俳句カレンダー12月
俳句日記2000年


俳句日記/2001年12
高橋信之  nobuyuki@suien.net

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1日(土)

水煙俳句フェスティバルのため、11月17日からお休みにし
ていた「デイリー句会入賞発表」を再開。 



今日の鑑賞

■石蕗咲くや朝に大きく生き生きと/碇 英一

石蕗の花は、冬の季語で、初冬の庭に「大きく生き生きと」で

ある。秋の花々が途切れた頃の庭を楽しませてくれる。

■大根は長し真白く洗い上げ/相原弘子

「洗い上げ」て、「長し真白く」である。生活のよさである。

美しさである。

■しなやかに立つマヌカンの赤マフラー/平野あや子

「マヌカン」はマネキンのことで、フランス語。よく見かける

街の風景であるが、うまく言葉に乗せた。


2日(日)

今日の鑑賞

■鯔とんで夕べ平らな冬の海/多田有花

口語のいいリズムである。軽やかなのである。俳句のいい写生

である。「平らな」が効いた。

■落葉する前のざわめき楢大樹/古田けいじ

詩情があっていい。「前」にある詩情がいい。

■カレンダー一枚となり冬座敷/冬山蕗風

作者の思いが静かに伝わってくる。過ぎ去った一年の思いが「

カレンダー一枚」に残された。



今日の俳句

師走饒舌わが身辺のもろもろは  信之

書が積まれ十二月の静けさよ   〃

年逝くに辞書の重きを手に載せる 〃


3日(月)

正子が風邪を引く。


4日(火)

洋子さんが正子の見舞いに来宅。私の手料理で昼食を共にする。



今日の鑑賞

■冬の夜のオリオンを背に風見鶏/安増惠子

「風見鶏」に絞られている焦点がいい。「冬の夜」のひろびろ

とした世界に心を遊ばせた。

■顔ほどの冬日と歩き暮れてゆく/宮地ゆうこ

上五の「顔ほどの」は、従来の俳句にあまり見られない表現だ

が、「冬日」を身近に引き付けたので、現代風でリアルな俳句。


5日(水)

句美子、高校最後の期末テストを終える。大学受験を控えてい

るが、精神が安定しているので、心配がない。本人の希望する

大学に合格すれば、いいが。



今日の鑑賞

■浅瀬来て立ちあがりたる都鳥/碇 英一

「都鳥」は冬の季語。季節の静かさにも「立ちあがりたる」も

のがある。いい発見である。

■滝涸れて源頭に日の当たりけり/多田有花

いい風景である。滝が「涸れて」明るいのである。「源頭」は

、滝の落ち口と解した。



今日の俳句

今年また小さな聖樹を棚に置く   信之

裸木となりしポプラの玻璃に立つ  〃

日がきらきら師走の晴れの沖を見る 〃


6日(木)

東京四季出版から依頼されていた5日締め切りの原稿「思い出

の旅」400字詰め原稿用紙6枚をやっと書き上げる。



今日の鑑賞

■北風に乗って近づくロシア船/河ひろこ

「北風」と「ロシア」は、やや付き過ぎだが、平明で率直な言

葉がいい。

■戦争を詠んだ俳人冬に逝く/守屋光雅

前書きはないが、一つの時代の終ろうとする感慨が伝わってく

る。「冬に逝く」という季感がいい。



今日の俳句

午前四時部屋を温めて今日始まる 信之

太幹の黒ぐろ朝に時雨ける    〃

風邪見舞い林檎の赤の暖かし   〃


7日(金)

午前、東京四季出版の原稿「思い出の旅」を推敲し、メールで

送る。



正午前、水煙1月号が刷り上り、正子と二人で発送の準備、午

後2時過ぎ、発送。



久万町の広報「くままち」No.466が送られてくる。「インター

ネット俳句コンテストに寄せて」を寄稿。



昨日の愛媛新聞に水煙俳句フェスティバルでの表彰式風景が紹

介される。


8日(土)

明日のオンライン句会の準備。



今日の俳句

天井の真中に吊られ冬灯し   信之

冬ばらの卓に活けられ淡き黄に 〃

新聞のインクが匂う師走の朝に 〃


9日(日)

今年最後のオンライン句会は、42名の参加者を得て盛会。



今日の鑑賞

■芽麦まで遠き夕陽の差しいたり/高橋正子

目にありありと見えてくるのは、「芽麦」から「麦秋」までの

ひろびろとした風景で、下五の「差しいたり」が句を深いもの

とした。

■明けの明星冬晴れの静けさに/堀佐夜子

静かで、いい心境の句だ。読み手も同じ世界に引き入れ静かだ。

■色々の音の中より枯れが鳴る/相原弘子

様々な音を受け入れ、鳴っているのは、作者自身の内なる音に

他ならない。



今日の俳句

■どの枝も冬芽をつけて空へ空へ/信之

ぼつぼつの冬の芽は、意外とすぐ目に止まります。思わず弾む

心が、強く張る枝と共に、空へ空へと伸びてゆきます。(評:

相原弘子)

落葉して、木々の枝が意思を持ったようにしっかりと空を指し

ています。冬芽の一つ一つが愛しく感じられます。(評:宮地

ゆうこ)

■もろもろが語りかけくる師走の夜/信之

1年の締めくくりの月。今日1日の反省、明日の予定が頭を駆

け巡る。年を取らない作者(有職現役の人?)の生き様に共感

します。(評:野田ゆたか)

■日が昇り池に明るく鳥が啼き/信之


10日(月)

今日の鑑賞

■店の朝冬菜露もち積まれおり/山野きみ子

「冬菜」と「露」は、季重なりだが、問題はない。写生がしっ

かりして、作者の視点も定まっている。中七の「冬菜露もち」

に、いい詩情がある。

■貨物船喫水下げて冬港/岩崎楽典

冬の横浜港である。私が<横浜の大桟橋から山下公園を散策し

た>のは、9月に上京したときだが、この句を読むと、昨日の

ことのように思う。誌友の皆さんとご一緒の吟行のように思う

。これは、いい句だ。



今日の俳句

師走の夜ならば新聞の文字が匂う 信之

逝く年の空青あおと明らかに   〃

池に来て鳥啼くときの朝寒き   〃


11日(火)

水煙ネット事務局の忘年句会が午前10時から午後3時までを

自宅で。出席者は、正子、弘子、洋子、そして信之の4名。



今日の鑑賞

■冬の日の水平線の黒かりき/田岡 弘

水平線の「黒」は、いい発見で、「き」の働きが効いた。

■天秤棒光るを肩に冬田晴/宮地ゆうこ

作者の視点は、「天秤棒」に絞られた。「晴」なので、生活が

明るい。



今日の俳句

逆光の桜冬木の強く立つ    信之

年逝く空に青き光の粒あふれ  〃

いい空気に包まれ目覚む冬未明 〃


12日(水)

掲示板「水煙セーフティネット」を新設。主にウィルス対策の

情報交換。



今日の俳句

 (脇美代子さんの贈り物)

年逝くや送られ来しが干支の馬 信之

白馬なる手作り干支の陶が師走 〃

置物の掌に乗せ軽き馬が師走  〃


13日(木)

今日の鑑賞

■冬晴るる駅までの道大股に/林 暁兵

「大股に」は、おそらく作者であろうと思う。夾雑物がないの

で、作者の世界にやすやす入って、読者は「冬晴るる」風景を

共にする。わたしの好きな句。

■夜冷える遠くの汽笛の音と共に/安増惠子

詩情のある句。「遠く」がいい。上五の「夜冷える」と中七の

「遠くの汽笛」との切れが、付かず離れずで、そこに詩情があ

る。


14日(金)

水煙2月号の雑詠選と編集。



今日の鑑賞

■聖樹すでに光満たして待ちおりし/碇 英一

「待ちおりし」ときは、良きことを待ち、満たされる。悪しき

を待つ人は居ない。

■手を繋ぎちゃんちゃんこ着て親子なり/池田和枝

懐かしい風景だ。「ちゃんちゃんこ」は、わたしの愛用する普

段着で、今日も「ちゃんちゃんこ」を着て、この文を書き込ん

でいる。


15日(土)

午前4時起床。早朝からの水煙2月号の編集は、昨日からの仕

事。



今日の俳句

冬雲の巨体を浮かし突き進む   信之

冬雲の玻璃の四角を走り去る   〃

暖房のソファーに深ぶか身を沈む 〃


16日(日)

午前4時起床、水煙2月号の表紙の俳句<立春の夜道どこから

か水の匂い/信之>を書く。8時まで掛かるが、墨の匂いの中

での充実した時間。



今日の俳句

冬晴れて薔薇の匂いの道歩く   信之

冬晴れて屋根の斜めのゆるやかに 〃

冬木どれも日曜の静けさに立つ  〃


17日(月)

今日の鑑賞

■冬耕や畝の長さに水をやり/安田明子

農の生活実感を読む。畝の「長さ」に水を「やり」で、「冬耕

」を言い尽くしている。

■枯れ切って芒ひかりとなりにける/田岡 弘

レベルの高い句。句材は「芒」だけで、それだけで言い切って

いる。「きりて」を「切って」とし、「枯れ」を強める。終止

形の「けり」を連体形の「ける」とする。連体形の「ける」は

、後に体言が続くので、上五の「枯れ」に戻って、「ひかりと

なりにける枯れ」を想定する。句材は「芒」だけなので、表現

に工夫し、言葉を強くした。

■天中をオリオン渡り霜の降る/小原亜子

「霜の降る」のは、星々の瞬く天上からと思う夜で、世界を大

きく捉えた。作者の視点は確かだ。


18日(火)

今日の俳句

冬天の明るい青の眼にやさし  信之

ねぎ苗の水吸い畝に立ち上がる 〃

冬草の丈低くして逞しき    〃


19日(水)

今日の俳句

池光る師走の晴れの空映し     信之

裸木の開けっぴろげで日がさんさん 〃

枯れて色失い朝日の色の枯れ    〃


20日(木)

碇英一さんの句集がほぼまとまる。本人にとっても、水煙にと

っても大きな仕事。



今日の俳句

冬晴れて剪定の木が匂ってくる  信之

冬天二つに割って伸びゆく飛行雲 〃

冬ばらの今咲き切っていて重し  〃


21日(金)

今年のデイリー句会は、今日の入賞発表を持って終わり、新年

は、1月4日から始まる。



今日の鑑賞

■ひと叩きして冬晴へ白き干す/脇美代子

<ひと叩き>が効きましたね。好きな句です。 

■年の瀬や隣家窓拭く声透る/宮地ゆうこ 

俳句をうまく生活に取り入れていますね。このまま、お続けく

ださい。



今日の俳句

冬雲の垂れいて沖に明るい海 信之

厠に活けられ冬菊の清潔な白 〃

新日記少し硬くて新鮮に   〃


22日(土)

午後、今年最後のオフライン句会。いつもの北欧レストラン

「WAKUSEI」で、出席者は、正子、弘子、洋子、正人、そして

私の5名だが、いい俳句の揃った句会。



今日の鑑賞

■再会の肩叩き合う息白し/野田ゆたか 

季語「息白し」の働きがいいので、「肩叩き合う」がリアルで

、「再会」の喜びが伝わってくる。



今日の俳句

冬至の夜明け山と池つぎつぎ現われ   信之

冬至の日の壁が上へと垂直に      〃

<藤田洋子さん>

主婦なれば明るいグレーのジャケットに 〃


23日(日)

新年のためのホームページの準備に取り掛かる。



今日の鑑賞

■女湯の話しこぼれて柚子の風呂/守屋光雅 

親しい女同士の和やかな話し声が聞こえてきます。「柚子」の

香りがくつろいだ気分にさせてくれます。<銭湯>は、日本人

のいい文化ですね。



今日の俳句

赤マフラーに眼の輝き登校す    信之

雲が頭に冬至の空気の重おもし   〃

風邪声をしてチョコレート勧めらる 〃


24日(月)

夕刻、野上哲斉さん来宅。哲斉さん制作の色紙掛を頂く。軸物

は、素人離れの作品。



今日の鑑賞

■赤と金の包み開かるクリスマス/碇英一

時には、日本的でないのもいい。多様なものがあって世界は楽

しいものだ。「赤と金」は、多様な世界を想像させる。


25日(火)

高橋信之俳論抄に「上手い句」を追加し、アップロードする。


26日(水)

今日をもって、今年のデイリー句会をすべて終わりとし、再開

は、投句が1月1日から、入選発表が1月4日からする。


27日(木)

午後6時、松山市東石井の瀬戸内料理「初姫」で第11回イン

ターネット俳句コンテストの反省会。


28日(金)

水煙ネット会員制作の手作り作品の流通を、水煙ネット事務局

掲示板で使って実験的に宣伝実施


29日(土)

デイリー句会の年間賞2001年後期と月間賞12月賞を決定

し、アップロードする。


30日(日)

新年の水煙ネットサイトを更新するための準備、そして、明日

のカウントダウン句会の準備。


31日(月)

午前、パソコン室の大掃除。

午後11時からネットのカウントダウン句会。



今日の鑑賞(カウントダウン句会より)

■ゆく年の去りなんとして闇新た/野田ゆたか

■歯朶剪りて戻りし夫に山の香/宮地ゆうこ

二句ともにいい感覚です。新年を迎える少しの緊張が

いい結果を生みました。

■大晦日あまねく青空賜りし/山野きみ子

「賜りし」と思い、感謝の気持ちが湧いてきます。お正月です

ね。

■アフガンの冬青空に平和あれ/岩本康子

素直な気持ちで、誰もが「平和あれ」と願います。「無事是大

事」ですね。俳句の心ですね。



今日の俳句

■大みそか湯舟に軽く身を浮かし 信之

大みそかに解放されて身も心も軽く湯舟に浸かっていらっしゃ

る信之先生のお姿を失礼ながら想像させていただきました。と

は言ってもこの句会のお仕事がおありなのですね。(評:岩本

康子)

■空の青池の青鴨来る夕べ  信之