俳句カレンダー1999〜2003
俳句日記1999〜2002
俳句掲示板


俳句日記/2003年
高橋信之  takahashinobuyuki@suien.ne.jp

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2003年 101112

1日(土)

午前10時、水煙4月号の初校を終え、青葉図書へ。
午後、水煙ニューズレター29号を配信。

今日の鑑賞
■駅頭の人の華やぎ卒業日/野田ゆたか
卒業の季節である。駅には、卒業式を終えた親子や友達同士が
卒業の喜びで華やいで行き交っている。時節の人事を季節感溢
れるものとしてよく把えている。(高橋正子)


2日(日)

高橋正子句集「花冠」の序を書く。

今日の鑑賞
■土雛の裏に明治と書かれおり/今井伊佐夫
土雛が作られた年号の明治が刻まれ、明治、大正、昭和、平成
の波乱の時を経た土の雛に、重みと深い色あいが感じられる。
土雛にその土地で生きてきた人の歴史が読めるようである。
(高橋正子)


3日(月)/雛まつり

午後4時、水煙4月号校了。
高橋正子句集「花冠」が青葉図書の印刷へ。

今日の鑑賞
■星消えて香を強くする沈丁花/古田けいじ
星が消えるとたちまち闇は深くなる。闇が深ければ、いっそう
強く沈丁花の香は漂う。星は消えているものの、沈丁花の一つ
の花が星のように心象に残る豊かな句である。(高橋正子)


4日(火)

午前、俳画はがきを描く。午後、高橋俳句資料館の書道教室。
出席者は、敬子、洋子、正子、そして私の4人。

今日の鑑賞
■ものの芽に風荒々し月替わる/山野きみ子
春一番であろう。3月になったばかりのときに、いたいけなも
のの芽に、荒々しい風が吹いて、これから本当の春になって行
く。季節の変わり目のはげしさに出会う時である。(高橋正子)


5日(水)

高橋信之第3句集「旅衣」の句稿整理を正子に手伝ってもらう。

今日の鑑賞
■スコップに啓蟄の土斜めなり/小峠静水
啓蟄の土にスコップを入れると、そこに掬われる土は、スコッ
プの傾斜にしたがって斜め。そういったものの見方も面白いが
、啓蟄には、土をいじりたくなる心情がいい。(高橋正子)


6日(木)/啓蟄/下弦

午後、オンライン句会の賞品を作成し、発送係の洋子さんに渡
す。

今日の鑑賞
■剪定に鋏研ぐ水白濁す/相沢野風村
剪定のために鋏を研ぐのだが、刃をしっかりと研いだ研ぎ水が
白く濁って、早春の水の冷たさが感じ取れる。刃と向き合う姿
勢に緊張感がある。木もすっぱりと剪定されるであろう(高橋
正子)


7日(金)

午前10時、近くの久万の台温泉でマッサージ。

高橋信之第3句集「旅衣」の句稿を仕上げる。4月末発行の予
定で、水煙創刊20周年記念の水煙俳句叢書の中の一巻。

今日の鑑賞
■すぐ止むも明るき空の春の雪/堀佐夜子
すぐに止む春の雪であるけれども明るい空から降ってきて、し
ばらくは、優しくほのかな思いにさせてくれる。春の雪の軽さ
がいい。(高橋正子)


8日(土)

午後、洋子さん来宅。オンライン句会の賞品の準備。

今日の鑑賞
■春光を残して庭師帰りけり/林緑丘
庭師が来て、庭木が剪定され、すっきりと明るくなり、空の光
もよく届くようになった。庭師が春光を残して帰ったのは事実
。春先の庭は光で眩しい。(高橋正子)


9日(日)

第44回オンライン月例句会開催。5年の歳月を経たネット句
会のすべてが安定していて嬉しい。毎日開催のさら句会と連動
して成果を上げた。

午後4時過ぎ、正人さん来宅。東京四季出版の「現代俳句精鋭
選集W」への句稿、正人102句を仕上げる。

今日の鑑賞
■春の水堰の高さを透明に/相沢野風村
堰を落ちるすべすべした春水の透明感がよく捉えられている。
「堰の高さ」をしっかりと目に収めて、句の焦点が絞られてい
てよい。(高橋正子)


10日(月)

臼田亜浪研究@〜A」に続き、<その3>を書き上げる。

今日の鑑賞
■春野より春の人乗せ無人駅/河勝比呂詩
春の野を歩いて来た人は、すっかり「春の人」となっていて、
服装も春らしいのだろうが、その人を乗せて電車がまた出発す
る。春野の若い緑が印象に残る、命のさわやかな句である。(
高橋正子)


11日(火)

水煙4月号納入。

高橋正子句集「花冠」のゲラ刷りが出来上がり、高橋信之句集
「旅衣」の句稿が青葉図書の印刷へ。

今日の鑑賞
■最上川雪を包みて海に帰る/相沢野風村
さつさつと降りこむ雪を川水が包み込むように解かして、海へ
流れて行く。水量の勢いに川は海へ帰るというのに相応しい様
子である。芭蕉の最上川の名句の水量も思い合わされよう。(
高橋正子)


12日(水)

正午前、水煙4月号発送。洋子さんと正子の仕事で、私は、そ
の手伝い。

午後7時過ぎ、句美子が帰省。


13日(木)

今日の鑑賞
■白木蓮満開までの丸さ持ち/古田けいじ
白木蓮の蕾が今にも開きそうな丸さである。満開になった時の
白鳥のような美しさを楽しく想像させてくれる。(高橋正子)
■鳶飛ぶ春の空気を胸にだき/斎藤のぶこ
春になって、気持ちよさそうに空を舞う鳶の姿を目にし、晴れ
ばれとした気持ちになる。「空気を胸に抱き」に、春の空気の
心地よさを感じる。(高橋正子)


14日(金)/新月

戸原琴句集の選をし、その句稿を琴さんにファクス。


15日(土)

3月の月例オフ句会。参加者8名で、盛会。午前は、重信川の
河口へ吟行。

正午前、元が帰省。正子共々留守をしていたので、句美子に元
の食事を任す。


16日(日)

午後、句美子が松山東高校の同窓会に出席。

今日の鑑賞
■春キャベツ軽く重ねてまな板に/脇美代子
生活に詩を取り入れ、「軽く」そして楽しいのがいい。それを
続ければ、心境は、次第に深くなってくる。(高橋信之)
■土筆生うひとつ見つけてそこここに/堀佐夜子(信之添削)
「つくつくし」は、秋の季語の「つくつくぼうし」のことで、
「つくづくし」は、春の季語の「土筆」なので、煩わしい。「
つくつくし」を「土筆生う」と添削した。(高橋信之)
■差し出した両手にあふるつくしんぼ/池田多津子
「つくしんぼ」を詠んで、口語表現が生きた。「両手にあふる
」に偽りがない。(高橋信之)


17日(月)

元、慶応大の湘南藤沢キャンパスに帰る。元運転の車で、松山
来訪の大学の友人3人が同乗。


18日(火)/彼岸入り

午前、青葉図書の村上和興さん来宅。高橋正子句集「花冠」の
初校が終わり、青葉図書へ。

午後、洋子さん来宅。月間賞の葉書を作成し、その発送を依頼。


19日(水)

午前、青葉図書の村上和興さん来宅。高橋正子句集「花冠」の
再校。


20日(木)

今日の鑑賞を掲示板からの転記。

[西川佳津枝作品3句]
ショベルカー翼抱えて眠る春昼
荒れた手にクリーム落とす春コタツ
陽が愛でし干し大根を風鍛え
「春昼」と「春コタツ」は、春の季語なので、第1句と第2句
は、春の俳句です。「干し大根」は、冬の季語なので、第3句
は、冬の俳句です。
有季定型(季節と5・7・5)に関しては、問題はありませんが
、投句は、普通「当季雑詠」となりますので、第3句の「干し
大根」の句は、そこで問題が生じます。今は、春の季節なので
、一般的なことですが、冬の季節の句は、投句されないもので
す。
初めてご投句される方は、また別で、「当季雑詠」をあまり意
識されないで、ご投句ください。数多く作って、数多く発表さ
れるのがよいのです。<気後れ>することなく、俳句を楽しん
でください。
○季語よりも季節感があれば、それでよいのです。
○5・7・5は、あまり意識せずに17字の短い句に纏めれば
、それでよいのです。
○始めての人は、先ず、写生を心がけ、何よりも大事なことは
、俳句を楽しむことです。


21日(金)/春分、春分の日

今日の鑑賞
■青き踏むフランスパンを抱きながら/小峠静水
フランスパンを抱いて青きを踏むは、洒落ていて、軽い。長い
脚の人を想像するが、人生の深い思いが、軽く表現されている
。(高橋正子)


22日(土)/上弦

今日の鑑賞
■一村を抜けて春田の畦に出る/祝恵子
人家のある一村を抜けると、若草の萌える田の畦に出た。故郷
の田の畦であろうか。畦に立てば、ふっと昔に立ち返るような
思いがする。思いが広く湧いてくる。(高橋正子)


23日(日)

今日の鑑賞
■散らばってどんぐり双葉に割れ始む/磯部勇吉
どんぐりが、落ちたままのところで、芽を出したというのだが
、どんぐりの実が割れて双葉が出る自然の力に驚嘆する。「散
らばって」は、どんぐりがぱらぱらと木から落ちる音を蘇らせ
てくれる。(高橋正子)


24日(月)/彼岸あけ

午後4時、青葉図書の村上和興専務来宅。水煙5月号の入稿と
高橋正子句集「花冠」出版の件。

今日の鑑賞
■指で芽を確かめながら薯植うる/今井伊佐夫
種薯の芽は、目では確かめ難いものもある。指に触れてその感
触で芽の場所を確かめておいてうまく植え付けると、しっかり
と芽を出す。人間のあたたかさを感じさせてくれる句。(高橋
正子)


25日(火)

句美子、午前9時40分松山空港発の便で上京、横浜日吉の慶
大キャンパスに戻る。

午前10時、自宅での書道教室。敬子、正子、信之が参加。

今日の鑑賞
■開店のゴム風船へ子等の列/霧野萬地郎
風船は、どこかのどかで、どこか夢があって、子どもは大好き
である。開店の宣伝に膨らました風船が配られて、列ができる
ほど子どもが並んでいる。子どもに夢が配られて、店も繁盛し
そうである。(高橋正子)


26日(水)

パソコンのハードディスクの取り替えと修復で一日が終わる。

今日の鑑賞
■風連れて初燕またこの街へ/多田有花
燕が、またこの街へ風を連れてやって来た。「風連れて」に、
飛燕のさっそうとした姿が読み取れ、初燕へのさわやかな賛歌
となっている。(高橋正子)


27日(木)

午前、青葉図書専務の村上和興さん来宅。高橋正子句集「花冠
」が校了し、青葉図書での印刷へ。高橋信之句集「旅衣」入稿。

午後、NPO水煙ネット設立の相談で、正子が洋子さんと連れ立
って愛媛県庁の愛媛県NPO支援センターに出向く。
NPO水煙ネットは、水煙ネットとは別で、水煙ネットや俳句雑
誌「水煙」を支援する特定非営利活動法人。

今日の鑑賞
■独活の根に湿り土つき売られいる/山野きみ子
根に土を付けた独活が生きいきとしている。「湿り土」をよく
見てとった観察眼がよい。「湿り土」は、独活が採られて間も
ないこと、生きていることの証となっている。(高橋正子)


28日(金)

今日の鑑賞
■鉄塔の一つはげんげに囲まれて/脇美代子
焦点が「鉄塔の一つ」に絞られ、いい田園風景。げんげの花の
紅紫が空の青に映えて美しい。(高橋信之)

今日の俳句
さくら咲き始めたり朝空を染め 信之
芽木透かし朝の無音に遠き空  〃
戸を開けて朝の空気の春浅き  〃


29日(土)/満月

午前10時半、青葉図書専務の村上和興さんが水煙5月号のゲ
ラ刷りを持って来宅。
午後2時半、北九州の康子さんから電話。句集出版の件。

今日の鑑賞
■芽柳に堀の水増しさざめける/藤田洋子
「芽柳」の静かな命が「さざめける」のである。早春の風景を
拾い、いい発見があった。作り手の心の向くところがいい。

今日の俳句
さくら花芽のさくら色して影落とす 信之
三月の雲が形を定めたり      〃
春服のくつろぎを着て行き帰る   〃


30日(日)

今日の鑑賞
■大干潟二つ重ねて海きらめく/おおにしひろし
「海きらめく」にリアルな感情があって句が生き生きしている
。下五の字余りが効いた。「大干潟二つ重ねて」は、詩のある
風景である。

今日の俳句
子ら遊ぶとき囀りのような声  信之
花びらの朝開く色みずみずし  〃
一切れの紙の白さに詩が生まる 〃


31日(月)

午前、水煙5月号の初校を終えて青葉図書へ。

今日の鑑賞
■畑一望ところどころの麦青む/石井信雄
丘などに登って、遠く一望すると、畑のところどころに麦が青んで
いるのがみえる。郷愁を呼び起こしてくれる風景が味わい深い。(
高橋正子)
■白れんの高きにあれば空青し/祝恵子(信之添削)
青空に高く咲く白れんが、颯爽としている。「高く」、「空青し」
は思い切りのよい表現で、晴れやかな気持ちと重なる。(高橋正子)
■夜桜は三分の頃の静けさに/加納淑子 
桜が三分咲きのころの、ひやひやとした夜気が降りている静けさを
言っている。抑えられた気持ちに静かさがよく感じ取られている。
(高橋正子)
■測量の視野にかぶさる花の影/おおにしひろし
土木測量の視野にも、花の時には、花の影がかぶさってくる。自然
を相手の仕事も、ある日には風雅な桜の咲く日もあってうれしい。
(高橋正子)

今日の俳句
さくら咲きたり朝空の限りなき 信之
花びらを余さず空が受け入れる 〃
塵を出すに桜咲く下を歩く   〃