 英一 俳句の面白さを、充分に見せてくれた。「新暦」と「領 収書」との即かず離れずの面白味である。 今日の俳句 冬シクラメンいく本も花茎を立て 冬なれば蝿憎めずにわが起ち居 冬あたたかな雨に降られる小さな用事
今日の鑑賞 ■枯れ蓮の行き所なき影ゆれる/大谷悦子 主情の強い句だが、実感があるので、読者に訴えてくる ものがある。 ■ぽってりと日の昇り来る冬の朝/堀佐夜子 「ぽってりと」は、うまく言ったものだ。いい一日が始 まることだろう。 ■鳥居抜け階段登る冬空へ/祝恵子 写生の構成がいい。立体的な動きがいい。 ■石肌のつめたさ触れて寺の詩碑/藤田洋子 「詩碑」に寄せる感動が伝わってくる。「触れて」みて 詩を読んでいるのである。 ■釜の音シュンシュンと鳴り亥の子餅/甲斐浩子 厨の音の中へ混じって、亥の子を搗く子ども達の声が聞 こえる。いい生活句である。 ■マフラーの色とりどりや通学路/宇都宮南山 子供の日常を詠んで軽いのがいい。日常の楽しさがある。 今日の俳句 伊丹へ がたと機が揺れ十二月の飛行 柿衛文庫 ヘルマン・ヘッセ水彩画展 年逝くにいい風が詩人の絵に吹く 障害者のためのアイ愛センター どの階段も暖房をして笑い声 日の光り少し抜け来て明るい障子 昆陽池 鵜がいっせいに師走の空を向く姿勢 昆虫館・蝶温室 温室のドームに高く揚羽舞う 花匂い蝶遊ばせる温室に 神戸異人館 竹幹のますます青し鵯啼けば 師走晴れて神戸の海を遠くに見る
今日の鑑賞 ■混ぜ合いの暮らしの音や十二月/霧野萬地郎 忙しさの中にも楽しさがあるのがいい。新世紀の新年を 迎えるのである。 ■水仙の葉真直ぐにして群れてあり/岩本康子 水仙の群生を描いた句だが、水仙の一本一本が見えてく る。写生がいいのである。 ■雲ひとつなき冬空にレモンゆれる/三浦絹子 絹子さんらしい句である。楽しい句である。 今日の俳句 神戸異人館 竹幹のますます青し鵯啼けば 椿の蕾大樹の枝の広がりに 師走晴れて神戸の海を遠くに見る
今日の鑑賞 ■地に帰る確かな音してくぬぎ降る/古田けいじ 作者の「地に」寄せる強い思いが「確かな」という言葉 で揺るがない。「くぬぎ降る」は、いい季感である。 ■年の暮れフランスパンの長いこと/相原弘子 当たり前のことが弘子さんに拾い上げられ、実にユニー ク句となる。生きてくるのである。 今日の俳句 師走の空の銀一色に雨が降る 柿がぶら下がる枝のいい曲線に 坂上り詰め冬紅葉との出会い
今日の鑑賞 ■赤蕪を大きく描いて礼状に/八木孝子 技巧のないことで、句を大きくした。「礼状」の嬉しい 気持ちが伝わってきて、冬にあたたかい句である。 今日の俳句 しらじら明けてゆく空の今日冬至 年逝かす紙の白さの夜の時間 師走華やか薔薇一鉢の寄せ植えに
今日の鑑賞 ■五重塔在りし中空銀杏散る/伊嶋高男 寺苑や墓地は広々としているので、「中空」の存在感が いい。そこへ銀杏黄葉が散って、「中空」の存在を鮮明 にする。深みを持たせた、いい写生句である。 ■しんしんと冷える明日は晴れかしら/野上哲斉 現代語的口語表現で、実感のある句。「冷ゆる」、「冷 ややか」は、秋の季語だが、「しんしんと冷える」を冬 の季感とした。 今日の俳句 谷紅葉朝日の深く差し込める 風見鶏北風吹けば北を向く 母と娘のピアノが鳴って冬休み
今日の鑑賞 ■冬晴れや雉鳩影を地に揺らす/八木孝子 「冬晴れ」のいい抒情です。「地に揺らす」が詩的な表 現なのです。 ■体重を載せ切る冬至南瓜かな/守屋光雅 「体重」を「載せ切る」と言い切って、実にリアルであ る。「冬至」の季感をリアルにした。冬至の様々な習慣 は、健康を願ってのことであろう。この句には、冬の厳 しさを乗り切る「元気」がある。 ■地下街を出れば冬芽が夜空指す/古田けいじ 名古屋の地下街であろう。「地下街」は、現代社会の典 型的な生活様式で、「夜空」の「冬芽」は、その対象に ある。都会の真っ只中に在って、自然の生命を見逃さな いのが嬉しい。 ■息白し二人の会話弾みたり/岩本康子 夢中でお喋りしているのを、ほほえましく眺めてできた 句であろう。「息白し」が、冬爽やかな思いにさせてく れる。 ■紅玉の赤をまるまる包み焼く/戸原琴 「赤」がいい。「まるまる」がいい。林檎は、体にいい のである。(評:高橋信之) ■手作りの門松の縄の張り強し/日野正人 「手作り」の強さである。物が生きている実感である。 物を生かすのは、やはり「手作り」がいい。 今日の俳句 枯山を置きその上の空の晴れ 冬晴れの打ち合うテニスボールの音 裸木の幹をふてぶてしく見せる
今日の鑑賞 ■冬天に風船ふわり雲に入る/祝 恵子 「風船」は春の季語だが、この句は、小春の「風船」であろう。 立冬を過ぎてからの、春のように、晴れた暖かい日和をうまく 捉えた。冬麗かである。
今日の鑑賞 ■風の量ほどに枯れ葉の動く音/碇 英一 目に見えないものの存在は、目に見えるものから知る しかありませんね。「枯れ葉」の動きに「風の量」を 見たのです。 ■飛機低くもう一機来る暮れの冬/目見田郁代 これは、レベルの高い句です。いい句が揃いましたね。 この一年の精進で、格段の上達がありました。
今日の鑑賞 ■薪割り場生木の匂い霜の土/守屋光雅 <薪割りの生木が匂い霜の土/添削@> <薪割り場生木の匂いの霜の土/添削A> とてもいい句ですが、切れ字に問題がありますので、 添削しました。添削@と添削Aでは、状況が違いま すが。
今日の鑑賞 ■アンデルセン読む子の似合う冬帽子/右田俊郎 いい句ですね。コペンハーゲンを旅したときを思い出し、 心和む思いです。海辺の人魚の像との記念写真が残って います。水煙100号記念のヨーロッパ旅行でした。 今日の俳句 椿の白へ海からの夕日が届く 桜冬芽の枝の空へとせり上がる 冬夕焼けて雲高だかと浮いている
今日の鑑賞 ■風呂の柚強く握ればよく香る/古田けいじ いい句ですね。「強く」が効きました。無病息災を願って、 新世紀のご活躍が楽しみです。
今日の俳句 冬空の海に始まる垂直に 冬の坂前傾姿勢の一歩ずつ 冬空の冷たさに手が届きそうで
今日の鑑賞 ■冷えて晴れスキップの子等と行き交わし/相原弘子 「冷えて晴れ」は、いいですね。精神の程よい緊張は、 生活に元気を与えてくれます。生活に楽しさを与えて くれます。
今日の鑑賞 〈朝倉彫塑館・東京台東区〉 ■冬日入るアトリエのタイルかたと鳴る/守屋光雅 瑣末主義のようにみえますが、いい句ですね。作者に偽り がないからで、句の感動がこちらに伝わってきます。 ■セーターの誰と判りて手を振りぬ/堀佐夜子 心和む句です。読者に暖かい心を分かち与えてくれます。
今日の鑑賞 ■大晦日暗渠音よく響きくる/相原弘子 昼過ぎの西の明るさ大晦日/相原弘子 大晦日2句、いい句ですね。しっかりした句です。 今日の俳句 流れゆく時の強きが去年今年 信之 雲少し夜空に浮かせ除夜となる 〃