▼BBS/俳句添削教室/初心者歓迎!
●車輪梅の句についての添削、有難うございました/中川樗枝●
(1)<虻飛んで短い晴れ間車輪梅>
と添削し
作り直して頂いた方が、私のもとの
(2)<車輪梅雨の合間に虻誘う>
よりも客観的な描写になっていると思
いました。
(2)では、シャリンバイの花が主体になっていて、それが虻という対象を惹きつけている、 という私の
見方をそのまま明示的に表現しました。それに対して(1)は、虻が飛んでいる という出来事と、シャリンバイが晴れ間に
咲いているという出来事の間の関係に関する作者 の解釈は明示的には表現されていませんね。ただ、その2つの出来事に関
係があるというこ とだけが暗示されていますね。だから、花(=主体)が虻(=対象)を惹きつけていると見 るか、ある
いは虻(=主体)が花の蜜(=対象)を求めて飛んできていると見るかは、読者 に任されているわけですね。なるほど、こ
れが「写生」というものかなあと思いました。た いへん為になりました。感謝しています。
●原句<車輪梅雨の合間に虻誘う 樗枝>
●添削<虻飛んで短い晴れ間車輪梅>
中川樗枝さんがご理解いただい
たように、この添削は、先ずは写生の問題です。 さらに深く入ると、切れ字の問題があります。「晴れ間」で切れています
ので、 「虻」と「車輪梅」との関わりが不即不離となります。日本の思想では、 「不即不離」、「物心一如」、「色即是空」
といった理論の理解が重要です。 「虻」は、晴れ間が短いので、蜜を探すのに懸命です。「車輪梅」も生殖の ために「虻」
の助けで、花粉を運んでもらいます。生きるためには、「虻」 と「車輪梅」は、不即不離なのです。
「ビジネスの世界」
と「私の世界」も不即不離です。夫婦や親子も不即不離。 これらの共生が自然の原理なのです。この当たり前のことが、今の
日本では、 分からなくなっています。素直に物を見る目、写生の心を失っているからでしょう。 伝統文化は重苦しいですか
らね。
●原句<岩窟の水滴を頭に阿弥陀仏 真佐子>
●添削<岩窟の滴りを頭に阿弥陀仏>
名詞の多い句ですが、それを生かして、しっかりした句に仕上げましたね。 季語がありませんので、夏の季語「滴り」を 入れましたが。
●原句<子を起こす声聞こえ来る柿若葉 けいじ>
●添削<子を起こす声聞いている柿若葉>
生きのいい若者のいるご家庭が「柿若葉」の働きで見えてきますね。
●原句<梔子は雨筋ぬってかほりけり 緑丘>
●添削<梔子の雨筋ぬって香りける>
静かな句。静かな日常。静かな心境。満たされるものがありますね。 自然の恵み であり、俳句による充実感ですね。 俳句では、限定の「は」を避けます。「の」は、ここでは、切れ字の 働きをします。 強い切れ字の「けり」を和らげて「ける」にしました。
●原句<薫風や修学旅行の子の発ちて なべ>
●添削<風薫る修学旅行に発つ子らに>
切れ字の「や」の使い方にご注意。接続助詞の「て」で句を終えた(切った)のも 問題です。高級な言葉のテクニックを 使っていますが、もっと素直に。
●原句<紫陽花の谷に埋もれ義母が行く 虞洛>
●添削<紫陽花の谷に埋もれ母が行く>
「義母」と「母」とを厳密に区別しないのが詩です。 義母を実の母のように思ってしまうのが詩です。 ここが日常の感覚と 違うところで、科学とも違います。
●原句<新じゃがの茹で上げてなお野の匂い なべ>
●推敲<新じゃがの茹で上げてまだ野の匂い なべ>
「まだ野の匂い」がいいですね。「新じゃが」の「新」と「まだ野の匂い」 の「まだ」とが、うまく響き合って、句の力を
強めています。平明で、しか も力強い俳句です。なべさんの日常がそうなっているのでしょう。よい俳句 は、よい生活から
生まれてくるものです。
私の好みですが、この句の場合は、「なお」よりも「まだ」を採ります。 「なお」は、「まだ」
と比べると、複雑で、難しい言葉ですが、「まだ」 は、平明で、現代語的口語表現に相応しい言葉です。
「野の匂い」
には、「まだ野の匂い」とするか、「なお野の匂い」とする かは、あくまでもそれぞれの好みの問題ですが。
●原句<全開の窓から声飛ぶ梅雨の晴れ 晃>
●添削<梅雨晴れへ声飛ぶ窓の全開に>
学校が生き生きしていますね。子ども達の活発な動きが見えてきます。 子ども 達が元気のない民族には、未来がありません。日本にこのような 学校のあることは、とても嬉しいことです。そして、俳句が そのための お手伝いをするのも、とても嬉しいことです。
●原句<網を手にとれぬ夏蝶を手招きする 孝昌>
●添削<網を手に取らず夏蝶を手招きする>
作者が狙ったわけではないが、人間味のある滑稽が良い。
●原句<睡蓮の白咲く時空(とき)をゆっくりと 晃>
●添削<睡蓮の白咲くときをゆっくりと>
平明な俳句ですが、とてもレベルの高いものです。 レベルの高い読者は
「時間」と「空間」を理解します。 レベルの低い読者は理解しませんね。
<夏草や兵共がゆめの跡 芭蕉>
<蝶飛べりむかしの時間かも知れず 臥風>
先達の句を思い出しました。
【原句】ほほづきの袋の中に紅い笛 隆博
【添削】ほおずきの袋の中の紅い笛
わたしの好きな句です。童心のある句なので、「の」の繰り返しによるリズムを作りました。俳句は、「の」の使い方で 句が引き立ってきます。
【原句】カルストの台地にミルク秋の味 晃
【添削】カルストの台地の味よミルクの秋
「カルスト」と「ミルク」が片仮名の現代風なので、切れ字の「よ」を使いました。
【原句】皿の上 あおきブドウ 三粒あり 緑丘
【添削】皿の上にぶどう三粒あり青き
いい写生句なので、色彩を強調するために、「青き」を句の最後に置きました。
【原句】虫の音と今日の出来事共に聞き 陽子
【添削】虫の音と今日の出来事ともに聞く
一読して、初心者の句であることは、分かるが、素晴らしい句 である。作者の生活が良いのである。虫の音と人間の言葉を同 時に聞くことは、欧米人には、とてもできないことで、右脳と 左脳の働きが違うからだという。この句は、日本人の素晴らし い生活を、見事に詠んだ句で、この句があることによって、イ ンターネット句会が成功した、と言っても言い過ぎではないで あろう。
【原句】山の声乗せ下り来る秋の水 晃
【添削】山の声乗せ秋水の下り来る
秋水の山の声乗せ下り来る
山の声乗せて秋水下り来る
好きな句ですが、いくつか、ご参考までの添削をしました。可 能性を求めての添削です。
【原句】蟋蟀の鳴き声踏んで孫の守り けいじ
【添削】蟋蟀の鳴き声孫と聞いている
これは、改作で、いろいろな可能性があります。俳句は、主体 性と可能性を求めることが出来ます。
【原句】ほおづきの淡き赤さよ孫来たる 緑丘
【添削】ほおずきの淡き赤さよ孫来たる
孫の句は、難しいですが、これは、いい句です。「ほおづき」 は、俳句では、「ほおずき」というのが普通です。
【原句】草原の風が匂い立つ野辺の秋 登美子
【添削】草原の風匂い立ち野辺の秋
いい句ですね。読み手の心を満たしてくれるものがあります。
【原句】草風つれて農夫歩みゆく野路の秋 晃
【添削1】草風つれて農の歩みの秋となる
【添削2】草秋の風つれて農夫の歩みゆく
【添削3】草秋の風つれ歩みゆく農が野路
ご参考になればと、いろいろ添削しました。言葉の冒険があり ますが、可能性を求めての添削です。
●原句<新雪を 踏む音かるい 初雪か 野衣部絵夫>
●添削<新雪の踏む音かるい首都圏に>
●原句<残雪や 川面に舞し 白鳥一羽 野衣部絵夫>
●添削<残雪や白鳥一羽舞う川に>
本人のコメント:
添削ありがとうございました。
一句目は<新雪>と<初雪>の新と初が重なって
どうも、うまくないなあと思っていたんです。
二句目は、言葉がすっきりとした感じになって
川面を行く白鳥と、その光景を見たときの風の
気持ちよさがよみがえってきて、良い感じです。
勉強になりました。
●原句<ラグビーの檸檬の甘さ噛んでいる なべ>
●添削<ラガーらが檸檬の甘さ噛んでいる>
ラグビーを知らない人にも理解しやすいように添削してみました。
●原句<南天の紅垣根よりこぼれ なべ>
●添削<南天のくれない垣根より零れ>
<南天の紅垣根よりこぼれ>
「南天」と「垣根」は、動かすことの出来ない言葉です。他は換えることができます。
「紅」は、「くれない」「べに」
「こう」と読ますことができますので、それを、はっきりさせるために平仮名で「くれない」とします。
なお、「紅垣根」としますと、赤い垣根と読み間違えることもあります。「くれない」と「垣根」を切り離すための切れ字と
なっている平仮名です。「南天のくれない」で切れます。
<南天のくれない垣根よりこぼれ>となります。
<南天の紅は垣根よりこぼれ>
なべさんが「は」を入れようとなさったのは、切れ字の問題です。これは、中七が中八の破調と
なりますので、そのことからも「は」は省いた方がよいと思います。
「よりこぼれ」は、「からこぼれ」「越えこぼれ」「より零れ」などと換えることができます。「零れ」は難しい漢字ですが、
「こぼれ」以外の読みはありませんので、作者の好みの問題です。「くれない」を平仮名にして「零れ」を漢字にしますと、
そこには変化があって、詩的な面白みが出てきます。
<南天のくれない垣根より零れ>
これで、推敲はひとまず完成です。
[その他に]
●原句<我も一日蝉も一日の生き様や てつじ>
●添削<我も一と日蝉も一と日の生き様を>
●原句<打ち水が風を引き寄せそことおる 隆博>
●添削<打ち水が風を引き寄せそこをとおる>
●原句<鶯の声まっすぐに来る梅雨の朝 正人>
●添削<鶯の声まっすぐに朝となる>
●原句<夕立や一時土の匂い立つ なべ>
●添削<夕立や一ッ時土の匂い立つ>
●原句<散る花弁個性豊かに舞う姿 虞洛>
●添削<散るときの最も個性豊かな花>
●原句<燃え尽きて花ひらひらと舞い落ちる 虞洛>
●添削<花びらのそれぞれがひらひらと舞う>