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Haiku Diary 1999/ January February


俳句日記/1999年3月
高橋信之  suien@shikoku.ne.jp

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31日(水)

午前4時から午後4時までを水煙5月号の編集。

原稿を青葉図書の田頭さんに渡す。



夕食前の散歩。さくらが美しい。



今日の俳句

 夕ざくら何にもしない時がある。  信之

 初つばめすぐに消え去るものなるに 〃 



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品とコメントより)

 馬酔木揺れる散歩道の風強ければ   中村花乱

 犬ふぐりまたたく野へと目を止める   〃

 (俳句が変わりましたね。良い方向です。このまま作りつづけてください

  。わたしの恩師川本臥風先生は、10代から作りつづけて、70過ぎて

  少し俳句が分かりかけてきたと、わたしに言われました。二人だけでい

  た時でしたので、強烈なショックを受けました。花乱さんの俳句は、臥

  風先生から見るとスタートラインに立ったところで、まだ走ってはいま

  せんね。わたしは、10年単位で物事をいたしますので、ことをはじめ

  て、10年以内では、曲がり角にきたとか、折り返し点にきたとか、言

  わないことにしています。わたしは、まもなく68歳になりますが、こ

  れからの勉強・精進が大切だと思っています。信之)


30日(火)

パソコン疲れ。首筋が凝る。



今日の俳句

 明日は花咲くと蕾のさくら色  信之



今日の鑑賞(初心者用掲示板の作品より)

 誘われて釣り船の上春の風   恥かきっ子

 (初心者としての投句だが、なかなかの句。俳句のこころがわかっている

  。信之)


29日(月)

湘南藤沢の元に、パソコンと座卓を送る。パソコンは3台目。



今日の俳句

 本読んで花冷えの今日が暮れる 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 花浮かぶ水門へ春潮上がり来る 古田けいじ

 (美しく、そして力のある句。中七の破調がリズムをうまく盛り上げてい

  る。信之)


28日(日)

正午前、アクセス3万回となる。すべての仕事を10年単位で考えているの

で、あっという間の3万回であった。

アクセス1万回は、私で、アクセス2万回は、岡山落合の森隆博さん。アク

セス3万回は、東京の原小繭さん。



今日の鑑賞(オンライン1月句会優秀作品より)

ストーブの向こうに町が揺れている  原 小繭

 (世の中はいつの時代も騒がしいが、作者の内面は静かだ。見つめている

  姿勢がよいのである。信之)


27日(土)

久万中学校の吉田晃さんから電話。広見町の泉小学校校長に栄転。



今日の俳句

 樹液めぐりきて花びらのさくら色に 信之

 さくら咲き山の匂いのする中を   〃

 花冷えの階下りてゆく靴の音    〃

 風吹くと花びら明日を語り合う   〃



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 春の日や不器男の里の児童の瞳  吉田 晃

 (吉田晃さんが愛媛県広見町の泉小学校校長にご栄転です。芝不器男の松

  野町の隣町の学校で、ご郷里のお近くです。久万中学校教頭時代と同じ

  ようにご活躍されることと思います。小学生の俳句活動の盛んな地方な

  ので、楽しみです。信之)


26日(金)

今日の俳句

 桜花芽の先から花の色となる  信之

 街灯のともる刻なり花の雨   〃

 初ざくら今日という日の充実に 〃

 

今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 ひじき煮る匂いの中に母と子と  八木泰子

 (この句の軽やかで、無理のないリズムがよい。ひじき、若布は、春の季

  語。私の好物でもある。信之)


25日(木)

今日の俳句

 花豆の水吸って葉の白いみどり 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 配線す桜の開く空の中 相原弘子

 (単純な写生句ですが、これで充分です。「中」という言葉の使い方は、

  なかなかのものです。現代的なユニークな俳句です。信之)


24日(水)

愛媛大学卒業式。

名誉教授としての私への招待があったが、欠席。大学へは出掛け、俳句会の

森竹智則君に記念品を渡す。



今日の俳句

 朝日きらきら桜花芽のふくらみに 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 慟哭を包みて谷間茎立ちす  しまや ふゆひと

 (「茎立ちす」という季語が「慟哭」をリアルにして、読み手にも悲しみ

  が伝わってきます。心ふかくに伝わってきます。信之) 


23日(火)

午後、弘子さん来宅。元と句美子の合格祝いに。

私のパソコンから、弘子さんのホームページを更新


22日(月)/振替休日

夕刻、八木泰子さん来宅。句美子の合格祝いに。

二人のお嬢さん、清歌さん、美苑さんもご一緒。


21日(日)/春分

愛媛大学俳句会の卒業生追い出しコンパ。

有吉孝史、森竹智則、古市文子、岡野亨、足立眞弓の諸君が卒業。



今日の俳句

 春雨の明るい銅板葺きの屋根 信之

 紅色の彼岸桜に雨が降る   〃

 菜種梅雨町全体が濡れている 〃

 旅にあり空一色の菜種梅雨  〃


20日(土)

内子・大洲への小さな旅。

少年時代を過ごした町で、大江健三郎の作品の舞台となっている。

旧制中学・新制高校時代の恩師を訪ねる。西村健一先生は、東大を卒業した

ばかりの数学の先生。大事にしていただいた。



同級の佐枝邦夫、井上高明君を訪ねる。



今日の俳句

 花冷えの雨降る町へ小さな旅 信之


19日(金)

句美子、松山東高校合格。

松山東高校は、愛媛県で最も古い高校。前身の旧制松山中学の出身者には、

正岡子規、大江健三郎など文人、映画人が多い。

元は、慶応大学の環境情報学部合格。二人とも本人の第一志望校に進学。



今日の俳句

 雨降って芽吹きの時がまた進む 信之


18日(木)

今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 平らな山をまわりに並べ蓬餅  森 隆博

 (明るい風景です。春の季節です。開放的なところがとてもユニークで、

  意図的なものがないのも嬉しい。信之)


17日(水)

句美子の城西中学校卒業式。



今日の俳句

 樹の芽吹くあたりの空気ふかぶか吸う 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 青空へ花咲き登る梅畑 古田けいじ

 (背景はとても大事で、この句では、「青空」です。梅は、紅白どちらも

  美しい。信之)

 (山の斜面でしょうか、咲き登る梅が空までつづいています。晴れ晴れと

  した心情が感じられます。泰子)


16日(火)

午後、泰子さんに手伝ってもらい、水煙4月号発送。



午後6時20分松山空港着の便で正子が帰松。



今日の俳句

 桜花芽夕日の沈む青空に 信之



今日の鑑賞(オンライン句会の入賞句より)

 春風の藪に吹き詰め明日がある 森 隆博

  (今日の現実をしっかり見つめているからこそ、「明日がある」ので、

   「吹き詰め」という言葉が作者の内面の充実を語っている。信之)


15日(月)

午後、水煙4月号が刷り上る。20日の予定なので随分早い印刷。



句美子病気欠席のため、担任の柳原先生からの電話。明日が卒業式のリハー

サルとのこと。のんびりした主婦の先生なので、正子・句美子親子は大助か

り。のんびりした受験生活の1年を送る。これで県下一の難関高校に合格で

きれば、ありがたい。合格発表は20日。



元の湘南藤沢への引越しが無事終る。2DKのマンション。正子からPHSでの

連絡。



夜、正子の塾の代講。



今日の俳句

 雨滴ふくらむ桜花芽の膨らみに 信之



今日の鑑賞(オンライン句会の入賞句より)

 粗塩のまぶす加減や櫻鯛 脇本柾木

 (「粗塩」と「櫻鯛」との取り合わせがよい。程よい「加減」の取り合わ

  せとなった。色も美しく、味も良し。信之)


14日(日)

正子、松山空港発第1便で東京へ。

元の引越しの手伝い。渋谷から藤沢まで。



午後、オンライン句会。司会は泰子さんで、重信の自宅のパソコンから。

愛媛大学俳句会の有吉孝史、森竹智則両君来宅。オンライン句会に参加。



今日の俳句(オンライン句会の投句)

 囀りの山へ山への坂登る

 山茶花咲く勢いに散る勢い

 ゆっくりと登る楽しみ芽吹く山



今日の鑑賞(オンライン句会の入賞句より)

 紙飛行機横切る風の光りけり  堀佐夜子

 (3月句会の最優秀句で、最高点句。芭蕉の言葉に「俳諧は三尺の童にさ

  せよ」とあるが、作者の童心が多くの人の心を打ったに違いない。作者

  の技術の高さは、「横切る」という言葉、「けり」という季語の使い方

  を見ても、充分窺い知ることが出来るであろう。)


13日(土)

午後、正子と松山の三越に出掛け、買い物。



久美子が少し熱を出す。受験の疲れか。



今日の俳句

 デパートのエスカレーター春コート 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 春一番自転車立ちこぎしてくる子 安西小百合

 (初心者用掲示板に投句された「初めての俳句」の中の一つだが、粒が揃

  っている。言葉に実感がこもっていて、言葉遊びでないのがいい。信之)


12日(金)

今朝の新聞に「神戸の小六男児殺害の民事判決」の報道があった。

「請求通り少年側に約一億円の支払いを命じた。」とのことである。

少年犯罪の場合、少年であるが故に、責任と償いがうやむやになっている場合が多い

が、「裁判所という公的機関で犯人の少年と両親の責任が正式に認められた。」こと

の意義は大きい。特に一億円という金額によって、父親、そして父親を取り巻く人達

の責任が大きいと判断せざるを得ない。子ども達の社会的な責任は、母親ではなく、

父親が負わなければならない。至極当然のことであろう。

「学級崩壊」がマスメディアを賑わせているが、マスメディアが騒ぎ立てて問題を大

きくしている。これにも父親の責任が問われることであろう。



今日の俳句

 春光をしんと沈ませワインの赤 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 春の竹曲がったものと直ぐなのと 森 隆博

 (落語に「長短」というのがあって、気の長い男と気の短い男の付き合い

  が面白い。いろいろな人間がいて、人間らしいと言えるのであって、作

  者の人間性がこの句を支えている。)


11日(木)

句美子の高校受験二日目。

得意の英数なので、余裕をもって出掛け、午後2時半帰宅。

の大学受験と句美子の高校受験が終る。何事もなく終了したことを嬉しく

思う。無事是大事。



今日の俳句

 鳥帰ることも無事是大事なる 信之 



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 花が咲き樒高さをあきらかに 相原弘子

 (花樒は、歳時記によれば、静かな哀れな感じのする花だが、この句には

  明るさがあって、その存在感がよい。信之)


10日(水)

句美子の高校受験日。

私の受験でもないのに少しの緊張。親子の情は妙なものである。



午後、市内の書店廻り。水煙3月号を店頭に置いて貰う。

自転車に乗って往復1時間を超える仕事となるが、健康に良い。

書店の本とインターネットの情報との共存を考える。



今日の俳句

 少しの疲れも自転車で快い春風 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 雨上がり若草匂う土のしめり 森 隆博

 (姿勢がいい。自然に向かう姿勢、自分自身に向かう姿勢がよいのである

  。「若草」という季語もうまく生かした。信之)


9日(火)

一日雨。春雨(はるさめ)である。

「三冊子」によれば、

「春雨は小止みなく、いつまでも降り続くやうにする、三月をいふ。二月末

よりも用ふるなり。正月・二月初めを、春の雨となり」とある。

新暦に合わせると、

春の雨は、立春以降、三月初めの雨。

春雨は、三月末から四月の雨。

なお、

春霖(しゅんりん)は、毎日降り続く雨。

菜種梅雨は、本来の意は春の東南の大風のことなので、風を伴うことがある。



今日の俳句

 春雨に濡れ少年の日に帰る 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 何かある春の真円鳶が舞う 森 隆博

 (「何かある」と言い切ったのは、発見である。「真円」に見たのは、主体

  的なものであろう。芸術でいう創造は、俳句では、主体性である。信之)


8日(月)

正午前、水煙誌友の藤田洋子さん来宅。

元の慶大合格の祝いに赤ワイン、赤飯、紅白の蒲鉾をいただく。

洋子さん、正子、そして私の三人で、早速乾杯。

息子のことで、私のことではないが、これもうれしい。



夕食前、近くの小高い丘にある公園を散策。椿園を楽しむ。



今日の俳句

 分かち飲むワインよ春の喜びに  信之

 芽が揺らぐ樹の全体が風に揺らぐ 〃



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 ゆらゆらと日のある空を鳥帰る 渡邉道朗

 (詩情のある句。鳥帰る春の季節を表現して、「ゆらゆらと」と言ったの

  は、見事である。信之)


7日(日)

終日パソコンに向かう。

ホームページのテキストファイルと画像の更新、そして整理。

ホームページは、制作よりも維持、持続に多くの労力がいる。

1000を越えるファイルの更新は、大変な作業となる。



夕食後、近くの温泉に入り、そこでマッサージをしてもらう。



今日の俳句

 パソコンのマウスのふくらみにある春光 信之 



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 クロッカス受験の娘のよく笑う 高橋正子

 (受験を3日後にひかえている。県下一の難関高校だが、のんびりといつ

  ものペースを崩さない。教科は数学が得意だが、料理と手芸が大好きで、

  悩みは、花粉症。)


6日(土)/啓蟄

午前、水煙4月号の校了ゲラ刷りを青葉図書の田頭さんに渡す。



午後、四国インターネット関連の四国インターネットカレッジの学長を

頼まれ、引き受ける。



今日の俳句

 花粉症の娘の声がマスクのなか 信之 



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 大風が残りの冬をはがし行く 八木泰子

 (春一番という季語がありますが、大風が春を運んできます。「冬をはが

  し行く」大風です。信之)


5日(金)

水煙4月号初校届く。午後4時校了。青葉図書の田頭さんの都合でゲラ刷り

を手渡すのは、明日になる。



今日の俳句

 そこに春光ありパソコンのデスク 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 春光のつやつや裸の男の子の背 吉田晃

 (「背」が効いている。口ではなく、背中で語るのは、いかにも「男の子」

  らしい。信之)


4日(木)

午後7時から9時までの2時間を不動恵嗣、福島栄希君の高校受験指導。

受験日は、10日。両君の受験指導も今日で終り。



今日の俳句

 しらしら曉けてくる窓から囀りも 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 囀りや空の余白に高まりぬ 阪本登美子

 (「空の余白に」は、うまい表現で、見えないところを見ている。句がし

  っかりしているのは、作者の日常から得たものであろうと思う。信之)


3日(水)/雛まつり

午前、慶応の三田校舎を訪ねる。



午後6時35分羽田空港発の最終便で帰松。



今日の俳句

 春浅き坂大学の正門へ(慶応大学) 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 明るさに窓を大開き春はここ 森 隆博

 (「大開き」にしての喜び。春の明るさである。ためらいがないのが嬉し

  い。信之)


2日(火)/満月

新宿から小田急で藤沢に出掛ける。元が同行の住居探し。大学の近くのマン

ションに決める。借家人は、慶応の学生が多い。



今日の俳句

 春暑く近くに海があるという(湘南) 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 天満宮土産・うぐいす笛窓の光に吹いてみる 古田けいじ

 (けいじさんの句は、ユニークで明るいのがよい。「光に吹いてみる」と

  いう言葉は、私をわくわくさせる。信之)


1日(月)

午後6時10分松山空港発の最終便で上京。



今日の俳句

 春の闇その重たさの中を飛ぶ(東京へ) 信之



今日の鑑賞(俳句掲示板の作品より)

 紙飛行機ふいに横ぎる土手の春 堀佐夜子

 (感動の喜びは「ふいに」やってくるものである。巧まないのがよい。信

  之)


俳句雑誌水煙のページ