俳句カレンダー1999〜2003
俳句日記1999〜2002
俳句掲示板


俳句日記/2003年
高橋信之  s1-net@suien.org

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1日(土)/新月/旧元日

今日の俳句

大寒の空のうすうす雲白き

空も地も枯れしろじろと広がれる

暮れ際の青に染まりてどこも枯れ



今日の鑑賞

■地球儀をくるりと回し冬送る/平野あや子

冬は、家に篭りがちだが、「地球儀」を「くるりと回し」てみ

れば、世界はひろびろとして、楽しい。俳句は広々とした世界

なのである。わたしの好きな句。(高橋信之)


2日(日)

今日の鑑賞

■待ち侘びし蕗のとう漬け馥郁と/安丸てつじ

俳句の言葉に実感があるので、読み手にも「馥郁と」匂ってく

る。季節の食材は、生活を楽しくする。(高橋信之) 


3日(月)/節分

今日の俳句

節分の豆それぞれの黒き影

節分の豆の一粒ずつの音

節分の豆の堅さの充実に



今日の鑑賞

■石積みて冬果つ港出航す/平野あや子

石を積んだ船は、喫水を深くして、船首を少しもたげて潮をな

みなみと分けて港を出て行ったのであろう。「冬果つ港」の表

情が豊かである。(高橋正子)

■ふるさとの納戸の闇へ豆を撒く/古田けいじ

納戸は暗くて、ひんやりとした思い出がしまわれている場所で

もあろう。その暗がりに、追難の豆を撒く。少し寂しくなった

故郷の節分である。(高橋正子)

■節分や日矢透き通る明るさに/堀佐夜子

節分ともなれば、暦は正直といおうか、確実に明るい日が射し

てくる。眺める目には、透き通るような光りとなって映る。

(高橋正子)


4日(火)/立春・寒明け

元が在籍する慶大の環境情報学部には、徳田・村井・楠本・中

村・南 研究プロジェクトがあって、教授陣を中心に、学部学

生も「メンバー」に加わることが出来るのがいい。元は、その

メンバーの一人で、既に学会での研究発表(pdf)も済ませた。

1月31日には、卒論最終発表があって、元の卒論「アプリケー

ションの動的再構成を実現する基盤ソフトウェアの研究」も大

学のホームページで公開されている。詳しいレジュメ(pdf)、

それに、教授らとの質疑応答も公開されているので、元の学問

がよく理解できて、楽しい。元の指導教授は、徳田英幸先生。



今日の俳句

立春という明るさにパソコン画面も

今日からは春といい読書の灯も

少女らの学問の灯よ春浅き



今日の鑑賞

■高枝がまた高くなる春立つ日/古田けいじ

高いところの枝が、今日が立春と思うといっそう高く空に伸び

ていく感じがする。感じだけでなく、実際そうなのかもしれな

い。立春という季節の巡りに、木も人の心も伸びやかになる。

(高橋正子)


5日(水)

午後、青葉図書の村上和興専務来宅。水煙3月号のゲラ刷りを

届けてくれ、水煙叢書の刊行・印刷についての相談。



今日の鑑賞

■ハナミズキの芽ぐみに飛機が下りてくる/おおにしひろし

破調で、一句一章であって、詩情のある句である。これら大変

難しいことをこなして、清新な季節感覚でハナミズキの芽ぐみ

と飛行機の出会いを捉えている。(高橋正子)


6日(木)

午前、近くの「久万の台温泉」に出掛け、入浴後は、マッサー

ジ。ゆったりとした、ひとりの時間は、久し振りのことであっ

た。快晴に恵まれた2時間。



今日の鑑賞

■ばさと雪落して帽子濡らしたり/今井伊佐夫

突然に思わぬほどの雪がばさと落ちて、帽子を濡らしてしまっ

た。雪を載せた木の枝に、頭が触れたのであろうか。作者は飛

騨の下呂温泉に住み、雪深い地方の生活を見せてくれる。(高

橋正子)


7日(金)

午前、青葉図書の村上和興専務来宅。水煙3月号の初校を渡す。



午後4時、徒歩20分のところの「久万の台温泉」に出掛ける

。行き帰りを歩いて、帰宅は、6時前であった。電動マッサー

ジ等で、ゆっくりとした時間、ひとりの時間を楽しむ。



今日の俳句

春光ゆらゆら五体を温泉に浮かせ

二月晴天前へ前への脚振り伸ばす


8日(土)

明日の第43回オンライン月例句会の準備。



今日の俳句

大根白く梅白く八百屋の店頭に


9日(日)/上弦

オンライン月例句会を順調に終え、この2月で第43回を数える。



今日の俳句

八百屋の店頭梅の花咲かせ売る

春灯の範囲の中にくず篭も

二月晴れて前へ前への歩く足


10日(月)

午後、洋子さん運転の車で、湊町の水煙ネット事務所に出掛け

ての仕事。その後、愛媛県庁で水煙ネットのNPO法人化の相談。



今日の鑑賞

■真ん丸き春日平らな雲に入る/岩本康子(正子添削)

「真ん丸き」に勢いづいた緊張があって、「春日」の大きな丸

さを読者に印象づけてくれる。平らな雲に落ちてゆく様は、大

きな広い景色で、明日へ向う元気をくれる。(高橋正子)


11日(火)/建国記念の日

今日の鑑賞

■さくさくと刃にかろやかな春キャベツ/池田和枝

やわらかい春のキャベツを切る音がさくさくと快い。句のリズ

ムも軽やかで、内容とマッチしている。(高橋正子)


12日(水)

今日の鑑賞

■終の地と思いて若布干してをり/平野あや子

「若布」は春の季語で、その「若布」と「終の地」との取り合

わせにいい詩情があって、句のレベルが高い。背景にある海の

イメージにも深いものがあって、読み手の心を打つ。(高橋信之)

■風を真に受けいて春を待てる日々/龍造寺規谷

いい句です。言葉が平易で、平易のなかに緊張感があって、作

り手の情感が無理なく伝わってきます。季語、切れ字にも問題

がありませんね。(高橋信之) 


13日(木)

今日の俳句

山くろぐろとその背景の春夕焼け

春夕焼けの遠くとも近くとも思い

夕空の芽木となりたり枝の張り



今日の鑑賞

■水替えて水仙の向き整えり/藤田洋子

水を替えるのに花の向きが乱れた水仙を、また整えて凛とした

姿にした。花の心を大切にする女性らしさに加え、水仙の花に

も通う芯の通った落ち着きを感じさせてくれる句である。(高

橋正子)


14日(金)/バレンタインデー

洋子さんにバレンタインデーのチョコをいただいたのは、10

日のことであった。



今日の俳句

春浅き夕空の明るさの下に

春光の惜しみなく地に降り注ぐ



今日の鑑賞

■種袋畝の数ほど並べける/宮地ゆうこ

種の袋を畝の数だけ並べて、あれこれと蒔こうと思い、ずいぶ

ん楽しそうである。春の日の農の生活の楽しさがよく詠まれて

いる。(高橋正子)


15日(土)

午後3時、今治西高校(英語)の柳原美知子さん来宅。句集出

版の件で、青葉図書の村上専務も同席。

私の手料理で洋子さんも参加の柳原美知子句集出版前祝い。


16日(日)

朝日新聞の記事「京都学派いまふたたび」は、三日連続の今日

が最終回であったが、興味をもって読み終えた。西田幾多郎の

「無」の思想の再評価であり、西田哲学の研究者は、日本より

海外の方がはるかに多いという。西田幾多郎は、「哲学の動機

は人生の悲哀でなければならない」と書き、また「我々の最も

平凡な日常の生活が何であるかを最も深く掴むことに依って最

も深い哲学が生れるのである。」

俳句もまた同じで、「無」が何であるか、「生活」が何である

か、である。



午後、水煙3月号を洋子さんに手伝ってもらい、正子が発送

。水煙3月号を松山市内の主要書店店頭に置いて貰う。

オンライン2月句会賞品の準備を正子が済まし、発送は、洋子

さんの仕事。



今日の鑑賞

■筆を買う春一番の明けの日に/野田ゆたか

「筆を買う」日常は、穏やかで静かで、それでいて緊張がある

。「春一番」の季節である。(高橋信之)


17日(月)/満月

今日の俳句

春光のあふれて白きもの多し

遠山を見ていて風よ春浅き

山茶花の花の終わりの愛しき赤



今日の鑑賞

■梅ほつほつ人ほつほつの日差し来し/小峠静水

早春の「日差し」がいい。作者の心境がいい。(高橋信之)

■芽木ゆれて山にいのちの満ちる音/宮地ゆうこ

少しの作為が見えるが、強い実感があるので、それが許される

のである。(高橋信之)


18日(火)

午前、道後の愛媛県NPO支援センターに、正子、洋子、敬子

の3人が出掛け、水煙ネットのNPO法人化の相談。



午後、自宅の高橋俳句資料館で書道教室。


19日(水)/雨水

今日の鑑賞

■蕗のとう真白き和紙に揚げらるる/今井伊佐夫

「真白き和紙」が、てんぷらの蕗のとうとよく似合って、早春

のやわらかさ、淡さが感じ取れる。季節の新しさが、日常生活

を潤いのあるものにしてくれてうれしい。(高橋正子)

■復興の槌音高しつばくらめ/霧野萬地郎(カンボジア・シェム

リアップ市街)

「槌音高し」と「つばくらめ」に、作者の復興への願いが読み

取れて、心高い気持ちがある。草田男の句に詠まれた日本の戦

後の復興時の精神を感じた。(高橋正子)


20日(木)

今日の鑑賞

■凍滝の透明を水くぐり落つ/おおにしひろし

凍てた滝でありながら、その中を凍らない水が動いて流れ落ち

ている。透明な氷を澄んだ水が細く、くぐり落ちて、透明な世

界が極まっている。(高橋正子)

■春の蚊の脚に屈折ありにけり/碇英一

冬の間は、どうしていた蚊かと思われるが、春の生暖かい空気

に現れた蚊の脚に、「屈折」を見た。蚊の脚の屈折は弱々しい

。弱々しい命をいとおしく思った。(高橋正子)


21日(金)

午前、水煙4月号入稿。



午後4時、久万の台温泉でマッサージ。


22日(土)

午前10時、梅津寺での観梅吟行。昼食と句会は、レストラン

「WAKUSEI」で。司会は、正人さんで、句会報は、洋子

さんの担当。


23日(日)

今日の鑑賞

■滝解けて流れ新たにかがやける/山野きみ子

「新たに」がいい。早春である。この句には、季語がないが、

「滝解けて」を「滝」の「氷解く」と解し、早春の季感を読み

取った。(高橋信之)

■春菊の青き香りをざっくりと/池田和枝

「青き香り」である。日常の生活に巡ってくる「春」を確かな

ものとして捉えた。「ざっくりと」がさらに確かなものとした

。(高橋信之)

■耕せば仙台平野青と黒/相沢野風村

「青と黒」は、草木の緑であり、大地の黒である。そう解釈し

なければ、この句は、死んでしまう。「耕」は、春の季語。(

高橋信之)


24日(月)/下弦

今日の鑑賞

■晴れ渡る春一色の空円き/馬場江都

空の円さを印象付けてくれるのは、やはり、春のやわらかな青

い空であろう。すっきりと晴れ渡った空にも、そのほかの季節

とは違う春の色がある。(高橋正子)


25日(火)

午前10時、自宅での書道教室。千葉敬子、そして正子と私の

3人でのフリースクール。



今日の鑑賞

■遅き日の原木温く運びくる/宮地ゆうこ

遅々として暮れかねる日を溜めて、原木が運ばれてくる。その

木肌にある温みを感じながら、原木の荷運びの仕事をしている

のか。すでに暖かい日がある。(高橋正子)

■晴紅梅の蕾み膨らむ機械室/今井伊佐夫

無骨な機械室にも、紅梅が挿され、蕾が膨らんでいて、心が和

む。紅梅であるから明るい機械室となっている。紅梅を挿した

人の心遣いが温かい。(高橋正子)

■春の雪止みて入日の赤い空/河野齊

春の雪が止むと、入日の空が赤々と焼けている。もう雪は終わ

りなのかもしれない。ほっとしたあかるい心が読者にまで沁み

てくる。(高橋正子)

■いかなごのくぎ煮や瀬戸の春を知る/多田有花

いかなごは、今ごろから3月ごろよく捕れ、いかなごが捕れる

と春の来た知らせでもある。瀬戸内の春の明るさが満ちた句で

あるが、「いかなご」が、春の季語なので「春を知る」を工夫

されたい。(高橋正子)


26日(水)

正子の第2句集「花冠」の原稿が出来上がる。水煙俳句叢書の

中の第2巻で、水煙創刊20周年記念事業として刊行される。



今日の鑑賞

■春北斗大きく懸けて山連なる/宮地ゆうこ

春の夜空に懸かる北斗七星は、温んだ大気に光りが潤んで、大

らかに感じられる。「懸けて」の主語は、連なる山。連なる山

は、北斗七星を懸けてどっしりと横たわっている。(高橋正子)

■夕日背になずな鳴らして野の道を/堀佐夜子

童謡詩のような句。夕日を背に、なずなを鳴らしながら帰る野

の道が、なつかしく、優しい色合いで受け止められる。(高橋

正子)


27日(木)

水煙20周年記念事業の一環として、「水煙合同句集」刊行の

予定だが、その合同句集に掲載する「自選10句」が順調に投

稿され、現在30名となる。投稿の締め切りは、4月末日。


28日(金)

午後2時、大西ひろしさんが水煙吟行の年間計画の相談で、来

宅。写真を沢山いただくが、花の写真は嬉しい。